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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server アップグレード ガイド
11g リリース 1 (10.3.1)
B55562-01
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5 WebLogic ドメインのアップグレード

10.3.1 WebLogic アップグレード ウィザードを使用すると、WebLogic Server 7.0 または 8.1 で作成されたドメインをアップグレードできます。

また、このウィザードでは、WebLogic Server 9.x または 10.0 で作成された WebLogic ドメインを 10.3.1 にアップグレードすることもできますが、これは任意です。この種類のドメインは、変更せずに WebLogic Server 10.3.1 で実行できます。「WebLogic Server 9.x または 10.0 アプリケーション環境から 10.3.1 へのアップグレード」を参照してください。

次の節では、WebLogic アップグレード ウィザードを使用して WebLogic ドメインをアップグレードする方法について説明します。

WebLogic ドメインのアップグレードの仕組み

WebLogic ドメインのアップグレードでは、アップグレードするドメインを指定し、いくつかのプロンプトに応答します。WebLogic アップグレード ウィザードは次のタスクを実行します。

  1. 必要に応じて、元のドメイン ディレクトリのバックアップを行います。

    バックアップが要求された場合、ウィザードはドメイン ディレクトリのみをバックアップするため、ファイル パーミッションは維持されません。「手順 3 : アプリケーション環境のバックアップの作成」で説明されているように、ドメイン、外部アプリケーション、およびアプリケーション データベース リソースをそれぞれ独立したプロセスでバックアップすることをお勧めします。


    注意 :

    ウィザードにより作成されるバックアップ ファイルは、機密情報を含んでいる可能性があるため、ユーザが保護する必要があります。

  2. 起動スクリプトは停止スクリプトなどのスクリプトを再作成し、元のスクリプトの名前を orig-scriptname.bak (orig-scriptname は元のスクリプトの名前。.bak は拡張子) に変更します。


    注意 :

    元の起動スクリプトに対して行われたカスタマイズの内容は新しいスクリプトにコピーされません。たとえば、元のスクリプトで JAVA_OPTIONS 環境変数にデフォルト以外の値が指定されている場合、指定されている値は新しいスクリプトでは保持されません。

  3. 元のドメインをリストラクチャして、新しいディレクトリ構造を作成し、ドメインのコンポーネントを新しい場所に移動します。

    リストラクチャにおいて、必要なディレクトリがすでに存在する場合は、そのディレクトリとその中にあるファイルおよびサブディレクトリがそのまま維持されます。

    既存のサーバ ログ ファイルがドメイン内の servers/server_name/logs/pre-10.0-logs ディレクトリ (server_name はサーバの名前) にコピーされます。

    ドメイン ディレクトリ構造に対する変更を確認するには、「WebLogic ドメイン ディレクトリ構造の強化」を参照してください。

  4. コンフィグレーション ファイル (config.xml) に保存されている永続化されたコンフィグレーションに関する情報を config ディレクトリにアップグレードします。

    ウィザードでコンフィグレーション ファイル (config.xml) のアップグレード中にリソースの重複が検出されたら、進行状況を表すウィンドウにメッセージが表示されます。この場合、最後に検出されたリソース定義が変換中に使用されます。

  5. JMS ファイル ストア、JMS JDBC ストア、トランザクション ストアなどの永続データをアップグレードします。


    注意 :

    JMS JDBC ストアがドメインで使用される場合は、「手順 6 : 環境の設定」を参照してください。

    JMS JDBC ストアがアップグレードされたら、元の JMS JDBC ストアは削除されます。キャパシティ プランニングを行うときは、この点を考慮に入れてください。元の JMS JDBC ストア テーブルは、アップグレードが正常に完了したら、削除することができます。元の JMS JDBC ストア テーブルには PrefixNameJMSSTORE および PrefixNameJMSSTATE (PrefixName は JMS JDBC ストアの Prefix Name 属性の値) という名前が付けられます。

    保持されている JMS メッセージをアップグレードしない場合は、アップグレードを実行する前に JMS ファイル ストアまたは JMS JDBC ストア テーブルを削除します。この場合、コンフィグレーションは変更されず、JMS メッセージのみが削除されます。JDBC ストア テーブルの管理の詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server サーバ環境のコンフィグレーション』の「JDBC ストア テーブルの管理」を参照してください。

    アップグレードが実行済みであることが検出されると、JMS JDBC またはファイル ストアはアップグレードされません。テスト シナリオなど、同一の永続ストアを使用してドメインのアップグレードを複数回実行する必要がある場合は、以下のようにアップグレードを実行するたびに JMS データを元に戻す必要があります。

    • JMS JDBC ストアの場合、アップグレード プロセスにより PrefixNameWLSTORE (PrefixName は JMS JDBC ストアの Prefix Name 属性の値) という名前の新しいテーブルが作成される。JMS JDBC ストアを使用するドメインのアップグレード プロセスを再実行する前に、このテーブルを削除する。

    • アップグレードを再実行する必要がある場合、必ず最初にバックアップ バージョンの JMS ファイル ストアを復元する。

  6. コンフィグレーションを保存します。


    注意 :

    リモートの管理対象サーバをアップグレードする場合、コンフィグレーション情報は保持されません。

  7. さらなる検討を要するドメインのアップグレードに関する問題があれば、報告します。

ドメインのアップグレードに関する重要な注意事項

アップグレード プロセスには以下の重要な注意事項があります。

ドメインのアップグレード

ウィザードでは、次のどちらかのモードでアップグレードを行うことができます。

ドメイン内のすべてのマシンのドメインをアップグレードする必要があります。リモートの管理対象サーバのドメイン ディレクトリの準備については、「手順 5 : リモートの管理対象サーバのドメイン ディレクトリの準備」を参照してください。


注意 :

先に進む前に、以下のことを確認してください。

以下の節では、次のアップグレード方法について説明します。

ドメインのグラフィカル モードでのアップグレード

以下の節では、グラフィカル モードで WebLogic アップグレード ウィザードを使用して WebLogic ドメインをアップグレードする方法について説明します。

ドメインをアップグレードするためグラフィカル モードで WebLogic アップグレード ウィザードを起動する方法

Windows プラットフォーム上で WebLogic アップグレード ウィザードをグラフィカル モードで開始して WebLogic ドメインをアップグレードするには、Windows の [スタート] メニューの Oracle プログラム グループから、[Domain Upgrade Wizard] オプションを選択します (プログラムOracle WebLogicWebLogic Server 10gR3ToolsDomain Upgrade Wizard])。


注意 :

手順 6 : 環境の設定」の手順 3 で説明されているように、JDBC ドライバ クラスを指定するため環境をカスタマイズする必要がない場合に限り、このオプションを使用することができます。

Windows コマンド プロンプトから、または UNIX プラットフォーム上で WebLogic アップグレード ウィザードをグラフィカルモードで開始して WebLogic ドメインをアップグレードするには、次の手順に従います。

  1. WebLogic ドメインが稼動していないことを確認します。

  2. 必要に応じて、JMS ストアをバックアップします。

  3. コマンド プロンプト ウィンドウ (Windows) またはコマンド シェル (UNIX) を開き、「手順 6 : 環境の設定」の説明に従って環境を設定します。

  4. 次のスクリプトを実行してドメインをアップグレードします。

    • Windows の場合 : WL_HOME\common\bin\upgrade.cmd

    • Unix の場合 : WL_HOME/common/bin/upgrade.sh

    ログ ファイルは、MW_HOME/user_projects/upgrade_logs ディレクトリに格納されます。

    WebLogic Server ドメインをアップグレードするために、次のコマンドを使用することもできます。

    java weblogic.Upgrade [-type domain] [-out file]
    

    -type 引数と -out 引数は省略可能です。この 2 つの引数は、次の設定のデフォルト値をオーバーライドする場合に含めます。

    • 実行するアップグレードのタイプ。-type 引数でタイプを指定しなければ、ドメインのアップグレードが実行されます。

    • すべての標準出力 (stdout) とエラー メッセージが書き込まれる出力ファイル。-out 引数でファイルを指定しなければ、これらのメッセージはコマンドウィンドウに書き込まれ、アップグレード プロセスの終了時にそのサマリが表示されます。

    -out 引数は省略可能です。これにより、すべての標準出力 (stdout) とエラー メッセージが書き込まれるファイルを指定することができます。デフォルトでは、これらのメッセージはコマンド ウィンドウに書き込まれ、アップグレード プロセスの終了時にそのサマリが表示されます。

    このコマンドを実行すると、図 5-1 のように WebLogic アップグレード ウィザードが起動します。

    図 5-1 WebLogic アップグレード ウィザード

    図 5-1 の説明については以下を参照
    「図 5-1 WebLogic アップグレード ウィザード」の説明

  5. JMS JDBC ストアが使用されている場合は、対応するデータベースが実行中であることを確認します。

  6. [次へ] をクリックして、次のウィンドウに進みます。

WebLogic ドメインをアップグレードする手順

表 5-1 に、WebLogic アップグレード ウィザードを使用してドメインをアップグレードする手順の概要を示します。


注意 :

この節で示す画面は、あくまでも表示の例です。実際の画面は、ドメインで使用されるリソースの組み合わせによって異なります。

表 5-1 WebLogic ドメインをアップグレードする手順

手順 実行する操作

WebLogic バージョンの選択

アップグレードするドメインの WebLogic バージョンを選択する。

[次へ] をクリックして、次のウィンドウに進む。

アップグレードするドメインの選択

ローカルのディレクトリ階層を移動して、アップグレードする WebLogic ドメインが格納されているディレクトリを選択する。

[次へ] をクリックして、次のウィンドウに進む。

ドメインの調査

ウィザードによるドメインの調査の進行状況を確認する。進行状況を通知するメッセージがウィンドウに表示される。

カスタム セキュリティ プロバイダが使用されているドメインをアップグレードする場合、最初にカスタム セキュリティ プロバイダをアップグレードすることなくドメインをアップグレードしようとすると、エラー メッセージが表示され、ウィザードが終了する。

このエラー メッセージが表示された場合は、「セキュリティ プロバイダのアップグレード」の説明に従ってカスタム セキュリティ プロバイダをアップグレードしてから、ドメインのアップグレードをやり直す。

調査が完了したら (そしてエラーが検出されなければ)、次のウィンドウが自動的に表示される。

管理サーバの選択

新しいドメインで管理サーバとして機能するサーバを選択する。

注意 : ドメインで定義されているサーバが 1 つしかない場合、このウィンドウは表示されない。このウィンドウは、アップグレードするドメインに複数のサーバがある場合にのみ表示される。

[次へ] をクリックして、次のウィンドウに進む。

ノード マネージャ資格の入力

ノード マネージャの認可に使用するユーザ名とパスワードを入力する (およびパスワードを確認のため再入力する)。

WebLogic Server 10.3.1 の場合、ドメインごとにノード マネージャのユーザ名とパスワードを指定する必要がある。デフォルトでは、ユーザ名とパスワードは weblogic に設定されている。ノード マネージャを使用しない場合は、デフォルト値を変更せずにそのままにしておく。

[次へ] をクリックして、次のウィンドウに進む。

アップグレード オプションの選択

  • 現在のドメインのバックアップ (推奨) : これを選択すると、元のドメイン ディレクトリのバックアップが zip ファイルに保存される。このオプションはデフォルトで選択されている。

    注意 : ウィザードはドメイン ディレクトリのみをバックアップするため、ファイル パーミッションは維持されない。「手順 3 : アプリケーション環境のバックアップの作成」で説明されているように、ドメイン、外部アプリケーション、およびアプリケーション データベース リソースをそれぞれ独立したプロセスでバックアップすることを推奨。

  • ログ ファイルをバックアップ用の zip に追加 : これを選択すると、バックアップ用の zip ファイルにログ ファイルが含められる。ログ ファイルの数と容量は多大になるおそれがあるため、このオプションを無効にしてログ ファイルがバックアップ ファイルに含められないようにすることを勧める。デフォルトでは、ログ ファイルはバックアップ ファイルに含められる。

  • 下位互換性フラグを設定しない : 以前サポートされていた動作の一部が、WebLogic Server 9.0 から J2EE 1.4 に準拠するよう変更されている。デフォルトでは、以前サポートされていた動作が新しいドメインで有効になるようフラグが設定される。このオプションを選択すると、この下位互換性フラグは設定されない。下位互換性フラグの詳細については、「下位互換性フラグ」を参照。

ディレクトリ選択の解析と任意のタスク

ウィザードによるドメイン情報とオプション設定の処理の進行状況を確認する。進行状況を通知するメッセージがウィンドウに表示される。

処理が完了したら、次のウィンドウが自動的に表示される。

ドメインのバックアップ

ウィザードによるドメインのバックアップの準備状況を確認する。進行状況を通知するメッセージがウィンドウに表示される。

処理が完了したら、次のウィンドウが自動的に表示される。

ドメインのバックアップ ディレクトリの選択

注意 : 「アップグレード オプションの選択」で [現在のドメインのバックアップ] オプションを選択しなかった場合は、「ドメイン ディレクトリのリストラクチャ」に進む。

このウィンドウで、次の値を設定する。

  • バックアップ ディレクトリ : ローカルのディレクトリ階層を移動して、バックアップ用の zip ファイルの保存先のディレクトリを選択する。デフォルトでは、元のドメイン ディレクトリが使用される。

  • バックアップ ファイル名 : バックアップ ファイルの名前をテキスト ボックスに入力する。デフォルトのファイル名は weblogic-domain-backup-domain.zip (domain はドメインの名前) である。

[次へ] をクリックして、次のウィンドウに進む。

ドメインのバックアップ

ウィザードによるドメインのバックアップの進行状況を確認する。バックアップ プロセスの進行状況をパーセント単位で表すバーと進行状況を通知するメッセージがウィンドウに表示される。

注意 : ウィザードにより作成されるバックアップ ファイルは、機密情報を含んでいる可能性があるため、ユーザが保護する必要がある。

バックアップ プロセスが完了したら、次のウィンドウが自動的に表示される。

ドメイン ディレクトリのリストラクチャ

ウィザードによるドメイン ディレクトリのリストラクチャの進行状況を確認する。進行状況を通知するメッセージがウィンドウに表示される。

プロセスが完了したら、次のウィンドウが自動的に表示される。

コンフィグレーション設定のアップグレード

ウィザードによるコンフィグレーション設定のアップグレードの進行状況を確認する。進行状況を通知するメッセージがウィンドウに表示される。

コンフィグレーション情報は、後で実行する手順まで保持されない。

コンフィグレーションのアップグレードが完了したら、次のウィンドウが自動的に表示される。

保存されているメッセージおよびトランザクション ログ フォーマットのアップグレード

ウィザードによるドメイン内の永続メッセージ (JMS ファイルと JDBC ストア) とトランザクション (JTA) ログのアップグレードの進行状況を確認する。進行状況をパーセント単位で表すバーと進行状況を通知するメッセージがウィンドウに表示される。

永続メッセージとトランザクション ログのアップグレード プロセスが完了したら、次のウィンドウが自動的に表示される。

RDBMS Authenticator セキュリティ プロバイダのアップグレード

非推奨の RDBMSAuthenticator を SQLAuthenticator に置き換えるかどうかを指定する。

注意 : このウィンドウは、アップグレードするドメインに RDBMS Authenticator セキュリティ プロバイダがある場合にのみ表示される。

[次へ] をクリックして、次のウィンドウに進む。

アップグレードされたコンフィグレーションの保持

ウィザードの進行状況 (アップグレードされたコンフィグレーションの保存やアップグレード プロセス中に作成された一時ファイルの削除) を確認する。進行状況を通知するメッセージがウィンドウに表示される。

注意 : リモートの管理対象サーバをアップグレードする場合、コンフィグレーション情報は保持されない。

このプロセスが完了したら、[次へ] をクリックして、次のウィンドウに進む。

アップグレード完了

アップグレードが完了したら表示されるアップグレード結果を確認する (さらなる検討を要する重要なメッセージなど)。

[完了] をクリックして WebLogic アップグレード ウィザードを閉じる。


ドメインのサイレント モードでのアップグレード


注意 :

サイレント モードでは、WebLogic Server ドメインのみがアップグレードできます。

たとえば、ドメインがリモート マシンにある場合などに、WebLogic アップグレード ウィザードをグラフィカル モードで使用するのは合理的ではありません。このような場合、ウィザードをサイレント モードで使用して、WebLogic ドメインをアップグレードすることができます。


注意 :

WebLogic アップグレード ウィザードを起動する前に、「アップグレードの準備」の手順がすでに実行されていなければなりません。

サイレント モードで WebLogic アップグレード ウィザードを起動して WebLogic ドメインをアップグレードするには、次の手順に従います。

  1. WebLogic ドメインが稼動していないことを確認します。

  2. MS-DOS コマンド プロンプト ウィンドウ (Windows) またはコマンド シェル (UNIX) を開き、「手順 6 : 環境の設定」の説明に従って環境を設定します。

  3. (省略可能) アップグレード要件を定義する XML スクリプトを作成します。詳細については、「サイレント アップグレード用 XML スクリプト リファレンス」を参照してください。

  4. アップグレードする WebLogic ドメインが格納されているディレクトリに移動します。以下に例を示します。

    cd c:\bea\user_projects\domains\domain 
    

    domain はドメインの名前です。

  5. コマンド プロンプトで、次のコマンドを入力します。

    java weblogic.Upgrade -mode silent -type domain [-responses xmlfile] [-out file]
    

    -responses 引数と -out 引数は省略可能です。この 2 つの引数は、次の設定のデフォルト値をオーバーライドする場合に含めます。

    • アップグレード要件を定義する XML ファイルの場所。-responses 引数でファイルを指定しない場合、ウィザードはデフォルト値をアップグレード プロセスで使用します。XML ファイルの形式とデフォルト値の詳細については、「サイレント アップグレード用 XML スクリプト リファレンス」を参照してください。

    • すべての標準出力 (stdout) とエラー メッセージが書き込まれる出力ファイル。-out 引数でファイルを指定しない場合、これらのメッセージはコマンド ウィンドウに書き込まれます。