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Oracle Application Server Adapter for SAPユーザーズ・ガイド
10g (10.1.3.1.0)
B31893-01
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1 概要

Oracle Application Serverは、Oracle Application Server Adapter for MySAP ERP(OracleAS Adapter for mySAP ERP)を介してMySAP ERPシステムに接続します。 OracleAS Adapter for mySAP ERPは接続性を提供し、MySAP ERPシステム上で相互作用を実行します。この章の項目は次のとおりです。

アダプタの機能

OracleAS Adapter for mySAP ERPはリモート・ファンクション・コール・アダプタで、SAP Enterprise Central Component(ECC)5.0/6.0システムと他のアプリケーション、データベースまたは外部ビジネス・パートナ・システムとの間でリアルタイムのビジネス・データを交換する手段を提供します。 このアダプタによって、外部アプリケーションでは、mySAP ERPとのインバウンドおよびアウトバウンド処理が可能になります。 OracleAS Adapter for mySAP ERPは、J2EE Connector Architecture(J2CA)バージョン1.0リソース・アダプタとしてデプロイできます。 このデプロイをOracleAS Adapter J2CAと呼びます。 また、Webサービス・サーブレットとしてもデプロイできるため、OracleAS Adapter Business Services Engine(BSE)とも呼ばれます。

OracleAS Adapter for mySAP ERPは、XMLメッセージを使用することで、非mySAP ERPアプリケーションがサービスとイベントを使用してMySAP ERPとの通信およびトランザクション交換を実行できるようにします。次に、これらのサービスとイベントの役割を概説します。 サービスとイベントは次のとおりです。

イベント機能をサポートするために、次の2つの機能が実装されています。

OracleAS Adapter for mySAP ERPが提供する内容は、次のとおりです。

データ型の制限: データ型hおよびgはサポートされていません。 データ型hはディープ構造を表します。 データ型gは可変長の文字列を表します。 SAPRFC.Hで定義されたRFCTYPE_XSTRINGおよびRFCTYPE_XMLDATAは、RFCプロトコルの制限のためにサポートされません。


関連項目:

『Oracle Application Server Adapter 概要』

サポートされるバージョンとプラットフォーム

次のMySAP ERPプラットフォームがOracleAS Adapter for mySAP ERPによってサポートされます。

  • SAP R/3 Enterprise 47x100

  • SAP R/3 Enterprise 47x200

  • SAP NetWeaver 2004にデプロイされたmySAP ERP Central Component(ECC)5.0

  • SAP NetWeaver 2004にデプロイされたmySAP ERP Central Component(ECC)6.0

  • SAP Java Connector(SAP JCo)バージョン2.18

    SAP Java Connectorの現行のリリース・ステータスについては、SAP Service MarketplaceでSAPノート549268を参照してください。


注意:

リリースのバージョンは、製品コンポーネントにより異なる場合があります。またSAP機能は、SAP製品のバージョンおよびサポート・パッケージにより異なる場合があります。

ABAP用の従来のSAPテクノロジ

OracleAS Adapter for mySAP ERPは、既存のビジネス・プロセスをサポートするために使用されるRemote Function Call(RFC)モジュール、BAPI(Business Application Programming Interfaces)、IDoc(Intermediate Documents)などのMySAP ERPインタフェースに対する標準アクセスを提供するように設計されています。

このアダプタがサポートするのは、従来のSAPテクノロジでアクセスするEnterprise Central Component(ECC)のみです。 追加のSAP機能とコンポーネントに対するサポートが必要な場合は、iWayソフトウェア販売担当に問い合せてください。

ビジネス・コンポーネントとメソッドは、アダプタではMySAP ERPのリクエストとして使用でき、イベント・アダプタではSAPがリモート・リクエストを起動したときに使用可能となり、次のように動作します。

MySAP ERPとの統合

OracleAS Adapter for mySAP ERPを使用すると、アカウントの追加/更新などのMySAP ERPビジネス・プロセスを起動できます。また、このアダプタは、MySAP ERPシステムと非MySAP ERPシステムを接続するための統合の一部として使用できます。すべての関数は同期で処理されますが、ALE IDocのすべてのコンテンツは非同期です。サービス・モードでは、OracleAS Adapter for mySAP ERPはBAPI、RFCまたはALEインタフェースを使用してSAPにリクエストを送信できます。

このアダプタは、使用中のMySAP ERPのIDoc、RFCおよびBAPIと基幹MySAP ERPシステム・アプリケーションおよびその他の企業アプリケーションを迅速かつ容易に統合します。アダプタの利点は次のとおりです。

イベント処理時に、アダプタはMySAP ERPからRFCとIDocを直接受信します。 MySAP ERPシステムは、特定のイベントが発生したときにIDocまたはRFCを論理システム(この場合はアダプタ)に送信するように構成できます。 MySAP ERPによって送信される出力は、次のいずれかの形式になります。

アダプタのアーキテクチャ

OracleAS Adapter for mySAP ERPは、Application Explorerおよび次のいずれかのコンポーネントとともに動作します。

Application Explorer(SAP接続の構成とWebサービスおよびイベントの作成に使用)は、Webサービス環境でBSEとともに動作するように構成できます。 J2CA環境で動作している場合、コネクタはCommon Client Interface(CCI)を使用してWebサービスのかわりにアダプタを使用した統合サービスを提供します。

Oracle Application Server Adapter Business Services Engine(BSE)のアーキテクチャ

図1-1に、パッケージされたアプリケーション用のBSEの汎用アーキテクチャを示します。 Application Explorerは、BSEとともに、Oracle Application ServerのOracle Containers for J2EE(OC4J)コンテナにデプロイされて動作します。

Application ExplorerはBSEとともにデプロイされる設計時ツールで、アダプタ接続の構成、EISオブジェクトの参照、サービスの構成、およびEISイベントをリスニングするためのリスナーの構成を行うために使用されます。これらの操作の実行中に作成されるメタデータは、BSEによりリポジトリに格納されます。

BSEはプロトコルとしてSOAPを使用し、クライアントからのリクエストを受信し、EISと相互作用してEISからのレスポンスをクライアントに送信します。

BSEはファイルベースのリポジトリとOracleデータベース・リポジトリの両方をサポートします。 BSEリポジトリには、EIS接続情報とアダプタ・サービス用のWeb Service Definition Language(WSDL)が格納されます。単一のBSEインスタンスで複数のEISアプリケーションに接続できます。


注意:

本番環境では、BSE用のファイル・リポジトリを使用しないでください。

図1-1 Oracle Application Server Adapter Business Services(BSE)のアーキテクチャ

Adapter Business Servicesのアーキテクチャ
「図1-1 Oracle Application Server Adapter Business Services(BSE)のアーキテクチャ」の説明

Oracle Application Server Adapterの汎用J2CAアーキテクチャ

図1-2に、パッケージされたアプリケーション用のOracleAS Adapter J2CAの汎用アーキテクチャを示します。 これは、管理モードでOracle Application ServerのOC4Jコンテナにデプロイされた純正のJ2CA 1.0リソース・アダプタです。これはユニバーサル・アダプタで、1つのアダプタで複数のEISアプリケーションに接続できます。

OracleAS Adapter J2CAリポジトリには、EIS接続名のリストと関連する接続パラメータのリストが含まれています。このリポジトリはファイル・システムでもOracleデータベースでもかまいません。リポジトリはRARファイルとしてデプロイされ、ra.xmlと呼ばれるデプロイメント・ディスクリプタが関連付けられます。 OC4Jデプロイメント識別子oc4j-ra.xmlを編集して複数のコネクション・ファクトリを作成できます。 OC4Jのデプロイの詳細は、第3章「OC4Jのデプロイおよび統合」を参照してください。

図1-2 Oracle Application Server Adapterの汎用J2CAアーキテクチャ

汎用JCAアーキテクチャ
「図1-2 Oracle Application Server Adapterの汎用J2CAアーキテクチャ」の説明


関連項目:

  • 『Oracle Application Server Adapter 概要』

  • 『Oracle Application Server Adapter インストレーション・ガイド』


BSEとOracleAS Adapter J2CAデプロイの比較

OracleAS Adapter for mySAP ERPをBPEL Process Managerとともに使用している場合は、次の点に注意してください。

次の3つの要素は、BSEとOracleAS Adapter J2CAのデプロイの相違を説明しています。 これらの要素を理解すると、デプロイ・オプションの選択に役立ちます。

  1. 次の理由から、デプロイ・オプションとしてBSEを選択することをお薦めします。

    • Oracle Application Serverの個別のインスタンスにデプロイ可能

    • ロードの分散が効率的

    • サード・パーティのライブラリからのエラーの影響を受けにくい

    • デバッグ目的で問題を明確にする機能に優れている

    • アプリケーション構築のためのサービス指向アーキテクチャ(SOA)に準拠している

  2. OracleAS Adapter J2CAの方が多少パフォーマンスに優れています。

    OracleAS Adapter J2CAはBSEより多少パフォーマンスに優れています。 ただし、トランザクション率が増加するとその差異は小さくなります。

  3. OracleAS Adapter J2CAとBSEオプションでは両方とも、実行時に識別情報の伝播が提供されます。

    BSEオプションには、SOAPヘッダーを使用して識別情報を渡す機能があります。 OracleAS Adapter J2CAの場合は、CCIの接続仕様を使用してユーザー名とパスワードを渡すことができます。