Sun Cluster 3.0 のシステム管理

クラスタへのパッチの適用

表 7-1 作業マップ :クラスタへのパッチの適用

作業 

参照箇所 

ノードを停止せずに、非再起動 Sun Cluster パッチを一度に 1 つのノードだけに適用します。 

「非再起動 Sun Cluster パッチを適用する」

クラスタメンバーを非クラスタモードにした後で、再起動 Sun Cluster パッチを適用します。 

「再起動パッチを適用する (ノード)」

 

「再起動パッチを適用する (クラスタおよびファームウェア)」

Sun Cluster パッチを削除します。 

- 必要に応じて、パッチを取り消すことができます。 

「Sun Cluster パッチを削除する」

再起動パッチを適用する (ノード)

パッチを一度にクラスタの 1 つのノードだけに適用し、パッチ処理中でもクラスタ自体は動作したままにします。この手順では、まず、ノードを停止し、パッチを適用する前にこのノードをシングルユーザーモードで起動する必要があります。

  1. パッチを適用する前に、Sun Cluster インストール前後の特別な注意事項があるかどうかを確認してください。

  2. パッチを適用するノードでスーパーユーザーになります。

  3. パッチを適用するノードのリソースグループおよびデバイスグループの一覧を表示します。


    # scrgadm -pv
    # scstat
    
  4. すべてのリソースグループ、リソース、デバイスグループを、パッチを適用するノードから他のクラスタメンバーに切り替えます。


    # scswitch -S -h node 
    
    -h node

    リソースおよびデバイスグループの切り替え先のノードを指定します。

    -S

    指定したノードからすべてのデバイスサービスとリソースグループを退避します。

  5. ノードを停止します。


    # shutdown -g 0 [-y] 
    -g 0

    停止までの待機時間を 0 に指定します。

    -y

    確認プロンプトで yes と答えます。これにより、ユーザーがその都度確認を入力しなくてもコマンドを実行できます。

  6. ノードをシングルユーザーモードで起動します。


     ok boot -s 
    
  7. パッチを適用します。


    # patchadd patch-dir patch-id 
    
    patch-dir

    パッチのディレクトリの場所を指定します。

    patch-id

    特定のパッチのパッチ番号を指定します。

  8. ノードを再起動してクラスタに結合します。


    # reboot 
    
  9. パッチが正常にインストールされていることを確認します。


    # showrev -p | grep patch-id 
    
  10. パッチが機能しており、ノードとクラスタが正常に動作していることを確認します。

  11. すべてのリソースグループ、リソース、デバイスグループをスイッチバックします (省略可能)。


     # scswitch -S -h node 
    
  12. 残りのすべてのクラスタノードで、手順 2 から 手順 11 を繰り返します。

例 - 再起動パッチ (ノード) の適用

次に、ノードに Sun Cluster 再起動パッチを適用する例を示します。


# scrgadm -pv
...
RG Name: schost-sa-1
...
# scstat
...
Device Group Name:																				dg-schost-1
...
# scswitch -z -h phys-schost-2 -D dg-schost-1
# scswitch -z -h phys-schost-2 -g schost-sa-1
# shutdown -g 0 -y
...
ok boot -s
...
# patchadd 10-34567
...
# reboot
...
# showrev -p | grep 10-34567
# scswitch -z -h phys-schost-1 -D dg-schost-1
# scswitch -z -h phys-schost-1 -g schost-sa-1

次の作業

パッチを取り消す必要がある場合は、「Sun Cluster パッチを削除する」を参照してください。

再起動パッチを適用する (クラスタおよびファームウェア)

この手順では、パッチを適用する前に、まずクラスタを停止して各ノードをシングルユーザーモードで起動する必要があります。

  1. パッチを適用する前に、Sun Cluster インストール前後の特別な注意事項があるかどうかを確認してください。

  2. クラスタ内のノードでスーパーユーザーになります。

  3. クラスタを停止します。


    # scshutdown [-y] [-g grace-period] ["message"]
    -y

    確認プロンプトで yes と答えます。

    -g grace-period

    停止までの待機時間を秒単位で指定します。デフォルトの猶予期間は 60 秒です。

    message

    送信する警告メッセージを指定します。message が複数の単語の場合は、引用符で囲みます。

  4. 各ノードをシングルユーザーモードで起動します。

    各ノードのコンソールで、次のコマンドを実行します。


    ok boot -s 
    
  5. ソフトウェアパッチまたはファームウェアパッチを適用します。

    一度に 1 つのノードずつ、次のコマンドを実行します。


    # patchadd patch-dir patch-id 
    
    patch-dir

    パッチのディレクトリの場所を指定します。

    patch-id

    特定のパッチのパッチ番号を指定します。


    注 -

    パッチディレクトリに、この章の手順よりも新しい注意事項がないかどうかを必ず確認してください。


  6. パッチが各ノードに正常にインストールされていることを確認します。


    # showrev -p | grep patch-id 
    
  7. パッチをすべてのノードに適用したら、ノードを再起動してクラスタに結合します。

    各ノードで次のコマンドを実行します。


    # reboot 
    
  8. パッチが機能しており、ノードとクラスタが正常に動作していることを確認します。

例 - 再起動パッチの適用 (クラスタ)

次に、クラスタに Sun Cluster 再起動パッチを適用する例を示します。


# scshutdown -g 0 -y
...
ok boot -s
...
# patchadd 10-34567
(Apply patch to other cluster nodes)
...
# showrev -p | grep 10-34567
# reboot

次の作業

パッチを取り消す必要がある場合は、「Sun Cluster パッチを削除する」を参照してください。

非再起動 Sun Cluster パッチを適用する

パッチを一度にクラスタの 1 つのノードだけに適用します。非再起動パッチを適用するときは、パッチを適用するノードを停止する必要はありません。

  1. パッチを適用する前に、Sun Cluster インストール前後の特別な注意事項があるかどうかを確認してください。

  2. ノードにパッチを適用します。


    # patchadd patch-dir patch-id 
    
    patch-dir

    パッチのディレクトリの場所を指定します。

    patch-id

    特定のパッチのパッチ番号を指定します。

  3. パッチが正常にインストールされていることを確認します。


    # showrev -p | grep patch-id 
    
  4. パッチが機能しており、ノードとクラスタが正常に動作してことを確認します。

  5. 残りのクラスタノードで、手順 2 から 手順 4 を繰り返します。

例 - 非再起動 Sun Cluster パッチの適用


# patchadd 10-34567
...
# showrev -p | grep 10-34567

次の作業

パッチを取り消す必要がある場合は、「Sun Cluster パッチを削除する」を参照してください。

Sun Cluster パッチを削除する

必要に応じて、Sun Cluster パッチを取り消す (削除する) ことができます。

  1. パッチを削除するノードのスーパーユーザーになります。

  2. パッチを削除するノードのリソースグループおよびデバイスグループの一覧を表示します。


    # scrgadm -pv
    # scstat 
    
  3. すべてのリソースグループ、リソース、デバイスグループを、パッチを削除するノードから他のクラスタメンバーに切り替えます。


    # scswitch -S -h node 
    
    -h node

    リソースおよびデバイスグループの切り替え先のノードを指定します。

    -S

    指定したノードからすべてのデバイスサービスとリソースグループを退避します。

  4. ノードを停止します。


    # shutdown [-y] [-g grace-period] ["message"]
    -y

    確認プロンプトで yes と答えます。

    -g grace-period

    停止までの待機時間を秒単位で指定します。デフォルトの猶予期間は 60 秒です。

    message

    送信する警告メッセージを指定します。message が複数の単語の場合は、引用符で囲みます。

  5. ノードを非クラスタモードで起動します。


    ok boot -x 
    
  6. パッチを削除します。


    # patchrm patch-id 
    
    patch-id

    特定のパッチのパッチ番号を指定します。

  7. ノードを再起動します。


    # reboot
    
  8. パッチが正常に削除されていることを確認します。


    # showrev -p | grep patch-id 
    
  9. ノードおよびクラスタが正常に動作することを確認します。

  10. すべてのリソースグループ、リソース、デバイスグループをスイッチバックします。


    # scswitch -S -h node 
    
  11. 残りのクラスタノードで、手順 1 から 手順 10 を繰り返します。

例 - Sun Cluster パッチの削除

次に、Sun Cluster パッチを削除する例を示します。


# scrgadm -pv
...
RG Name: schost-sa-1
...
# scstat
...
Device Group Name:																		dg-schost-1
...
# scswitch -S -h phys-schost-2
# shutdown -y -g 5 "Rebooting down node for maintenance"
...
ok boot -x
...
# patchrm 10-34567
...
# reboot
...
# pkgchk -v 10-34567
...
# scswitch -S -h phys-schost-1