Decision Studioはインライン・サービスを定義および管理するためのツールです。Decision Studioにはインライン・サービスのすべての機能が公開されます。Decision Studioは、Javaの基本的な知識があり、アプリケーション開発およびライフサイクルの問題を総合的に理解するITプロフェッショナルを対象ユーザーとしています。
Decision Studioは、統合開発環境(IDE)パラダイムに準拠したリッチクライアント・アプリケーションです。Decision Studioの左側には「Inline Service Explorer」ビュー、右側にはエディタ・ビューがあります。このナビゲータ・ビューには、事前定義されたインライン・サービスのフォルダ構造が表示されます。各フォルダ内のアイテムは、インライン・サービスのメタデータ要素になります。メタデータ要素は、Decision Studioを使用して追加、編集および削除できます。メタデータ要素をダブルクリックすると、その要素の詳細情報がオブジェクト・エディタに表示されます。メタデータ要素のタイプごとに独自のエディタがあります。要素はまずXMLメタデータとして示されます。その後、Javaクラスが生成され、実行するインライン・サービスがここからコンパイルされます。Decision Studioは、Eclipse IDEに基づいています。これにより、インライン・サービスの管理に固有の機能を、汎用的なJava開発ツールを備え、ソフトウェア構成管理(SCM)システムを統合したEclipse IDEの機能と組み合せることができます。
注意: Oracle RTDドキュメント全体にわたって次の用語が参照されます。
詳細は、『Oracle Real-Time Decisionsインストレーションおよび管理ガイド』の「Oracle RTDのランタイム環境について」を参照してください。 |
この章の内容は次のとおりです。
インライン・サービスは、企業全体のビジネス・プロセスにおける重要な局面での、リアルタイムかつ継続的な監視およびアドバイスを実行するデプロイ可能なアプリケーションです。インライン・サービスはビジネス・プロセス全体を追従するのではなく、プロセス内の特定の識別ポイントに焦点を当てます。インライン・サービスは、Decision Studioを使用して構成およびデプロイされ、Decision Centerを使用して分析および調整されます。インライン・サービスの実行はReal-Time Decision Serverで行われます。Oracle RTDは、これらすべてのコンポーネントを使用して構成されます。
Decision Studioは、Eclipse Foundation社により開発されたオープン・ソースJava IDEであるEclipseに基づいています。Decision StudioはEclipse環境に対する標準プラグインとして存在します。Eclipseを使用している場合は、この環境を利用して、追加の開発機能や高度な機能を使用できます。Eclipseに精通していない場合でも、Decision Studioを完全に透過的に使用できます。
この項の内容は次のとおりです。
Decision Studioにログインすると、セッションのワークスペースを選択できます。デフォルトのワークスペースは、C:\Documents and Settings\
username
\Oracle RTD Studio
です。必要に応じて、ワークスペースの場所をそれ以降のデフォルトとして設定できます。
また、セッション中にメニューから「File」→「Switch Workspace」を選択することでも、ワークスペースを変更できます。
インライン・サービスは、Javaコンパイラ準拠レベルとして5を指定してコンパイルする必要があります。
この値がすべてのインライン・サービスで優先的に使用されるように設定する手順は、次のとおりです。
Decision Studioにログインします。
メニューで「Windows」→「Preferences」にナビゲートします。
「Preferences」ウィンドウの左側のパネルで、「Java」→「Compiler」を選択します。
「JDK Compliance」領域の「Compiler compliance level」で「5.0」を選択します。
「OK」をクリックし、完全なリビルドを実行することを確認します。
以前のリリースのOracle RTDで作成されたインライン・サービスでは、Javaコンパイラ準拠レベルを手動で5.0に変更する必要が発生する場合があります。
インライン・サービスのレベルごとに個別にJavaコンパイラ準拠レベルを変更するには、インライン・サービス名を右クリックして「Properties」→「Java Compiler」を選択してから、「Compiler compliance level」で「5.0」を選択します。
「Inline Service Explorer」を使用すると、インライン・サービス・プロジェクトのすべての側面にアクセスできます。一般的なインライン・サービス・プロジェクトを図11-1に示します。
表11-1に、インライン・サービス・フォルダの内容を示します。
表11-1 インライン・サービス・フォルダの内容
フォルダ名 | 説明 |
---|---|
Service Metadata |
インライン・サービスを形成するメタデータ。このファイル・タイプのデフォルトのエディタは各要素に固有です。メタデータはテキスト・エディタで編集することもできますが、この方法はお薦めしません。 |
.settings |
Eclipseエディタ固有の設定が含まれます。 |
classes |
コンパイル処理で生成されたクラス。 |
etc |
このディレクトリには、システム管理に使用する様々なスクリプトおよびファイルが含まれます。Load Generatorスクリプトが構築されると、規定によりこのフォルダに保存されます。 |
gensrc |
インライン・サービス用に生成されたソース・コード・ファイル。 |
src |
カスタムJavaコード。ユーザーが作成した任意のJavaクラスが含まれる場合があります。これらのクラスの一部を使用して、生成済インライン・サービスJavaクラスのデフォルト動作を上書きすることもできます。 |
lib |
|
.classpath |
プロジェクトのJavaクラスパスを含むファイル。このファイルを編集する必要はありません。 |
.project |
Eclipseプロジェクト・ファイル。 |
通常、インライン・サービスの要素を構成すると、次の4つのファイルが生成されます。
構成をメタデータとして格納する.sda
ファイル。
メタデータから生成され、クラス・ファイルにコンパイルされる.java
ファイル。
元の生成済ファイルを拡張して、特殊な環境で生成済ファイルの動作を上書きするために使用される.java
ファイル。
最初は生成済ファイルからコンパイルされ、その後、任意の上書きファイルからコンパイルされるクラス・ファイル。
それぞれのファイルの名前は次のようになります。
メタデータ・ファイル: Object_ID.sda
生成済ファイル: GENObject_ID.java
上書きファイル: Object_ID.java
クラス・ファイル: Object_ID.class
生成済クラス・ファイル: GENObject_ID.class
ヒント: オブジェクトIDは、オブジェクトに付けられた名前と同様に作成されます。オブジェクトIDは、作成されたオブジェクト名の下にあるテキスト・ボックスに表示されます。オブジェクトIDはJava標準に準拠するため、ラベルと異なる場合があります。オブジェクトIDを調べるには、「Toggle」アイコンを使用して、ラベルの表示とオブジェクトIDの表示を切り替えます。![]() |
たとえば、Customer accountという名前の要素があるとします。このオブジェクトIDは、Java命名規約に準拠してCustomerAccountという形式になります。
作成されるファイルは次のとおりです。
メタデータ・ファイル: CustomerAccount.sda
生成済ファイル: GENCustomerAccount.java
上書きファイル: CustomerAccount.java
クラス・ファイル: CustomerAccount.class
生成済クラス・ファイル: GENCustomerAccount.class
Decision Studioを使用すると、インライン・サービスを様々なパースペクティブから操作できます。パースペクティブは、そのパースペクティブのビューやエディタの初期設定およびレイアウトを定義します。パースペクティブごとに、特定のタイプのタスク達成を目的とした一連の機能があり、特定のタイプのリソースに対応します。パースペクティブによって、一部のメニューおよびツールバーの表示内容が制御されます。
デフォルトのインライン・サービス・パースペクティブには、次の4つのビューがあります。
「Inline Service Explorer」ビュー: ツリー形式でプロジェクトおよび要素が表示されます。デフォルトでは、画面の左側に配置されます。
「Problem」ビュー: プロジェクトに関するエラーおよび例外が表示されます。デフォルトでは画面の底部に配置され、このビューと「Test」ビューのいずれかがタブで選択されます。
「Problems」ビューでは、インライン・サービスの構築時にコンパイル・エラーや検証エラーを特定できます。コンパイル・エラーをダブルクリックすると、Javaパースペクティブが表示され、エラーが強調表示されます。
検証エラーをダブルクリックすると、インライン・サービス・パースペクティブが表示され、検証エラーのある要素に対する要素エディタも表示されます。
「Test」ビュー: インライン・サービスのテスト用の領域が提供されます。デフォルトでは画面の底部に配置され、このビューと「Problem」ビューのいずれかがタブで選択されます。
「Cheat Sheets」ビュー: 一般的なタスクの手順が表示されます。デフォルトでは、画面の右側に配置されます。
インライン・サービス・パースペクティブの中央の領域がエディタ領域です。ここには、プロジェクト・ツリーで選択したノードに固有のエディタが表示されます。新しいエディタに変更するには、編集する要素をダブルクリックします。
Javaファイルを編集するには、Javaパースペクティブに変更して、編集するJavaファイルをダブルクリックします。
インライン・サービス・パースペクティブはデフォルトのパースペクティブであり、インライン・サービスを構成およびデプロイするためのメインの作業領域となります。Oracle RTDには、インライン・サービス・メタデータを操作するための多くの機能があります。これらについては、後述の各項で説明します。ここに記載のない機能は、コアのEclipseプラットフォームの一部になります。それらの機能の詳細は、Eclipseオンライン・ヘルプ・ドキュメント『Workbench User Guide』を参照してください。
インライン・サービス・パースペクティブには、表11-2に示すメニューおよびツールバー・アイテムがあります。
表11-2 インライン・サービス・パースペクティブのメニューおよびツールバー・アイテム
メニューまたはツールバー・アイテムの名前 | 説明 |
---|---|
「File」→「New Inline Service Project」 |
選択したワークスペースに新しいインライン・サービス・プロジェクトを作成します。 |
「Project」→「Download」 |
変更するために、デプロイ済のインライン・サービスをReal-Time Decision Serverからダウンロードします。 |
「Project」→「Deploy」 |
インライン・サービスをReal-Time Decision Serverにデプロイします。 |
「Window」→「Open Perspective」→「Inline Service Perspective」 |
インライン・サービス・パースペクティブを開きます。 |
「Window」→「Show View」→「Inline Service Explorer View」 |
現在のインライン・サービスのビューを表示します。 |
「Window」→「Dispay Object IDs」 |
ラベルとオブジェクトIDの表示を切り替えます。 |
「Help」→「About」 |
Decision Studioのバージョン情報を表示します。 |
「Deploy」アイコン ![]() |
インライン・サービスをReal-Time Decision Serverにデプロイします。 |
「Download」アイコン ![]() |
変更するために、デプロイ済のインライン・サービスをReal-Time Decision Serverからダウンロードします。 |
「Toggle」アイコン ![]() |
ラベルとオブジェクトIDの表示を切り替えます。 |
「Inline Service Explorer」ビューにもツールバー・アイテムがあります。これらのアイテムを表11-3に示します。
表11-3 「Inline Service Explorer」ビューのツールバー・アイテム
ツールバー・アイテム名 | 説明 |
---|---|
「Metadata」アイコン ![]() |
プロジェクト・ツリー全体とインライン・サービス・メタデータのみの表示を切り替えます。 |
「Collapse All」アイコン ![]() |
プロジェクト・ツリーを閉じます。 |
「Link with Editor」アイコン ![]() |
要素の選択に応じてエディタが調整されるよう、選択した要素タイプとリンクに適切なエディタを探します。 |
「Menu」アイコン ![]() |
「Link with Editor」、「View Metadata Only」および「Always Show Object IDs」にアクセスできます。最後のオプションは、「Inline Service Explorer」とエディタで要素のオブジェクトIDとラベルの両方を表示します。 |
Javaパースペクティブでは、Javaソース・ファイルの編集時に通常使用するビューを組み合せます。一方、デバッグ・パースペクティブには、Javaプログラムのデバッグ時に使用するビューが含まれます。
生成済Javaコードを直接操作するには、Javaパースペクティブを使用します。Javaコード・レベルでインライン・サービスをデバッグするには、デバッグ・パースペクティブを使用します。
エディタ領域のタブには、現在編集のために開かれているリソース名が表示されます。アスタリスク(*)は、変更がまだ保存されていないことを示します。ビューのタブにはビューの名前が表示され、ビューに固有の機能を提供するツールバーがあります。
パースペクティブのビューおよびエディタは、画面上の任意の領域にドラッグ・アンド・ドロップできます。ビューおよびエディタのサイズは、配置される領域に合せて自動的に変更されます。(主な作業場所である)エディタまたはビューの一部が、他のビューに覆われたり、使用するには不便な領域にサイズ変更される場合があります。エディタまたはビューのサイズを変更するには、開いている別のビューを閉じて残りが自動的にサイズ変更されるようにするか、エディタまたはビューを最大化します。
エディタとビューはどちらも、タブをダブルクリックするか、右クリックして表示されるメニュー・アイテムを使用して、最大化と最小化を切り替えることができます。パースペクティブ、エディタおよびビューの詳細は、Eclipseオンライン・ヘルプに含まれる『Workbench User Guide』のオンライン・ドキュメントを参照してください。
Javaコードは、Decision Studio内の要素のロジック・パネルに追加されます。このコードは、GENObject_ID.java
ファイルの適切なメソッドに挿入されます。ロジックを要素に追加したり更新したりする場合は、要素を選択し、エディタを使用してロジック・パネルのコードを変更します。
生成済コード内に直接大きなコードの断片を挿入する方が便利な場合もあります。これらのファイルは、Decision StudioのJavaパースペクティブを使用して直接編集できます。生成済コードは、特定の場所でしか手動で編集できないので注意してください。また、「Project」→「Clean」を選択すると、Decision Studioで生成済コードが再生成され、生成済Javaコードに直接行ったコード変更が上書きされます。
Decision StudioのJavaパースペクティブを使用して編集可能な任意のメソッドは、StartおよびEndマーカーで明示的に示されています。たとえば、Applicationオブジェクトにはインライン・サービスを初期化するinit()
というメソッドがあります。
このメソッドのコードは、Decision Studioインタフェースで、アプリケーション要素の「Logic」タブの「Initialization Logic」を使用して追加できます。
かわりにEclipseを使用して初期化コードを直接Applicationクラスに追加する場合は、次のようにマークされたメソッドにのみ追加します。
public void init() { // SDCUSTOMCODESTART.Application.InitBody.java.0 // SDCUSTOMCODEEND.Application.InitBody.java.0 }
コードは、メソッドの開始コメントと終了コメントの間に記述する必要があります。コメント化された領域外にコードを記述すると、上書きされるおそれがあります。生成済Javaファイルに直接追加されたコードは、ファイルの再生成時に失われます。コードを保持するには、対応するメタデータ要素にそれをコピーする必要があります。
生成済クラスObject_ID.java
は、クラスGENObject_ID.java
を拡張します。なんらかの理由でGENObject_ID.java
に含まれるコードを上書きする必要がある場合は、上書きするコードをObject_ID.java
ファイルに追加します。このファイルは、gensrc
ディレクトリからsrc
ディレクトリに移動する必要があります。
インライン・サービスでオブジェクトおよび文字列を検索する手順は、次のとおりです。
メニューで「Search」→「Search」を選択して手順を開始します。
「Inline Service Search」タブをクリックします。
検索文字列を入力し、必要に応じて検索条件を絞り込みます。
オブジェクトIDと任意の文字列を組み合せて検索できます。
インライン・サービス検索では、デフォルトでは大文字と小文字は区別されません。必要に応じて、次に示す検索オプションを1つ以上選択できます。
Case sensitive: 入力された式を検索する際に、大文字と小文字が区別されます。
Match whole words only: 長い語の一部ではなく独立した語として式が存在する場合のみ検索されます。
Regular expression: 検索文字列としてJava正規表現を使用します。
「Search」をクリックします。
結果は「Search」ビューに表示されます。
インライン・サービスは、Decision Studioのプロジェクトとして構築されます。
この項の内容は次のとおりです。
新しいインライン・サービスを開始するには、「File」→「New Inline Service Project」を選択して、プロジェクトを開始します。リストからテンプレートを選択してプロジェクトの名前を指定し、「Finish」をクリックしてプロジェクトを作成します。
テンプレートのリストには、Oracle RTDインストールで提供されるテンプレートと任意のユーザー定義テンプレートが含まれます。
既存のプロジェクトを開く場合、「File」→「Import」を選択してプロジェクトをインポートします。メタデータを以前のバージョンから更新する必要がある場合は、アップグレードするよう求められます。
インライン・サービスからテンプレートを作成するには、「File」→「Export」を選択してプロジェクトをテンプレートにエクスポートします。エクスポート・タイプは「Inline Service Template」を選択します。テンプレートは、インライン・サービスのプリファレンスで定義された場所に保存されます。プリファレンスにアクセスするには、「Window」→「Preferences」→「Inline Services」を選択します。入力されたディレクトリは、ファイル・システム上でテンプレートが保存される場所になります。
デプロイされているインライン・サービスをダウンロードするには、「Project」→「Download」を選択します。また、ツールバーの「Download」アイコンを使用してもReal-Time Decision Serverからダウンロードできます。
デプロイされているインライン・サービスを変更する場合は、その変更と、ビジネス・ユーザーにより行われている可能性のある変更の両方が失われないよう、次の手順に従うことが重要です。次の方法を使用します。
デプロイされている目的のインライン・サービスを編集しているビジネス・ユーザーがいないことを確認します。
ダウンロードする場合は必ずインライン・サービスをロックして、編集中にビジネス・ユーザーが変更できないようにします。
Decision Studioで変更作業を行います。
インライン・サービスを再デプロイしてロックを解除します。
インライン・サービスがロックされている間、ビジネス・ユーザーはそのデプロイされているインライン・サービスを表示できますが、編集はできません。
インライン・サービスをDecision Studioからデプロイする場合は、デプロイ・ダイアログでデプロイの状態を選択します。Decision Studioには、「Development」、「QA」および「Deployment」の3つのデプロイの状態があります。システム管理者はJConsoleを使用して、さらにデプロイの状態を追加できます。
「Test」ビューでインライン・サービスをテストする場合、最後のデプロイ状態がテストされます。
サンプル・プロジェクトはRTD_HOME
\examples
ディレクトリにあり、インポートして使用できます。このディレクトリには、Cross Sellインライン・サービスが含まれます。
Cross Sellインライン・サービスは、クレジット・カードのコンタクト・センターにおける簡単な実装をシミュレートします。センターで電話を受けると、顧客および連絡先チャネルに関する情報が入力されます。
既知の顧客情報に基づき、この顧客に対する抱合せ販売のオファーが提供されます。オファーの成否が追跡され、サーバーに返されます。これにより、基になる意思決定モデルがその機能の正確性の向上に役立つフィードバックを得て、より的確な抱合せ販売のオファーを実行できるようになります。
Cross Sellインライン・サービスでは、次を含めてOracle RTDの多くの機能が使用されています。
キー・パフォーマンス・インディケータ(KPI)による意思決定プロセスの推進
経費削減や売上増加などの競合するKPIの最適化
正しい意思決定を行うためにグラフィカルなルールベース型スコアリングの使用
最良の意思決定を予測するために分析的な自己学習モデルの使用
ただし、Cross Sellプロジェクトに表示されるいくつかの機能は、シミュレーション専用であるので注意してください。これらはサンプルの中で明示的に示しているので、本番のインライン・サービスでは使用しないでください。
Cross Sellサンプルは、プロジェクトをインポートすることで表示できます。このプロジェクトは、RTD_HOME
\examples\CrossSell
にあります。プロジェクトをインポートしたら、各要素をダブルクリックしてその要素のエディタを表示することで、表11-4に示す機能を表示できます。
表11-4 Cross Sellサンプルのインライン・サービスの機能
機能 | 要素名 | 説明 |
---|---|---|
複数のKPI |
Performance Goals |
Cross Sellインライン・サービスは、組織の収益の最大化と経費削減の両方を最適化するように設計されています。 |
動的な顧客データ |
Data Source/CustomerDataSourceEntity/Customer |
データソースとエンティティを組み合せると、顧客に提示するオファー・タイプの意思決定を支援する顧客データにアクセスできます。 エンティティは、1つまたは複数のデータソースを、インライン・サービスの重要な単位を表すオブジェクトにマップする手段を提供するオブジェクトです。 エンティティを介してアクセスされるデータはセッション固有です。 |
抱合せ販売および顧客維持のためのオファー |
Choices |
拡張可能なオファーは「Choices」の下にまとめられています。これらのオファーには、抱合せ販売のオファーを意図したものも、顧客維持率の向上を意図したものもあります。各オファーの「Score」タブを開くと、オファーに割り当てられている評価のスコアが表示されます。スコアは、パフォーマンス目標(RevenueやRetention)ごとに用意されています。一部のオファー(たとえば、all Credit Cards)は、親の選択肢グループからスコアリングを引き継ぎます。これは、このグループ内のすべてのオファーが同様にスコアリングされることを示します。この場合、スコアはProfit Marginを受入れ確率で乗算して計算されます。 その他のオファー(Reduced Interest Rateなど)は、ルールを使用して計算します。Reduced Interest Rateの収益目標には、組織の収益が赤字を示す場合、実際に負の値がスコアリングされます。 |
スコアリング・ルール |
Scoring Rules/Reduced Interest Rate |
スコアリング・ルールは、顧客に関する情報など、セッション・データを使用してオファーを動的にスコアリングする方法です。 |
母集団のセグメント |
Filtering Rules/Segment to Retain |
フィルタリング・ルールを使用して母集団をセグメント化できます。このルールにより、顧客維持オファーに適するグループと、抱合せ販売の対象となるグループの2つのグループが出力されます。顧客が6回以上の放棄呼を受け、かつ2年を超えて顧客であり続けた場合、その顧客は維持オファーのグループにフィルタリングされます。 |
母集団のセグメントによる意思決定の重み付け |
Decisions/OfferDecision |
「Decision」要素を使用して、競合するパフォーマンス・メトリック全体で意思決定プロセスの重み付けを行うことができます。このサンプルでは、顧客維持プロファイルに一致する母集団のセグメントに対して、Customer Retentionのスコアが高いオファーを重みの高い優先度に設定します。 |
編成プロセスへの統合 |
Integration Points |
統合点は、情報を収集したり(IVRから顧客に関する情報を収集するCallStartなど)、外部システムに情報を提供したりすることによって(顧客に対する最高スコアのオファーをCRMシステムに提供するOfferRequestなど)、外部のシステムおよびプロセスと接するサイトです。 OfferResponse統合点には |
警告: インライン・サービスの負荷生成スクリプトが実行されているときの時間の経過をシミュレートするために、Application.java でcurrentTimeMillis メソッドがオーバーライドされています。Cross Sellを本番のインライン・サービスのベースとして使用する場合、次のオーバーライド・ファイルを削除する必要があります。
RTD_HOME\examples\CrossSell\src\com\sigmadynamics\sdo\
Application.java
詳細は、第11.2.8項「生成済コードの上書き」を参照してください。 |
Cross Sellインライン・サービスをデプロイしてデータをロードする準備ができました。インライン・サービスをデプロイしたら、RTD_HOME
\scripts\loadgen.cmd
を実行してLoad Generatorを開きます。そこで「Open an existing Load Generator script」を選択して、RTD_HOME
\examples\CrossSell\etc\LoadGen.xml
にブラウズします。最後に、スクリプトを実行します。
このスクリプトでは、シミュレーション上の顧客データを取得してインライン・サービスを実行します。データおよび検出された相関関係は、Decision Centerで表示できます。
Decision Studioの以前のバージョンのインライン・サービスを開いても、プロジェクトとして作成されません。これをプロジェクトとして開くには、新しいインライン・サービス・プロジェクトを開始してから、「Create project at external location」を選択して、ファイル・システム上の対象ファイルを探します。
これにより、以前のバージョンのインライン・サービスがDecision Studio 2.2プロジェクトに変換されます。
インライン・サービスを作成する場合、プロジェクトはファイル・システム上の任意の場所に作成できます。使用しやすいように、すべてのプロジェクトは1つのディレクトリに保存することをお薦めします。デフォルトのワークスペースは、C:\Documents and Settings\
user_name
\Oracle RTD Studio
です。
インライン・サービスを保存すると、そのディレクトリ名はインライン・サービス名と同じになります。インライン・サービスには、次のディレクトリ構造が作成されます。
表11-5 インライン・サービスのディレクトリ構造
ディレクトリ名 | 説明 |
---|---|
|
インライン・サービスのコンパイル済クラス |
|
Decision CenterのカスタムJSP用フォルダ カスタムJSPは、 次に例を示します。
|
|
インライン・サービス関連の様々なファイルが配置されオプションのディレクトリ。次に例を示します。
インライン・サービスがデプロイされる際に、このディレクトリはReal-Time Decision Serverに送信されません。 |
|
インライン・サービスの生成済ソース・コードの場所 |
|
インライン・サービスのメタデータ |
|
インライン・サービスの生成済コードを上書きするソース・コード |
インライン・サービスは、Decision Studioを使用して構成およびデプロイされます。要素がプロジェクトに追加され、機能ロジックを含むJavaスクリプトレットが特定の要素に追加されます。インライン・サービスを保存すると、XMLメタデータが作成されてJavaコードが生成され、Real-Time Decision Serverにデプロイされて、ここでインライン・サービスが実行されます。
この項の内容は次のとおりです。
監視では、インライン・サービスはビジネスに関するデータが収集される収集ポイントに焦点を当てます。このデータにおける傾向と相関関係の洞察および検出は、将来の動向を予測し、変化の結果を予想する自己学習モデルによって行われます。このタイプのインライン・サービスをオブザーバといいます。
これらの検出はシン・クライアントであるDecision Centerに公開されます。Decision Centerでは、ビジネス・ユーザーがこれらの洞察を使用して意思決定を行います。またビジネス・ユーザーは、Decision Centerを使用してインライン・サービスの管理および最適化も実行します。
ビジネス・プロセスのアドバイスの実行では、主要な意思決定ポイントおよび収集ポイントでインライン・サービス間が接続されます。意思決定ポイントとは、全体的なビジネス・プロセスにおいて、製品の推奨や顧客維持オファーの提示など、主要なビジネス上の意思決定が行われる場所です。最初に収集ポイントでデータが集められ、自己学習モデルを使用して検出され、組織の実現目標としているパフォーマンス・メトリックに従って選択肢がスコアリングされます。インライン・サービスにより、ビジネス・プロセスの意思決定ポイントで、最高スコアの選択肢が提示されます。フィードバックを介してこれらの選択肢の成功レベルがインライン・サービスに返されると、より適切な選択肢を提示するようにモデルの機能が向上します。このタイプのインライン・サービスをアドバイザといいます。