Sun Cluster 3.0 U1 データサービスのインストールと構成

Sybase ASE 12.0 ソフトウェアのインストール

この節では次の作業を行います。


注 -

Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスを構成する前に、『Sun Cluster 3.0 U1 ソフトウェアのインストール』の手順に従って各ノードの Sun Cluster ソフトウェアを構成する必要があります。


ノードを準備する

この手順では、Sybase ASE ソフトウェアのインストールに先立ってノードをどのように準備する必要があるかを説明します。


注意 - 注意 -

この手順のすべての手順を Sun Cluster のすべてのノードで実行してください。そうしないと、Sybase ASE のインストールが不完全なため、Sun Cluster HA Sybase ASE データサービスは起動に失敗します。



注 -

この手順を始める前に、Sybase ASE のマニュアルを参照してください。


  1. すべてのノードでスーパーユーザーになります。

  2. /etc/nsswitch.conf ファイルを次のように構成します。これによって、スイッチオーバーやフェイルオーバーが起こったときに、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスの起動と停止が正しく行われます。

    Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスが動作する論理ホストをマスターできる各ノードで、次の group エントリのどれかを /etc/nsswitch.conf ファイルに指定します。


    group:
    group:
    group: files [NOTFOUND=return] nis
    group: file [NOTFOUND=return] nisplus

    Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、su user コマンドを使ってデータベースノードの開始や停止を行います。user には、通常、sybase_id が使用されます。一方、クラスタノードのパブリックネットワークに異常が起こると、ネットワーク情報ネームサービスが使用不能になることがあります。group に上のどれかのエントリが追加されていると、su(1M) コマンドは、NIS/NIS+ ネームサービスが使用不能ならそのネットワーク情報ネームサービスを参照しません。

  3. Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービス用のクラスタファイルシステムを構成します。

    データベースを raw デバイスに格納する場合は、広域デバイスを raw デバイスアクセス用に構成します。広域デバイスの構成方法については、『Sun Cluster 3.0 U1 ソフトウェアのインストール』を参照してください。

    Solstice DiskSuite ボリューム管理ソフトウェアを使用する場合は、UNIX ファイルシステム (UFS) ロギングか raw ミラー化メタデバイスを使用するように Sybase ASE ソフトウェアを構成します。raw ミラー化メタデバイスの構成方法については、Solstice DiskSuite のマニュアルを参照してください。

  4. ローカルディスクか多重ホストディスクに SYBASE_HOME ディレクトリを作成します。


    注 -

    Sybase ASE バイナリをローカルディスクにインストールする場合は、できるだけ別のディスクを使用してください。Sybase ASE バイナリを別のディスクにインストールすると、オペレーティング環境の再インストール時にバイナリが上書きされるのを防止できます。


  5. 各ノードの /etc/group ファイルにデータベース管理者 (DBA) グループのエントリを作成し、予定するユーザーをこのグループに追加します。

    DBA グループには、通常 dba という名前を付けます。rootsybase_id ユーザーが dba グループのメンバーになっているか確認し、必要に応じて他の DBA ユーザーのエントリを追加します。このグループ ID は、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスが動作するどのノードでも同じでなければなりません。次は、その例です。


    dba:*:520:root,sybase_id

    グループエントリをネットワークネームサービスに作成することができます。その場合には、ネットワークネームサービスに依存するのを避けるために、これらのエントリをローカルの /etc/inet/hosts ファイルにも追加します。

  6. 各ノードで、Sybase システム管理者のエントリを作成します。

    Sybase システム管理者には、通常、sybase_id という名前を付けます。次のコマンドでは、/etc/passwd/etc/shadow ファイルを Sybase システム管理者のエントリで更新します。


    # useradd -u 120 -g dba -d /Sybase-home sybase_id
    

    sybase_id ユーザーエントリは、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスが動作するどのノードでも同じでなければなりません。

Sybase ソフトウェアをインストールする

Sybase ASE ソフトウェアをインストールする手順は次のとおりです。

  1. クラスタメンバーでスーパーユーザーになります。

  2. Sybase ASE インストールの要件に注意します。

    Sybase ASE バイナリは、次のどちらにインストールすることもできます。

    • クラスタノードのローカルディスク

    • クラスタファイルシステム


      注 -

      Sybase ASE ソフトウェアをクラスタファイルシステムにインストールする場合は、まず、Sun Cluster ソフトウェアを起動し、ディスクデバイスグループの所有者になる必要があります。


    どこにインストールするかについては、「Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスのインストール準備」を参照してください。

  3. ネットワークリソースやアプリケーションリソースを保持するフェイルオーバーリソースグループを作成します。


    # scrgadm -a -g resource-group [-h nodelist]
    -g resource-group

    リソースグループの名前を指定します。この名前は任意の名前でかまいませんが、クラスタ内のリソースグループに対して一意でなければなりません。

    -h nodelist

    マスターになり得る物理ノードの名前または ID をコンマで区切ったリストを指定します (オプション)。フェイルオーバー時に Resource Group Manager (RGM) が主ノードとして選択する順番がこのリスト上のノードの順序で決まります。


    注 -

    ノードリストの順序を指定する場合は、-h オプションを使用します。クラスタのすべてのノードがマスターになり得るのであれば、-h オプションを指定する必要はありません。


  4. Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスで使用するすべての論理ホスト名が /etc/inet/hosts ファイルかネームサービス (NIS, NIS+) データベースに追加されていることを確認します。

  5. 論理ホスト名をフェイルオーバーリソースグループに追加します。


    # scrgadm -a -L -g resource-group -l logical-hostname ¥ 
    [-j resource] [-n netiflist] 
    -l logical-hostname

    論理ホスト名を指定します。論理ホスト名とは、クライアントから Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスにアクセスするときに使用するネットワークインタフェース (IP アドレス) です。

    -j resource

    論理ホスト名のリソースを指定します (オプション)。名前を指定しないと、デフォルトのリソース名が -l オプションに続く最初の名前として表示されます。

    -n netiflist

    各ノード上の NAFO グループをコンマで区切って指定します (オプション)。netiflist は、リソースグループの nodelist にあるすべてのノードを包含していなければなりません。このオプションを指定しないと、scrgadm コマンドが、nodelist のノードごとに、hostnamelist リストに指定されているネットアダプタをサブネットから発見します。

  6. sybase_id としてログインします。

  7. Sybase ASE ソフトウェアをインストールします。

    Sybase ASE ソフトウェアをどこにインストールする場合でも、Sybase ASE の標準的なインストール手順を使用する場合と同じように、各ノードの /etc/system ファイルを変更する必要があります。Sybase ASE ソフトウェアのインストール手順については、Sybase のインストールと構成のマニュアルを参照してください。


    注 -

    Sybase サーバーの名前を要求されたら、その論理ホスト名を入力してください。


次の作業

Sybase ASE ソフトウェアのインストールが終わったら、Solstice DiskSuite ボリューム管理ソフトウェアを使用する場合は、「Solstice DiskSuite による Sybase ASE データベースアクセスを構成する」へ進みます。VERITAS ボリューム管理ソフトウェア (VxVM) を使用する場合は、「VxVM による Sybase ASE データベースアクセスを構成する」へ進みます。

Sybase ASE のインストールを確認する

Sybase ASE ソフトウェアのインストールを確認する手順は次のとおりです。

  1. sybase_id ユーザーと dba グループが $SYBASE_HOME ディレクトリと $SYBASE_HOME の子ディレクトリを所有していることを確認します。

  2. scstat(1M) コマンドを実行して、Sun Cluster ソフトウェアが正しく動作することを確認します。