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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server アップグレード ガイド
11g リリース 1 (10.3.1)
B55562-01
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2 アプリケーション環境のアップグレードのロードマップ

この節では、WebLogic のアプリケーション環境のアップグレードを準備し、実行する方法について説明します。ここで説明するトピックは以下のとおりです。

WebLogic 9.x からアップグレードする場合は、「WebLogic Server 9.x または 10.0 アプリケーション環境から 10.3.1 へのアップグレード」を参照してください。


注意 :

WebLogic ドメインは、必ずしも WebLogic Server 10.3 から 10.3.1 にアップグレードする必要はありません。WebLogic Server 10.3 をベースとする WebLogic ドメインは、WebLogic Server 10.3.1 でも修正なしで動作します。

アップグレードの計画

アプリケーション環境のアップグレードを計画することは、アップグレード プロセスの重要な手順の 1 つです。使用している環境のすべてのアップグレード要件に対応する計画を策定するには、次の手順に従います。

手順 1 : アプリケーション環境のインベントリの実施

以下のコンポーネントを指定することで、アプリケーション環境のインベントリを生成します。

  • 管理サーバとそれが動作しているマシン

  • 管理対象サーバとそれが動作しているマシン

  • ドメインで使用されているカスタム セキュリティ プロバイダ

  • ドメインで使用されているカスタム ノード マネージャ

  • アプリケーションの場所 (すべての外部クライアント アプリケーションも含む)

  • 次のような外部リソース

    • 永続データとアプリケーション データの保存に使用されているデータベース

    • ファイアウォール

    • ロード バランサ

  • アプリケーション環境を構築するのに必要なタスクの自動化に使用されているツール、スクリプト、テンプレート、およびソース コード

アップグレード プロセスの概要」にアプリケーション環境の例がありますので (図 1-1)、参考にしてください。

手順 2 : サポート対象コンフィグレーション情報の確認

アプリケーション環境に含まれるすべてのハードウェアおよびソフトウェア コンポーネントのサポート状況を確認します。表 2-1 に、サポート状況を確認する必要のある重要なコンポーネントを示します。

表 2-1 サポート対象コンフィグレーション情報の確認

確認項目 参照先

OS およびハードウェア サポート

『Oracle Fusion Middleware Supported System Configurations』の「サポート対象のオペレーティング システム コンフィグレーションの一覧」(http://www.oracle.com/technology/software/products/ias/files/fusion_certification.html)

データベース サポート

『Oracle Fusion Middleware Supported System Configurations』の「サポート対象のデータベース コンフィグレーション」

以下の点に注意する必要がある。

  • WebLogic Server 10.3.1 では PointBase 5.7 がサポートされている。バージョンが 5.7 より前の PointBase を使用する場合、必要に応じて引き続きそのバージョンを使用することができる。ドメインのアップグレード後、「手順 2 : 起動スクリプトへのカスタマイズの再適用」を参照。

    注意 : 5.7 より前のバージョンの PointBase を使用できるのは、WebLogic Server ドメインのみ。

    バージョンが 5.7 より前の PointBase を使用しており、PointBase 5.7 を使用するように環境を更新する場合は、コンフィグレーション ファイル内にあるデータベース名の参照を更新し、PointBase 5.7 を使用するようにアプリケーションを更新する必要がある。

    なお、PointBase 5.7 データベース ソフトウェアは、10.3.1 の一部としてインストールされている。「手順 4 : 必要な Oracle 製品のインストール」を参照。

  • WebLogic jDriver for Oracle は、9.0 で削除されている。ドメイン内の JDBC 接続プールでデータベース接続を作成するのに WebLogic jDriver が使用されている場合、別の JDBC ドライバを使用するには、アップグレードしたデータ ソースを再コンフィグレーションする必要がある。たとえば、ドライバ クラス名、データベース URL のフォーマット、データベース接続を作成するときにドライバに送信されるプロパティなどを変更する必要がある。WebLogic jDriver の代わりとして、その仕様を実装するスレッド セーフな JDBC ドライバを使用することができる。選択したドライバは、データ ソースがデプロイされているすべてのサーバにインストールする必要がある (CLASSPATH 内)。サポートされる JDBC ドライバの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Supported System Configurations』の「サポート対象のデータベース コンフィグレーション」(http://www.oracle.com/technology/software/products/ias/files/fusion_certification.html) を参照。

    Oracle 用の WebLogic Type 4 JDBC ドライバ (非推奨) と Oracle Thin Driver は WebLogic Server と共にインストールされており、すぐに使用することができる。これらのドライバの使用方法については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server Type 4 JDBC ドライバ ガイド』の「WebLogic Type 4 JDBC ドライバの使い方、および『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server JDBC のコンフィグレーションと管理』の「WebLogic Server でインストールされるサードパーティ JDBC ドライバ」を参照。

データベース サポート (続き)

  • Oracle OCI データベース ドライバから Thin データベース ドライバに移行する場合は、生成された JDBC モジュールから server プロパティを削除する必要がある。以下に例を示す。

    <property> 
    <name>server</name> 
    <value>servername</value> 
    </property> 
    
  • Oracle 8.1.7 Oracle Thin ドライバ (oracle.jdbc.driver.OracleDriver) は WebLogic Server 10.x ではサポートされていない。このドライバを使用するようコンフィグレーションされた JDBCConnectionPools がドメインに含まれている場合、別のドライバを使用するように接続プールを再コンフィグレーションすることをお勧めする。データベースのアップグレード中にこのドライバを使用すると、ドメインのアップグレードに失敗する。

Web サーバ、ブラウザ、およびファイアウォール

『Oracle Fusion Middleware Supported System Configurations』の「サポート対象の Web サーバ、ブラウザ、およびファイアウォール」


手順 3 : 互換性情報の確認

ほとんどの WebLogic Server アプリケーションは、修正を加えることなく WebLogic Server 10.3.1 のアプリケーション環境で動作します。ただし、実際の環境においてアプリケーションが機能変更の影響を受けるかどうかについては、「WebLogic Server 10.3.1 の旧リリースとの互換性」で確認してください。

手順 4 : アップグレード計画の作成

以上の手順で収集した情報を使用して、アプリケーション環境のアップグレード計画を作成します。アップグレード プロセスのスコープとタイミングは、ビジネス ニーズに応じて特定します。以下の点に注意してください。

  • 現在プロダクション環境にデプロイされているアプリケーション環境をアップグレードすることは推奨されない。開発中またはテスト中のアプリケーション環境をアップグレードし、アップグレードした環境をプロダクション環境にプロモートする前に、標準的な品質保証およびパフォーマンス チューニングを行うことをお勧めします。

  • たとえば、アプリケーション環境に多数のクラスタ化されたドメインがあり、多数のアプリケーションがデプロイされているなど、アプリケーション環境が複雑な場合は、アプリケーション環境のコンポーネントを段階的にアップグレードすることを推奨。

  • 管理するシステムの多様性とコストを最小限に抑えるため、単一のアプリケーション環境で使用される WebLogic Server のバージョン数を制限することを推奨。

  • WebLogic 以外の XA 対応 JMS プロバイダによって駆動されるトランザクション対応のメッセージ駆動型 Bean (MDB) を使用している場合は、サーバを停止およびアップグレードする前に、仕掛かり中のすべてのトランザクションを安全に休止させる必要がある。仕掛かり中のトランザクションをアップグレード後に回復することはできません。メッセージ駆動型 Bean の詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server エンタープライズ JavaBeans (EJB) プログラマーズ ガイド』の「メッセージ駆動型 EJB」を参照してください。

  • WebLogic ドメインで RDBMS セキュリティ ストアを使用する場合は、RDBMS セキュリティ ストアがコンフィグレーションされた新しいドメインを作成すること推奨。RDBMS セキュリティ ストアを使用したいドメインが作成済みであっても、新しいドメインを作成し、そのドメインに既存のセキュリティ レルムを移行してください。既存のドメインには RDBMS セキュリティ ストアを組み込まないでください。詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server のセキュリティ』の「RDBMS セキュリティ ストアの管理」を参照してください。

アップグレードの準備

アプリケーション環境をアップグレードする前に、次の手順を実行する必要があります。

手順 1 : アプリケーションの確認 (必要に応じてアンデプロイ)

ドメインをアップグレードする前に、WebLogic Server アプリケーションをアンデプロイする必要はありません。ほとんどの WebLogic Server アプリケーションは、修正を加えることなく WebLogic Server 10.3.1 のアプリケーション環境で動作します。実際の環境においてアプリケーションが機能変更の影響を受けるかどうかについては、「WebLogic Server 10.3.1 の旧リリースとの互換性」で互換性情報を確認してください。アプリケーションで非推奨になった API または削除された API が使用されている場合は、実行時に警告または例外が発生するおそれがあります。

手順 2 : アプリケーション環境内のサーバの停止

アプリケーション環境をアップグレードする前に、アプリケーション環境内のすべてのサーバを停止する必要があります。


注意 :

WebLogic Server 10.0 から 10.3.1 にクラスタをアップグレードしている場合、すべての管理対象サーバ インスタンスを一度に停止する必要はありません。代わりに、「WebLogic Server のローリング アップグレード」で説明するように、ローリング アップグレードを実行できます。

手順 3 : アプリケーション環境のバックアップの作成

アップグレード プロセスの途中で、ドメインをバックアップするかどうかを選択できます (「表 5-1 WebLogic ドメインをアップグレードする手順」を参照)。ただし、ウィザードはドメイン ディレクトリのみをアーカイブするため、ファイル パーミッションは維持されません。

アプリケーション環境をアップグレードする前に、表 2-2 に示されているコンポーネントを手動でバックアップすることをお勧めします。ドメイン内のすべてのマシンに関連する情報をバックアップする必要があります。

表 2-2 アプリケーション環境のバックアップに関する推奨事項

コンポーネント 推奨事項

ドメイン ディレクトリ

管理サーバとアプリケーション環境で定義されているリモートの管理対象サーバのドメイン ディレクトリをすべてバックアップする。

デフォルトでは、ドメイン ディレクトリはコンフィグレーション ウィザードにより MW_HOME\user_projects ディレクトリ (MW_HOME は WebLogic Server がインストールされている Middleware ホーム ディレクトリ) に作成される。

アプリケーション、アプリケーション データ、および永続データ

ドメイン ディレクトリの外にあるアプリケーションとデータをすべてバックアップする。

デフォルトでは、アプリケーションは MW_HOME\user_projects\applications ディレクトリ (MW_HOME は WebLogic Server がインストールされている Middleware ホームディレクトリ) に作成される。この場所は、10.3.1 より前のリリースでは BEA ホーム ディレクトリと呼ばれていた。

カスタム セキュリティ プロバイダ

アプリケーション環境で使用しているカスタム セキュリティ プロバイダをすべてバックアップする。

デフォルトでは、セキュリティ プロバイダは WL_HOME\server\bin\mbeantypes (WL_HOME は WebLogic Server のインストール先のルート ディレクトリ) に格納されている。

ノード マネージャのディレクトリおよびスクリプト

クラスタ化環境内のサーバを管理するのに使用しているノード マネージャのディレクトリおよびスクリプトをすべてバックアップする。

ディレクトリ名とスクリプト名は、ご使用のオペレーティング システムによって異なる。

  • Windows の場合

    WL_HOME\common\nodemanager
    WL_HOME\server\bin\startNodeManager.cmd
    
  • UNIX の場合

    WL_HOME/common/nodemanager
    WL_HOME/server/bin/startNodeManager.sh
    

上記パス名において、WL_HOME は、WebLogic Server のインストール先のルート ディレクトリ (例 : c:\bea\wlserver_10.0) を表す。

ログ ファイル

ログに記録されたすべてのメッセージの記録を維持する必要がある場合は、ログ ファイルをバックアップする。ログ ファイルにより大量のディスク容量が消費されることがあるので、ログ ファイルを維持する必要がない場合は、ディスク容量を節約するため削除することを勧める。


手順 4 : 必要な Oracle 製品のインストール

アプリケーション環境をアップグレードする前に、ドメイン内のすべてのマシンに必要な Oracle WebLogic 製品をインストールする必要があります。Oracle WebLogic 製品のインストールについては、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server インストール ガイド』を参照してください。


注意 :

10.0 より前のバージョンでノード マネージャを使用している場合は、10.3.1 製品をインストールするときに、ノード マネージャのリスン ポートを、10.0 より前のバージョンで使用されているポートと同じ番号に設定するようにしてください。ノード マネージャのリスン ポートのデフォルト値は 5556 です。

手順 5 : リモートの管理対象サーバのドメイン ディレクトリの準備

コンフィグレーションによっては、ドメイン内で管理サーバからリモートの管理対象サーバが 1 つまたは複数のマシンで実行されていることがあります。このタイプのコンフィグレーションの場合、リモートの管理対象サーバをホストするすべてのマシンのドメイン ディレクトリをアップグレードする必要があります。

リモートのドメイン ディレクトリを準備するには、管理サーバのホスト マシン上にあるアップグレード前のドメイン ディレクトリのルート ディレクトリから以下のファイルをリモートの管理対象サーバのホスト ドメインのルート ディレクトリにコピーする必要があります。

  • config.xml (コンフィグレーション ファイル)

  • SerializedSystemIni.dat


    注意 :

    コンフィグレーション内のデータベースが WebLogic Server 10.3.1 と互換性がない場合、サポートされているデータベースにデータをアップグレードしなければ、新しいアプリケーション環境でデータを使用することはできません。詳細については、「手順 4 : アップグレード計画の作成」を参照してください。

手順 6 : 環境の設定

アップグレードする環境を設定するには、次の手順に従います。

  1. MS-DOS コマンド プロンプト ウィンドウ (Windows) またはコマンド シェル (UNIX) を開きます。

  2. WebLogic Server クラスを CLASSPATH 環境変数に、WL_HOME\server\bin を PATH 環境変数に追加します。WL_HOME は WebLogic Server 10.3.1 のインストール先の最上位ディレクトリです。

    WL_HOME\server\bin\setWLSEnv スクリプトを実行すると、これらの変数を設定できます。

  3. JMS JDBC ストアを使用する場合は、次の手順に従います。

    1. JDBC ドライバ クラスが CLASSPATH 環境変数に追加されていることを確認します。

    2. 対応するデータベースを起動します。

アプリケーション環境のアップグレード

図 2-1 に、アプリケーション環境をアップグレードするのに必要な手順を示します。

図 2-1 アプリケーション環境のアップグレードのロードマップ

図 2-1 の説明については以下を参照
「図 2-1 アプリケーション環境のアップグレードのロードマップ」の説明

表 2-3 に、アプリケーション環境のアップグレード手順の概要を示します。手順には、必須のものと省略可能なものがあります。各手順は、ドメイン内のすべてのマシンに対して、この表に示されている順序で実行する必要があります。

表 2-3 アプリケーション環境をアップグレードする手順

手順 説明

1. カスタム セキュリティ プロバイダのアップグレード

WebLogic Server 7.0 または 8.1 からのアップグレードで、現在のアプリケーション環境でカスタム セキュリティ プロバイダを使用しており、新しいアプリケーション環境でもそれを継続して使用する場合は、次の要件に従ってカスタム セキュリティ プロバイダをアップグレードする。

  • アプリケーション環境内のすべてのマシンでアップグレードする

  • WebLogic ドメインをアップグレードする前にアップグレードする

注意 : 9.0 より前のバージョンの WebLogic Server がインストールされているディレクトリに WebLogic Server 10.3.1 をインストールすると、デフォルトの場所 (WL_HOME\server\lib\mbeantypes) にあるすべてのカスタム セキュリティ プロバイダは自動的にアップグレードされる。すべてのカスタム セキュリティ プロバイダがデフォルトの場所に格納されている場合は、セキュリティ プロバイダのアップグレードが完了していることを意味するため、ここで説明するセキュリティ プロバイダのアップグレード手順を実行する必要はない。

2. ノード マネージャのアップグレード

現在、管理対象サーバで高可用性を実現するため、カスタマイズ バージョンのノード マネージャを使用しており、新しいアプリケーション環境でもそれを継続して使用する場合は、次の要件に従ってノード マネージャをアップグレードする。

  • アプリケーション環境内のすべてのマシンでアップグレードする

  • アップグレードした WebLogic ドメインでサーバを起動する前にアップグレードする

3. WebLogic ドメインのアップグレード (管理サーバ)

管理サーバをホストするマシン上の WebLogic ドメインをアップグレードする。

注意 : 管理対象サーバをアップグレードする前に管理サーバのドメインをアップグレードすることを推奨。

4. WebLogic ドメインのアップグレード (リモートの管理対象サーバ)

管理対象サーバをホストするすべてのマシン上の WebLogic ドメインをアップグレードする。「手順 5 : リモートの管理対象サーバのドメイン ディレクトリの準備」で説明されているように、アップグレードを実行する前に、必要なファイルが管理対象サーバにコピーされていなければならない。

注意 : 管理サーバと同じマシンにある管理対象サーバについては、これ以上アップグレードの手順を実行する必要はない。


アップグレード後の手順の完了

WebLogic アップグレード ウィザードを使用したアプリケーション環境のアップグレードが完了したら、必要に応じて次の手順を実行する必要があります。

必ずしもすべての手順を実行する必要があるわけではありません。以下の説明に基づいて、アプリケーション環境に必要な手順を決定してください。

手順 1 : アプリケーション インフラストラクチャのアップグレード

MBean の階層構造に最近加えられた変更により、既存のコンフィグレーションおよび管理スクリプト (WLST、wlconfigweblogic.Admin、Ant など) は 9.2 より前の環境で必ずしも動作しない可能性があります。WebLogic Server 9.2、10.0、10.3、および 10.3.1 の新しい機能を利用するようにスクリプトを更新することをお勧めします。WebLogic Server の新機能と MBean 階層に加えられた変更の詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server の新機能』の「WebLogic Server の新機能」を参照してください。

以下の節では、スクリプト ツール、カスタム コンフィグレーション テンプレート、および SNMP について詳しく説明します。

非推奨となったスクリプト ツール

次のコンフィグレーションおよび管理ツールは、WebLogic Server 9.0 から非推奨となりました。

weblogic.Admin ユーティリティ。詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server コマンド リファレンス』の「weblogic.Server コマンドライン リファレンス」を参照してください。

現在これらのユーティリティのいずれかを使用している場合は、次の節で説明されているように、Oracle WebLogic Scripting Tool を使用することをお勧めします。

WebLogic Scripting Tool の使用

WebLogic Scripting Tool (WLST) は、コマンドライン形式のスクリプト インタフェースで (Jython で構築)、WebLogic ドメインのコンフィグレーションに使用することができます。 WLST を使用することで、WebLogic Server 管理者は、対話形式で、または実行可能なスクリプトにより、管理タスクを実行し、WebLogic Server コンフィグレーションの変更を開始することができます。

WLST Online と WLST Offline は 1 つのツールとして提供されます。WLST では、WebLogic Server 10.3.1 の管理機能とコンフィグレーション機能が完全にサポートされています。WLST の詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Scripting Tool ガイド』を参照してください。

MBean の階層構造に最近加えられた変更により、既存の 9.2 より前の WLST スクリプトは、9.2 より前の他のツールと同様に、9.2 または 10.x で動作しない可能性があります。これらのスクリプトは、WebLogic Server 9.2、10.0、10.3、および 10.3.1 の新しい機能を利用するように更新することをお勧めします。

WebLogic Server の新機能と MBean 階層に加えられた変更の詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server の新機能』の「WebLogic Server の新機能」を参照してください。

カスタム コンフィグレーション テンプレートのアップグレード

表 2-4 は、Template Builder で作成されたカスタム コンフィグレーション テンプレートをアップグレードするのに必要な手順の概要を示しています。

表 2-4 カスタム ドメイン テンプレートのアップグレード手順

手順 詳細情報

アップグレード ウィザードを使用して、カスタム コンフィグレーションまたは拡張テンプレートで作成されたドメインをアップグレードする。

アプリケーション環境のアップグレード」の手順に従う。

必要に応じて新機能を活用できるようドメイン コンフィグレーションを修正する。

詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server の新機能』の「WebLogic Server の新機能」を参照。

Template Builder または pack コマンドを使用して、10.3.1 のドメインまたは拡張テンプレートを作成する。

以下を参照。


SNMP を使用した WebLogic Server のモニタ

SNMP マネージャを使用して WebLogic Server をモニタする場合は、次の手順に従います。

  1. WebLogic Server 10.3.1 MIB を SNMP マネージャにロードします。

    MIB は、WL_HOME/server/lib/BEA-WEBLOGIC-MIB.asn1 にあります。WebLogic Server は、既存の管理対象オブジェクトのオブジェクト識別子 (OID) を変更するのではなく、新しい管理対象オブジェクトの新しい OID を追加します。

  2. 非推奨の管理対象オブジェクトのトラップを生成する場合は、置換オブジェクトのトラップを新規作成します。

    非推奨の管理対象オブジェクトの一覧については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server MBean Reference』の「Deprecated MBeans」を参照してください。非推奨の MBean の説明には、置換 MBean へのポインタも含まれています。SNMP の管理対象オブジェクトはそれぞれ MBean 属性に対応します。


    注意 :

    多数の Oracle 専用の実行時 MBean が MIB から削除されています。これらの MBean は、非推奨の MBean の一覧に含まれていません。詳細については、以下のマニュアルを参照してください。

手順 2 : 起動スクリプトへのカスタマイズの再適用

アプリケーション環境の 10.3.1 へのアップグレードを完了するには、起動スクリプトへのカスタマイズの再適用が必要になる場合があります。以下の節では、デフォルト起動スクリプトおよびカスタム起動スクリプトをカスタマイズする方法について説明します。

デフォルト起動スクリプト

アップグレード ウィザードによるアップグレード プロセスでは、デフォルト起動スクリプトに対して行われたカスタマイズの内容 (JAVA_OPTIONS 環境変数の設定など) は保持されません。アップグレード プロセスが完了した後に、デフォルト起動スクリプトを再びカスタマイズする必要があります。

ドメインを 10.3.1 にアップグレードすると同時に 5.7 より前のバージョンの PointBase を継続して使用する場合は、5.7 より前のバージョンの PointBase データベースの JAR ファイルを CLASSPATH 環境変数定義の先頭に追加する必要があります。これを行うには、setDomainEnv ファイル内の set CLASSPATH 文を更新します。


注意 :

5.7 より前のバージョンの PointBase を使用できるのは、WebLogic Server ドメインのみです。

カスタム起動スクリプト

カスタム起動スクリプトを作成した場合は、次の手順に従って手動で更新する必要があります。

  • JDK バージョンを JDK 6.0 に設定する。

  • 以下のように CLASSPATH 変数を更新する。

    • WebLogic Server 10.3.1 のクラスを変数の先頭に追加する。

    • 使用されていない 10.3 より前のバージョンの WebLogic のクラスをすべて削除する。

    • 5.7 より前のバージョンの PointBase を継続して使用する場合は、5.7 より前のバージョンの PointBase データベースの JAR ファイルを CLASSPATH 環境変数定義の先頭に追加する。

手順 3 : ファイル パーミッションの確認

以下のようにファイル パーミッションを確認します。

  • アップグレード プロセスにおいてドメイン ディレクトリのバックアップを行った場合、バックアップ ファイルには機密情報が含まれている可能性があるため、バックアップ ファイルを保護する必要がある。

  • アップグレード プロセスでは、ファイル パーミッションは保持されない。デフォルト以外のファイル パーミッションがファイルに設定されている場合は、これらを確認し、リセットする必要があります。

  • UNIX システムでは、アップグレード プロセス中に作成される新しいファイルの所有権とパーミッションは、アップグレードを実行するユーザに割り当てられる。たとえば、アップグレードが root により実行される場合、新しいファイルの所有権は root に割り当てられます。このため、後でドメイン内のこれらのファイルを更新するユーザには root 権限が必要となります。したがって、アップグレード プロセス中に作成されたファイルに設定されているパーミッションを確認し、必要に応じて修正することをお勧めします。

手順 4 : ノード マネージャへのマシンの登録

アップグレード プロセス中にノード マネージャをアップグレードする場合は、WebLogic ドメインをホストしているマシンをノード マネージャに登録する必要があります。これを実行するには、nmEnroll コマンドを使用します。


注意 :

管理サーバと管理対象サーバが実行されるようコンフィグレーションされているマシンに nodemanager.domains ファイルがあり、管理サーバと管理対象サーバが同じドメイン ディレクトリを共有している場合は、手動でそのドメインのエントリを <domain-name>=<domain-directory> という形式でファイルに含めることができます。

デフォルトでは、このファイルは WL_HOME/common/nodemanager (WL_HOME は WebLogic Server のインストール先のルート ディレクトリ) にあります。

ノード マネージャの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server ノード マネージャ管理者ガイド』の「ノード マネージャの一般的なコンフィグレーション」を参照してください。


nmEnroll コマンドを実行すると、WL_HOME/common/nodemanager ディレクトリ (WL_HOME は WebLogic Server のインストール先のルート ディレクトリ) にある nodemanager.domains ファイルのドメインに関する情報が更新されます。nodemanager.domains ファイルには、ノード マネージャ インスタンスが制御するドメインを指定します。このファイルを使用することにより、スタンドアロン クライアントでドメイン ディレクトリを明示的に指定する必要がなくなります。

また、このコマンドを実行すると、管理サーバから以下のファイルがダウンロードされます。

  • nm_password.properties (サーバ認証に使用される暗号化されたユーザ名とパスワードが含まれるノード マネージャ秘密ファイル)

  • SerializedSystemIni.dat ファイル

nmEnroll コマンドを使用してマシンをノード マネージャに登録するには、次の手順に従います。

  1. 『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Scripting Tool ガイド』の「環境の設定」の説明に従って環境を設定します。

  2. 『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Scripting Tool ガイド』の「WLST の呼び出し」の説明に従って WLST を呼び出します。

    手順 2 の説明に従って、WebLogic Server インスタンスを起動し、connect コマンドを使用して WLST をサーバに接続します。

  3. WLST を管理サーバに接続したら、nmEnroll コマンドを入力して、WLST を実行するマシンをノード マネージャに登録します。

    以下の情報を指定できます。

    • ノード マネージャ秘密ファイル (nm_password.properties) と SerializedSystemIni.dat ファイルの保存先のドメイン ディレクトリのパス。デフォルトでは、この 2 つのファイルは、起動した WLST が格納されているディレクトリに保存されます。

    • ノード マネージャのホーム ディレクトリのパス。ドメインに関する情報を含む nodemanager.domains ファイルは、このディレクトリに保存されます。デフォルトでは、WL_HOME/common/nodemanager (WL_HOME は WebLogic Server のインストール先のルート ディレクトリ) です。

      たとえば、ドメイン ディレクトリが c:/bea/mydomain/common/nodemanager に指定されており、ノード マネージャのデフォルトのホーム ディレクトリ (WL_HOME /common/nodemanager) が使用されている場合、WLST が実行されているマシンをノード マネージャに登録するには、次のコマンド (太字部分) を使用します。

      wls:/mydomain/serverConfig> nmEnroll('c:/bea/mydomain/common/nodemanager')Enrolling this machine with the domain directory at c:\bea\mydomain\common\nodemanager....Successfully enrolled this machine with the domain directory at C:\bea\mydomain\common\nodemanager
      wls:/mydomain/serverConfig>
      

詳細については、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Tool コマンド リファレンス』の「nmEnroll」を参照してください。

手順 5 : リモート サーバ起動オプションの確認

管理サーバを起動したら、JAVA_HOMEMW_HOMEBEA_HOMECLASSPATH などのリモート サーバ起動オプションが、対象の管理対象サーバにインストールされている WebLogic Server 10.3.1 を参照していることを確認します。これは Administration Console を使用して行います。詳細については、Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server の Administration Console オンライン ヘルプの「管理対象サーバの起動引数のコンフィグレーション」を参照してください。


注意 :

リモート サーバ起動オプションが正しく設定されていないと、ノード マネージャを使用して管理対象サーバを起動するときに、次のようなメッセージがログ ファイルに書き込まれることがあります。このメッセージは再帰的に送信されるため、最終的に使用可能なディスク容量がすべて消費されるおそれがあります。

No config.xml was found.

Would you like the server to create a default configuration and boot? (y/n): 
java.io.IOException: The handle is invalid 
at COM.jrockit.io.FileNativeIO.read(III)I(Native Method) 
at COM.jrockit.io.NativeIO.read(Ljava.io.FileDescriptor;II)I(Unknown Source) 
at COM.jrockit.io.NativeIOInputStream.read(II)I(Unknown Source) 
at COM.jrockit.io.NativeIOInputStream.read(I[BI)I(Unknown Source)
at COM.jrockit.io.NativeIOInputStream.read([BII)I(Unknown Source)
at java.io.FileInputStream.read([BII)I(Unknown Source)

手順 6 : アプリケーション環境のプロダクション環境へのプロモート

アプリケーション環境をプロダクション環境にプロモートする前に、標準的な品質保証およびパフォーマンス チューニングを行います。テスト アプリケーション環境でアプリケーション (外部クライアント アプリケーションを含む) の動作をテストすることをお勧めします。非推奨となった API または削除された API がアプリケーションで使用されている場合は、実行時に警告または例外が発生するおそれがあります。発生した場合は、アプリケーション環境をプロダクション環境にプロモートする前に、必要な修正を行う必要があります。

すべてのテスト基準をクリアしていれば、「手順 4 : アップグレード計画の作成」で定義したアップグレード計画に従って、アプリケーション環境をプロダクション環境にプロモートすることができます。

新しい 10.3.1 のアプリケーション環境がプロダクション環境にデプロイされたら、既存の環境から新しい環境にリクエストをリダイレクトできるようになります。このようにして、最終的には、既存の環境を廃止することができます。これは、ロード バランサなどを使用して行います。

アップグレード プロセスで問題が発生した場合のトラブルシューティング

アップグレード プロセスの手順で問題が発生したら、WebLogic アップグレード ウィザードは問題が発生した理由を示すメッセージを表示してから終了します。ウィザードを続行するには、次の手順に従います。

  1. 手順 3 : アプリケーション環境のバックアップの作成」で作成したバックアップ ファイルを使用して、アプリケーション環境を元の状態に戻します。

  2. WebLogic アップグレード ウィザードにより報告された問題を修正します。

  3. アプリケーション環境のアップグレード」の説明に従って、問題が発生した手順からアップグレード プロセスを続行します。