Sun Cluster HA for Oracle をフェイルオーバーデータサービスとして登録し、構成します。そのためには、Oracle サーバーおよびリスナー用に、データサービスを登録し、リソースグループとリソースを構成する必要があります。リソースとリソースグループについては、このマニュアルの第 1 章「Sun Cluster データサービスの計画」と『Sun Cluster 3.0 12/01 の概念』を参照してください。
この手順は、scrgadm コマンドを使って Sun Cluster HA for Oracle の登録と構成を行う方法を述べたものです。
このデータサービスの登録と構成は、他のいくつかの方法でも行うことができます。これらの方法については、「データサービスリソースを管理するためのツール」を参照してください。
この手順を実行するには、次の情報が必要になります。
データサービスをマスターするクラスタノードの名前。
データサービスへのアクセスにクライアントが使用するネットワークリソース。通常、クラスタをインストールするときにこの IP アドレスを設定します。ネットワークリソースの詳細は、『Sun Cluster 3.0 12/01 の概念』を参照してください。
構成するリソースの Oracle アプリケーションバイナリへのパス。
この手順は、任意のクラスタメンバーで実行します。
クラスタメンバーでスーパーユーザーになります。
scrgadm コマンドを実行し、データサービスのリソースタイプを登録します。
Sun Cluster HA for Oracle の場合は、次のように、SUNW.oracle_server および SUNW.oracle_listener の 2 つのリソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.oracle_server # scrgadm -a -t SUNW.oracle_listener |
データサービスのリソースタイプを追加します。
データサービス用に事前に定義したリソースタイプ名を指定します。
ネットワークリソースおよびアプリケーションリソースを保持するフェイルオーバーリソースグループを作成します。
必要に応じて、-h オプションを指定し、データサービスを実行できる一群のノードを任意で選択することもできます。
# scrgadm -a -g resource-group [-h nodelist] |
リソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できますが、クラスタ内で一意のリソースグループにする必要があります。
潜在的マスターを識別する物理ノード名または ID をコンマで区切って指定します (任意)。フェイルオーバー時は、この順序で主ノードが決まります。
-h オプションを使用してノードリストの順序を指定します。クラスタ内のすべてのノードが潜在的マスターの場合、-h オプションを使用する必要はありません。
使用しているすべてのネットワークリソースがネームサービスデータベースに追加されていることを確認します。
Sun Cluster のインストール時に、この確認を行っておく必要があります。
ネームサービスの検索が原因で障害が発生するのを防ぐために、サーバーおよびクライアントの /etc/hosts ファイルにすべてのネットワークリソースが登録されていることを確認してください。
ネットワークリソースをフェイルオーバーリソースグループに追加します。
# scrgadm -a -L -g resource-group -l logical-hostname [-n netiflist] |
ネットワークリソースを指定します。ネットワークリソースは、クライアントが Sun Cluster HA for Oracle のアクセスに使用する論理ホスト名または共有アドレス (IP アドレス) です。
各ノードの NAFO グループをコンマで区切って指定します。リソースグループの nodelist 内のすべてのノードが、netiflist に含まれている必要があります。このオプションを指定しないと、scrgadm(1M) が、nodelist のノードごとに、hostname リストに指定されているネットアダプタをサブネットから発見します。例: -n nafo0@nodename, nafo0@nodename2
Oracle アプリケーションリソースをフェイルオーバーリソースグループに作成します。
# scrgadm -a -j resource -g resource-group ¥ -t SUNW.oracle_server ¥ -x Connect_string=user/passwd ¥ -x ORACLE_SID=instance ¥ -x ORACLE_HOME=Oracle-home ¥ -x Alert_log_file=path-to-log |
# scrgadm -a -j resource -g resource-group ¥ -t SUNW.oracle_listener ¥ -x LISTENER_NAME=listener ¥ -x ORACLE_HOME=Oracle-home |
追加するリソースの名前を指定します。
リソースを配置するリソースグループの名前を指定します。
追加するリソースの種類を指定します。
サーバーメッセージログ用のパスを $ORACLE_HOME 下に設定します。
障害モニターがデータベースに接続するときに使用するユーザーとパスワードを指定します。ここでの設定は、「Oracle データベースのアクセス権を設定する」で設定したアクセス権を満たす必要があります。Solaris 認証を使用している場合は、ユーザー名とパスワードの代わりにスラッシュ (/) を入力します。
Oracle システム識別子を設定します。
Oracle リスナーインスタンスの名前を設定します。この名前は、listener.ora 内の対応するエントリと一致する必要があります。
Oracle ホームディレクトリのパスを設定します。
Oracle サーバーに障害が発生して再起動が起きる場合、そのリソースグループ全体が起動されます。つまり、Apache や DNS など、障害が発生していない同じリソースグループの他のリソースも再起動されます。Oracle サーバーリソースの障害によって他のリソースが再起動されるのを防ぐには、それらのリソースを別のリソースグループに入れます。
必要に応じて、Oracle データサービスに属する拡張プロパティをさらに設定し、デフォルト値を上書きできます。追加の拡張プロパティについては、「Sun Cluster HA for Oracle 拡張プロパティの構成」を参照してください。
リソースと障害モニターを有効にします。
リソースグループを管理状態にします。
リソースグループをオンラインにします。
# scswitch -Z -g resource-group |
リソースとモニターを有効にし、リソースグループを管理状態にし、オンラインにします。
リソースグループの名前を指定します。
次に、2 ノード構成のクラスタで Sun Cluster HA for Oracle を登録する方法を示します。
Cluster Information Node names: phys-schost-1, phys-schost-2 Logical Hostname: schost-1 Resource group: resource-group-1 (フェイルオーバーリソースグループ) Oracle Resources: oracle-server-1, oracle-listener-1 Oracle Instances: ora-lsnr (リスナー), ora-srvr (サーバー) (すべてのリソースを含むようにフェイルオーバーリソースグループを追加する) # scrgadm -a -g resource-group-1 (リソースグループに論理ホスト名リソースを追加する) # scrgadm -a -L -g resource-group-1 -l schost-1 (Oracle リソースタイプを登録する) # scrgadm -a -t SUNW.oracle_server # scrgadm -a -t SUNW.oracle_listener (リソースグループに Oracle アプリケーションリソースを追加する) # scrgadm -a -j oracle-server-1 -g resource-group-1 ¥ -t SUNW.oracle_server -x ORACLE_HOME=/global/oracle ¥ -x Alert_log_file=/global/oracle/message-log ¥ -x ORACLE_SID=ora-srvr -x Connect_string=scott/tiger # scrgadm -a -j oracle-listener-1 -g resource-group-1 ¥ -t SUNW.oracle_listener -x ORACLE_HOME=/global/oracle ¥ -x LISTENER_NAME=ora-lsnr (リソースグループをオンラインにする) # scswitch -Z -g resource-group-1 |
SUNW.HAStorage リソースタイプは、HA 記憶装置とデータサービス間の動作を同期させます。Sun Cluster HA for Oracle は、ディスクに負荷がかかることが多いため、SUNW.HAStorage リソースタイプを設定する必要があります。
詳細は、SUNW.HAStorage(5) マニュアルページおよび 「リソースグループとディスクデバイスグループの関連性」を参照してください。手順については、「新しいリソース用に SUNW.HAStorage リソースタイプを設定する」を参照してください。
Sun Cluster HA for Oracle の登録と構成が終わった時点で、「Sun Cluster HA for Oracle のインストールの確認」へ進んでください。