既存のクラスタに新しいノードを追加する場合は、SunPlex Manager を使用しないでください。代わりに、「Sun Cluster ソフトウェアをインストールする(scinstall)」へ進んでください。
この節では、SunPlex Manager のインストール方法、および SunPlex Manager を使用して Sun Cluster ソフトウェアをインストールし、クラスタノードを確立する方法について説明します。SunPlex Manager は、以下の追加ソフトウェア製品をインストールする場合にも使用できます。
Solstice DiskSuite ソフトウェア - 最大 3 つのメタセットおよび対応するメタデバイスの構成や、各メタセット用のクラスタファイルシステムの作成とマウントも行います。
Sun Cluster HA for NFS データサービス
Sun Cluster HA for Apache スケーラブルデータサービス
次に、SunPlex Manager を使用してこれらの追加ソフトウェア製品をインストールするための要件を示します。
表 2-2 SunPlex Manager によるソフトウェアインストールの要件
ソフトウェアパッケージ |
インストール要件 |
---|---|
Solstice DiskSuite |
/sds をファイルシステム名として使用する 10M バイトのパーティション |
Sun Cluster HA for NFS データサービス |
同じノードセットに接続された、サイズが同じである 2 台以上の共有ディスク |
SunPlex Manager によってインストールされた Solstice DiskSuite ソフトウェア |
|
Sun Cluster HA for NFS が使用する論理ホスト名。この論理ホスト名の IP アドレスは、すべてのクラスタノードからアクセスできる有効なものであると同時に、クラスタノードのベースホスト名と同じサブネット上に存在するものでなければなりません。 |
|
Sun Cluster HA for Apache スケーラブルデータサービス |
同じノードセットに接続された、サイズが同じである 2 台以上の共有ディスク |
SunPlex Manager によってインストールされた Solstice DiskSuite ソフトウェア |
|
Sun Cluster HA for Apache が使用する共有アドレス。この共有アドレスの IP アドレスは、すべてのクラスタノードからアクセスできる有効なものであると同時に、クラスタノードのベースホスト名と同じサブネット上に存在するものでなければなりません。 |
次の表は、ノードに接続される共有ディスクの数に従って、SunPlex Manager によって作成される各メタセット名と、クラスタファイルシステムのマウントポイントを示しています。たとえば、ノードに共有ディスクが 4 台接続されている場合、SunPlex Manager は、mirror-1 メタセットと stripe-1メタセットを作成しますが、concat-1 メタセットは作成しません。これは、このノードに 3 つ目のメタセットを作成するだけの十分な共有ディスクが存在しないためです。
表 2-3 SunPlex Manager がインストールするメタセット
SunPlex Manager グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) を使用すると、Sun Cluster ソフトウェアのインストールと管理を簡単に行えます。クラスタに SunPlex Manager ソフトウェアをインストールするには、この手順に従ってください。
別の方法で Sun Cluster ソフトウェアをインストールする場合は、この作業を行う必要はありません。scinstall コマンドにより、インストール処理の一環として SunPlex Manager をインストールすることもできます。
この作業はクラスタの各ノード上で行ってください。
クラスタの各ノードに Solaris ソフトウェアとパッチがインストールされていることを確認します。
インストール手順については、「Solaris ソフトウェアをインストールする」を参照してください。
任意のクラスタノードでスーパーユーザーになります。
Apache ソフトウェアパッケージをインストールします。
Apache ソフトウェアパッケージは、「Solaris 全体ディストリビューション」ソフトウェアグループおよびすべての上位ソフトウェアグループに含められます。下位ソフトウェアグループをインストールしてある場合は、pkginfo(1) コマンドを使用して、以下に示すソフトウェアパッケージがインストールされているかどうかを確認してください。インストールされている場合は、手順 4 へ進んでください。
CD-ROM からインストールする場合は、ノードの CD-ROM ドライブに Solaris 8 Software 2 of 2 CD-ROM を挿入します。
ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行されていて CD-ROM デバイスを管理するように構成されている場合は、vold(1M) によって自動的に CD-ROM がマウントされます。
/cdrom/sol_8_sparc/Solaris_8/Product ディレクトリに移動します。
# cd /cdrom/sol_8_sparc/Solaris_8/Product |
Apache ソフトウェアパッケージを次の順序でインストールします。
# pkgadd -d . SUNWapchr SUNWapchu SUNWapchd |
Solaris CD-ROM を取り出します。
Apache ソフトウェアパッチをインストールします。
パッチの入手方法とインストール方法については、『Sun Cluster 3.0 U1 ご使用にあたって』を参照してください。
SunPlex Manager ソフトウェアパッケージをインストールします。
CD-ROM からインストールする場合は、ノードの CD-ROM ドライブに Sun Cluster 3.0 7/01 CD-ROM を挿入します。
ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行されていて CD-ROM デバイスを管理するように構成されている場合は、vold(1M) によって自動的に /cdrom/suncluster_3_0u1 ディレクトリに CD-ROM がマウントされます。
/cdrom/suncluster_3_0u1/SunCluster_3.0/Packages ディレクトリに移動します。
# cd /cdrom/suncluster_3_0u1/SunCluster_3.0/Packages |
SunPlex Manager ソフトウェアパッケージをインストールし、すべてのプロンプトに「yes」と入力します。
# pkgadd -d . SUNWscva SUNWscvr SUNWscvw |
Sun Cluster CD-ROM を取り出します。
クラスタの全ノードで同じ root パスワードが設定されているかどうかを確認します。
同じ場合は、手順 7 へ進んでください。
異なる場合は、クラスタのすべてのノードで同じ値になるように root パスワードを設定してください。必要に応じ、chkey(1) を使用して RPC 鍵ペアを更新してください。
# passwd 新しいパスワードを入力する # chkey -p |
root パスワードを使用して SunPlex Manager にアクセスするためには、クラスタ内のすべてのノードで root パスワードが同じでなければなりません。
SunPlex Manager にアクセスするユーザーアカウントをさらに設定するかどうかを決定します。
さらに設定する場合は、手順 8 へ進んでください。
これ以上設定しない場合は、「Sun Cluster ソフトウェアをインストールする (SunPlex Manager)」へ進み、クラスタノードに Sun Cluster ソフトウェアをインストールしてください。
root システムアカウントを使用することもなく、ある特定のノードでのユーザーアカウントも設定されていないというユーザーは、そのノードから SunPlex Manager を介してクラスタにアクセスすることはできません。また、アクセス権のある別のクラスタノードを介してそのノードを管理することもできません。
SunPlex Manager にアクセスするユーザーアカウントをどのように設定するかを決定します
SunPlex Manager へのログインは、root ユーザーアクセスのほかに、役割によるアクセス制御 (RBAC) を持つユーザーアカウントを使用しても行えます。ユーザーアカウントを設定するには、次の表に示す作業のいずれかを行ってください。
表 2-4 SunPlex Manager ユーザーアカウントの設定方法
方法 |
実行する作業 |
---|---|
既存のユーザーアカウントに RBAC 認証を追加する | |
RBAC 認証を持つ新しいユーザーアカウントを作成する |
root 以外のユーザーアカウントに RBAC 認証を割り当てると、そのユーザーアカウントは、通常は root にしか行えない管理アクションを実施できるようになります。
詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』の「役割によるアクセス制御」を参照してください。
既存のユーザーアカウントに RBAC 認証を追加します。これにより、ユーザーは自分自身の通常のシステムパスワードを使用して SunPlex Manager にログインできるようになり、SunPlex Manager の全機能へのアクセス権を持つようになります。
root 以外のユーザーアカウントに RBAC 認証を割り当てると、そのユーザーアカウントは、通常であれば root にしか行えない管理アクションを実施できるようになります。
任意のクラスタノードでスーパーユーザーになります。
/etc/user_attr ファイルに以下のエントリを追加します。
# vi /etc/user_attr username::::type=normal;auths=solaris.cluster.admin |
残りの各クラスタノードでも同様の手順を繰り返します。
SunPlex Manager を使用して Sun Cluster ソフトウェアをインストールします。
すべてのクラスタノードで新しいユーザーアカウントを作成します。
root 以外のユーザーアカウントに RBAC 認証を割り当てると、そのユーザーアカウントは、通常であれば root にしか行えない管理アクションを実施できるようになります。
任意のクラスタノードでスーパーユーザーになります。
新しいユーザーアカウントを作成します。
# useradd -d dir -A solaris.cluster.admin login |
新しいユーザーのホームディレクトリを指定する
新しいユーザーアカウントに solaris.cluster.admin 認証を割り当てる
新しいユーザーアカウントの名称
ユーザー名は固有でなければならず、ローカルマシン上にもネットワークネームサービス内にも存在してはなりません。
ユーザーアカウントの作成方法についての詳細は、useradd(1M) のマニュアルページを参照してください。
パスワードを設定します。
# passwd login |
残りの各クラスタノードでも同様の手順を繰り返します。
ユーザーアカウントのパスワードは、必ずすべてのクラスタノード上で同じにしてください。
SunPlex Manager を使用して Sun Cluster ソフトウェアをインストールします。
既存のクラスタに新しいノードを追加する場合は、SunPlex Manager を使用しないでください。代わりに、「Sun Cluster ソフトウェアをインストールする(scinstall)」へ進んでください。
この作業は、SunPlex Manager を使用し、1 回の操作で Sun Cluster ソフトウェアとパッチをクラスタ内のすべてのノードにインストールする場合に行います。この作業は、Solstice DiskSuite ソフトウェアとパッチをインストールし、さらに Sun Cluster HA for NFS データサービスまたは Sun Cluster HA for Apache スケーラブルデータサービス (あるいはこの両方) をインストールする場合にも使用できます。
このインストール処理は、クラスタノードの数、データサービスの種類、クラスタ構成内のディスクの数に応じて、30 分〜 2 時間以上かかる可能性があります。
クラスタの各ノードに SunPlex Manager ソフトウェアがインストールされていることを確認します。
「SunPlex Manager ソフトウェアをインストールする」を参照してください。インストール要件については、「SunPlex Manager による Sun Cluster ソフトウェアのインストール」を参照してください。
Sun Cluster HA for NFS または Sun Cluster HA for Apache をインストールするかどうかを決定します。
インストールしない場合は、手順 3 へ進んでください。
インストールする場合は、クラスタ構成が該当するすべての要件を満たしているかどうかを確認してください。「SunPlex Manager による Sun Cluster ソフトウェアのインストール」を参照してください。
インストールする各ソフトウェア製品の CD-ROM イメージへのファイルシステムパスを用意します。
各ノードが使用できる場所に各 CD-ROM イメージを用意します。
CD-ROM イメージは、クラスタのすべてのノードから同じファイルシステムパスを使用してアクセスできなければなりません。これらのパスとして、以下に示す場所のいずれかを指定できます。
クラスタの外部に存在するマシンからネットワークにエクスポートされた CD-ROM ドライブ
クラスタの外部に存在するマシン上のエクスポートされたファイルシステム
クラスタの各ノード上のローカルファイルシステムにコピーされた CD-ROM イメージ。ローカルファイルシステムの名前は、すべてのノードで同じにする必要があります。
各 CD-ROM イメージのパスを記録します。
この情報は、手順 19 で SunPlex Manager に対する情報として利用します。
Sun Cluster ソフトウェアまたは Solstice DiskSuite ソフトウェアをサポートするために必要なパッチがあるかどうかを確認します。
パッチのインストールに SunPlex Manager を使用するかどうかを決定します。
各ノードが利用できるファイルシステム上の 1 つのディレクトリに、Sun Cluster または Solstice DiskSuite ソフトウェアに必要なパッチをコピーします。
このディレクトリには、各パッチのバージョンを 1 つだけコピーするようにしてください。
パッチディレクトリに同じパッチのバージョンが複数存在すると、SunPlex Manager はパッチの依存性順位を正しく判断できなくなります。
パッチファイルが解凍されていることを確認します。
パッチディレクトリのパスを記録します。
この情報は、手順 19 で SunPlex Manager に対する情報として利用します。
『Sun Cluster 3.0 ご使用にあたって』の以下の構成計画ワークシートに必要事項を記入したものを用意します。
「クラスタ名とノード名のワークシート」
「クラスタインターコネクトのワークシート」
「ネットワークリソース」のワークシート
計画のガイドラインについては、第 1 章「Sun Cluster 構成の計画」と『Sun Cluster 3.0 U1 データサービスのインストールと構成』を参照してください。
管理コンソール、またはクラスタの外部に存在する他のマシンから、ブラウザを起動します。
ブラウザの Web プロキシを無効にします。
SunPlex Manager のインストール機能は、Web プロキシと互換性がありません。
ディスクキャッシュとメモリーキャッシュが有効になっていることを確認します。
ディスクキャッシュとメモリーキャッシュのサイズは、0 より大きくなくてはなりません。
ブラウザから、任意のクラスタノードのポート 3000 に接続します。
https://node:3000/ |
ブラウザのウィンドウに「Sun Cluster Installation」画面が表示されます。
「Sun Cluster Installation」画面ではなく管理インタフェースが表示される場合は、そのノードに Sun Cluster ソフトウェアがすでにインストールされています。URL 内のノード名がインストール対象のクラスタノードの名前と一致していることを確認してください。
ブラウザに「New Site Certification」ウィンドウが表示される場合は、画面上の指示に従ってください。
「Sun Cluster Installation」画面で、 SunPlex Manager を使用するための要件をクラスタが満たしていることを確認します。
Solaris エンドユーザーソフトウェアグループまたはこれ以上の機能がインストールされている
ルートディスクパーティションには、マウントポイントが /globaldevices に設定された 100M バイトのスライスが存在する
ルートディスクパーティションには、マウントポイントが /sds に設定された 10M バイトのスライスが存在する (Solstice DiskSuite をインストールする場合)
手順 3 から 手順 6 までに説明されているように、必要となるすべての CD-ROM イメージのファイルシステムパスとパッチが設定されている。
示されている要件をすべて満たしている場合は、「Next」をクリックして次の画面へ進んでください。
クラスタの名前を入力し、クラスタ内のノードの数を選択します。
「Next」をクリックして継続します。
「Back」ボタンを使用して前の画面に戻り、情報を変更できます。ただし、後続の画面で入力した情報は、保持されません。それらの画面の構成情報は、再度入力する必要があります。
各クラスタノードの名前を入力します。
「Next」をクリックして継続します。
各ノードのプルダウンリストから、プライベートインターコネクトに使用するアダプタの名前を 2 つ選択します。
各ノードに対応するアダプタ名については、「クラスタインターコネクトのワークシート」を参照してください。
「Next」をクリックして継続します。
Solstice DiskSuite ソフトウェアをインストールするかどうかを選択します。
Sun Cluster HA for NFS または Sun Cluster HA for Apache データサービスをインストールする場合は、Solstice DiskSuite ソフトウェアをインストールする必要があります。
Solstice DiskSuite がインストールされる際に、共有ディスク上のデータはすべて失われます。
「Next」をクリックして継続します。
Sun Cluster HA for NFS、Sun Cluster HA for Apache、またはこの両方をインストールするかどうかを選択します。
該当する論理ホスト名または共有アドレスについては、「ネットワークリソース」ワークシートを参照してください。
Sun Cluster HA for NFS については、データサービスが使用する論理ホスト名も指定してください。
Sun Cluster HA for Apache については、データサービスが使用する共有アドレスも指定してください。
「Next」をクリックして継続します。
指定したパッケージのインストールに必要な各 CD-ROM イメージのパスを入力し、必要に応じてパッチディレクトリのパスも入力します。
表 2-5 に示すように、該当するパスフィールドに各ソフトウェアパッケージのパスを入力します。
CD-ROM イメージに指定するパスは、その CD-ROM の .cdtocファイルが入ったディレクトリでなければなりません。
インストールしないソフトウェアパッケージについては、関連するパスフィールドを空白のままにします。
必要なパッチをすでにインストール済みである場合は、「Patch Directory Path」フィールドを空白のままにします。
インストールするソフトウェアパッケージ |
CD-ROM イメージパスフィールドの名前 |
---|---|
Solstice DiskSuite |
Solaris CD-ROM Path |
Sun Cluster |
Sun Cluster3.0 7/01 CD-ROM Path |
Sun Cluster HA for NFS, Sun Cluster HA for Apache |
Sun Cluster 3.0 Agents 7/01 CD-ROM Path |
Sun Cluster パッチ、Solstice DiskSuite パッチ |
Patch Directory Path |
「Next」をクリックして継続します。
「Confirm Information」画面に表示された入力情報が正しいかどうかを確認します。
正しい場合は、手順 21 へ進んでください。
正しくない場合は、以下の手順に従って構成情報を修正してください。
「Begin Installation」をクリックしてインストール処理を開始します。
インストール処理中は、ブラウザウィンドウを閉じたり URL を変更したりしないでください。
ブラウザに「New Site Certification」ウィンドウが表示された場合は、画面上の指示に従ってください。
ブラウザにログイン情報のプロンプトが表示された場合は、接続先ノードの該当するユーザー ID とパスワードを入力してください。
インストールが進行している間、クラスタインストール処理の状況を示す簡単なメッセージが画面に表示されます。インストールが完了した時点で、ブラウザにクラスタ監視 / 管理用の GUI が表示されます。
SunPlex Manager のインストール出力は、/var/cluster/spm ディレクトリに記録されます。Sun Cluster のインストール出力は、/var/cluster/logs/install/scinstall.log.pid ファイルに記録されます(pid は scinstall インスタンスのプロセス ID 番号)。
必要に応じ、SunPlex Manager を使用して定足数割り当ての確認と変更を行います。
3 つ以上のノードを持つクラスタの場合、共有定足数デバイスの使用は任意です。SunPlex Manager による定足数デバイスへの投票数の割り当ては、適切な共有ディスクが利用可能かどうかに基づいて行われます。ユーザーは、SunPlex Manager を使用して定足数デバイスを指定することも、クラスタ内の定足数投票数を割り当てなおすこともできます。
ネームサービスの参照順序を設定します。
「ネームサービススイッチを構成する」へ進んでください。