Oracle HTTP Server 管理者ガイド
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この章では、Oracle HTTP Serverについて、Oracle製品とその基礎となるオープン・ソースのApache製品の違いを重点的に説明します。また、サーバーの起動、停止および再起動の方法についても説明します。
内容は、次のとおりです。
該当する場合は、Apache Software Foundationのマニュアルを参照しています。
Oracle HTTP ServerはOracle Application ServerのWebサーバー・コンポーネントです。Apacheインフラストラクチャに基づいて、開発者はOracle HTTP Serverを使用し、Perl(mod_perl
およびCGI経由)、C(CGIおよびFastCGI経由)、C++(FastCGI経由)、PHP、OracleのPL/SQLなど、様々な言語およびテクノロジでサイトをプログラミングできます。また、Oracle HTTP Serverは、フォワード・プロキシ・サーバーにも、リバース・プロキシ・サーバーにもなります。さらに、シングル・サインオン機能、クラスタ化された配置、および高可用性により、Oracle HTTP Serverの動作は拡張されます。
Oracle HTTP Serverのコードは、Apache 1.3 Web Server(http://www.apache.org)に基づいています。このような検証済コードベースにより、Oracle HTTP ServerではWebサーバーに要求される安定性、柔軟性、およびスケーラビリティをOracle Application Serverの顧客に提供しています。
Webサイトを安全に運用するには、Secure Sockets Layerが必要です。Oracle HTTP Serverでは、業界標準の特許アルゴリズムに基づいたSSL暗号化をサポートしています。SSLは、Internet ExplorerおよびNetscapeの両方のブラウザとシームレスに連動します。また、そのインフラストラクチャは、データベース・ユーザーと同じWallet情報を共有するようにアップグレードされています。機能は次のとおりです。
Oracle HTTP Serverでは、HTTPサーバーの標準Basic認証機能をサポートしています。ここで使用されるユーザー名およびパスワードのソースはフラット・ファイル(暗号化パスワードを使用)です。また、モジュールmod_osso
が組み込まれ、シングル・サインオンをサイト間およびアプリケーション間でサポートしています。これにより、エンド・ユーザーは1回しかログインする必要がないため、その使用感は大幅に向上します。また、セキュリティの大部分が宣言的であるため、開発サイクルは一層簡単になります。
仮想ホスト機能により、HTTPサーバーは1つのIPアドレスで複数のドメイン名を処理できます。このため、仮想ホストwww.north.com
はwww.south.com
と同じIPアドレスを保持する場合があります。Oracle HTTP Serverは、仮想ホストにコンテナ環境を提供し、ファイルの取得先となる場所に加えて、独自のセキュリティ・セットおよびその他の構成ディレクティブを仮想ホストに提供しています。これにより、何百何千ものサイトをOracle HTTP Serverの1つのランタイム・インスタンスから取得することが可能になり、ISPはハードウェアおよび管理のコストを節減することができます。1つのIPアドレスでは、1つの仮想ホストのみがSSLに対応できます。Oracle HTTP Serverは複数のIPアドレスをサポートでき、各IPアドレスは仮想ホストを1つのみ保持できます。
WebDAV(IETF規格)はHTTPベースのプロトコルです。このプロトコルを使用すると、MS OfficeやWindows ExplorerなどのDAV対応クライアントでサーバー上のファイルを編集できます。Apache Software Foundationでは、モジュールmod_oradav
を提供しています。このモジュールは、サーバー上のファイルベースのストレージをサポートします。この機能の提供に加えて、Oracle HTTP Serverにより、サーバー側ストアはデータベースまたは他のリポジトリになります。
有効なWebサイトは、頻繁に変化します。それに伴い、ディレクトリ構造およびURLも変化します。Oracle HTTP Serverは、URLリライティングをサポートするエンジンを組み込むことで、このような変化に簡単に対応できます。その結果、エンド・ユーザーは自分のブックマークを変更する必要がありません。また、リバース・プロキシ機能をサポートし、その結果、様々なサーバーで提供されるコンテンツを、1つのサーバーから表示されるようにすることが容易になります。
単独で使用可能なコンポーネントです。このコンポーネントにより、IISおよびSun ONEのWebサーバーはリクエストをOracle Application Serverにルーティングできます。ユーザーは、自分の会社の規格によりIISまたはSun ONEのWebサーバーの使用が求められる場合でも、すべてのOracle Application Serverの機能を利用できます。プロキシ・プラグインは、IISまたはSun ONEのWebサーバーの使用時にアクセスされる、シングル・サインオン、ロード・バランシングおよびAJPポート・トンネリングなどのOracle Application Serverの機能を提供します。
単独で使用可能なコンポーネントです。このコンポーネントにより、IISおよびSun ONEのWebサーバーとOracle Application Server Single Sign-Onを統合できます。シングル・サインオンのインフラストラクチャを使用して、IISおよびSun ONEのリスナー・アプリケーションを保護できるようになりました。また、シングル・サインオンのパスワード1つで、これらのリスナーに対してユーザーを認証できるようになりました。この機能は、mod_osso
がOracle HTTP Serverに提供する機能と類似しています。
単独で使用可能なコンポーネントです。このコンポーネントにより、IIS、Sun ONEおよびApache 1.3.xのWebサーバーはリクエストをOC4Jに直接ルーティングできます。この機能は、mod_oc4j
がOracle HTTP Serverに提供する機能と類似しています。
この機能により、Oracleデータベースに格納されているPL/SQLコードにアクセスできます。
JavaServer Pagesと似た概念で、このモジュールにより、PL/SQLをスクリプト言語としてHTMLページ内で使用できます。PL/SQL Server Pagesはストアド・プロシージャに変換され、前述の(PL/SQLストアド・プロシージャ用)モジュールを使用して出力情報をブラウザに送信します。
サーバー・サイド・インクルードにより、サイトの各ページで、動的コンテンツまたは均一な静的コンテンツを簡単に追加できます。通常、ヘッダーまたはフッターの情報に使用されます。Oracle HTTP Serverでは、特定のファイル・タイプまたは特定の仮想ホストに対してのみサーバー・サイド・インクルードを有効にする特別なディレクティブがサポートされています。
Perlは、動的コンテンツを提供するためによく使用されるスクリプト言語です。Perlは、CGIプログラムとしてコールすることも、mod_perl
から直接コールすることもできます。Oracle Application Serverでは、Perlバージョン5.6.1を使用します。
PHPは、オープン・ソースで広く使用されている汎用クライアント側スクリプト言語で、標準HTMLに埋め込まれます。この言語は、動的HTMLページの生成に使用されます。
CGIプログラムは、通常、Webアプリケーションのプログラミングに使用されています。Oracle HTTP Serverは、リクエストのライフサイクルよりも長く有効な状態に保つメカニズムを提供することでCGIプログラムを強化し、パフォーマンスを大幅に向上させます。
Dynamic Monitoring Service(DMS)メトリックは、Oracle HTTP ServerとOC4Jの両方のプロセスに関するランタイム・パフォーマンス統計を提供します。DMSは、アプリケーションの実行中に詳細なパフォーマンス統計を収集します。このデータを使用すると、重要なリクエストの処理フェーズの時間やステータス情報を監視できます。この情報により、パフォーマンスのボトルネックを見つけ、スループットを最大化しレスポンス時間を最小化するようにアプリケーションをチューニングできます。プロセス・メトリックの他にイベント情報も、Oracle Enterprise Managerから使用および表示できます。
Oracle Application Serverは、OC4JおよびOracle HTTP Serverのプロセスに対するプロセス管理、障害検出およびフェイルオーバーのために、Oracle Process Manager and Notification Server(OPMN)との高可用性インフラストラクチャ統合を提供します。
Oracle HTTP Serverには、mod_oc4j
というモジュールが組み込まれています。このモジュールは、クラスタ内のOC4Jインスタンスからのリクエストをルーティングします。OPMNにより、システム管理者が何も構成しなくても、mod_oc4j
インスタンスがシステム内のすべてのOC4Jを確実に把握できます。
Oracle HTTP Serverは、同一プロセス内で実行される複数のコンポーネントで構成されています。これらのコンポーネントが、クライアント・リクエストの処理時にOracle HTTP Serverにより提供される豊富な機能を提供しています。主なコンポーネントは、次のとおりです。
Oracle HTTP Serverに同梱されているモジュールを表1-1に示します。モジュールはWebサーバーの基本機能を拡張し、Oracle HTTP Serverとその他のOracle Application Serverのコンポーネントとの統合をサポートします。このリストは、Apacheオープン・ソースの配布版(Oracleモジュールが組み込まれている場合)とは異なるので注意してください。
モジュール | 注意 | モジュール | 注意 |
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使用不可 |
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Oracleモジュール |
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Oracleモジュール |
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Oracleモジュール |
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Oracleモジュール |
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Oracleモジュール |
Oracleモジュール |
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UNIXシステムのみ |
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Oracleモジュール |
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Oracleモジュール |
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UNIXシステムのみ |
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使用不可 |
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オラクル社は、次のOracle HTTP Serverの機能および状態について、テクニカル・サポートを提供しています。
Oracle HTTP Serverは、次の方法を使用して管理できます。
Oracle HTTP Serverは、次のコマンドライン・ツールを使用して管理できます。
プロセス管理に使用するOracle Process Manager and Notification Server(OPMN)のコマンドライン・ユーティリティを提供します。これは次の場所にあります。
Oracle HTTP Serverは、Oracle Process Manager and Notification Server(OPMN)により管理されます。opmnctlユーティリティを使用すると、サーバーを起動、停止および再起動できます。
Oracle HTTP Serverを起動、停止および再起動するには、常にOPMNを使用する必要があります。使用しない場合、構成管理インフラストラクチャでOracle HTTP Serverのプロセスの検出やプロセスとの通信ができず、問題が発生する可能性があります。
Oracle HTTP Serverの状態を判断するには、次のコマンドを使用します。
opmnctl status
各プロセスとともに、その現行の状態(Up、Downなど)が表示されます。
Oracle HTTP Serverを起動するには、startproc
コマンドを使用します。
ORACLE_HOME
/opmn/bin> opmnctl [verbose] startproc ias-component=HTTP_Server
ORACLE_HOME
¥opmn¥bin> opmnctl [verbose] startproc ias-component=HTTP_Server
Oracle HTTP Serverを停止するには、stopproc
コマンドを使用します。
ORACLE_HOME
/opmn/bin> opmnctl [verbose] stopproc ias-component=HTTP_Server
ORACLE_HOME
¥opmn¥bin> opmnctl [verbose] stopproc ias-component=HTTP_Server
Oracle HTTP Serverの再起動ではグレースフル・リスタートが実行され、再起動したことがクライアントには通知されません。グレースフル・リスタートでは、UNIX上でUSR1
シグナルが送信されます。プロセスは、このシグナルを受信すると、現行のリクエストを処理してから終了するように子プロセスに対して指示します。(リクエストの処理中でない子プロセスは即時に終了します。)
親プロセスは構成ファイルを再び読み取り、ログ・ファイルを再び開き、構成ファイルの再読取り時に検出された設定に従って子プロセスを新規の子プロセスに置換します。この場合、常に指定のプロセス作成設定(MaxClients
、MaxSpareServers
、MinSpareServers
)が監視され、現行サーバーの負荷が考慮されます。
Oracle HTTP Serverを再起動するには、restartproc
コマンドを使用します。
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