Sun Cluster 3.0 U1 データサービスのインストールと構成

第 8 章 Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server のインストールと構成

この章では、Sun Cluster サーバーに Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server (OPS) データサービスをインストールして構成する手順について説明します。この章の内容は次のとおりです。

概要

Oracle のマニュアルの手順に従って、OPS をインストールして構成します。OPS は、Sun Cluster Resource Group Manager (RGM) では登録または管理されませんが、クラスタ情報の照会では RGM に依存します。

OPS は、Sun Cluster ソフトウェアの共有ディスクアーキテクチャを使用するように構成できます。この構成では、データベースに同時にアクセスする OPS の複数のインスタンス間で、単一のデータベースを共有します。同一のデータに対するアクセスの衝突は、Oracle UNIX Distributed Lock Manager (UDLM) によって制御されます。プロセスまたはノードで障害が発生した場合は、UDLM が再構成され、障害から回復します。

OPS 環境でノード障害が発生した場合には、Sun Cluster フェイルオーバーデータサービスによって使用される IP フェイルオーバーを使用せずに、別のサーバーに再接続するように Oracle クライアントを構成できます。このフェイルオーバー処理については、『Sun Cluster 3.0 U1 の概念』を参照してください。OPS 環境では、複数の Oracle インスタンスが協力して同じ共有データベースへのアクセスを提供します。Oracle クライアントは、任意のインスタンスを使用してデータベースにアクセスできます。したがって、1 つまたは複数のインスタンスで障害が発生しても、クライアントは残りのインスタンスに接続することによって、引き続きデータベースにアクセスできます。

Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server のインストールと構成

次の表に、インストール作業や構成作業の説明が記載されている場所を示します。

表 8-1 作業マップ: Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server のインストールと構成

作業 

参照箇所 

(オプション) ボリューム管理ソフトウェアのインストール 

「Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server ボリューム管理ソフトウェアのインストール」

Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server パッケージのインストール 

「Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server パッケージのインストール」

UNIX Distributed Lock Manager と Oracle ソフトウェアのインストール 

「Oracle ソフトウェアのインストール」

Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server ボリューム管理ソフトウェアのインストール

Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server のディスクには、次の 構成が可能です。

VxVM を使用する

Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server データサービスで VxVM ソフトウェアを使用する場合は、次の作業を行う必要があります。

  1. 基本的な VxVM ライセンスの他に、このボリューム管理ソフトウェアのクラスタ機能ライセンスを取得します。

    VxVM のライセンス要件については、VxVM のマニュアルを参照してください


    注意 - 注意 -

    ボリューム管理ソフトウェアクラスタ機能のライセンスを正しくインストールしないと、OPS サポートをインストールするときに問題が発生することがあります。OPS パッケージをインストールする前に vxlicense 検査コマンドを実行して、有効なボリューム管理ソフトウェアクラスタ機能のライセンスが正しくインストールされていることを確認してください。


  2. VxVM ソフトウェアをクラスタノードにインストールし、構成します。

    詳細は、『Sun Cluster 3.0 U1 ソフトウェアのインストール』の VxVM の付録と VxVM のマニュアルを参照してください。

ハードウェア RAID サポートを備えた Sun StorEdge A3500/A3500FC ディスクアレイを使用する

VxVM ソフトウェアを使用せずにハードウェア RAID サポートを備えた Sun StorEdge A3500/A3500FC ディスクアレイを使用する場合は、ディスクアレイの論理ユニット番号 (LUN) の上に raw デバイス ID (/dev/did/rdsk*) を構成する必要があります。

ハードウェア RAID を備えた Sun StorEdge A3500/A3500FC ディスクアレイを使用するクラスタ上に OPS 用の raw デバイスを設定するには、次の手順が必要です。

  1. ディスクアレイ上に LUN を作成します。

    LUN の作成方法については、『Sun Cluster 3.0 U1 Hardware Guide』を参照してください。

  2. LUN を作成したら、format(1M) コマンドを実行して、ディスクアレイの LUN を必要な数のスライスにパーティション分割します。

    次の例は、コマンドの実行結果を示します。


    # format
    0. c0t2d0 <SUN18G cyl 7506 alt 2 hd 19 sec 248>
       /sbus@3,0/SUNW,fas@3,8800000/sd@2,0
    1. c0t3d0 <SUN18G cyl 7506 alt 2 hd 19 sec 248>
       /sbus@3,0/SUNW,fas@3,8800000/sd@3,0
    2. c1t5d0 <Symbios-StorEDGEA3000-0301 cyl 21541 alt 2 hd 64 sec 64>
       /pseudo/rdnexus@1/rdriver@5,0
    3. c1t5d1 <Symbios-StorEDGEA3000-0301 cyl 21541 alt 2 hd 64 sec 64>
       /pseudo/rdnexus@1/rdriver@5,1
    4. c2t5d0 <Symbios-StorEDGEA3000-0301 cyl 21541 alt 2 hd 64 sec 64>
       /pseudo/rdnexus@2/rdriver@5,0
    5. c2t5d1 <Symbios-StorEDGEA3000-0301 cyl 21541 alt 2 hd 64 sec 64>
       /pseudo/rdnexus@2/rdriver@5,1
    6. c3t4d2 <Symbios-StorEDGEA3000-0301 cyl 21541 alt 2 hd 64 sec 64>
       /pseudo/rdnexus@3/rdriver@4,2

    注 -

    スライス 0 を使用する場合は、このパーティションをシリンダ 0 から始めないでください。


  3. scdidadm(1M) コマンドを実行して、手順 1 1 で作成した LUN に対応する raw デバイス ID (DID) を見つけます。

    次の例は、scdidadm -L コマンドの出力です。


    # scdidadm -L
    1        phys-schost-1:/dev/rdsk/c0t2d0   /dev/did/rdsk/d1
    1        phys-schost-2:/dev/rdsk/c0t2d0   /dev/did/rdsk/d1
    2        phys-schost-1:/dev/rdsk/c0t3d0   /dev/did/rdsk/d2
    2        phys-schost-2:/dev/rdsk/c0t3d0   /dev/did/rdsk/d2
    3        phys-schost-2:/dev/rdsk/c4t4d0   /dev/did/rdsk/d3
    3        phys-schost-1:/dev/rdsk/c1t5d0   /dev/did/rdsk/d3
    4        phys-schost-2:/dev/rdsk/c3t5d0   /dev/did/rdsk/d4
    4        phys-schost-1:/dev/rdsk/c2t5d0   /dev/did/rdsk/d4
    5        phys-schost-2:/dev/rdsk/c4t4d1   /dev/did/rdsk/d5
    5        phys-schost-1:/dev/rdsk/c1t5d1   /dev/did/rdsk/d5
    6        phys-schost-2:/dev/rdsk/c3t5d1   /dev/did/rdsk/d6
    6        phys-schost-1:/dev/rdsk/c2t5d1   /dev/did/rdsk/d6
  4. scdidadm(1M) の出力が示す DID を使用して、raw デバイスを設定します。

    たとえば、scdidadm の出力によって、ディスクアレイの LUN に対応する raw DID が d4 であることがわかったとします。この場合には、/dev/did/rdsk/d4sx raw デバイスを使用します。ここで、x はスライス番号です。

Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server パッケージのインストール

この手順を使用し、Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server データサービスの実行に必要なパッケージをインストールします。

Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server パッケージをインストールする

この手順を実行するには、Sun Cluster Agents CD が必要です。Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server を実行できるすべてのクラスタノードで、この手順を実行してください。

  1. Agents CD を CD-ROM ドライブに挿入します。

  2. Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server パッケージをインストールします。

    インストールするパッケージは、ボリューム管理にハードウェア RAID または VERITAS Volume Manager のどちらを使用しているかによって異なります。

    1. ボリューム管理にハードウェア RAID を使用している場合は、次のようにインストールします。


      # pkgadd -d . SUNWscucm SUNWudlm SUNWudlmr SUNWschwr
      
    2. ボリューム管理に VERITAS Volume Manager を使用している場合は、次のようにインストールします。


      # pkgadd -d . SUNWscucm SUNWudlm SUNWudlmr SUNWcvmr SUNWcvm
      

注意 - 注意 -

Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server パッケージをインストールした後、Oracle UDLM パッケージがインストールされるまでノードを再起動しないでください。再起動すると障害が発生します。


次の作業

「Oracle ソフトウェアのインストール」に進み、UDLM と Oracle ソフトウェアをインストールします。

Oracle ソフトウェアのインストール

この節の手順を使用し、次の操作を行います。

Sun Cluster ノードを準備する

UDLM ソフトウェアが正しく動作するためには、すべてのクラスタノードに十分な共有メモリーが必要です。インストール手順については、OPS の CD を参照してください。Sun Cluster ノードを準備するために、次の作業が終了しているかどうかを確認してください。


注 -

次の手順は、各クラスタノードでスーパーユーザーで実行してください。


  1. 各ノードで、データベース管理者グループのエントリを /etc/group ファイルに作成し、グループへの登録が必要なユーザーをグループに追加します。

    通常、このグループの名前は、dba です。rootoracledba グループのメンバーであることを確認し、他の DBA ユーザーのエントリを必要に応じて追加します。また、グループ ID が、Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server データサービスを実行するすべてのノードで同じであることを確認します。たとえば、次のエントリを /etc/group ファイルに追加します。


    dba:*:520:root,oracle 

    NIS または NIS+ などのネットワークネームサービス内にネームサービスのエントリを作成し、Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server データサービスクライアントからその情報を利用できるようにします。また、ローカルの /etc ファイルにエントリを作成し、ネットワークネームサービスに依存しないようにできます。

  2. 各ノードで、Oracle ユーザー ID (グループとパスワード) のエントリを /etc/passwd ファイルに作成し、pwconv(1M) コマンドを実行して /etc/shadow ファイルにエントリを作成します。

    通常、Oracle ユーザー ID は、oracle です。たとえば、次のエントリを /etc/passwd ファイルに追加します。


    # useradd -u 120 -g dba -d /Oracle-home oracle
    

    ユーザー ID が、Sun Cluster HA for Oracle Parallel Server データサービスを実行するすべてのノードで同じであることを確認します。

次の作業

OPS 用のクラスタ環境を設定した後、各クラスタノードに UDLM ソフトウェアをインストールします。インストール手順については、OPS のインストールマニュアルを参照してください。

UDLM ソフトウェアをインストールする

UDLM ソフトウェアは、各ノードのローカルディスクにインストールする必要があります。

  1. クラスタメンバーでスーパーユーザーになります。

  2. UDLM ソフトウェアをインストールします。

    適切な OPS インストールマニュアルを参照してください。

  3. /etc/system の共有メモリーの構成情報を更新します。

    これらのパラメータは、クラスタで利用可能なリソースに基づいて構成する必要があります。適切な値を決定してください。ただし、UDLM がその構成要件に従って、共有メモリセグメントを作成できることを確認してください。次に、/etc/system で構成するエントリの例を示します。


    *SHARED MEMORY/ORACLE
    set shmsys:shminfo_shmmax=268435456
    set semsys:seminfo_semmap=1024
    set semsys:seminfo_semmni=2048
    set semsys:seminfo_semmns=2048
    set semsys:seminfo_semmsl=2048
    set semsys:seminfo_semmnu=2048
    set semsys:seminfo_semume=200
    set shmsys:shminfo_shmmin=200
    set shmsys:shminfo_shmmni=200
    set shmsys:shminfo_shmseg=200
    forceload: sys/shmsys
    forceload: sys/semsys
    forceload: sys/msgsys

  4. すべてのノードを停止し、再起動します。


    注意 - 注意 -

    再起動する前に、VxVM ソフトウェアが正しくインストールされており、クラスタを動作させるためのライセンスが有効であることを確認してください。また、UDLM ソフトウェアがインストールされており、正しく構成されていることも確認してください。正しく構成されていないと、ノードで障害が発生します。


    詳細は、scshutdown(1M) のマニュアルページを参照してください。

    まず、1 つのノードから次のコマンドを入力し、すべてのノードを停止します。


    phys-schost-1# scshutdown -g0 -y
    

    各ノードで、ok プロンプトに対して次のコマンドを実行します。


    ok boot
    

次の作業

各クラスタノードに UDLM ソフトウェアをインストールし、すべてのノードを再起動したら、Oracle RDBMS ソフトウェアをインストールします。詳細は、OPS のインストールマニュアルを参照してください。

Oracle RDBMS ソフトウェアをインストールする

RDBMS ソフトウェアのインストール手順については、OPS のインストールマニュアルを参照してください。

次の作業

Oracle RDBMS ソフトウェアをインストールする場合は、Oracle のマニュアルの説明に従って、Oracle データベースを作成します。