Sun Cluster 3.0 U1 データサービスのインストールと構成

第 10 章 Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成

この章では、Sun Cluster の各ノード上で Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスを構成および管理する手順について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、フェイルオーバーサービスとして構成する必要があります。データサービスやリソースグループ、リソースなど、関連項目の一般的な情報については、『Sun Cluster 3.0 U1 の概念』とこのマニュアルの第 1 章「Sun Cluster データサービスの計画」を参照してください。

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成

次の表に、必要なインストール作業や構成作業とその説明のある節を示します。

表 10-1 作業マップ: Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成

作業 

参照先 

Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスのインストール準備 

「Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスのインストール準備」

Sybase ASE 12.0 ソフトウェアのインストール 

「Sybase ASE 12.0 ソフトウェアのインストール」

Sybase データベース環境の作成 

「Sybase ASE データベース環境の作成」

Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストール 

「Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストール」

Sun Cluster HA for Sybase ASE リソースタイプの登録とリソースグループおよびリソースの構成 

「Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成」

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールの確認 

「Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールの確認」

Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギングとセキュリティの問題 

「Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギングとセキュリティの問題」

Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成 

「Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成」

障害モニター情報の表示 

「Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニター」

Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスのインストール準備

Sun Cluster HA for Sybase Adaptive Server 12.0 のインストールに先立って、次のファイルのインストール先を選択する必要があります。

Sybase ASE 12.0 ソフトウェアのインストール

この節では次の作業を行います。


注 -

Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスを構成する前に、『Sun Cluster 3.0 U1 ソフトウェアのインストール』の手順に従って各ノードの Sun Cluster ソフトウェアを構成する必要があります。


ノードを準備する

この手順では、Sybase ASE ソフトウェアのインストールに先立ってノードをどのように準備する必要があるかを説明します。


注意 - 注意 -

この手順のすべての手順を Sun Cluster のすべてのノードで実行してください。そうしないと、Sybase ASE のインストールが不完全なため、Sun Cluster HA Sybase ASE データサービスは起動に失敗します。



注 -

この手順を始める前に、Sybase ASE のマニュアルを参照してください。


  1. すべてのノードでスーパーユーザーになります。

  2. /etc/nsswitch.conf ファイルを次のように構成します。これによって、スイッチオーバーやフェイルオーバーが起こったときに、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスの起動と停止が正しく行われます。

    Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスが動作する論理ホストをマスターできる各ノードで、次の group エントリのどれかを /etc/nsswitch.conf ファイルに指定します。


    group:
    group:
    group: files [NOTFOUND=return] nis
    group: file [NOTFOUND=return] nisplus

    Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、su user コマンドを使ってデータベースノードの開始や停止を行います。user には、通常、sybase_id が使用されます。一方、クラスタノードのパブリックネットワークに異常が起こると、ネットワーク情報ネームサービスが使用不能になることがあります。group に上のどれかのエントリが追加されていると、su(1M) コマンドは、NIS/NIS+ ネームサービスが使用不能ならそのネットワーク情報ネームサービスを参照しません。

  3. Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービス用のクラスタファイルシステムを構成します。

    データベースを raw デバイスに格納する場合は、広域デバイスを raw デバイスアクセス用に構成します。広域デバイスの構成方法については、『Sun Cluster 3.0 U1 ソフトウェアのインストール』を参照してください。

    Solstice DiskSuite ボリューム管理ソフトウェアを使用する場合は、UNIX ファイルシステム (UFS) ロギングか raw ミラー化メタデバイスを使用するように Sybase ASE ソフトウェアを構成します。raw ミラー化メタデバイスの構成方法については、Solstice DiskSuite のマニュアルを参照してください。

  4. ローカルディスクか多重ホストディスクに SYBASE_HOME ディレクトリを作成します。


    注 -

    Sybase ASE バイナリをローカルディスクにインストールする場合は、できるだけ別のディスクを使用してください。Sybase ASE バイナリを別のディスクにインストールすると、オペレーティング環境の再インストール時にバイナリが上書きされるのを防止できます。


  5. 各ノードの /etc/group ファイルにデータベース管理者 (DBA) グループのエントリを作成し、予定するユーザーをこのグループに追加します。

    DBA グループには、通常 dba という名前を付けます。rootsybase_id ユーザーが dba グループのメンバーになっているか確認し、必要に応じて他の DBA ユーザーのエントリを追加します。このグループ ID は、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスが動作するどのノードでも同じでなければなりません。次は、その例です。


    dba:*:520:root,sybase_id

    グループエントリをネットワークネームサービスに作成することができます。その場合には、ネットワークネームサービスに依存するのを避けるために、これらのエントリをローカルの /etc/inet/hosts ファイルにも追加します。

  6. 各ノードで、Sybase システム管理者のエントリを作成します。

    Sybase システム管理者には、通常、sybase_id という名前を付けます。次のコマンドでは、/etc/passwd/etc/shadow ファイルを Sybase システム管理者のエントリで更新します。


    # useradd -u 120 -g dba -d /Sybase-home sybase_id
    

    sybase_id ユーザーエントリは、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスが動作するどのノードでも同じでなければなりません。

Sybase ソフトウェアをインストールする

Sybase ASE ソフトウェアをインストールする手順は次のとおりです。

  1. クラスタメンバーでスーパーユーザーになります。

  2. Sybase ASE インストールの要件に注意します。

    Sybase ASE バイナリは、次のどちらにインストールすることもできます。

    • クラスタノードのローカルディスク

    • クラスタファイルシステム


      注 -

      Sybase ASE ソフトウェアをクラスタファイルシステムにインストールする場合は、まず、Sun Cluster ソフトウェアを起動し、ディスクデバイスグループの所有者になる必要があります。


    どこにインストールするかについては、「Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスのインストール準備」を参照してください。

  3. ネットワークリソースやアプリケーションリソースを保持するフェイルオーバーリソースグループを作成します。


    # scrgadm -a -g resource-group [-h nodelist]
    -g resource-group

    リソースグループの名前を指定します。この名前は任意の名前でかまいませんが、クラスタ内のリソースグループに対して一意でなければなりません。

    -h nodelist

    マスターになり得る物理ノードの名前または ID をコンマで区切ったリストを指定します (オプション)。フェイルオーバー時に Resource Group Manager (RGM) が主ノードとして選択する順番がこのリスト上のノードの順序で決まります。


    注 -

    ノードリストの順序を指定する場合は、-h オプションを使用します。クラスタのすべてのノードがマスターになり得るのであれば、-h オプションを指定する必要はありません。


  4. Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスで使用するすべての論理ホスト名が /etc/inet/hosts ファイルかネームサービス (NIS, NIS+) データベースに追加されていることを確認します。

  5. 論理ホスト名をフェイルオーバーリソースグループに追加します。


    # scrgadm -a -L -g resource-group -l logical-hostname ¥ 
    [-j resource] [-n netiflist] 
    -l logical-hostname

    論理ホスト名を指定します。論理ホスト名とは、クライアントから Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスにアクセスするときに使用するネットワークインタフェース (IP アドレス) です。

    -j resource

    論理ホスト名のリソースを指定します (オプション)。名前を指定しないと、デフォルトのリソース名が -l オプションに続く最初の名前として表示されます。

    -n netiflist

    各ノード上の NAFO グループをコンマで区切って指定します (オプション)。netiflist は、リソースグループの nodelist にあるすべてのノードを包含していなければなりません。このオプションを指定しないと、scrgadm コマンドが、nodelist のノードごとに、hostnamelist リストに指定されているネットアダプタをサブネットから発見します。

  6. sybase_id としてログインします。

  7. Sybase ASE ソフトウェアをインストールします。

    Sybase ASE ソフトウェアをどこにインストールする場合でも、Sybase ASE の標準的なインストール手順を使用する場合と同じように、各ノードの /etc/system ファイルを変更する必要があります。Sybase ASE ソフトウェアのインストール手順については、Sybase のインストールと構成のマニュアルを参照してください。


    注 -

    Sybase サーバーの名前を要求されたら、その論理ホスト名を入力してください。


次の作業

Sybase ASE ソフトウェアのインストールが終わったら、Solstice DiskSuite ボリューム管理ソフトウェアを使用する場合は、「Solstice DiskSuite による Sybase ASE データベースアクセスを構成する」へ進みます。VERITAS ボリューム管理ソフトウェア (VxVM) を使用する場合は、「VxVM による Sybase ASE データベースアクセスを構成する」へ進みます。

Sybase ASE のインストールを確認する

Sybase ASE ソフトウェアのインストールを確認する手順は次のとおりです。

  1. sybase_id ユーザーと dba グループが $SYBASE_HOME ディレクトリと $SYBASE_HOME の子ディレクトリを所有していることを確認します。

  2. scstat(1M) コマンドを実行して、Sun Cluster ソフトウェアが正しく動作することを確認します。

Sybase ASE データベース環境の作成

この節の手順では、次の作業を行います。

Solstice DiskSuite による Sybase ASE データベースアクセスを構成する

Solstice DiskSuite ボリューム管理ソフトウェアを使用する場合は、次の手順に従って Solstice DiskSuite ボリューム管理ソフトウェアにより Sybase ASE データベースアクセスを構成します。

  1. Solstice DiskSuite ソフトウェアが使用するディスクデバイスを構成します。

    Solstice DiskSuite ソフトウェアの構成方法については、『Sun Cluster 3.0 U1 ソフトウェアのインストール』を参照してください。

  2. データベースを raw デバイスに格納する場合は、次のコマンドを使って、各 raw ミラー化メタデバイスの所有者、グループ、モードを変更します。

    raw デバイスを使用しない場合は、この手順を行わないでください。

    1. raw デバイスを作成する場合は、Sybase ASE リソースグループをマスターできる「各ノードで」デバイスごとに次のコマンドを実行します。


      # chown sybase_id /dev/md/metaset/rdsk/dn
      # chgrp dba_id /dev/md/metaset/rdsk/dn
      # chmod 600 /dev/md/metaset/rdsk/dn
      
      metaset

      ディスクセットの名前を指定します。

      /rdsk/dn

      metaset ディスクセット内の raw ディスクデバイスの名前を指定します。

    2. 変更が有効になっているか確認します。


      # ls -lL /dev/md/metaset/rdsk/dn
      

VxVM による Sybase ASE データベースアクセスを構成する

VxVM ソフトウェアを使用する場合は、次の手順に従って、VxVM ソフトウェアによる Sybase ASE データベースアクセスを構成します。

  1. VxVM ソフトウェアが使用するディスクデバイスを構成します。

    VERITAS ボリューム管理ソフトウェアの構成方法については、『Sun Cluster 3.0 U1 ソフトウェアのインストール』を参照してください。

  2. データベースを raw デバイスに格納する場合は、現在のディスク-グループ主ノードで次のコマンドを実行して、各デバイスの所有者、グループ、モードを変更します。

    raw デバイスを使用しない場合は、この手順を行わないでください。

    1. raw デバイスを作成する場合は、raw デバイスごとに次のコマンドを実行します。


      # vxedit -g diskgroup set user=sybase_id group=dba_id mode=0600 volume
      
      diskgroup

      ディスクグループの名前を指定します。

      volume

      ディスクグループ内のボリュームの名前を指定します。

    2. 変更が有効になっているかどうか確認します。


      # ls -lL /dev/vx/rdsk/diskgroup/volume
      
    3. ディスクデバイスグループをクラスタに再登録して、クラスタ内での VxVM 名前空間の整合性を確保します。


      # scconf -c -D name=diskgroup
      

Sybase ASE データベース環境を作成する

この手順を行う前に、必ず次の作業を行ってください。


注 -

Sun Cluster ソフトウェアでは、Sybase ASE 12.0 Base 32 ビット構成しかサポートされません。


次の手順に従って、Sybase ASE データベース環境を作成します。

  1. GUI ベースのユーティリティ srvbuild を実行して Sybase ASE データベースを作成します。

    このユーティリティは、$SYBASE/ASE_12-0/bin ディレクトリに含まれています。詳細は、Sybase ASE の『Installing Sybase Adaptive Server Enterprise on Sun Solaris 2.x (SPARC)』を参照してください。

  2. データベースが正しくインストールされていることを確認するために、すべてのサーバーが正しく起動するか確認します。

    ps(1) コマンドを実行してすべてのサーバーの動作を確認します。エラーがある場合は、Sybase ASE サーバーのログに出力されます。

  3. Sybase ASE システム管理者アカウントのパスワードを設定します。

    「sa」ログインパスワードの変更方法については、『Sybase Adaptive Server Enterprise System Administration Guide』を参照してください。

  4. 障害監視に使用する Sybase ASE アカウントを新しく作成します。

    障害モニターは、このアカウントを使って次の作業を行うことができます。

    • システムテーブルのクエリーをサポートする。

    • ユーザーテーブルの作成や更新を行う。


    注 -

    この目的で sa アカウントを使用することは避けてください。


    詳細は、「Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニター」を参照してください。

  5. 停止ファイルの sa パスワードを更新します。

    停止ファイルには sa パスワードが格納されているため、適切なアクセス権でこのファイルを保護するとともに、このファイルを、システム管理者が選択するディレクトリに置く必要があります。停止ファイルの読み取り、書き込み、実行は、sybase_id ユーザーだけからできるようにします。


    注 -

    同じクラスタに別の Sybase ASE 構成を設定する場合は、その構成のユーザー ID として sybase_id を使用しないでください。


    停止ファイルについては、「重要なセキュリティの問題」を参照してください。

次の作業

Sybase ASE データベース環境を作成したら、「Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをインストールする」に進みます。

Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストール

scinstall(1M) ユーティリティを使って、SUNWscsyb (Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスパッケージ) をクラスタにインストールします。このときに、非対話型の scinstall にすべてのデータサービスパッケージをインストールする -s オプションを指定しないでください。

Sun Cluster のインストール時に SUNWscsyb データサービスパッケージをすでにインストールしている場合は、「Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成」に進んでください。まだインストールしていない場合は、次の手順に従って SUNWscsyb パッケージをインストールします。

Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをインストールする

この手順には Sun Cluster Agents CD が必要です。この手順は、Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージが動作するすべてのクラスタノードで行う必要があります。

  1. Agents CD を CD-ROM ドライブに入れます。

  2. オプションを指定せずに scinstall ユーティリティを実行します。

    これによって、scinstall ユーティリティが対話モードで起動されます。

  3. メニューから「Add Support for New Data Service to This Cluster Node」のオプションを選択します。

    このオプションでは、CD にあるすべてのデータサービスのソフトウェアをロードできます。

  4. scinstall ユーティリティを終わります。

  5. ドライブから CD を取り出します。

次の作業

Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストールが終わったら、「Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成を行う」に進みます。

Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成

この手順では、次の作業を行います。

Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成を行う

この手順では、scrgadm(1M) コマンドを使って Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスの登録と構成を行う方法を説明します。


注 -

このデータサービスの登録と構成は、他のいくつかの方法でも行うことができます。これらの方法については、「データサービスリソースを管理するためのツール」を参照してください。


この手順の実行には次の情報が必要です。


注 -

次の手順は、クラスタの 1 つのメンバーだけで行ってください。


  1. クラスタのメンバーでスーパーユーザーになります。

  2. scrgadm コマンドを実行して、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスのリソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.sybase
    

    -a

    データサービスのリソースタイプを追加します。

    -t SUNW.sybase

    データサービスに対してあらかじめ定義されているリソースタイプ名を指定します。

  3. Sybase ASE アプリケーションリソースをフェイルオーバーリソースグループに作成します。


    # scrgadm -a -j resource -g resource-group ¥
    -t SUNW.sybase ¥
    -x Environment_File=environment-file-path ¥
    -x Adaptive_Server_Name=adaptive-server-name ¥
    -x Backup_Server_Name=backup-server-name ¥
    -x Text_Server_Name=text-server-name ¥
    -x Monitor_Server_Name=monitor-server-name ¥
    -x Adaptive_Server_Log_File=log-file-path ¥
    -x Stop_File=stop-file-path ¥
    -x Connect_string=user/passwd ¥
    
    -j resource

    追加するリソース名を指定します。

    -g resource-group

    リソースグループ名を指定します。RGM はここにリソースを入れます。

    -t SUNW.sybase

    追加するリソースタイプを指定します。

    -x Environment_File=environment-file

    環境ファイル名を設定します。

    -x Adaptive_Server_Name=adaptive-server-name

    アダプティブサーバー adaptive-server 名を設定します。

    -x Backup_Server_Name=backup-server-name

    バックアップサーバー名を設定します。

    -x Text_Server_Name=text-server-name

    テキストサーバー名を設定します。.

    -x Monitor_Server_Name=monitor-server-name

    モニターサーバー名を設定します。

    -x Adaptive_Server_Log_File=log-file-path

    アダプティブサーバーのログファイルへのパスを設定します。

    -x Stop_File=stop-file-path

    停止ファイルへのパスを設定します。

    -x Connect_string=user/passwd

    障害モニターがデータベースに接続するときに使用するユーザー名とパスワードを指定します。

    デフォルト値を持つ拡張プロパティを指定する必要はありません。詳細は、「Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成」を参照してください。

  4. scswitch(1M) コマンドを実行して次の作業を行います。

    • リソースと障害監視を有効にする。

    • リソースグループを管理状態にする。

    • リソースグループをオンラインにする。


    # scswitch -Z -g resource-group
    

SUNW.HAStorage リソースタイプを構成する

SUNW.HAStorage リソースタイプは、HA ストレージと Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスとの間のアクションを同期化するためのものです。Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスではディスクがよく使用されるため、 SUNW.HAStorage リソースタイプを構成すべきです。

SUNW.HAStorage リソースタイプについては、SUNW.HAStorage(5) マニュアルページと、「リソースグループとディスクデバイスグループの関連性」を参照してください。SUNW.HAStorage リソースタイプの構成手順については、「新しいリソース用に SUNW.HAStorage リソースタイプを設定する」を参照してください。

次の作業

Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスの登録と構成が終わったら、「Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールを確認する」に進みます。

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールの確認

次の確認テストを行って、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスのインストールと構成が正しく行われていることを確認します。

これらの確認検査では、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスが動作するすべてのノードで Sybase ASE データサービスを起動できるかどうかや、この構成の他のノードから Sybase ASE データサービスにアクセスできるかどうかを確認します。これらの検査を実行して、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスから Sybase ASE ソフトウェアを起動する際に起こる問題を明確にしてください。

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールを確認する

  1. Sybase ASE リソースグループを監視しているモードにログインします。

  2. Sybase ASE 環境変数を設定します。

    この環境変数は、Environment_file 拡張プロパティで指定する変数のことです。これらの変数には、通常、SYBASE.sh という名前を使用します。

  3. Sun Cluster HA for Sybase ASE リソースがオンラインになっているかどうか確認します。


    # scstat -g
    
  4. Sybase ASE ログを調べて、エラーがある場合は、その原因を判別します。

  5. データサーバーに接続できることを確認してから、次のテストコマンドを実行します。


    # isql -S adaptive-server -U sa
    isql> sp_help
    isql> go
    isql> quit
    

  6. Sybase ASE データサービスのプロセスを終了させます。

    Sun Cluster ソフトウェアがこのプロセスを再起動します。

  7. Sybase ASE リソースを持つリソースグループを別のクラスタメンバーに切り替えます。


    # scswitch -z -g resource-group -h node
    

  8. この時点でそのリソースグループを持つノードにログインします。

  9. 手順 3 から 手順 5 までを繰り返します。


    注 -

    Sybase ASE クライアントの接続は、Sun Cluster HA for Sybase ASE のスイッチオーバーが起こると無効になります。つまり、スイッチオーバーが起こると、Sybase ASE へのクライアント接続は停止されます。したがって、クライアントは接続を再確立する必要があります。スイッチオーバー後の Sun Cluster HA for Sybase ASE の回復時間は、Sybase ASE トランザクションログの再生にどのくらいの時間が必要かによって異なります。


Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギングとセキュリティの問題

この節では、Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギングとセキュリティの問題について説明します。

Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギング

Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、メッセージを /opt/SUNWscsyb/log ディレクトリの message_log ファイルに記録します。このファイルの最大サイズは 512K バイトですが、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、古いログファイルを削除しません。したがって、ログオンファイルの数が多数になることがあります。

Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、すべてのエラーメッセージを syslog ファイルに記録します。さらに、このデータサービスは、障害モニターの履歴を log ディレクトリの restart_history ファイルに書き込みます。これらのファイルの数もまた多数に上ることがあります。

定期的なファイル整理の一貫として次のログファイルを検査し、必要がなければ削除してください。

重要なセキュリティの問題

Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスでは、システム管理者のパスワードが停止ファイルに組み込まれていなければなりません。/opt/SUNWscsyb ディレクトリには、停止ファイルのテンプレート Sybase_stop_servers が含まれています。Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、このファイルを使って Sybase ASE 環境にログインしたり、Sybase ASE サーバーを停止したりします。したがって、停止ファイルを実行できるように sybase_id ユーザーを設定してください。ただし、一般ユーザーからのこのファイルへのアクセスは防止する必要があります。読み取り、書き込み、実行の特権を次のユーザーだけに与えます。

Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成

この節では、Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成手順を説明します。通常、拡張プロパティは、Sybase ASE リソースを作成するときに、コマンド行から scrgadm -x parameter=value を実行して構成します。拡張プロパティは、第 11 章「データサービスリソースの管理」に示す手順を使って後で構成することもできます

Sun Cluster のすべての拡張プロパティについては、r_properties(5) と rg_properties(5) のマニュアルページを参照してください。

表 10-2 に、Sybase ASE サーバーリソース用に設定可能な拡張プロパティを示します。拡張プロパティによっては、動的に更新できるものもあります。ただし、それ以外の拡張プロパティは、リソースを作成するか無効にするときにしか更新できません。次の表の「調整」列は、各プロパティをいつ更新できるかを示しています。

表 10-2 Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティ

名前/データタイプ 

デフォルト 

範囲 

調整 

説明 

Environment_ File

なし 

Minimum=1

無効化された時 

すべての Sybase ASE 環境変数が格納されているファイル。 

Adaptive_ Server_Name

なし 

Minimum=1

無効化された時 

データサーバー名。Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、このプロパティを使って、$SYBASE/$ASE/install ディレクトリから RUN サーバーの場所を見つけます。

Backup_ Server_Name

Null

 

無効化された時 

バックアップサーバー名。Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、このプロパティを使って、$SYBASE/$ASE/install ディレクトリから RUN サーバーの場所を見つけます。このプロパティが設定されていないと、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスはこのサーバーを管理しません。

Monitor_ Server_Name

Null

 

無効化された時 

モニターサーバー名。Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、このプロパティを使って、$SYBASE/$ASE/install ディレクトリから RUN サーバーの場所を見つけます。このプロパティが設定されていないと、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスはこのサーバーを管理しません。

Text_Server_ Name

Null

 

無効化された時 

テキストサーバー名。Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、このプロパティを使って、$SYBASE/$ASE/install ディレクトリから RUN サーバーの場所を見つけます。このプロパティが設定されていないと、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスはこのサーバーを管理しません。

Adaptive_ Server_Log_ File

なし 

Minimum=1

無効化された時 

Sybase ASE データサーバーログ。Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、このプロパティを絶えず読み取り、エラーを監視します。 

Stop_File

なし 

Minimum=1

無効化された時 

Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、サーバーの stoppages の間にこのプロパティを使用します。このプロパティには、sa パスワードが含まれています。このプロパティを一般ユーザーのアクセスから保護してください。

Probe_ timeout

30 seconds

1 - 99999 seconds

任意の時点 

障害モニター検証で使用するタイムアウト値。 

Debug_ level

0

0 - 15

任意の時点 

Sun Cluster HA for Sybase ASE ログに書き込むためのデバッグレベル。 

Connect_ string

なし 

Minimum=1

任意の時点 

user/password 形式の文字列。Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスは、データベースの検証時にこのプロパティを使用する。

Connect_ cycle

5

1 - 100

任意の時点 

Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスが新しい接続を確立する前に行われる障害モニター検証サイクルの回数。 

Wait_for_ online

FALSE

TRUE - FALSE

任意の時点 

起動メソッドが、自身が終了する前に、データベースがオンラインになるのを待つかどうか。 

Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニター

Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターは、Sybase ASE サーバーの状態を調べてサーバーが正常かどうかを判定します。

障害モニターは、次のプロセスから構成されています。

次の各項では、Sun Cluster HA for Sybase ASE の障害モニタープロセスと、障害モニターが使用する拡張プロパティについて説明します。

主障害モニタープロセス

障害モニタープロセスでは、エラーを診断し、統計情報を検査します。障害モニターは、次の条件が満たされたときに、操作が正常であったとみなします。

操作が失敗に終わると、主プロセスは、アクションテーブルを検査してとるべきアクションを特定し、あらかじめ決められたアクションをとります。操作が失敗に終わった場合、主プロセスは、次のアクションをとることができます。これらのアクションでは、外部プログラムがバックグラウンドの別プロセスとして実行されます。

さらに、サーバーの障害モニターは Adaptive_Server_Log ファイルをスキャンし、エラーが見つかれば、それを訂正するアクションをとります。

データベース-クライアント障害検証

データベース-クライアント障害検証では、活動検査とテストトランザクションを実行します。拡張プロパティ Connect_string では、すべてのデータベース操作を行うアカウントを指定します。拡張プロパティ Probe_timeout では、タイムアウト値を設定します。障害機構は、この値を使って、正常なデータベース検証の間に経過した時間を計算します。

拡張プロパティ

障害モニターでは、次の拡張プロパティを使用します。

これらの拡張プロパティについては、「Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティの構成」を参照してください。