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Oracle In-Memory Database Cacheユーザーズ・ガイド
リリース11.2.1
B56054-01
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6 他のキャッシュ・グリッド・メンバーの作成

この章では、2つ目のスタンドアロンTimesTenデータベースおよびアクティブ・スタンバイ・ペアを作成し、第3章「キャッシュ・インフラストラクチャの設定」で作成したキャッシュ・グリッドにこれらのメンバーをアタッチする場合のタスクについて説明します。内容は次のとおりです。

後続のスタンドアロンTimesTenデータベースの作成および構成

次に、ttGridキャッシュ・グリッドのメンバーになる2つ目のスタンドアロンTimesTenデータベースのcachealone2 DSNの定義を示します。

[cachealone2]
DataStore=/users/OracleCache/alone2
PermSize=64
OracleNetServiceName=orcl
DatabaseCharacterSet=WE8ISO8859P1

ttIsqlユーティリティを開始して、cachealone2 DSNにインスタンス管理者として接続し、データベースを作成します。次に、キャッシュ・マネージャ・ユーザーcacheuserを作成します。この例では、このユーザーの名前はOracleキャッシュ管理ユーザーと同じです。次に、キャッシュ表ユーザーorattを作成します。このユーザーの名前は、TimesTenデータベースにキャッシュされるOracle表を所有するOracleスキーマ・ユーザーと同じです。

% ttIsql cachealone2
Command> CREATE USER cacheuser IDENTIFIED BY timesten;
Command> CREATE USER oratt IDENTIFIED BY timesten;

インスタンス管理者としてttIsqlユーティリティを使用して、例3-8に示されている処理を実行するために必要な権限をキャッシュ・マネージャ・ユーザーcacheuserに付与します。

Command> GRANT CREATE SESSION, CACHE_MANAGER, CREATE ANY TABLE TO cacheuser;
Command> exit

ttIsqlユーティリティを起動して、cachealone2 DSNにキャッシュ・マネージャ・ユーザーとして接続します。ttCacheUidPwdSet組込みプロシージャをコールして、キャッシュ管理ユーザーの名前およびパスワードを設定します。

% ttIsql "DSN=cachealone2;UID=cacheuser;PWD=timesten;OraclePWD=oracle"
Command> call ttCacheUidPwdSet('cacheuser','oracle');

キャッシュ・マネージャ・ユーザーとしてttGridNameSet組込みプロシージャをコールすることによって、2つ目のスタンドアロン・データベースをttGridキャッシュ・グリッドに関連付けます。

Command> call ttGridNameSet('ttGrid');

ttGridキャッシュ・グリッドは、最初のスタンドアロンTimesTenデータベースから作成されました。グリッドはすでに存在するため、再度作成する必要はありません。

必要に応じて、「TimesTenデータベースとOracle Database間での接続テスト」に示した手順を使用して、2つ目のスタンドアロンTimesTenデータベースとOracle Database間の接続性をテストできます。

キャッシュ・マネージャ・ユーザーとしてttCacheStart組込みプロシージャをコールすることによって、2つ目のスタンドアロン・データベースでキャッシュ・エージェントを起動します。

Command> call ttCacheStart;

次に、キャッシュ・マネージャ・ユーザーとしてデータベースにキャッシュ・グループを作成します。たとえば、次の文では、oratt.subscriber表をキャッシュする動的AWTグローバル・キャッシュ・グループsubscriber_accountsが作成されます。

CREATE DYNAMIC ASYNCHRONOUS WRITETHROUGH GLOBAL CACHE GROUP subscriber_accounts
FROM oratt.subscriber
 (subscriberid       NUMBER(10) NOT NULL PRIMARY KEY,
  name               VARCHAR2(100) NOT NULL,
  minutes_balance    NUMBER(5) NOT NULL,
  last_call_duration NUMBER(4) NOT NULL)

キャッシュされたOracle表oratt.subscriberの定義の詳細は、「グローバル・キャッシュ・グループ」を参照してください。

AWTキャッシュ・グループが作成されている場合は、キャッシュ・マネージャ・ユーザーとしてttRepStart組込みプロシージャをコールすることによって、TimesTenデータベースでレプリケーション・エージェントを起動します。

Command> call ttRepStart;

グローバル・キャッシュ・グループが作成されている場合、グローバル・キャッシュ・グループのキャッシュ表を更新するには、関連付けられているキャッシュ・グリッドにデータベースをアタッチする必要があります。データベースをグリッドにアタッチすると、データベースをグリッド・メンバーにすることができます。その結果、グリッド内のデータベース間で、グローバル・キャッシュ・グループのキャッシュ表内にあるキャッシュ・インスタンスの一貫性を保持できます。

関連付けられているttGridキャッシュ・グリッドに2つ目のスタンドアロン・データベースをアタッチするには、キャッシュ・マネージャ・ユーザーとしてttGridAttach組込みプロシージャをコールします。スタンドアロンのTimesTenデータベースのノード番号は1です。

次の例で、alone2はグリッド・メンバーを一意に識別するために使用される名前を、sys2は2つ目のスタンドアロン・データベースが存在するTimesTenシステムのホスト名を、5002は2つ目のスタンドアロン・データベースのキャッシュ・エージェント・プロセスのTCP/IPポートを示しています。

Command> call ttGridAttach(1,'alone2','sys2',5002);
Command> exit

キャッシュ表のレプリケート

高可用性を実現するために、読取り専用キャッシュ・グループまたはAWTキャッシュ・グループのキャッシュ表に対してアクティブ・スタンバイ・ペアのレプリケーション・スキームを構成します。

これらのキャッシュ・グループ・タイプのいずれかからキャッシュ表をレプリケートするアクティブ・スタンバイ・ペアを使用すると、フェイルオーバーおよびリカバリの一部として、データ損失の可能性を最小限に抑えて、TimesTenデータベースのロールを自動的に変更できます。キャッシュ・グループ自体は、Oracle Databaseの停止からのリジリエンスを提供するため、システムの可用性がさらに強化されます。 詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Database TimesTen to TimesTen開発者および管理者ガイド』のキャッシュ・グループを含むアクティブ・スタンバイ・ペアの管理に関する説明を参照してください。

アクティブ・スタンバイ・ペアのレプリケーション・スキームを構成すると、TimesTenデータベースの高可用性を実現できます。 グリッド・メンバーを複数配置すると、TimesTenキャッシュ・グリッドの高可用性を実現できます。 Oracle Real Application Clusters(RAC)を構成すると、Oracle Databaseの高可用性を実現できます。 Oracle RAC環境でOracle In-Memory Database Cacheを使用する方法の詳細は、「RAC環境でのOracle In-Memory Database Cacheの使用」を参照してください。

Oracle表をキャッシュするTimesTenデータベースに対してアクティブ・スタンバイ・ペアを構成するには、次のタスクを実行します。

アクティブ・マスター・データベースの作成および構成

次に、ttGridキャッシュ・グリッドのメンバーになるアクティブ・スタンバイ・ペアのアクティブ・マスター・データベースのcacheactive DSNの定義を示します。

[cacheactive]
DataStore=/users/OracleCache/cacheact
PermSize=64
OracleNetServiceName=orcl
DatabaseCharacterSet=WE8ISO8859P1

ttIsqlユーティリティを開始して、cacheactive DSNにインスタンス管理者として接続し、データベースを作成します。次に、キャッシュ・マネージャ・ユーザーcacheuserを作成します。この例では、このユーザーの名前はOracleキャッシュ管理ユーザーと同じです。次に、キャッシュ表ユーザーorattを作成します。このユーザーの名前は、TimesTenデータベースにキャッシュされるOracle表を所有するOracleスキーマ・ユーザーと同じです。

% ttIsql cacheactive
Command> CREATE USER cacheuser IDENTIFIED BY timesten;
Command> CREATE USER oratt IDENTIFIED BY timesten;

インスタンス管理者としてttIsqlユーティリティを使用して、例3-8に示されている処理を実行し、ADMIN権限を必要とするアクティブ・スタンバイ・ペアのレプリケーション・スキームを作成するために必要な権限をキャッシュ・マネージャ・ユーザーcacheuserに付与します。

Command> GRANT CREATE SESSION, CACHE_MANAGER,
       > CREATE ANY TABLE, ADMIN TO cacheuser;
Command> exit

ttIsqlユーティリティを起動して、cacheactive DSNにキャッシュ・マネージャ・ユーザーとして接続します。ttCacheUidPwdSet組込みプロシージャをコールして、キャッシュ管理ユーザーの名前およびパスワードを設定します。

% ttIsql "DSN=cacheactive;UID=cacheuser;PWD=timesten;OraclePWD=oracle"
Command> call ttCacheUidPwdSet('cacheuser','oracle');

キャッシュ・マネージャ・ユーザーとしてttGridNameSet組込みプロシージャをコールすることによって、アクティブ・マスター・データベースをttGridキャッシュ・グリッドに関連付けます。

Command> call ttGridNameSet('ttGrid');

ttGridキャッシュ・グリッドは、最初のスタンドアロンTimesTenデータベースから作成されました。グリッドはすでに存在するため、再度作成する必要はありません。

必要に応じて、「TimesTenデータベースとOracle Database間での接続テスト」に示した手順を使用して、アクティブ・マスター・データベースとOracle Database間の接続性をテストできます。

キャッシュ・マネージャ・ユーザーとしてttCacheStart組込みプロシージャをコールすることによって、アクティブ・マスター・データベースでキャッシュ・エージェントを起動します。

Command> call ttCacheStart;

次に、キャッシュ・マネージャ・ユーザーとしてデータベースにキャッシュ・グループを作成します。たとえば、次の文では、oratt.subscriber表をキャッシュする動的AWTグローバル・キャッシュ・グループsubscriber_accountsが作成されます。

CREATE DYNAMIC ASYNCHRONOUS WRITETHROUGH GLOBAL CACHE GROUP subscriber_accounts
FROM oratt.subscriber
 (subscriberid       NUMBER(10) NOT NULL PRIMARY KEY,
  name               VARCHAR2(100) NOT NULL,
  minutes_balance    NUMBER(5) NOT NULL,
  last_call_duration NUMBER(4) NOT NULL)

キャッシュされたOracle表oratt.subscriberの定義の詳細は、「グローバル・キャッシュ・グループ」を参照してください。

キャッシュ・マネージャ・ユーザーとして、CREATE ACTIVE STANDBY PAIR文を使用して、アクティブ・マスター・データベースにアクティブ・スタンバイ・ペアのレプリケーション・スキームを作成します。

次の例では、cacheactcachestandおよびsubscrはそれぞれ、アクティブ・マスター・データベース、スタンバイ・マスター・データベースおよび読取り専用サブスクライバ・データベースのチェックポイント・ファイルおよびトランザクション・ログ・ファイルのファイル名接頭辞です。また、sys3sys4およびsys5はそれぞれ、アクティブ・マスター・データベース、スタンバイ・マスター・データベースおよび読取り専用サブスクライバ・データベースが存在するTimesTenシステムのホスト名です。

Command> CREATE ACTIVE STANDBY PAIR cacheact ON "sys3", cachestand ON "sys4"
       > SUBSCRIBER subscr ON "sys5";

キャッシュ・マネージャ・ユーザーとしてttRepStart組込みプロシージャをコールすることによって、アクティブ・マスター・データベースでレプリケーション・エージェントを起動します。 次に、ttRepStateSet組込みプロシージャをコールすることによって、データベースをアクティブ・マスターとして宣言します。

Command> call ttRepStart;
Command> call ttRepStateSet('active');

グローバル・キャッシュ・グループが作成されている場合、グローバル・キャッシュ・グループのキャッシュ表を更新するには、関連付けられているキャッシュ・グリッドにデータベースをアタッチする必要があります。データベースをグリッドにアタッチすると、データベースをグリッド・メンバーにすることができます。その結果、グリッド内のデータベース間で、グローバル・キャッシュ・グループのキャッシュ表内にあるキャッシュ・インスタンスの一貫性を保持できます。

関連付けられているttGridキャッシュ・グリッドにアクティブ・マスター・データベースをアタッチするには、キャッシュ・マネージャ・ユーザーとしてttGridAttach組込みプロシージャをコールします。 アクティブ・マスター・データベースのノード番号は1です。

例で使用される各要素の意味は、次のとおりです。

  • cacheactは、アクティブ・マスター・データベースのグリッド・ノードを一意に識別するために使用される名前です。

  • cachestandは、スタンバイ・マスター・データベースのグリッド・ノードを一意に識別するために使用される名前です。

  • sys3は、アクティブ・マスター・データベースが存在するTimesTenシステムのホスト名です。

  • sys4は、スタンバイ・マスター・データベースが存在するTimesTenシステムのホスト名です。

  • 5003は、アクティブ・マスター・データベースのキャッシュ・エージェント・プロセス用のTCP/IPポートです。

  • 5004は、スタンバイ・マスター・データベースのキャッシュ・エージェント・プロセス用のTCP/IPポートです。

Command> call ttGridAttach(1,'cacheact','sys3',5003,'cachestand','sys4',5004);
Command> exit

スタンバイ・マスター・データベースの作成および構成

次に、ttGridキャッシュ・グリッドのメンバーになるアクティブ・スタンバイ・ペアのスタンバイ・マスター・データベースのcachestandby DSNの定義を示します。

[cachestandby]
DataStore=/users/OracleCache/cachestand
PermSize=64
OracleNetServiceName=orcl
DatabaseCharacterSet=WE8ISO8859P1

インスタンス管理者として、スタンバイ・マスター・データベースのシステムからttRepAdmin -duplicateユーティリティ・コマンドを実行することによって、スタンバイ・マスター・データベースをアクティブ・マスター・データベースの複製として作成します。 アクティブ・マスター・データベースのインスタンスとスタンバイ・マスター・データベースのインスタンスのインスタンス管理者ユーザー名は同じである必要があります。

スタンバイ・マスター・データベースにはOracle Databaseとの接続性があるため、アクティブ・マスター・データベースのキャッシュ表がスタンバイ・マスター・データベースのキャッシュ表として複製されるように、-keepCGオプションを使用します。

例で使用される各要素の意味は、次のとおりです。

  • -fromオプションには、アクティブ・マスター・データベースのチェックポイント・ファイルおよびトランザクション・ログ・ファイルのファイル名接頭辞を指定します。

  • -hostオプションには、アクティブ・マスター・データベースが存在するTimesTenシステムのホスト名を指定します。

  • -uidオプションおよび-pwdオプションには、アクティブ・マスター・データベースに定義され、ADMIN権限が付与されているTimesTen内部ユーザーのユーザー名およびパスワードを指定します。

  • -cacheuidオプションおよび-cachepwdオプションには、Oracleキャッシュ管理ユーザーの名前およびパスワードを指定します。

  • cachestandbyは、スタンバイ・マスター・データベースのDSNです。

% ttRepAdmin -duplicate -from cacheact -host "sys3" -uid cacheuser -pwd timesten -cacheuid cacheuser -cachepwd oracle -keepCG cachestandby

ttIsqlユーティリティを起動して、cachestandby DSNにキャッシュ・マネージャ・ユーザーとして接続します。ttCacheUidPwdSet組込みプロシージャをコールして、キャッシュ管理ユーザーの名前およびパスワードを設定します。

% ttIsql "DSN=cachestandby;UID=cacheuser;PWD=timesten;OraclePWD=oracle"
Command> call ttCacheUidPwdSet('cacheuser','oracle');

ttGridキャッシュ・グリッドは、最初のスタンドアロンTimesTenデータベースから作成されました。グリッドはすでに存在するため、再度作成する必要はありません。

ttRepAdmin -duplicate -keepCGユーティリティ・コマンドによってスタンバイ・マスター・データベースがttGridキャッシュ・グリッドに関連付けられるため、この関連付けを明示的に行う必要はありません。

必要に応じて、「TimesTenデータベースとOracle Database間での接続テスト」に示した手順を使用して、スタンバイ・マスター・データベースとOracle Database間の接続性をテストできます。

キャッシュ・マネージャ・ユーザーとしてttCacheStart組込みプロシージャをコールすることによって、スタンバイ・マスター・データベースでキャッシュ・エージェントを起動します。

Command> call ttCacheStart;

キャッシュ・マネージャ・ユーザーとしてttRepStart組込みプロシージャをコールすることによって、スタンバイ・マスター・データベースでレプリケーション・エージェントを起動します。

Command> call ttRepStart;

グローバル・キャッシュ・グループが作成されている場合、グローバル・キャッシュ・グループのキャッシュ表を更新するには、関連付けられているキャッシュ・グリッドにデータベースをアタッチする必要があります。データベースをグリッドにアタッチすると、データベースをグリッド・メンバーにすることができます。その結果、グリッド内のデータベース間で、グローバル・キャッシュ・グループのキャッシュ表内にあるキャッシュ・インスタンスの一貫性を保持できます。

関連付けられているttGridキャッシュ・グリッドにスタンバイ・マスター・データベースをアタッチするには、キャッシュ・マネージャ・ユーザーとしてttGridAttach組込みプロシージャをコールします。 スタンバイ・マスター・データベースのノード番号は2です。 アクティブ・マスター・データベースおよびスタンバイ・マスター・データベースのキャッシュ・エージェントには、アクティブ・マスター・データベースの構成時に指定したTCP/IPポートと同じTCP/IPポートを使用します。

例で使用される各要素の意味は、次のとおりです。

  • cacheactは、アクティブ・マスター・データベースのグリッド・ノードを一意に識別するために使用される名前です。

  • cachestandは、スタンバイ・マスター・データベースのグリッド・ノードを一意に識別するために使用される名前です。

  • sys3は、アクティブ・マスター・データベースが存在するTimesTenシステムのホスト名です。

  • sys4は、スタンバイ・マスター・データベースが存在するTimesTenシステムのホスト名です。

  • 5003は、アクティブ・マスター・データベースのキャッシュ・エージェント・プロセス用のTCP/IPポートです。

  • 5004は、スタンバイ・マスター・データベースのキャッシュ・エージェント・プロセス用のTCP/IPポートです。

Command> call ttGridAttach(2,'cacheact','sys3',5003,'cachestand','sys4',5004);
Command> exit

読取り専用サブスクライバ・データベースの作成および構成

次に、アクティブ・スタンバイ・ペアの読取り専用サブスクライバ・データベースのrosubscriber DSNの定義を示します。

[rosubscriber]
DataStore=/users/OracleCache/subscr
PermSize=64
DatabaseCharacterSet=WE8ISO8859P1

インスタンス管理者として、読取り専用サブスクライバ・データベース・システムからttRepAdmin -duplicateユーティリティ・コマンドを実行することによって、読取り専用サブスクライバ・データベースをスタンバイ・マスター・データベースの複製として作成します。 スタンバイ・マスター・データベースのインスタンスと読取り専用サブスクライバ・データベースのインスタンスのインスタンス管理者ユーザー名は同じである必要があります。

読取り専用サブスクライバ・データベースにはOracle Databaseとの接続性がないため、スタンバイ・マスター・データベースのキャッシュ表が読取り専用サブスクライバ・データベースの通常の表として複製されるように、-noKeepCGオプションを使用します。 この結果、読取り専用サブスクライバ・データベースはキャッシュ・グリッドに関連付けられなくなります。

例で使用される各要素の意味は、次のとおりです。

  • -fromオプションには、スタンバイ・マスター・データベースのチェックポイント・ファイルおよびトランザクション・ログ・ファイルのファイル名接頭辞を指定します。

  • -hostオプションには、スタンバイ・マスター・データベースが存在するTimesTenシステムのホスト名を指定します。

  • -uidオプションおよび-pwdオプションには、スタンバイ・マスター・データベースに定義され、ADMIN権限が付与されているTimesTen内部ユーザーのユーザー名およびパスワードを指定します。

  • rosubscriberは、読取り専用サブスクライバ・データベースのDSNです。

% ttRepAdmin -duplicate -from cachestand -host "sys4" -uid cacheuser -pwd timesten -noKeepCG rosubscriber

キャッシュ・マネージャ・ユーザーとしてttRepStart組込みプロシージャをコールすることによって、読取り専用サブスクライバ・データベースでレプリケーション・エージェントを起動します。

% ttIsql "DSN=rosubscriber;UID=cacheuser;PWD=timesten"
Command> call ttRepStart;
Command> exit

グリッド・メンバー間のデータ共有の例

キャッシュされたOracle表oratt.subscriberの定義の詳細は、「グローバル・キャッシュ・グループ」を参照してください。

キャッシュされたOracle表oratt.subscriberのデータは、次のとおりです。

SUBSCRIBERID  NAME              MINUTES_BALANCE   LAST_CALL_DURATION
------------  ----------------  ---------------   ------------------
        1001  Jane Anderson                  75                   15
        1004  Robert Phillips                60                   20
        1005  William Ackerman               40                   10
        1009  Sandy Little                   90                   30

グローバル・キャッシュ・グループsubscriber_accountsのTimesTenキャッシュ表oratt.subscriberは、5つすべてのTimesTenデータベース(cachealone1cachealone2cacheactivecachestandbyrosubscriber)で最初は空になっています。

Command> SELECT * FROM oratt.subscriber;
0 rows found.

TimesTenデータベースcachealone1で次のSELECT文を発行して、キャッシュされたOracle表からTimesTenキャッシュ表に1つのキャッシュ・インスタンスを動的にロードします。

Command> SELECT * FROM oratt.subscriber WHERE subscriberid = 1004;
< 1004, Robert Phillips, 60, 20 >

この結果、スタンドアロン・データベース・グリッド・メンバーcachealone1は、サブスクライバIDが1004のキャッシュ・インスタンスの所有権を持ちます。このキャッシュ・インスタンスは、他のいずれのグリッド・メンバーにも存在しません。

次に、TimesTenデータベースcachealone2で次のSELECT文を発行して、キャッシュされたOracle表からTimesTenキャッシュ表にキャッシュ・インスタンスを1つ動的にロードします。

Command> SELECT * FROM oratt.subscriber WHERE subscriberid = 1004;
< 1004, Robert Phillips, 60, 20 >

この結果、スタンドアロン・データベース・グリッド・メンバーcachealone2は、サブスクライバIDが1004のキャッシュ・インスタンスの所有権をグリッド・メンバーcachealone1から取得します。 これで、このキャッシュ・インスタンスはcachealone1には存在しなくなり、他のいずれのグリッド・メンバーにも存在しなくなります。

次に、TimesTenデータベースcacheactiveで次のINSERT文を発行して、新しいキャッシュ・インスタンスをTimesTenキャッシュ表に挿入します。

Command> INSERT INTO oratt.subscriber VALUES (1012, 'Charles Hill', 80, 16);

この結果、アクティブ・マスター・データベース・グリッド・ノードcacheactiveは、サブスクライバIDが1012のキャッシュ・インスタンスの所有権を持ちます。 このキャッシュ・インスタンスは、スタンバイ・マスター・データベースcachestandbyおよび読取り専用サブスクライバ・データベースrosubscriberにレプリケートされます。 このキャッシュ・インスタンスは、他のいずれのグリッド・メンバーにも存在しません。 また、この挿入処理は、キャッシュされたOracle表oratt.subscriberにも自動的に伝播されます。

スタンバイ・マスター・データベースまたは読取り専用サブスクライバ・データベースでは、キャッシュ・インスタンスの所有権を直接取得できません。 これらのデータベースは読取り専用であるため、動的ロード処理にも手動ロード処理にも、動的ロードを実行するSELECT文を含めることができません。

グリッド・メンバー間のローカル・キャッシュ・グループのキャッシュ表では、データは共有されません。 グリッド・メンバーごとに、ローカル・キャッシュ・グループの数が異なることがあります。 ある2つのグリッド・メンバーでローカル・キャッシュ・グループの定義が同じである場合、一方のグリッド・メンバー内のキャッシュ表のデータが他方のグリッド・メンバー内のキャッシュ表のデータと重複することがあります。 ローカル・キャッシュ・グループでは、キャッシュ・インスタンスがキャッシュ表を所有するという概念がありません。

キャッシュ・グリッドまたはグリッド・メンバーへの他の要素の追加

グローバル・キャッシュ・グループを含むデータベースがキャッシュ・グリッドにアタッチされている場合、後続のデータベースを同じグリッドにアタッチし、グリッド・メンバーにすることができるのは、そのデータベースに含まれているグローバル・キャッシュ・グループの定義が、グリッドにアタッチされているデータベースのグローバル・キャッシュ・グループの定義と同じときのみです。 後続のデータベースに含まれているグローバル・キャッシュ・グループの数が、グリッドにアタッチされているデータベースより多いかまたは少ない場合、後続のデータベースを同じグリッドにアタッチすることはできません。 データベースごとに、ローカル・キャッシュ・グループの数が異なり、データベース間で定義が一致しない場合があります。

キャッシュ・グリッドにアタッチされているTimesTenデータベースに動的AWTグローバル・キャッシュ・グループを新しく作成する場合は、データベースでレプリケーション・エージェントを停止しておきます。 グローバル・キャッシュ・グループを作成した後にレプリケーション・エージェントを再起動します。 新しいグローバル・キャッシュ・グループは、手動でロードすることも動的にロードすることもできません。また、そのキャッシュ表は、すべてのグリッド・メンバーで同じ定義を使用してキャッシュ・グループが作成されるまで更新できません。 スタンドアロン・データベースおよびアクティブ・マスター・データベースに、その新しいグローバル・キャッシュ・グループを手動で作成します。 スタンバイ・マスター・データベースおよび読取り専用サブスクライバ・データベースの場合は、ttDestroyユーティリティを使用してデータベースを削除し、ttRepAdmin -duplicateユーティリティ・コマンドを使用してデータベースを再作成して、これらのデータベースに新しいグローバル・キャッシュ・グループが含まれるようにします。