この手順は、scrgadm コマンドを使って Sun Cluster HA for Oracle データサービスの登録と構成を行う方法を述べたものです。
このデータサービスの登録と構成は、他のいくつかのオプションでも行うことができます。これらのオプションについては、「データサービスリソースを管理するためのツール」を参照してください。
この手順を実行するには、次の情報が必要になります。
データサービスをマスターするクラスタノードの名前。
データサービスへのアクセスにクライアントが使用する論理ホストの名前。通常、クラスタをインストールするときにこの IP アドレスを設定します。詳細は、『Sun Cluster 3.0 U1 ソフトウェアのインストール』の論理ホスト名の設定を説明している節を参照してください。
構成するリソースの Oracle アプリケーションバイナリへのパス。
この手順は、任意のクラスタメンバーで実行します。
クラスタメンバーでスーパーユーザーになります。
scrgadm コマンドを実行し、データサービスのリソースタイプを登録します。
Sun Cluster HA for Oracle データサービスの場合は、次のように、SUNW.oracle_server および SUNW.oracle_listener の 2 つのリソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.oracle_server # scrgadm -a -t SUNW.oracle_listener |
データサービスのリソースタイプを追加します。
データサービス用に事前に定義したリソースタイプ名を指定します。
ネットワークリソースとアプリケーションリソースを保持するフェイルオーバーリソースグループを作成します。
必要に応じて、-h オプションを指定し、データサービスを実行できる一群のノードを任意で選択することもできます。
# scrgadm -a -g resource-group [-h nodelist] |
リソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できますが、クラスタ内で一意のリソースグループにする必要があります。
潜在的マスターを識別する物理ノード名または ID をコンマで区切って指定します (任意)。フェイルオーバー時は、この順序で主ノードが決まります。
-h オプションを使用してノードリストの順序を指定します。クラスタ内のすべてのノードが潜在的マスターの場合、-h オプションを使用する必要はありません。
使用しているすべての論理ホスト名が、ネームサービスデータベースに追加されていることを確認します。
Sun Cluster のインストール時に、この確認を行っておく必要があります。
ネームサービスの検索が原因で障害が発生するのを防ぐために、サーバーおよびクライアントの /etc/hosts ファイルにすべての論理ホスト名が登録されていることを確認してください。
論理ホスト名をフェイルオーバーリソースグループに追加します。
# scrgadm -a -L -g resource-group -l logical-hostname ¥ [-j resource] [-n netiflist] |
論理ホスト名を指定します。
論理ホスト名リソースに名前を指定します (任意)。名前を指定しない場合、リソース名は、デフォルトで -l オプションで最初に指定した名前になります。
各ノードの NAFO グループをコンマで区切って指定します。リソースグループの nodelist 内のすべてのノードが netiflist に含まれている必要があります。このオプションを指定しない場合は、scrgadm は、nodelist 内の各ノードの hostname リストによって識別されるサブネット上からネットアダプタを見つけようとします。
Oracle アプリケーションリソースをフェイルオーバーリソースグループに作成します。
# scrgadm -a -j resource -g resource-group ¥ -t SUNW.oracle_server ¥ -x Connect_string=user/passwd ¥ -x ORACLE_SID=instance ¥ -x ORACLE_HOME=Oracle-home ¥ -x Alert_log_file=path-to-log |
# scrgadm -a -j resource -g resource-group ¥ -t SUNW.oracle_listener ¥ -x LISTENER_NAME=listener ¥ -x ORACLE_HOME=Oracle-home |
追加するリソースの名前を指定します。
リソースを配置するリソースグループの名前を指定します。
追加するリソースの種類を指定します。
サーバーメッセージログ用のパスを $ORACLE_HOME 下に設定します。
障害モニターがデータベースに接続するために使用するユーザーとパスワード。ここでの設定は、「Oracle データベースのアクセス権を設定する」で設定したアクセス権を満たす必要があります。Solaris 認証を使用している場合は、ユーザー名とパスワードの代わりにスラッシュ (/) を入力します。
Oracle システム識別子を設定します。
Oracle リスナーインスタンスの名前を設定します。この名前は、listener.ora 内の対応するエントリと一致する必要があります。
Oracle ホームディレクトリのパスを設定します。
再起動の原因になるような障害が Oracle サービスリソースの 1 つに起こると、そのリソースグループ全体が再起動されます。つまり、Apache や DNS など、障害が発生していない同じリソースグループの他のリソースも再起動されます。Oracle サーバーリソースの障害によって他のリソースが再起動されるのを防ぐには、それらのリソースを別のリソースグループに入れます。
必要に応じて、Oracle データサービスに属する拡張プロパティをさらに設定し、デフォルト値を上書きできます。拡張プロパティの一覧については、「Sun Cluster HA for Oracle 拡張プロパティの構成」を参照してください。
リソースと障害モニターを有効にします。
リソースグループを管理状態にします。
リソースグループをオンラインにします。
# scswitch -Z -g resource-group |
リソースとモニターを有効にし、リソースグループを管理状態にし、オンラインにします。
リソースグループの名前を指定します。
次に、2 ノードクラスタに Sun Cluster HA for Oracle データサービスを登録する例を示しています。
Cluster Information Node names: phys-schost-1, phys-schost-2 Logical Hostname: schost-1 Resource group: resource-group-1 (フェイルオーバーリソースグループ) Oracle Resources: oracle-server-1, oracle-listener-1 Oracle Instances: ora-lsnr (リスナー), ora-srvr (サーバー) (フェイルオーバーリソースグループを追加し、すべてのリソースを含む) # scrgadm -a -g resource-group-1 (リソースグループに論理ホスト名リソースを追加する) # scrgadm -a -L -g resource-group-1 -l schost-1 (Oracle リソースタイプを登録する) # scrgadm -a -t SUNW.oracle_server # scrgadm -a -t SUNW.oracle_listener (Oracle アプリケーションリソースをリソースグループに追加する) # scrgadm -a -j oracle-server-1 -g resource-group-1 ¥ -t SUNW.oracle_server -x ORACLE_HOME=/global/oracle ¥ -x Alert_log_file=/global/oracle/message-log ¥ -x ORACLE_SID=ora-srvr -x Connect_string=scott/tiger # scrgadm -a -j oracle-listener-1 -g resource-group-1 ¥ -t SUNW.oracle_listener -x ORACLE_HOME=/global/oracle ¥ -x LISTENER_NAME=ora-lsnr (リソースグループをオンラインにする) # scswitch -Z -g resource-group-1 |