この項では、このマニュアルに記載されているOracle TimesTen In-Memory Databaseリリース11.2.1の新機能の概要を説明し、詳細情報を参照するためのリンクを示します。
TimesTenリリース11.2.1には、このマニュアルで説明する次の新機能が含まれています。
クイック・スタート・デモ
このリリースには、オプションのクイック・スタート機能が付属しており、概要的な情報、チュートリアル、新規または改訂されたデモ・アプリケーションが含まれています。 デモの名前は以前のリリースとほぼ同じですが、格納場所は異なることに注意してください。
「TimesTen Cのデモについて」およびインストール先のinstall_dir
/quickstart.html
を参照してください。
Oracle Call Interface(OCI)のサポート
OCIとは、データベース・サーバーにアクセスしてSQL実行を制御するために使用可能な機能を備えたAPIのことです。OCIでは、CおよびC++プログラミング言語のデータ型、コール規則、構文およびセマンティックがサポートされています。すべてのCまたはC++プログラムと同様にOCIプログラムをコンパイルおよびリンクします。前処理またはプリコンパイルの手順はありません。
Pro*C/C++のサポート
Oracle Pro*C/C++プリコンパイラを使用すると、SQL文またはPL/SQLブロックを直接CコードまたはC++コードに埋め込むことができます。プリコンパイル手順を使用して、Pro*C/C++ソース・ファイルをCまたはC++のソース・ファイルに変換します。
アクセス制御
今回のリリースで、前回の機能からもっとも大幅かつ全面的に変更された機能は、おそらく、アクセス制御です。 TimesTenの新機能では、表、ビュー、マテリアライズド・ビュー、順序などのデータベース・オブジェクトについて、オブジェクトレベルの解決法でデータベース・アクセスが制御されます。 この機能は、特定のTimesTen組込みプロシージャ、ユーティリティおよび接続属性へのアクセスにも影響します。
「アクセス制御に関するTimesTen機能の考慮事項」を参照してください。 全般的な情報については、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseオペレーション・ガイド』のアクセス制御の管理に関する項を参照してください。
OUTパラメータ
パラメータのバインドに関する説明には、OUTおよびIN OUTパラメータのバインドに対する新しいサポートの説明が含まれています。
「パラメータのバインド」の該当する項を参照してください。
重複したパラメータ
TimesTenでは、SQL文で重複したパラメータをバインドするための2つのモードがいずれもサポートされるようになりました。 DuplicateBindMode
一般接続属性を使用して、Oracleモード(現在のデフォルト)または従来のTimesTenモードを選択します。
「SQL文での重複したパラメータのバインド」を参照してください。
REF CURSOR
REF CURSORはPL/SQLの概念です。REF CURSORはSQL結果セット上のカーソルに対するハンドルであり、PL/SQLとアプリケーションの間で渡されることができます。
「REF CURSORの使用」を参照してください。
自動クライアント・フェイルオーバー
自動クライアント・フェイルオーバーとは、TimesTenノードの障害の結果として代替ノードへのフェイルオーバー(転送)が発生する際に高可用性シナリオで使用される機能のことです。このフェイルオーバーでは、アプリケーションが新しいノードに自動的に再接続されます。TimesTenには、このような状況が発生した場合にアプリケーションにアラートを送信できる機能が備えられているため、アプリケーションは適切に対処できます。
「自動クライアント・フェイルオーバー」を参照してください。
遅延準備
OCIが期待する動作との一貫性を実現し、クライアントとサーバー間の不要なラウンドトリップを回避するため、TimesTenクライアント・ライブラリに実装されたSQLPrepare
では、遅延準備と呼ばれる処理が実行されます。この処理では、リクエストは要求されるまでサーバーに送信されません。
詳細は、「TimesTenの遅延準備」を参照してください。
パラレル・ログ・マネージャ
ログ・マネージャの新しいマルチストランド機能の結果として、第5章「XLAおよびTimesTenイベント管理」および第9章「XLAリファレンス」の一部の用語が変更されました。 これらの章の説明では、ログ順序番号(LSN)という用語がログ・レコード識別子という用語に置き換えられています。 LSNはまだ残っていますが、より限定された特別なコンテキストで使用されます。 以前にLSNと呼ばれていたものの一部のみが、新しい使用法でもLSNとして残っています。 LSNという言葉が使用されていた関数、データ構造体などの名前は、下位互換性を保持するためにそのまま使用されます。
特に、マルチストランド機能が、XLA関数ttXlaGetLSN
およびttXlaSetLSN
で使用されるtt_XlaLsn_t
構造体に影響することに注意してください。 また、ttXlaUpdateDesc_t
構造体のフィールドであるtt_LSN_t
構造体にも影響します。 「ttXlaGetLSN」、「ttXlaSetLSN」および「ttXlaUpdateDesc_t」を参照してください。
ROWID
TimesTenデータベース表の各行には、ROWIDと呼ばれる一意の識別子があります。 TimesTenではOracleスタイルのROWIDがサポートされるようになりました。アプリケーションでは、ROWID擬似列から行のROWIDを取得できます。ROWIDはバイナリまたは文字形式で表すことができます。
「ROWIDの使用」を参照してください。
DML RETURNING(RETURNING INTO句)
TimesTenではDML RETURNINGと呼ばれるRETURNING INTO句がサポートされるようになりました。この句をINSERT、UPDATEまたはDELETE文で使用すると、処理の影響を受けた行の特定の項目が返されます。
「DML RETURNINGの使用(RETURNING INTO句)」を参照してください。
SQL文の実行時間しきい値
SQL文の実行が指定期間(秒単位)を超えた場合に、サポート・ログに警告を書き込んでSNMPトラップをスローするように、TimesTenを構成できます。 この機能は7.0.xメンテナンス・リリースで追加されましたが、このリリースのマニュアルには記載されていません。 この機能は既存のSQL文のタイムアウト値と似ていますが、同じではないことに注意してください。
「SQL文の実行に対するタイムアウトまたはしきい値の設定」を参照してください。
Tツリー索引は範囲索引と呼ばれるようになりました。
Cユーティリティ関数の変更
ttRepDuplicateEx
関数は、特にアクセス制御の影響を受けます。 「ttRepDuplicateEx」を参照してください。
XLAのレプリケートされたブックマーク
アクティブ・スタンバイ・ペア・レプリケーション・スキームを使用している場合、レプリケートされたブックマークの使用を選択できるようになりました。レプリケートされたブックマークの場合、ブックマークに対する処理は必要に応じてスタンバイ・データベースにレプリケートされます。これにより、フェイルオーバーが発生した場合、より効率的にブックマークの位置をリカバリできます。
「XLAブックマークについて」のレプリケートされたブックマークに関する項を参照してください。
XLAのその他の変更点
XLAを非永続モードで使用しないでください。 永続モードを使用してください。
「XLA永続モード」を参照してください。
ROWIDに対する新しいXLAタイプの変換関数ttXlaRowidToCString
があります。
「ttXlaRowidToCString」を参照してください。
XLAにより、ttXlaUpdateDesc_t
構造体のflags
フィールドの新しい値を使用して、更新がカスケード削除またはエージング処理のいずれの一部として生成されたのかが示されます。
「ttXlaUpdateDesc_t」を参照してください。