パブリックネットワークを変更する必要がある場合、この節を説明する手順を使用してください。
パブリックネットワークアダプタを管理する場合は、以下の点に注意してください。
アクティブアダプタからグループ内のバックアップアダプタに切り替える前に、NAFO グループのアクティブアダプタを構成解除 (取り外し) または停止しないようにする。詳細は、「NAFO グループのアクティブアダプタを切り替える」を参照してください。
個々の NAFO グループから削除する前に、バックアップアダプタを別のサブネットに配線しないようにする。
論理アダプタ操作は、グループで監視中の場合でもアクティブアダプタで行うことができる。
クラスタ内の各ノードについて、最低 1 つのパブリックネットワーク接続を維持しなければなりません。クラスタは、パブリックネットワーク接続がないとアクセスできません。
クラスタソフトウェアのインストール手順については、『Sun Cluster 3.0 ソフトウェアのインストール』を参照してください。パブリックネットワークのハードウェアコンポーネントの保守については、『Sun Cluster 3.0 Hardware Guide』を参照してください。
作業 |
参照箇所 |
---|---|
ノードで NAFO グループを作成します。 | |
パブリックネットワークの可用性向上のために、パブリックネットワークアダプタをノードに追加します。 | |
NAFO グループを削除し、グループ内のアダプタの監視やフェイルオーバーを解除します。 | |
既存の NAFO グループからバックアップアダプタを削除し、システムからのアダプタの削除、交換、異なるサブネットへの再接続、別の NAFO グループのバックアップとしての使用を可能にします。 | |
アクティブアダプタをバックアップアダプタに切り替え、現在のアクティブアダプタを NAFO グループから削除できるようにします。 | |
NAFO グループの状態を確認します。 | |
パラメータを変更し、PNM 障害検出およびフェイルオーバープロセスを調整します。 |
以下の NFAO グループの作成要件に注意してください。
すべてのパブリックネットワークアダプタは、NAFO グループに属するように構成する必要があります。
任意のノードについて、特定のサブネットに少なくとも 1 つの NAFO グループがあります。
NAFO グループのすべてのアダプタは、同じサブネットに接続する必要があります。
ホスト名を関連付けることができる、つまり /etc/hostname.adapter ファイルを持つアダプタは、NAFO グループで 1 つだけです。
パブリックネットワークアダプタは、1 つの NAFO グループにだけ属することができます。
NAFO グループに構成するノードでスーパーユーザーになります。
このノードについて、同じサブネットに物理的に接続されているパブリックネットワークアダプタを検出します。
これらのアダプタは、NAFO グループのバックアップアダプタになります。
パブリックネットワークアダプタ用に /etc/hostname.adapter ファイルを作成する必要があるかどうかを判断します。
作成する必要がない (ファイルがすでに存在する) 場合は、手順 5に進みます。
作成する必要がある (ファイルが存在しない) 場合は、ファイルを作成し、パブリックネットワークアダプタの IP アドレスのホスト名をファイルに追加します。次に例を示します。
# vi /etc/hostname.hme0 phys-schost-1 |
/etc/inet/hosts ファイルを編集し、パブリックネットワークアダプタに割り当てられている IP アドレスおよび対応するホスト名を追加します。
/etc/inet/hosts ファイルに追加された IP アドレス 192.29.75.101 およびホスト名 phys-schost-1 の例を以下に示します。
# vi /etc/inet/hosts 192.29.75.101 phys-schost-1 |
ネーミングサービスが使用されている場合、この情報はネーミングサービスデータベースにも存在します。
NAFO グループを作成します。
# pnmset -c nafo-group -o create adapter [adapter ...] |
指定した NAFO グループの構成サブコマンドを実行します。NAFO グループの名前は、nafoN でなければなりません。N は、グループの負ではない整数識別子です。グループ名は各ノードにローカルとなります。そのため、同じ NAFO グループ名は、複数のノードで使用できます。
新しい NAFO グループを作成します。
バックアップアダプタとして機能するパブリックネットワークアダプタを指定します。手順 3 を参照してください。
アダプタがすでに構成されている場合は、アクティブアダプタとして選択され、pnmset コマンドはその状態を変更しません。ただし、バックアップアダプタの 1 つが構成され、NAFO グループの /etc/hostname.adapter ファイルで検出される IP アドレスが割り当てられます。
NAFO グループの状態を確認します。
# pnmstat -l |
次に、2 つのネットワークアダプタ (qfe0 および qfe1) で構成される NAFO グループ (nafo0) を作成する例を示します。
# pnmstat -l # pnmset -c nafo0 -o create qfe0 qfe1 # pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1 OK NEVER qfe0 |
グループ内の任意のアダプタの監視やフェイルオーバーを解除するときに、NAFO グループを削除します。NAFO グループが、論理ホストリソースグループまたは共有アドレスリソースグループにより使用されている場合は、削除はできません。
削除する NAFO グループを含むノードでスーパーユーザーになります。
任意の論理ホストまたは共有アドレスリソースにより、NAFO グループが使用されているかどうかを確認します。
# scrgadm -pv |
また、scrgadm -pvv (v フラグを 2 つ) を使用し、削除する NAFO グループを使用しているリソースを検出することもできます。
この NAFO グループを使用し、論理ホストリソースグループおよび共有アドレスリソースグループを別のノードに切り替えます。
# scswitch -z -g resource-group -h node |
指定したリソースグループを切り替えます。
リソースグループの切り替え後のノード名を指定します。
NAFO グループを削除します。
# pnmset -c nafo-group -o delete |
削除する NAFO グループを指定します。
NAFO グループを削除します。
NAFO グループの状態を確認します。
削除した NAFO グループは、一覧に表示されません。
# pnmstat -l |
次に、nafo1 という NAFO グループをシステムから削除する例を示します。最初に、この NAFO グループを使用する論理ホストリソースグループ lh-rg-1 が、別のノードに切り替えられます。
# scswitch -z -g lh-rg-1 -h phys-schost-2 # pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1 OK NEVER qfe0 nafo1 qfe2 OK NEVER qfe2 # pnmset -c nafo1 -o delete # pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1 OK NEVER qfe0 |
アダプタを既存の NAFO グループに追加し、NAFO グループの別のバックアップアダプタを提供します。これにより、クラスタノードのパブリックネットワーク接続の可用性が向上します。
新しいパブリックネットワークアダプタカードをノードに取りつける必要があるかどうかを判断します。
取り付ける必要がある場合は、『Sun Cluster 3.0 Hardware Guide』を参照してください。
取り付ける必要がない場合は、手順 2 に進んでください。
NAFO グループに追加されているアダプタが、NAFO グループのアクティブアダプタとして同じサブネットに接続されているかどうかを確認します。
アダプタが取り外されていないかどうか、また、アダプタに関連する /etc/hostname.adapter ファイルがないかどうかを確認します。
新しいアダプタの追加先の NAFO グループを含むノードでスーパーユーザーになります。
アダプタを NAFO グループに追加します。
# pnmset -c nafo-group -o add adapter |
新しいアダプタの追加先の NAFO グループを指定します。
指定した NAFO グループに追加するパブリックネットワークアダプタを指定します。
NAFO グループの状態を確認します。
# pnmstat -l |
次に、2 つのアダプタ (qfe0 および qfe1) で構成されている NAFO グループ (nafo0) にアダプタ qfe2 を追加する例を示します。
# pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1 OK NEVER qfe0 # pnmset -c nafo0 -o add qfe2 # pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1:qfe2 OK NEVER qfe0 |
既存の NAFO グループからバックアップアダプタを削除し、アダプタのシステムからの削除、交換、異なるサブネットへの再接続、別の NAFO グループのバックアップとしての使用を可能にします。
NAFO グループから最後のバックアップアダプタを削除すると、アクティブアダプタで検出される障害の保護が解除され、クラスタノードのパブリックネットワークの可用性が低下します。
アクティブアダプタを削除する場合は、最初に、グループの別のアダプタに切り替える必要があります。
詳細は、「NAFO グループのアクティブアダプタを切り替える」を参照してください。
スーパーユーザーとして NAFO グループからアダプタを削除します。
# pnmset -c nafo-group -o remove adapter |
アダプタを削除する NAFO グループを指定します。
アダプタを NAFO グループから削除します。
NAFO グループの状態を確認します。
削除したアダプタは、NAFO グループの一覧に表示されません。
# pnmstat -l |
次に、NAFO グループ nafo0 からアダプタ qfe2 を削除する例を示します。
# pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1:qfe2 OK NEVER qfe0 # pnmset -c nafo0 -o remove qfe2 # pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1 OK NEVER qfe0 |
アクティブアダプタをバックアップアダプタに切り替え、現在のアクティブアダプタを NAFO グループから削除できるようにします。pnmd(1M) デーモンは、現在のアクティブアダプタにより提供されるすべての IP アドレスを、障害トリガーアダプタフェイルオーバーとして新しいアクティブアダプタに同じように移動します。
接続により、切り替え時に多少遅延することがあります。ただし、この操作は、高レベルアプリケーションには透過的に行われます。
新しいアクティブデバイスの物理接続が、現在のアクティブアダプタのものと同じかどうかを確認します。
新しいアクティブアダプタが、現在のアクティブアダプタとして IP アドレスを提供できないと、これらの IP アドレスに依存するネットワークおよびデータサービスが、物理接続が修復されるかその後のフェイルオーバーが成功するまで、中断されます。
アクティブアダプタを切り替える NAFO グループを含むノードでスーパーユーザーになります。
アクティブアダプタを切り替えます。
# pnmset -c nafo-group -o switch adapter |
切り替えるアダプタを含む NAFO グループを指定します。
指定したアダプタを、NAFO グループのアクティブアダプタにします。
NAFO グループの状態を確認します。
切り替えたアダプタが、アクティブアダプタとして表示されます。
# pnmstat -l |
次に、アクティブアダプタを qfe1 から qfe0 に切り替える例を示します。
# pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1 OK NEVER qfe0 # pnmset -c nafo0 -o switch qfe1 # pnmstat -l group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe0:qfe1 OK 11 qfe1 |
pnmstat(1M) コマンドを実行し、ノードのすべての NAFO グループの現在の設定および状態についての情報を一覧表示します。
# pnmstat -l |
また、pnmptor(1M) および pnmrtop(1M) コマンドを使用し、アダプタの情報を取得することもできます。
次に、ノードの 3 つの NAFO グループの状態の例を示します。
# pnmstat -l Group adapters status fo_time act_adp nafo0 qfe5 OK NEVER qfe5 nafo1 qfe6 OK NEVER qfe6 nafo2 qfe7 OK NEVER qfe7 |
次の例では、NAFO グループ nafo0 のアクティブアダプタが、アダプタ qfe5であることを示しています。
# pnmptor nafo0 qfe5 |
次の例では、アダプタ qfe5 が、NAFO グループ nafo0 に属することを示しています。
# pnmrtop qfe5 nafo0 |
このアルゴリズムには、inactive_time、ping_timeout、repeat_test、slow_network という、次の 4 つの調整可能パラメータがあります。これらのパラメータは、障害検出の速度および正確さにおけるバランスを調整できます。詳細は、表 5-3 を参照してください。
この手順を使用し、pnmd(1M) デーモンのデフォルトのパブリックネットワーク管理 (PNM) の値を変更します。
クラスタ内のノードでスーパーユーザーになります。
pnmparams ファイルを作成します (存在しない場合)。
# vi /etc/cluster/pnmparams |
次の表を使用して PNM パラメータを設定します。
/etc/cluster/pnmparams ファイルの設定は、ノードのすべての NAFO グループに適用されます。ハッシュ記号 (#) で始まる行は無視されます。ファイルのその他の行の形式は、variable=value でなければなりません。
パラメータ |
説明 |
---|---|
inactive_time |
現在のアクティブアダプタのパケットカウンタを連続して検証するときの秒数。デフォルトは 5 です。 |
ping_timeout |
ALL_HOST_MULTICAST およびサブネットブロードキャスト ping のタイムアウト値 (秒単位)。デフォルトは 4 です。 |
repeat_test |
デバイスアダプタに障害が発生し、フェイルオーバーを起動すると宣言するまでに ping シーケンスを行う回数。デフォルトは 3 です。 |
slow_network |
各 ping シーケンスが行われてから、パケットカウンタの変更を確認するまでの待機時間 (秒単位)。デフォルトは 2 です。 |
warmup_time |
バックアップアダプタへのフェイルオーバーを行ってから、障害監視を再開するまでの待機時間 (秒単位)。これにより、遅いドライバやポート初期化のための余分時間が許可されます。デフォルトは 0 です。 |
変更は、pnmd デーモンが次に起動するまで、有効になりません。
次に、デフォルト値からパラメータが 2 つ変更された /etc/cluster/pnmparams ファイルの例を示します。
inactive_time=3 repeat_test=5 |