このドキュメントでは、現在の WebLogic Server アプリケーション環境を WebLogic Server 11g リリース 1 (10.3.1) にアップグレードする手順について説明します。アプリケーション環境には、アプリケーション、デプロイされた WebLogic ドメイン、およびそのドメインに関連するすべてのアプリケーション データが含まれ、場合によってはデータベース サーバ、ファイアウォール、ロード バランサ、LDAP サーバなどの外部リソースも含まれます。
注意 : 現在の Java EE 環境およびデプロイされているアプリケーションを、Oracle Application Server 10g および Oracle Containers for Java EE (OC4J) から WebLogic Server 11g リリース 1 (10.3.1) にアップグレードする場合は、『Oracle Fusion Middleware Upgrade Guide for Java EE』を参照してください。WebLogic ドメインは、必ずしも WebLogic Server 10.3 から 10.3.1 にアップグレードする必要はありません。WebLogic Server 10.3 をベースとする WebLogic ドメインは、WebLogic Server 10.3.1 でも修正なしで動作します。 |
WebLogic Server 10.3.1 には、ドメイン、カスタム セキュリティ プロバイダ、およびカスタム ノード マネージャをアップグレードする WebLogic アップグレード ウィザードなど、アプリケーション環境のアップグレードに役立つ強力なツールがあります。
ほとんどの WebLogic Server アプリケーションは、修正を加えることなく WebLogic Server 10.3.1 の新たなアプリケーション環境で動作します。
以下の節では、この章で説明するトピックについて概説します。
次のトピックに進む前に、次の用語の説明をお読みください。
アップグレード - WebLogic 製品を、以前のリリースまたは Service Pack から、新しいリリースや Service Pack に更新すること。既存のアプリケーションやドメイン コンフィグレーションを WebLogic Server の最新バージョンに更新することも、アップグレードという場合があります。
移行 - アプリケーションやドメイン コンフィグレーションを、サード パーティ製品から Oracle 製品に移動すること。
相互運用性 - (1) あるリリースまたは Service Pack でデプロイされたアプリケーションが、別のリリースまたは Service Pack でデプロイされた別のアプリケーションと通信する機能。(2) Oracle 製品のコンポーネントが、標準のプロトコルを使用してサード パーティ製のソフトウェアと通信する機能。
互換性 - あるリリースまたは Service Pack で構築されたアプリケーションを、アプリケーションが再構築されたかどうかに関係なく、別のリリースまたは Service Pack で実行できること。
アプリケーション環境のアップグレードに必要なプロセスは、アプリケーション スコープにより異なります。アプリケーション環境は、WebLogic ドメインとそれに関連付けられているアプリケーションおよびアプリケーション データで構成されます。また、アプリケーション環境には、ファイアウォール、ロード バランサ、LDAP サーバなどの外部リソースも含まれます。図 1-1 に、WebLogic のアプリケーション環境の例を示します。
表 1-1 に、図 1-1 に示されている WebLogic アプリケーション環境のコンポーネントとそのアップグレード要件を示します。
表 1-1 WebLogic のアプリケーション環境例のコンポーネントのアップグレード要件
コンポーネント | 説明 | アップグレード要件 |
---|---|---|
WebLogic ドメイン |
管理サーバ (AS) と必要に応じて 1 台または複数の管理対象サーバ (MS1、MS2、MS3、MS4 など) で構成される。ドメイン内のサーバは、複数のマシンにまがたる場合がある。さらに、重要なアプリケーションにロード バランシングとフェイルオーバ保護を適用できるよう管理対象サーバをクラスタとしてグループ化することができる。WebLogic ドメインの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ドメインのコンフィグレーションについて』の「WebLogic Server ドメインについて」を参照。 |
ドメイン内のすべてのマシンのドメイン ディレクトリをアップグレードする。 |
カスタム セキュリティ プロバイダ |
カスタム セキュリティ要件をサポートする。カスタム セキュリティ プロバイダの開発については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server セキュリティ プロバイダの開発』を参照。 |
ドメイン内のすべてのマシンのカスタム セキュリティ プロバイダをアップグレードする。 |
ノード マネージャ |
管理対象サーバで高可用性を実現する。ノード マネージャの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ノード マネージャ管理者ガイド』の「ノード マネージャの概要」を参照。 |
ドメイン内のすべてのマシンのカスタム ノード マネージャをアップグレードする。 |
アプリケーション |
Web アプリケーションや EJB などを含むすべての Java EE アプリケーション。一般的に、アプリケーションはドメイン内の 1 つまたは複数の管理対象サーバにデプロイされる。デプロイメント方法に応じて、アプリケーションはマシン上にローカルに配置されたり、共有ディレクトリからアクセスされる。さらに、外部クライアント アプリケーションがファイアウォールの外側からアプリケーション環境にアクセスすることも可能である。 |
ほとんどの WebLogic Server アプリケーションは、修正を加えることなく WebLogic Server 10.3.1 の新たなアプリケーション環境で動作する。詳細については、「旧リリースとの相互運用性および互換性」を参照。 |
外部リソース |
ドメインとアプリケーション データを格納するためのデータベース、ロード バランサ、ファイアウォールなどのソフトウェア コンポーネント。 |
すべての外部リソースが WebLogic Server 10.3.1 と互換性があることを確認する。詳細については、『Oracle Fusion Middleware Supported System Configurations』( |
WebLogic アップグレード ウィザードは、WebLogic Server 7.0 または 8.1 に対応の WebLogic ドメインを、WebLogic Server 10.3.1 アプリケーション環境で実行できるようアップグレードするために必要な手順を、ウィザードに従って進めることができます。アップグレード プロセスの一部として、ドメインで使用されているカスタム セキュリティ プロバイダおよびノード マネージャもアップグレードする必要があります。
また、WebLogic アップグレード ウィザードを使用して、WebLogic Server 9.x または 10.0 と互換性のある WebLogic ドメインを 10.3.1 にアップグレードすることもできますが、これは任意です。この種類のドメインは、変更せずに WebLogic Server 10.3.1 で実行できます。
アップグレード プロセスは、グラフィカル ユーザ インタフェース (GUI) を使用して対話形式で実行、またはスクリプトを作成してメッセージを通知しない形式で実行することができます。サイレント モードは、WebLogic Server ドメイン、セキュリティ プロバイダ、およびノード マネージャのアップグレードでサポートされています。
WebLogic Server 10.3.1 で動作するアプリケーション環境は、WebLogic Server 7.0、8.1、9.x、10.0、または 10.3 で構築されたアプリケーション環境と相互運用できます。
ほとんどの WebLogic Server アプリケーションは、修正を加えることなく WebLogic Server 10.3.1 のアプリケーション環境で動作します。実際の環境においてアプリケーションが機能変更の影響を受けるかどうかについては、「WebLogic Server 10.3.1 の旧リリースとの互換性」で互換性情報を確認してください。アプリケーションで非推奨になった API または削除された API が使用されている場合は、実行時に警告または例外が発生するおそれがあります。