Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server 診断フレームワークのコンフィグレーションと使い方 11g リリース 1 (10.3.1) B55523-01 |
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WebLogic 診断フレームワーク (WLDF) は、WebLogic Server インスタンスとそのインスタンスがホストするアプリケーションに関する診断情報の収集、アーカイブ、およびアクセスを行うために共同で動作する、いくつかのコンポーネントで構成されています。この章では、これらのコンポーネントのアーキテクチャの概要を示します。
注意 : この章では、WLDF の仕組みが理解しやすくなるように概念を説明しています。コンフィグレーション API や実行時 API、および WebLogic Server Console における WLDF の表現とは異なる部分もあります。すぐ WLDF を構成して、使用し始めたい場合、安全にこの議論をスキップして、「WLDF コンフィグレーションについて」から始めることができます。 |
以下の節では、WLDF アーキテクチャについて説明します。
WLDF は以下のコンポーネントで構成されています。
データ クリエータ (WLDF コンポーネント全体に分散されるデータ パブリッシャおよびデータ プロバイダ)
データ コレクタ (ロガー コンポーネントとハーベスタ コンポーネント)
アーカイブ コンポーネント
アクセサ コンポーネント
インスツルメンテーション コンポーネント
監視と通知コンポーネント
イメージ キャプチャ コンポーネント
データ クリエータは、ロガーやハーベスタによって消費される診断データを生成します。ロガーおよびハーベスタ コンポーネントは、アーカイブと連携してデータを永続化し、「監視と通知」サブシステムと連携して自動化されたモニタを提供します。アクセサは、ロガーおよびハーベスタと対話して現在の診断データをエクスポーズし、アーカイブと対話して履歴データを提示します。イメージ キャプチャ機能は、主要なサーバの状態の診断スナップショットをキャプチャする手段を提供します。これらのコンポーネント間の関係は 図 2-1 に示します。
すべてのフレームワーク コンポーネントは、サーバ レベルで動作し、サーバのスコープしか認識しません。コンポーネントはすべてサーバのプロセス内に存在し、標準的なサーバのライフサイクルに参加しています。フレームワークのアーティファクトはすべて、サーバごとにコンフィグレーションおよび格納されます。
診断データは、いくつかのソースから収集されます。これらのソースは論理的に、現在の値を収集するために一定の間隔でサンプリングされるデータ クリエータであるデータ プロバイダ、または同期的にイベントを生成するデータ クリエータであるデータ パブリッシャのいずれかに分類できます。データ プロバイダとデータ パブリッシャはコンポーネントに渡って配布され、図 2-2 に示されているように、ロガー および/またはハーベスタによって生成されたデータを収集することができます。
サーバ ロギング インフラストラクチャの呼び出しは、インライン データ パブリッシャとして機能し、生成されたデータは、イベントとして生成されます。(ロギング インフラストラクチャは、カタログ インフラストラクチャかデバッグ モデルを通じて、または直接ロガーを通じて呼び出せます)。
インスツルメンテーション システムは、モニタを作成して実行フロー内の定義された位置に挿入します。モニタはアーカイブにデータを直接パブリッシュします。
MBean サーバに登録されたコンポーネントも、ハーベスタに登録することでデータ プロバイダとして認識できるようになります。収集されたデータは、監視と通知システムにエクスポーズされて自動的にモニタされると共に、アーカイブにエクスポーズされて永続化されます。
システム内の障害の診断において、過去の状態が重要性を持つことがしばしばあります。そのため、状態をキャプチャして将来アクセスできるようアーカイブし、履歴アーカイブを作成しておくことが必要となります。WLDF では、複数の永続化コンポーネントを持つアーカイブ コンポーネントが、この要件に対応しています。イベントおよび収集されたメトリックの双方が、永続化されて履歴確認できるようになります。
人間に判読可能であり、サーバ ログに含めることが意図されている、従来のロギング情報は、標準のロギング アペンダによって永続化されます。システムでの消費が意図されている新しいイベント データは、イベント アーカイバを使用してイベント ストア内で永続化されます。メトリック データは、データ アーカイバを使用して、データ ストア内に永続化されます。アーカイブとロガーおよびハーベスタとの関係を図 2-3 に示します。
アーカイブがアクセス インタフェースを提供するので、アクセサは任意の永続化された履歴データをエクスポーズできるようになります。
監視と通知システムは、特定の診断状態を観察する自動化されたモニタを作成し、コンフィグレーションされたルールに基づいて通知を送信するのに使用できます。
監視ルールでは、ログ データ、インスツルメンテーション コンポーネントのイベント データ、ハーベスタによって収集されるデータ プロバイダのメトリック データをモニタできます。監視マネージャは、いくつかの監視ルールで構成される監視の管理を行うことができます。関係は図 2-4 に示します。
1 つまたは複数の通知を、監視による使用に備えてコンフィグレーションできます。デフォルトでは、各監視が、サーバ ログ内にイベントを記録します。SMTP、SNMP、JMX、および JMS 通知もサポートされています。
アクセサは、ログ、イベント、メトリック データなど、WLDF によって収集されたすべてのデータへのアクセスを提供します。アクセサは、アーカイブと対話して、ログに記録されたイベント データや永続化されたメトリックなどの履歴データを取得します。
実行中のサーバのデータにアクセスする場合は、JMX ベースのアクセス サービスが使用されます。アクセサは、型、コンポーネント、および属性を基準としたデータ ルックアップに対応しています。時間ベースのフィルタ処理を許可し、またイベントの場合には、重大度、ソース、およびコンテンツごとのフィルタ処理を許可します。
ツールでは、現在非アクティブなサーバで永続化されたデータにアクセスすべき場合があります。そのような場合に備えて、オフライン アクセサがあります。オフライン アクセサを使用すると、後でアクセスできるように、アーカイブ済みのデータを XML ファイルにエクスポートすることができます。アクセサをこのように使用するには、WebLogic Scripting Tool (WLST) を使用します。また、マシンに物理的にアクセスする必要があります。
アクセサとハーベスタおよびアーカイブとの関係を、図 2-5 に示します。
診断イメージ キャプチャのサポートでは、問題の診断に使用される主要なサーバの状態について最も一般的な情報を収集します。図 2-6 に示されているように、技術者を支援するために利用可能な単一のアーティファクトにその状態をパッケージ化します。診断イメージは、実質的にはサーバからの診断スナップショットまたはダンプであり、UNIX の「コア」ダンプと似ています。
イメージ キャプチャ サポートには、必要に応じてのキャプチャ処理と、何らかの基本的な障害検出に基づく自動化されたキャプチャの双方が含まれます。
図 2-7 は WLDF のすべての部分がどう一緒に合うかを示します。