WebLogic アップグレード ウィザードをサイレント モードで使用する前に、アップグレード要件を定義する XML スクリプトを作成してコマンドラインでウィザードに渡すことができます。
アップグレード ウィザードは、サイレント モードで実行した場合、実行するアップグレード タスクのタイプを表す名前を持つ XML スクリプトをドメインのルート ディレクトリから検索します。XML スクリプトを検索できなければ、システムのデフォルト値が使用されます。
ここでは、以下のサンプル XML アップグレード スクリプトを示します。
ここで説明しているように、これらのスクリプトの特定の値は、アップグレードしている環境のコンフィグレーションに応じて変更し、WebLogic アップグレード ウィザードで変更後の値を使用することができます。ここでは、それらの値とデフォルト値を示し、その変更方法について説明します。
注意 : サイレント モードでアップグレードできるのは WebLogic サーバ ドメインだけです。 |
サイレント モードのアップグレード用の XML スクリプトを作成するには、ここで提供されているいずれかのサンプル スクリプトを変更します。以下の点に注意してください。
XML 定義 (<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
) は XML スクリプトの先頭に指定する必要がある。XML 定義の前には、スペースも改行も入れないでください。
値を変更するときは、文字についての XML ガイドラインに従う必要がある。つまり、<
、>
、[
、]
など XML で予約済みの文字は使用できません。
サンプル スクリプトは、アップグレード対象のドメインのルート ディレクトリに、XML ファイルとして保存する。その際、ここで示しているスクリプトと同じ名前を使用する必要があります。
WebLogic アップグレード ウィザードは、ドメインのセキュリティ プロバイダをアップグレードするため、コード リスト E-1 に示している weblogic-upgrade-securityproviders-responses.xml という名前の XML スクリプトを検索します。変更可能な値は、太字で示しています。
コード リスト E-1 セキュリティ プロバイダをアップグレードするためのサンプル サイレント モード XML スクリプト
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <plugin-silent-responses> </plugin-silent-responses> <!-- <plugin-silent-responses> <group name="SecurityProviderUpgradeGroup"> <plugin name="SecurityProviderUpgradeStepOne"> <input-adapter name="IA"> <bind-property name="selectedFileNames"> <value>__INPUT_DIRECTORY__</value> </bind-property> </input-adapter> </plugin> <plugin name="SecurityProviderUpgradeStepTwo"> <input-adapter name="IA"> <bind-property name="selectedFileNames"> <value>__OUTPUT_DIRECTORY__</value> </bind-property> </input-adapter> </plugin> </group> </plugin-silent-responses>
表 E-1 に、このスクリプトに含まれるキーワード、それらのキーワードに対して指定可能な値、および変更しない場合に WebLogic アップグレード ウィザードで使用されるデフォルト値を示します。
表 E-1 セキュリティ プロバイダをアップグレードするためのサイレント モード XML スクリプトの値
キーワード | 設定する値 | デフォルト値 |
---|---|---|
INPUT_DIRECTORY |
アップグレードする必要のあるセキュリティ プロバイダ JAR が格納されているディレクトリのパス。たとえば d:/bea/weblogic81/server/lib/mbeantypes。 セキュリティ プロバイダはデフォルトで WL_HOME\server\lib\mbeantypes (WL_HOME は 10.x より前のバージョンのインストール先のルート ディレクトリ) にある。 |
実行されるアップグレード ウィザードが格納されているディレクトリのパス。たとえば c:\bea\wlserver_10.3\server\lib\mbeantypes。 |
OUTPUT_DIRECTORY |
新しいセキュリティ プロバイダ JAR ファイルの保存先のディレクトリのパス。たとえば d:/bea/wlserver_10.3/server/lib/mbeantypes。 |
WL_HOME\server\lib\mbeantypes (WL_HOME は WebLogic Server 10.x のインストール先のルート ディレクトリ) |
WebLogic アップグレード ウィザードは、既存のドメインのノード マネージャをアップグレードするため、コード リスト E-2 に示している weblogic-upgrade-nodemanager-responses.xml という名前の XML スクリプトを検索します。変更可能な値は、太字で示しています。
コード リスト E-2 ノード マネージャをアップグレードするためのサンプル サイレント モード XML スクリプト
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<plugin-silent-responses>
</plugin-silent-responses>
<!--
<plugin-silent-responses>
<group name="NodeManagerPlugInGroup">
<plugin name="NodeManagerPlugIn">
<input-adapter name="IA">
<bind-property name="selectedFileNames">
<value>__NODE_MANAGER_HOME__</value>
</bind-property>
</input-adapter>
</plugin>
</group>
</plugin-silent-responses>
表 E-2 に、このスクリプトに含まれるキーワード、それらのキーワードに対して指定可能な値、および変更しない場合に WebLogic アップグレード ウィザードで使用されるデフォルト値を示します。
表 E-2 ノード マネージャをアップグレードするためのサイレント モード XML スクリプトの値
キーワード | 設定する値 | デフォルト値 |
---|---|---|
NODE_MANAGER_HOME |
ローカルのディレクトリ階層を移動してアップグレードするノード マネージャのディレクトリのパス。 ノード マネージャのデフォルトのホーム ディレクトリは、WL_HOME\common\nodemanager (WL_HOME は 10.x より前のバージョンのインストール先のルート ディレクトリ)。 |
実行されるアップグレード ウィザードが格納されているディレクトリ。たとえば c:\bea\wlserver_10.3\common\nodemanager。 |
WebLogic アップグレード ウィザードは、既存のドメインをアップグレードするため、コード リスト E-3 に示している weblogic-upgrade-domain-responses.xml という名前の XML スクリプトを検索します。変更可能な値は、太字で示しています。
コード リスト E-3 ドメインをアップグレードするためのサンプル サイレント モード XML スクリプト
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <plugin-silent-responses> </plugin-silent-responses> <!-- 以下サンプル --> <!-- <plugin-silent-responses> <group name="DomainSelectionGroup"> <plugin name="SelectWebLogicVersionPlugIn"> <input-adapter name="ChoiceIA"> <bind-property name="selectedChoiceIds"> <value>__WEBLOGIC_VERSION__</value> </bind-property> </input-adapter> </plugin> <plugin name="DomainDirectorySelectionPlugIn"> <input-adapter name="IA"> <bind-property name="selectedFile"> <value>__DOMAIN_DIR__</value> </bind-property> </input-adapter> </plugin> </group> <group name="PostDirSelectionGroup"> <plugin name="AdminServerSelectionPlugIn"> <input-adapter name="IA"> <bind-property name="selectedChoiceIds"> <value>__ADMIN_SERVER_NAME__</value> </bind-property> </input-adapter> </plugin> <plugin name="NodeManagerCredentialsPlugIn"> <input-adapter name="UsernameIA"> <bind-property name="value"> <value>__NODE_MANAGER_USERNAME__</value> </bind-property> </input-adapter> <input-adapter name="PasswordIA"> <bind-property name="value"> <value>__NODE_MANAGER_PASSWORD__</value> </bind-property> </input-adapter> <input-adapter name="PasswordConfirmIA"> <bind-property name="value"> <value>__NODE_MANAGER_PASSWORD__</value> </bind-property> </input-adapter> </plugin> <plugin name="OptionalGroupsSelectionPlugIn"> <input-adapter name="IA"> <bind-property name="selectedChoiceIds"> <value>__OPTIONAL_ACTION_1__</value> <value> . . . </value> </bind-property> </input-adapter> </plugin> </group> <group name="PostDirSelectionPost81Group"> <plugin name="AdminServerSelectionPlugIn"> <input-adapter name="IA"> <bind-property name="selectedChoiceIds"> <value>__ADMIN_SERVER_NAME__</value> </bind-property> </input-adapter> </plugin> <plugin name="OptionalGroupsSelectionPlugIn"> <input-adapter name="IA"> <bind-property name="selectedChoiceIds"> <value>__OPTIONAL_ACTION_1__</value> <value> . . . </value> </bind-property> </input-adapter> </plugin> </group> <group name="DomainBackupGroup"> <plugin name="DomainDirectoryBackupPlugIn"> <input-adapter name="FileSelectionIA"> <bind-property name="selectedFileNames"> <value>__BACKUP_DIR__</value> </bind-property> </input-adapter> <input-adapter name="TextIA"> <bind-property name="value"> <value>___BACKUP_FILE_NAME__</value> </bind-property> </input-adapter> </plugin> </group> </plugin-silent-responses> -->
表 E-3 に、このスクリプトに含まれるキーワード、それらのキーワードに対して指定可能な値、および変更しない場合に WebLogic アップグレード ウィザードで使用されるデフォルト値を示します。
表 E-3 ドメインをアップグレードするためのサイレント モード XML スクリプトの値
キーワード | 設定可能な値 | キーワードのデフォルト値 |
---|---|---|
WEBLOGIC_VERSION |
アップグレード対象のドメインに含まれる WebLogic Server のバージョン。脚注 1 |
アップグレード対象のドメインのコンフィグレーション ファイル (config.xml) で識別されている WebLogic Server のバージョン。たとえば 8.1.4.0。 ソフトウェアのバージョン番号がドメインのコンフィグレーション ファイルで指定されていない場合、バージョン番号はデフォルトで 8.1.0.0 と表示される。この場合、10.x より前のドメインの実際のバージョン番号とデフォルト値が一致しなくても問題はない。 |
ADMIN_SERVER_NAME |
ドメインの管理サーバ インスタンスの名前。 注意 : このキーワードにはデフォルト値がないため、値を割り当てる必要がある。管理サーバ名を指定しないと、このサイレント アップグレード スクリプトは例外を生成して強制終了する。 |
デフォルト値は割り当てられていない。 |
DOMAIN_DIR |
アップグレード対象の WebLogic ドメインが格納されているディレクトリのパス。 |
アップグレード ウィザードが実行されるディレクトリ たとえば c:\bea\user_projects\domains\mydomain。 |
NODE_MANAGER_USERNAME |
ノード マネージャのユーザ名。 |
weblogic |
NODE_MANAGER_PASSWORD |
ノード マネージャのパスワード。 |
weblogic |
NODE_MANAGER_PASSWORD |
ノード マネージャの確認パスワード。 |
weblogic |
OPTIONAL_ACTION_1 |
以下のオプションを 1 つまたは複数指定する。脚注 2
|
DOMAIN_DIRECTORY_ BACKUP_SELECTED_VALUE, DOMAIN_DIRECTORY_ BACKUP_LOG_FILES_INCLUDED_SELECTED_VALUE |
BACKUP_DIR |
バックアップ用の zip ファイルが格納されるディレクトリのパス。 |
実行されるアップグレード ウィザードが格納されているディレクトリ。たとえば c:\bea\user_projects\domains\mydomain。 |
BACKUP_FILE_NAME |
バックアップ用の zip ファイルの名前。 |
weblogic-domain-backup-mydomain.zip |
脚注 1 WebLogic Server の複数のバージョンを指定する場合は 6.1 OR 7.0 OR 8.1 OR "9.0 or higher"
のようにします。
脚注 2OPTIONAL_ACTION_1
は、複数のオプションのうちいずれかのオプションが使用されるように指定することができます。たとえば、DOMAIN_DIRECTORY_BACKUP_SELECTED_VALUE OR
DOMAIN_DIRECTORY_BACKUP_LOG_FILES_INCLUDED_SELECTED_VALUE OR
SKIP_BACKWARDS_COMPATIBILITY_FLAGS_SELECTED_VALUE
のように指定します。