Oracle Application Serverは、Oracle Application Server Adapter for MySAP ERP(OracleAS Adapter for mySAP ERP)を介してMySAP ERPシステムに接続します。 OracleAS Adapter for mySAP ERPは接続性を提供し、MySAP ERPシステム上で相互作用を実行します。この章の項目は次のとおりです。
OracleAS Adapter for mySAP ERPはリモート・ファンクション・コール・アダプタで、SAP Enterprise Central Component(ECC)5.0/6.0システムと他のアプリケーション、データベースまたは外部ビジネス・パートナ・システムとの間でリアルタイムのビジネス・データを交換する手段を提供します。 このアダプタによって、外部アプリケーションでは、mySAP ERPとのインバウンドおよびアウトバウンド処理が可能になります。 OracleAS Adapter for mySAP ERPは、J2EE Connector Architecture(J2CA)バージョン1.0リソース・アダプタとしてデプロイできます。 このデプロイをOracleAS Adapter J2CAと呼びます。 また、Webサービス・サーブレットとしてもデプロイできるため、OracleAS Adapter Business Services Engine(BSE)とも呼ばれます。
OracleAS Adapter for mySAP ERPは、XMLメッセージを使用することで、非mySAP ERPアプリケーションがサービスとイベントを使用してMySAP ERPとの通信およびトランザクション交換を実行できるようにします。次に、これらのサービスとイベントの役割を概説します。 サービスとイベントは次のとおりです。
イベント機能をサポートするために、次の2つの機能が実装されています。
ポート: ポートは、アダプタによって公開された特定のビジネス・オブジェクトを特定の配置に関連付けます。配置により、イベント・データのプロトコルと位置が定義されます。 このポートによって、イベント使用のエンド・ポイントが定義されます。
ポートは、企業情報システム(EIS)から受け取ったイベントをアダプタ・クライアントに送信するOracleアダプタ・コンポーネントです。
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注意: BPEL Process Managerで使用するためにポートを作成または構成する必要はありません。 ただし、このリリースでは、J2CA構成下でイベント・スキーマをポートに関連付けることができます。 |
ポート検証機能は現在使用できません。
チャネル: チャネルは、バックエンド・システムまたは他のタイプのシステムの特定インスタンスへの構成済接続を表します。チャネルにより、1つ以上のイベント・ポートがアダプタで管理されている特定のリスナーにバインドされます。
チャネルは、EISアプリケーションからリアルタイムでイベントを受信するアダプタ・コンポーネントです。このチャネル・コンポーネントには、ファイル・リーダー、HTTPリスナー、TCP/IPリスナー、FTPリスナーなどがあります。
チャネルは常にEIS固有です。アダプタでは、特定のEISに対して複数のチャネルがサポートされます。このため、ユーザーはデプロイメント要件に基づいて最適なチャネル・コンポーネントを選択できます。このアダプタの場合のチャネルはRFCサーバーです。
OracleAS Adapter for mySAP ERPが提供する内容は、次のとおりです。
双方向メッセージ相互作用のサポート。
OracleAS Adapter Application Explorer(Application Explorer)。MySAP ERPオブジェクト・リポジトリ・メタデータを使用してXMLスキーマを構築し、Webサービスを使用してアダプタ・リクエストまたはイベント・データを処理するGUIツールです。
MySAP ERPに対するRemote Function Call(RFC)、Business Application Programming Interfaces(BAPI)およびIntermediate Documents(IDoc)インタフェースのサポート。
J2CA 1.0リソース・アダプタ用のXMLスキーマ。
BSE用のWebサービス。
データ型の制限: データ型hおよびgはサポートされていません。 データ型hはディープ構造を表します。 データ型gは可変長の文字列を表します。 SAPRFC.Hで定義されたRFCTYPE_XSTRINGおよびRFCTYPE_XMLDATAは、RFCプロトコルの制限のためにサポートされません。
次のMySAP ERPプラットフォームがOracleAS Adapter for mySAP ERPによってサポートされます。
SAP R/3 Enterprise 47x100
SAP R/3 Enterprise 47x200
SAP NetWeaver 2004にデプロイされたmySAP ERP Central Component(ECC)5.0
SAP NetWeaver 2004にデプロイされたmySAP ERP Central Component(ECC)6.0
SAP Java Connector(SAP JCo)バージョン2.18
SAP Java Connectorの現行のリリース・ステータスについては、SAP Service MarketplaceでSAPノート549268を参照してください。
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注意: リリースのバージョンは、製品コンポーネントにより異なる場合があります。またSAP機能は、SAP製品のバージョンおよびサポート・パッケージにより異なる場合があります。 |
OracleAS Adapter for mySAP ERPは、既存のビジネス・プロセスをサポートするために使用されるRemote Function Call(RFC)モジュール、BAPI(Business Application Programming Interfaces)、IDoc(Intermediate Documents)などのMySAP ERPインタフェースに対する標準アクセスを提供するように設計されています。
このアダプタがサポートするのは、従来のSAPテクノロジでアクセスするEnterprise Central Component(ECC)のみです。 追加のSAP機能とコンポーネントに対するサポートが必要な場合は、iWayソフトウェア販売担当に問い合せてください。
ビジネス・コンポーネントとメソッドは、アダプタではMySAP ERPのリクエストとして使用でき、イベント・アダプタではSAPがリモート・リクエストを起動したときに使用可能となり、次のように動作します。
Business Application Programming Interfaces(BAPI)は、SAPコンポーネント同士、またはSAPコンポーネントとサード・パーティ製コンポーネントをリンクするのに使用するビジネス・フレームワーク内のインタフェースです。BAPIは同期してコールされ、情報を戻します。
Remote Function Call(RFC)モジュールは、クライアントがSAPテクノロジを起動してレスポンスを受信できるようにするSAPアプリケーション・インタフェースです。
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注意: インストールされているリリースまたはサービス・パックによっては、使用しているMySAP ERPシステムに特定のRFC(RFC_CUSTOMER_GETなど)がない可能性があります。 このため、このドキュメントに記載されている例が使用中のシステムに該当しない場合があります。 その場合、この例はアダプタ機能の一般的な参考情報として使用し、使用中のMySAP ERPアプリケーション環境内に存在するRFCを選択してください。SAPリリース・ノート109533に記載されているように、SAP関数モジュール(RFC)は異なるリリース・ステータスで配布される可能性があります。 SAPでは、「Released for Customer」ステータスのRFCのみをサポートします。インタフェースのリリースからの独立性とモジュールの存在および機能の継続性に関する報告はありません。 特定の関数モジュールのステータスの詳細は、SAP Service Marketplaceに問い合せてください。 |
Intermediate Documents(IDoc)は、異なるビジネス・プロセスに対応する「論理メッセージ」です。これにより、異なるアプリケーション・システムがメッセージベース・インタフェースによってリンクできます。IDocタイプは、ビジネス・トランザクションのデータ転送に使用するSAPフォーマットを示します。IDocはIDocタイプの形式で表された実際のビジネス・プロセスで、いくつかのメッセージ・タイプを転送できます。IDocタイプは次のコンポーネントにより記述されます。
制御レコード: 制御レコードには、送信者、受信者およびIDoc構造を示すデータが含まれています。IDocには制御レコードが1つ含まれています。
データ・レコード: データ・レコードは、一定の管理部分とデータ部分(セグメント)で構成されています。セグメントの個数とフォーマットは各IDocタイプで異なる可能性があります。
ステータス・レコード: ステータス・レコードは、IDocが通過する処理段階を表しています。次の事例はIDocの機能とコンポーネントの例です。
発注番号4711はIDoc番号0815としてベンダーに送信されました。IDoc番号0815は、IDocタイプORDERS01で書式設定され、ステータス・レコードは「created」と「sent」です。 この発注は論理メッセージORDERSに対応しています。
OracleAS Adapter for mySAP ERPを使用すると、アカウントの追加/更新などのMySAP ERPビジネス・プロセスを起動できます。また、このアダプタは、MySAP ERPシステムと非MySAP ERPシステムを接続するための統合の一部として使用できます。すべての関数は同期で処理されますが、ALE IDocのすべてのコンテンツは非同期です。サービス・モードでは、OracleAS Adapter for mySAP ERPはBAPI、RFCまたはALEインタフェースを使用してSAPにリクエストを送信できます。
このアダプタは、使用中のMySAP ERPのIDoc、RFCおよびBAPIと基幹MySAP ERPシステム・アプリケーションおよびその他の企業アプリケーションを迅速かつ容易に統合します。アダプタの利点は次のとおりです。
カスタム・コーディングの必要性の排除。
一貫性のあるデータ表記。
イベント・データの標準XML表記およびMySAP ERPのリクエスト/レスポンス・ドキュメントを提供します。これによって、開発者は、MySAP ERPインタフェース(BAPI、RFC、IDoc)の具体的な詳細情報やターゲットMySAP ERPシステムの構成の詳細から解放されます。
SAP AGによって公開されたMySAP ERP ABAPシリアライズ・ルールおよびMySAP ERP Interface Repository標準の順守。
イベント処理時に、アダプタはMySAP ERPからRFCとIDocを直接受信します。 MySAP ERPシステムは、特定のイベントが発生したときにIDocまたはRFCを論理システム(この場合はアダプタ)に送信するように構成できます。 MySAP ERPによって送信される出力は、次のいずれかの形式になります。
OracleAS Adapter for mySAP ERPは、Application Explorerおよび次のいずれかのコンポーネントとともに動作します。
Application Explorer(SAP接続の構成とWebサービスおよびイベントの作成に使用)は、Webサービス環境でBSEとともに動作するように構成できます。 J2CA環境で動作している場合、コネクタはCommon Client Interface(CCI)を使用してWebサービスのかわりにアダプタを使用した統合サービスを提供します。
Oracle Application Server Adapter Business Services Engine(BSE)のアーキテクチャ
図1-1に、パッケージされたアプリケーション用のBSEの汎用アーキテクチャを示します。 Application Explorerは、BSEとともに、Oracle Application ServerのOracle Containers for J2EE(OC4J)コンテナにデプロイされて動作します。
Application ExplorerはBSEとともにデプロイされる設計時ツールで、アダプタ接続の構成、EISオブジェクトの参照、サービスの構成、およびEISイベントをリスニングするためのリスナーの構成を行うために使用されます。これらの操作の実行中に作成されるメタデータは、BSEによりリポジトリに格納されます。
BSEはプロトコルとしてSOAPを使用し、クライアントからのリクエストを受信し、EISと相互作用してEISからのレスポンスをクライアントに送信します。
BSEはファイルベースのリポジトリとOracleデータベース・リポジトリの両方をサポートします。 BSEリポジトリには、EIS接続情報とアダプタ・サービス用のWeb Service Definition Language(WSDL)が格納されます。単一のBSEインスタンスで複数のEISアプリケーションに接続できます。
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注意: 本番環境では、BSE用のファイル・リポジトリを使用しないでください。 |
図1-1 Oracle Application Server Adapter Business Services(BSE)のアーキテクチャ

Oracle Application Server Adapterの汎用J2CAアーキテクチャ
図1-2に、パッケージされたアプリケーション用のOracleAS Adapter J2CAの汎用アーキテクチャを示します。 これは、管理モードでOracle Application ServerのOC4Jコンテナにデプロイされた純正のJ2CA 1.0リソース・アダプタです。これはユニバーサル・アダプタで、1つのアダプタで複数のEISアプリケーションに接続できます。
OracleAS Adapter J2CAリポジトリには、EIS接続名のリストと関連する接続パラメータのリストが含まれています。このリポジトリはファイル・システムでもOracleデータベースでもかまいません。リポジトリはRARファイルとしてデプロイされ、ra.xmlと呼ばれるデプロイメント・ディスクリプタが関連付けられます。 OC4Jデプロイメント識別子oc4j-ra.xmlを編集して複数のコネクション・ファクトリを作成できます。 OC4Jのデプロイの詳細は、第3章「OC4Jのデプロイおよび統合」を参照してください。
図1-2 Oracle Application Server Adapterの汎用J2CAアーキテクチャ

OracleAS Adapter for mySAP ERPをBPEL Process Managerとともに使用している場合は、次の点に注意してください。
BPEL Process Managerとのインバウンド統合(イベント通知)をサポートしているのは、OracleAS Adapter J2CAのデプロイのみです。
BPEL Process Managerとのアウトバウンド統合(リクエスト/レスポンス・サービス)は、OracleAS Adapter J2CAとBSEの両方のデプロイがサポートしています。
次の3つの要素は、BSEとOracleAS Adapter J2CAのデプロイの相違を説明しています。 これらの要素を理解すると、デプロイ・オプションの選択に役立ちます。
次の理由から、デプロイ・オプションとしてBSEを選択することをお薦めします。
Oracle Application Serverの個別のインスタンスにデプロイ可能
ロードの分散が効率的
サード・パーティのライブラリからのエラーの影響を受けにくい
デバッグ目的で問題を明確にする機能に優れている
アプリケーション構築のためのサービス指向アーキテクチャ(SOA)に準拠している
OracleAS Adapter J2CAの方が多少パフォーマンスに優れています。
OracleAS Adapter J2CAはBSEより多少パフォーマンスに優れています。 ただし、トランザクション率が増加するとその差異は小さくなります。
OracleAS Adapter J2CAとBSEオプションでは両方とも、実行時に識別情報の伝播が提供されます。
BSEオプションには、SOAPヘッダーを使用して識別情報を渡す機能があります。 OracleAS Adapter J2CAの場合は、CCIの接続仕様を使用してユーザー名とパスワードを渡すことができます。