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Oracle® TimesTen In-Memory Databaseオペレーション・ガイド
リリース11.2.1
B56047-02
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3 Oracle TimesTen Data Managerデーモンでの処理

Oracle TimesTen Data Managerデーモン(Windowsの場合はOracle TimesTen Data Managerサービス)は、TimesTenをインストールすると起動されます。デーモンは、バックグラウンドで常時稼働しています。

TimesTenデーモンは次の機能を実行します。

アプリケーション開発者は、デーモンと直接対話しません。デーモンでアプリケーション・コードは実行されないため、通常、アプリケーション開発者がデーモンについて考慮する必要はありません。TimesTenデータベースにアクセスするアプリケーション・プログラムは、TimesTen内部ルーチンを透過的に使用してデーモンと通信します。

この項では、様々なプラットフォームでTimesTenデーモンと対話する方法について説明します。内容は次のとおりです。

WindowsでのOracle TimesTen Data Managerサービスの起動および停止

Oracle TimesTen Data Managerサービスは、Oracle TimesTen Data ManagerをWindowsシステムにインストールすると自動的に起動されます。Oracle TimesTen Data Managerサービスを手動で起動および停止するには、-startまたは-stopオプションを指定してttDaemonAdminユーティリティを使用するか、またはWindowsの管理ツールを次のように使用します。

  1. 管理ツールを開きます。

    Windows 2000およびXPでは、「スタート」→「設定」→「コントロール パネル」→「管理ツール」を選択します。

  2. 「サービス」をダブルクリックします。現在使用可能なすべてのサービスが表示されます。

  3. 「TimesTen Data Manager 11.2.1」を選択し、該当するボタンをクリックしてサービスを停止または起動します。


注意:

TimesTenサービスを起動および停止するには、管理権限が必要です。

UNIXでのデーモンの起動および停止

TimesTenデーモンを起動および停止するには、インスタンス管理者である必要があります。

setuprootスクリプトを実行していないかぎり、システムをリブートするたびにインスタンス管理者が手動でデーモンを起動および停止する必要があります。TimesTenメイン・デーモンを手動で起動および停止するには、-startまたは-stopオプションを指定してttDaemonAdminユーティリティを使用します。

ユーザーrootは、デーモン起動スクリプトを実行してデーモンを起動できます。次の表に、デーモン起動スクリプトの場所をプラットフォームごとに示します。

環境 デーモン起動スクリプトの場所
Linux /etc/init.d/tt_instance_name
Solaris /etc/init.d/tt_instance_name
HP-UX /sbin/init.d/tt_instance_name
AIX /etc/init.d/tt_instance_name

TimesTenアプリケーションの停止

TimesTenアプリケーションは、共有メモリーに割り当てられたデータベース、ユーザー接続、場合によっては他のTimesTenデータベースまたはOracleデータベースと通信するためのレプリケーション・エージェントやキャッシュ・エージェントで構成されています。

TimesTenアプリケーションを停止するには、次の手順を実行します。

  1. すべてのユーザー接続を正常に切断します。

  2. すべてのレプリケーション・エージェントおよびキャッシュ・エージェントを停止します。

  3. データベースが手動でロードされた場合は、共有メモリーからデータベースをアンロードします。

  4. TimesTenデーモンを停止します。

TimesTenデーモン・オプションの管理

TimesTenデーモン・オプションは、ttendaemon.optionsファイルに格納されています。これらのオプションの一部は、インストール時に、インストール・プロンプトに対するユーザーの応答に応じてインストーラによって設定されます。

Windowsの場合、ttendaemon.optionsファイルは次のディレクトリにあります。

install_dir\srv\info

UNIXの場合、ttendaemon.optionsファイルは次のディレクトリにあります。

install_dir/info/ 

ttendaemon.optionsファイルで管理される内容は次のとおりです。

最も一般的に変更されるオプションのttendaemon.optionsファイルに変更を加えるには、ttmodinstallユーティリティを使用します。『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』のttmodinstallに関する説明を参照してください。ttmodinstallを使用して特定のオプションを変更できず、ttendaemon.optionsファイルを直接変更する必要がある場合は、TimesTenデーモンを停止してからファイルを変更します。ファイルの変更が完了した後、TimesTenデーモンを再起動します。TimesTen Serverオプションを変更する場合、停止する必要があるのはサーバーのみです。TimesTenデーモンを停止する必要はありません。

この項の後半の内容は次のとおりです。

アドレスをリスニングするデーモンの決定

デフォルトでは、TimesTenメイン・デーモン、サブデーモンおよびエージェントは、使用可能なアドレスを使用してリクエスト用のソケットでリスニングします。すべてのTimesTenユーティリティおよびエージェントは、ループバック・アドレスを使用してメイン・デーモンと通信します。 また、メイン・デーモンは、ループバック・アドレスを使用してエージェントと通信します。

ttendaemon.optionsファイルに個別の行で指定する-listenaddrエントリは、指定した値で示される特定のアドレスでリスニングするようにTimesTenデーモンに指示します。このオプションが指定されたアドレスには、ホスト名または数値のIPアドレスのいずれかを指定できます。

-listenaddrパラメータは、単一のサーバーに複数のネットワーク・アドレスおよびネットワーク・カードが含まれている場合に存在します。この場合、TimesTenデーモンによってリスニングされるネットワーク・アドレスを、サーバーのネットワーク・アドレスのサブセットに制限できます。これは、デーモンがリスニングする対象となるアドレスを入力することによって行います。次の状態が発生する可能性があります。

  • ローカル・ネットワーク内部と外部の両方でアクセス可能なパブリック・ネットワーク・アドレス、およびローカル・ネットワーク内部でのみアクセス可能なプライベート・アドレスがサーバーに含まれている場合、プライベート・アドレスのみを含む-listenaddrエントリを追加すると、パブリック・アドレスで受信されるTimesTenへのすべての通信がブロックされます。

  • ローカル・ホストのみを指定することによって、TimesTenメイン・デーモンをサーバー外部からのすべての通信から切り離し、TimesTenメイン・デーモンでローカルのクライアントおよびサブデーモンのみと通信できます。

TimesTenレプリケーションと-listenaddrパラメータ間に関連はなく、レプリケーションを有効にした場合に-listenaddrパラメータを有効にする必要はありません。-listenaddrが有効になっている環境でレプリケーションを使用する場合は、使用可能なネットワーク・アドレスがレプリケーション・ノードで認識される必要があります。ただし、有効になっている-listenaddrパラメータが存在しない場合でも、レプリケーションは機能します。

ttendaemon.optionsファイルの個別の行に対してデーモンがリスニングを行うアドレスを明示的に指定するには、次のように入力します。

-listenaddr address

たとえば、ループバック・アドレスに対してのみリスニングを行うようにデーモンを制限する場合は、次のように入力します。

-listenaddr 127.0.0.1

または

-listenaddr localhost

これは、ローカル・マシン上のプロセスのみがデーモンと通信できることを意味します。他のマシンからのプロセスは除外されるため、他のマシンとの間でレプリケーションを行ったり、他のマシンからクライアント・アクセス権を付与することはできません。

異なるサブネットに複数のイーサネット・カードがある場合は、-listenaddrエントリを指定してデーモンに接続できるマシンを制御できます。

ttendaemon.optionsファイル内の最大4行の個別の行にオプションおよび値を指定して、リスニングを行う最大4つのアドレスを入力できます。指定したアドレスに加えて、ループバック・アドレスでも常にTimesTenによるリスニングが行われています。

IPv6のリスニング

デフォルトでは、TimesTenはIPv4プロトコルを使用します。デーモンによるIPv6のリスニングを有効にするには、ttendaemon.optionsファイルに次の行を個別の行に入力する必要があります。

-enableIPv6

および

-listenaddr6 address
  • IPv6アドレスを指定するには、IPv6を有効にする-listenaddr6オプションを指定します。

  • -enableIPv6オプションと1つ以上の-listenaddrオプションまたは-listenaddr6オプションを指定すると、IPv6ループバック・インタフェースがリストに追加されます。

  • -enableIPv6オプションを指定し、-listenaddrまたは-listenaddr6オプションでアドレスを何も指定しなかった場合、デーモンはすべてのIPv6インタフェースおよびすべてのIPv4インタフェースでリスニングを行います。

このオプションが指定されたアドレスには、ホスト名または数値のIPアドレスのいずれかを指定できます。-listenaddrオプションの詳細は、「アドレスをリスニングするデーモンの決定」を参照してください。

1つ以上の-listenaddrオプションが指定されると、デーモンは指定されたIPv4インタフェースに対するリスニングを行い、IPv4ループバック・アドレスがリストに追加されます(ループバック・アドレスが指定されていない場合)。-enableIPv6のみが指定されている場合は、IPv4およびIPv6のすべてのインタフェースに対するリスニングを行います。

-listenaddrオプションと-listenaddr6オプションの両方を指定できます。1つ以上の-listenaddr6オプションが指定されると、デーモンは指定されたIPv4またはIPv6インタフェースに対するリスニングを行い、IPv4とIPv6の両方のループバック・インタフェースが追加されます(ループバック・インタフェースが指定されていない場合)。ネーム・リゾルバが1つの名前に対して複数のIPv4またはIPv6(あるいはその両方)のアドレスを返した場合、デーモンはすべての名前に対するリスニングを行います。

情報メッセージの変更

デーモンは、動作時に、エラー、警告および情報メッセージを生成します。これらのメッセージは、Timestenのシステム管理およびアプリケーションのデバッグに有効です。

デフォルトでは、次の場所に情報メッセージが格納されます。

  • ユーザーが確認する必要がある可能性がある情報が格納されるユーザー・エラー・ログ。通常、これらのメッセージには、実行する必要がある可能性がある処理が含まれています。

  • ユーザー・エラー・ログ内のすべての情報およびTimesTenカスタマ・サポートで使用される情報が格納されるサポート・ログ。

次のオプションを使用して、サポート・ログおよびユーザー・ログの場所とサイズ、およびシステム上に保存されるファイルの数を指定します。

オプション 説明
-supportlog path -f path サポート・ログ・ファイルの場所を指定します。デフォルトのファイルはdaemon_home/ttmesg.logです。
-maxsupportlogfiles num TimesTenメイン・デーモンは、指定されたサイズに達すると自動的にファイルを入れ替えます。このオプションでは、保存するサポート・ログ・ファイルの数を指定します。デフォルトは10です。
-maxsupportlogsize nBytes サポート・ログ・ファイルの最大サイズを指定します。デフォルトは10MBです。
-userlog logfile

または

-userlog [syslog]

ユーザー・ログ・ファイルの場所と名前を指定します。デフォルトのファイルはdaemon_home/tterrors.logです。

このパスとして、UNIXシステムでは[syslog]、Windowsではイベント・ログを指定できます。この場合、出力はシステムの[syslog]またはイベント・ログに送信されます。

-maxuserlogfiles num TimesTenメイン・デーモンは、指定されたサイズに達すると自動的にファイルを入れ替えます。このオプションでは、保存するユーザー・ログ・ファイルの数を指定します。デフォルトは10です。
-maxuserlogsize nBytes ユーザー・ログの最大サイズを指定します。デフォルトは1MBです。
-showdate UNIXシステムでのみ、すべてのメッセージの先頭に日付が追加されることを示します。

ログ・メッセージの出力場所としてイベント・ログを指定した場合、それらのログを表示するには、次の手順を実行します。

  1. Windowsデスクトップで、「イベント ビューア」ウィンドウを開きます。

  2. 「ログ」メニューから、「アプリケーション」を選択します。

    アプリケーションで生成されるログ・メッセージのみが表示されるようにこのウィンドウを変更します。「ソース」列に「TimesTen」と記載されているメッセージは、Oracle TimesTen Data Managerサービスによって生成されたものです。

  3. TimesTenメッセージを表示するには、メッセージ・サマリーをダブルクリックします。

    メッセージ・ウィンドウが表示されます。「Next」または「Previous」をクリックするか、あるいは上矢印または下矢印をクリックして、追加のメッセージを表示できます(表示方法は、Windowsのバージョンによって異なります)。


注意:

ttDaemonLogユーティリティを使用してメッセージを表示することもできます。

UNIXで、TimesTenデーモンおよびサブデーモンのメッセージを記録するために使用するsyslog機能を指定するには、ttendaemon.optionsファイルの個別の行に、次のオプションを追加します。

-facility name

指定できる名前値は、authcrondaemonlocal0-local7lprmailnewsuserまたはuucpです。

詳細なログ・メッセージを無効にするには、ttendaemon.optionsファイルの-verboseの前に#を追加します。

サブデーモンの生成可能な数の変更

TimesTenでは、サブデーモンを使用して次のことを行います。

  • データベースの管理

  • ディスクへのトランザクション・ログ・バッファのフラッシュ

  • 定期的なチェックポイントの実行

  • 様々な表のエージング・ポリシーの実装

  • デッドロックの検出および解消

  • 直接モード・アプリケーションが異常終了した場合のトランザクションのロールバック

  • データベースに対して必要なバックグラウンド処理の実行

TimesTenメイン・デーモンは、必要に応じてサブデーモンを動的に生成します。最大数および最小数を指定して、デーモンが生成できるサブデーモンの範囲を手動で指定できます。

任意の時点で、リカバリ中の失敗した各アプリケーション・プロセスに対するTimesTenプロセス・リカバリに、1つのサブデーモンが必要な場合があります。

デフォルトでは、サブデーモンの最大数は50です。

デフォルトでは、TimesTenは、4つ(最小数)のサブデーモンを生成します。ただし、ttendaemon.optionsファイルの-minsubsおよび-maxsubsオプションに新しい値を指定して、これらの設定を変更できます。

NFSマウントされたシステムを介したデータベース・アクセスの許可

デフォルトでは、TimesTenシステムは、NFSマウントされたシステムを介してデータにアクセスすることはできません。Linux x86 64ビット・システムの場合は、NFSマウントされたシステム上のチェックポイントおよびトランザクション・ログ・ファイルにアクセスできます。

NFSマウントされたシステムでデータ・アクセスを有効にするには、ttendaemon.optionsファイルに次の個別の行を追加します。

-allowNetworkFiles

注意:

TimesTenでは、NFSマウントされたシステムを介したトレース・ファイル、またはユーザー・ログおよびサポート・ログの格納はサポートされていません。

Linuxラージ・ページのサポートの有効化

TimesTenでLinuxラージ・ページのサポートを有効にするには、ttendaemon.optionsファイルに次の個別の行を追加します。

-linuxLargePageAlignment Size_in_MB

Size_in_MBは、/proc/meminfoHugepagesizeの値をKB単位ではなくMB単位にしたものです。

HP-UX ccNUMAシステムの共有メモリー・デーモン・オプション

HP-UX ccNUMAシステムでのメモリー遅延は、データの位置に応じて異なります。リモート・セルにあるデータへのアクセスには、ローカル・セルにあるデータのアクセスより時間がかかります。TimesTenの処理で最適な結果を得るために、IPC_MEM_LOCALを設定し、TimesTenプロセスの対象をローカル・セルに限定します。

共有メモリー・セグメントの場所に関するヒントを設定するには、ttendaemon.optionsファイルの個別の行に次を追加します。

-shmLocalityHint locality_hint

locality_hintの有効な値は、次のとおりです。

  • IPC_MEM_LOCAL

  • IPC_MEM_INTERLEAVED

  • IPC_MEM_FIRST_TOUCH

  • IPC_MEM_STRIPED

一度に指定できる値文字列は1つのみです。値が指定されている場合、TimesTenは、適切な場所に関するヒントを使用して、インスタンスに含まれるすべてのデータベースに対して共有メモリー・セグメントを作成します。


注意:

このオプションは、インスタンス管理者にメモリー・リソースへのアクセス権限がある場合にのみ有効です。

ヒントのセマンティクスの詳細は、shmgetのmanページを参照してください。デフォルトの動作では、セグメントはヒントなしで作成されます。デーモン・オプションが指定されていない場合または指定が正しくない場合、デフォルトの動作が実行されます。セグメントの作成にヒントが使用されているかどうかを確認するには、HP-UX pstat機能を使用します。pstatの詳細は、HP-UXのmanページを参照してください。

TimesTen Client/Serverのオプションの管理

この項の内容は次のとおりです。

TimesTen Serverのオプションの変更

TimesTen Serverは、バックグラウンドで常時稼働しているTimesTenデーモンの子プロセスです。TimesTen Serverオプションを変更するには、次の手順を実行します。

  1. TimesTen Serverを停止します。

  2. 次の項の説明に従って、ttendaemon.optionsファイル内のオプションを変更します。

  3. TimesTen Serverを再起動します。

TimesTen Serverの制御

ttendaemon.optionsファイルの個別の行に指定する-server portnoエントリは、TimesTen Serverを起動するようにTimesTenデーモンに指示するとともに、使用するポートも指示します。portnoは、サーバーでリスニングされるポート番号です。

TimesTen Serverがインストールされている場合は、次の方法でTimesTen Serverを有効または無効にできます。

  • TimesTen Serverを有効にするには、-server portnoエントリの前のコメント記号#を削除します。

  • TimesTen Serverを無効にするには、-server portnoエントリの前にコメント記号#を追加します。

TimesTen Serverプロセスの事前生成

各TimesTen Client接続に、1つのサーバー・プロセスが必要です。デフォルトでは、クライアントが接続をリクエストするとサーバー・プロセスが生成されます。

予約サーバー・プロセスのプールを事前に生成して、クライアント接続ですぐに使用することができます。 これによって、クライアント/サーバー接続のパフォーマンスが向上します。

ttendaemon.optionsファイルの個別の行に指定する-serverpool numberエントリは、TimesTen Serverでnumber個のプロセスを作成するようにサーバー・マシンに指示します。このオプションを指定しない場合、プロセスは事前に生成されず、予約プールに保存されます。

新しい接続のリクエスト時に、サーバー・プールにプロセスが存在しない場合は、オペレーティング・システムの制限に達していないかぎり、新しいプロセスが起動されます。

オペレーティング・システムで処理可能な数を超えるプロセスをリクエストすると、警告が戻されます。リクエストしたプロセスの数に関係なく、予約プールにプロセスが残っていなくても、システムで使用可能なプロセスが存在しない場合にクライアントが接続をリクエストしないかぎり、エラーは発生しません。

TimesTen Serverに対する変更は、TimesTen Serverが再起動されると有効になります。

TimesTen Serverに対する複数の接続の指定

デフォルトでは、TimesTenは、1つのサーバーへの接続は1つの子プロセスにつき1つのみ作成されます。『Oracle TimesTen In-Memory Databaseリファレンス』に示すサーバー接続属性を使用するか、またはこの項で示すTimesTenデーモン・オプションを設定すると、1つのTimesTen Serverに複数の接続を設定できます。これらのオプションでは、TimesTen Serverへの接続数、各DSNに対するサーバー数およびサーバーへのそれぞれの接続のサイズを設定できます。


注意:

サーバー接続属性とこれらのデーモン・オプションの両方を設定した場合は、サーバー接続属性の値が優先されます。

子サーバー・プロセス当たりのクライアント接続の最大数の構成

1つのサーバー・プロセスでデータベースへの複数のクライアント接続に対応できるようにマルチスレッド・モードで子サーバー・プロセスを実行するには、次の行をttendaemon.optionsファイルに追加します。

-maxConnsPerServer NumberOfClientConnections

NumberOfClientConnectionsには1から2047の値を指定できます。デフォルト値は1です。 これは、子サーバー・プロセスはマルチプロセス・モードで実行され、1つのクライアント接続にのみ対応することを示します。

サーバーDSNに生成される子サーバー・プロセスの数の構成

特定のサーバーDSNに対して生成される子サーバー・プロセスの数を指定するには、次の行をttendaemon.optionsファイルに追加します。

-serversPerDSN NumberOfChildServerProcesses

NumberOfChildServerProcessesには1から2047の値を指定できます。デフォルト値は1です。

特定のサーバーDSNに対するクライアント接続は、生成されDSNに割り当てられた子サーバー・プロセスにラウンドロビン方式で均一に配分されます。子サーバー・プロセス当たりのクライアント接続の最大数とサーバーDSNに生成される子サーバー・プロセスの数を掛けた値より、DSNへのクライアント接続数の値の方が大きい場合は、サーバーDSNに割り当てられる子サーバー・プロセスの数はNumberOfChildServerProcessesより大きくなります。

子サーバー・プロセスのスレッド・スタック・サイズの構成

クライアント接続ごとに子サーバー・プロセスのスレッド・スタック・サイズを設定するには、次の行をttendaemon.optionsファイルに追加します。

-serverStackSize ThreadStackSize

ThreadStackSizeはKB単位で指定します。デフォルトは、32ビットのシステムでは128KB、64ビットのシステムでは256KBです。子サーバー・プロセス当たりのクライアント接続の最大数が1の場合、子サーバー・プロセスのメイン・スレッドは1つのクライアント接続にのみ対応するため、ThreadStackSize設定は無視されます。


注意:

TimesTen Serverへのこれらの変更は、TimesTenデーモンを再起動するまでは有効になりません。

クライアント/サーバーIPCでの共有メモリーの使用方法

デフォルトでは、TimesTenは、TimesTen ClientドライバにリンクされたアプリケーションとTimesTen Server間でTCP/IP通信を使用します。

クライアント・アプリケーションがTimesTen Serverと同じマシン上にある場合は、プロセス間通信(IPC)に共有メモリーを使用することもできます。

これは、パフォーマンスの向上、または32ビットのクライアント・アプリケーションとサーバー上の64ビットのデータベースの通信を可能にする点で有効な場合があります。共有メモリーをIPCとして使用する前に、システムが正しく構成されていることを検証します。『Oracle TimesTen In-Memory Databaseインストレーション・ガイド』のインストールの前提条件に関する説明を参照してください。

ttendaemon.optionsファイルの個別の行に指定する-serverShmIpcエントリは、IPCの共有メモリー・セグメントを使用するクライアント接続を受け入れるようにTimesTen Serverに指示します。

このエントリがない場合は、この行をttendaemon.optionsファイルに追加します。 TimesTenデーモンを再起動すると、共有メモリーのIPC機能付きでTimesTen Serverが起動されます。

このエントリがある場合は、ttendaemon.optionsファイルの行の前に#記号を追加してコメント・アウトします。これで、TimesTenデーモンの起動時に、TimesTen Serverが共有メモリーのIPC機能付きで起動されなくなります。


注意:

TimesTenでは、共有メモリーのIPC対応サーバーの最大16の異なるインスタンスがサポートされています。アプリケーションで16を超えて異なる共有メモリー・セグメントに接続しようとすると、ODBCエラーが戻されます。

共有メモリー・セグメントのサイズの管理

ttendaemon.optionsファイルの個別の行に指定する-serverShmSize sizeエントリは、指定したサイズ(MB)の共有メモリー・セグメントを作成するようにTimesTen Serverに指示します。

このエントリがない場合、TimesTen Serverは64MBの共有メモリー・セグメントを作成します。

共有メモリー・セグメントの適切な値は、次の要因によって異なります。

  • TimesTen Serverのインスタンスに属するすべてデータベースへの同時クライアント/サーバー接続の推定数

  • このような接続ごとに同時に割り当てられる文の数

  • 問合せに対して送信されるデータの量

共有メモリー・セグメントのサイズを決定するためのガイドラインには、次の内容が含まれます。

  • 許可される最大サイズは1GBです。

  • TimesTenには、内部的に使用する1MBのメモリーが必要です。

  • 接続ごとに、16KBの固定ブロックが必要です。

  • 各文は、IPC用の16KBのブロックで始まります。ただし、このサイズは、問合せに対して送信されるデータのサイズに応じて増減されます。文のバッファ・サイズは、TimesTenによって2倍に増加されたり、半分に減少されます。

たとえば、ユーザー・アプリケーションで最大100の同時共有メモリー対応のクライアント/サーバー接続が想定される場合、および各接続に最大50の文があると想定され、最大の問合せによって128KBのデータが戻される場合は、次の計算式を使用してserverShmSizeを設定します。

serverShmSize = 1 MB + (100 * 16) KB + (100 * 50 * 128) KB
              = 1 MB + 2 MB + 625 MB = 628 MB

これは、この例に必要な最大のメモリーです。100すべての接続のそれぞれに50文が含まれ、それらの各文に、結果行に128KBのデータを戻す問合せが含まれている場合にのみ、メモリー・セグメント全体が使用されます。

この例で、serverShmSizeを128MBに設定した場合、新しい共有メモリー対応クライアント/サーバー接続がTimesTen Serverによって拒否されるか、または共有メモリー・セグメント内のリソース不足が原因で問合せに失敗する場合があります

共有メモリー・セグメントのサイズの変更

設定した共有メモリー・セグメントの値を変更するには、TimesTen Serverを停止する必要があります。サーバーを停止すると、TimesTen Serverのインスタンスに関連付けられているすべてのデータベースへの既存のクライアント/サーバー接続が切断されます。-serverShmSizeオプションの値を変更するには、次の手順を実行します。

  1. ttendaemon.optionsファイルの-serverShmSizeの値を変更します。

  2. ttDaemonAdminユーティリティを使用して、TimesTen Serverを再起動します。TimesTen Serverを再起動できるのは、インスタンス管理者のみです。

TimesTen Serverログ・メッセージの制御

ttendaemon.optionsファイルの個別の行に指定する-noserverlogエントリは、クライアント・アプリケーションとの間の接続および切断のロギングを無効にするようにTimesTenデーモンに指示します。

TimesTen Serverがインストールされている場合は、次の方法で接続および切断に関するメッセージのロギングを有効または無効にできます。

  • ロギングを有効にするには、-noserverlogエントリの前にコメント記号#を追加します。

  • ロギングを無効にするには、-noserverlogエントリの前のコメント記号#を削除します。