この節では、クラスタ構成のミラー化を計画する際のガイドラインについて説明します。
Sun Cluster 構成で多重ホストディスクをミラー化することにより、構成は単一のディスク障害に耐えることができます。Sun Cluster ソフトウェアでは、すべての多重ホストディスクは、複数のディスク拡張装置にまたがるようにミラー化する必要があります。
多重ホストディスクをミラー化する際は、次のことを考慮してください。
独立したディスク拡張装置 - ミラーまたはプレックスのサブミラーは、それぞれ異なる多重ホストディスク拡張装置に分散してください。
ディスク領域 - ミラー化すると、2 倍のディスク領域が必要になります。
3 方向のミラー化 - Solstice DiskSuite ソフトウェアと VERITAS Volume Manager (VxVM) は、3 方向のミラー化をサポートしています。ただし、Sun Cluster が必要とするのは、2 方向のミラー化だけです。
メタデバイス数 - Solstice DiskSuite ソフトウェアでは、ミラーは連結やストライプなどの他のメタデバイスで構成されます。大規模な構成では、大量のメタデバイスが含まれることがあります。たとえば、UFS ロギングファイルシステムごとに 7 つのメタデバイスが作成されます。
異なるディスクサイズ - 異なるサイズのディスクにミラーを作成した場合、ミラーの容量は、最小のサブミラーまたはプレックスのサイズに制限されます。
多重ホストディスクの詳細については、『Sun Cluster 3.0 U1 の概念』を参照してください。
この節の計画情報を『Sun Cluster 3.0 U1 ご使用にあたって』の「ローカルファイルシステム配置のワークシート」に追加してください。
最高の可用性を得るには、ローカルディスク上のルート (/)、/usr、/var、/opt、swap をミラー化してください。VxVM では、ルートディスクをミラー化し、生成されたサブディスクをミラー化します。ただし、Sun Cluster では、ルートディスクのミラー化は必須ではありません。
ルートディスクをミラー化するかどうかを決める前に、危険性、複雑さ、コスト、保守時間の面からルートディスクに関するさまざまな方法を検討してください。どの構成でも有効に機能するというような汎用的なミラー化はありません。ルートをミラー化するかどうかを決定するにあたっては、ご購入先に相談してください。
ルートディスクのミラー化については、使用するボリューム管理ソフトウェアのマニュアルと、「Solstice DiskSuite の構成」 または、「VxVM ソフトウェアのインストールと構成」 を参照してください。
ルートディスクをミラー化するかどうかを決定する際は、次のことを考慮してください。
複雑さ - ルートディスクをミラー化すると、システム管理の複雑さが増し、シングルユーザーモードでの起動が複雑になります。
バックアップ - ルートディスクをミラー化するかどうかに関係なく、ルートは定期的にバックアップしてください。ミラー化だけで、管理上の誤りが防げるわけではありません。誤って変更あるいは削除したファイルは、バックアップによってのみ復元できます。
定足数 (quorum) デバイス - 定足数デバイスとして構成されたディスクは、ルートディスクのミラー化に使用しないでください。
定足数 (quorum) - Solstice DiskSuite の構成で、メタデバイス状態データベースの定足数が失われるという障害が発生した場合は、保守を行わない限り、システムを再起動できなくなります。メタデバイス状態データベースと状態データベースの複製の詳細については、Solstice DiskSuite のマニュアルを参照してください。
独立したコントローラ - 独立したコントローラにルートディスクをミラー化するという方法は、最高の可用性を得る手段の 1 つです。
起動ディスク - 起動可能ルートディスクをミラーとして設定すると、主起動ディスクに障害が発生した場合にミラーから起動できます。
二次ルートディスク - ミラー化したルートディスクを使用すると、主起動ディスクに障害が発生しても、二次 (ミラー) ルートディスクで動作を継続できます。電源を入れ直したことにより、あるいは一時的に入出力エラーであったために、後で主ルートディスクが正常に戻った場合、以降の起動は、OpenBootTM PROM の boot-device フィールドに指定された主ルートディスクを使用して行われます。このような場合、手作業で修復作業を行わなくても、起動に問題がないようにドライブは動作を開始します。このとき、Solstice DiskSuite の再同期が行われます。再同期をするには、ドライブが正常に戻ったときに手作業が必要になります。この状況では、手作業による修復作業はありません。
二次 (ミラー) ルートディスク上のファイルに変更が加えられている場合、起動中に、その変更が主ルートデバイスに反映されることはなく、サブミラーは無効になります。たとえば、/etc/system ファイルに対する変更が失われることがあります (主ルートディスクが休止している間に、一部の Solstice DiskSuite 管理コマンドによって、/etc/system ファイルが変更されることがあります)。
起動プログラムは、ミラーまたは元の物理デバイスのどちらから起動が行われているのかを確認しません。起動プロセスの途中 (メタデバイスが読み込まれた後) でミラー化はアクティブになります。これより前の時点では、サブミラーが無効になる問題が発生しやすくなります。