Sun Cluster 3.0 12/01 のシステム管理

クラスタファイルシステムの管理

表 3-3 作業リスト : クラスタファイルシステムの管理

作業 

参照箇所 

Sun Cluster の初期インストールの後で、クラスタファイルシステムを追加する。 

- newfsmakedir を使用します。

「クラスタファイルシステムを追加する」

クラスタファイルシステムを削除する。 

- fuserumount を使用します。

「クラスタファイルシステムを削除する」

ノード間で一貫性を保つように、クラスタ内の広域マウントポイントを検査する。 

- sccheck を使用します。

「クラスタ内の広域マウントを確認する」

クラスタファイルシステムを追加する

次の作業は、Sun Cluster の初期インストール後に作成するクラスタファイルシステムごとに実行します。


注意 - 注意 -

必ず、正しいディスクデバイス名を指定します。クラスタファイルシステムを作成すると、ディスク上のデータはすべて消去されます。デバイス名を誤って指定すると、本来消去する必要のないデータを失うことになります。


クラスタファイルシステムを追加するには以下が必要です。

SunPlex Manager を使用してデータサービスをインストールした場合は、1 つ以上のクラスタファイルシステムがすでに自動的に作成されています (十分な共有ディスクが存在する場合)。

  1. クラスタ内の任意のノード上でスーパーユーザーになります。


    ヒント -

    ファイルシステムを迅速に作成するには、ファイルシステムを作成する広域デバイスの現在の主ノード上でスーパーユーザーになります。


  2. newfs(1M) コマンドを使用してファイルシステムを作成します。


    # newfs raw-disk-device
    

    表 3-4 に、引数 raw-disk-device の名前の例を挙げます。命名規約はボリューム管理ソフトウェアごとに異なるので注意してください。

    表 3-4 raw ディスクデバイス名の例

    使用中のボリューム管理ソフトウェア 

    使用可能なディスクデバイス名 

    説明 

    Solstice DiskSuite 

    /dev/md/oracle/rdsk/d1

    oracle メタセット内部の raw ディスクデバイス d1

    VERITAS Volume Manager 

    /dev/vx/rdsk/oradg/vol01

    oradg ディスクグループ内部の raw ディスクデバイス vol01

    なし 

    /dev/global/rdsk/d1s3

    ブロックスライス d1s3 の raw ディスクデバイス

  3. クラスタ内の各ノードで、クラスタファイルシステムのマウントポイントディレクトリを作成します。

    クラスタファイルシステムにアクセスしないノードがある場合でも、マウントポイントは各ノードごとに必要です。


    ヒント -

    管理を行いやすくするには、マウントポイントを /global/device-group ディレクトリに作成します。これを使用することによって、広域に利用できるクラスタファイルシステムを、ローカルファイルシステムから簡単に判別できるようになります。



    # mkdir -p /global/device-group/mountpoint
    
    device-group

    デバイスが含まれるデバイスグループ名に対応するディレクトリ名を指定します。

    mountpoint

    クラスタファイルシステムのマウント先のディレクトリ名を指定します。

  4. クラスタ内の各ノードで、マウントポイント用の /etc/vfstab ファイルにエントリを追加します。

    1. 以下の必須マウントオプションを使用します。


      注 -

      ロギングはすべてのクラスタファイルシステムに必要です。


      • Solaris UFS ロギング - マウントオプションとして globallogging を使用します。UFS マウントオプションの詳細については、mount_ufs(1M) のマニュアルページを参照してください。


        注 -

        syncdir マウントオプションは、UFS クラスタファイルシステムでは必要ありません。syncdir を指定すると、POSIX に準拠したファイルシステムの動作が保証されます。指定しない場合は、UFS ファイルシステムと同じ動作になります。syncdir を指定しないと、ディスクブロックを割り当てる書き込み処理のパフォーマンスを大幅に向上できます (ファイルにデータを追加する場合など)。ただし、場合によっては、syncdir を指定しないと、ファイルを閉じるまで容量不足の状態を検出できません。syncdir を指定しないことで生じる問題はほとんどありません。syncdir (および POSIX 動作) を指定すると、ファイルを閉じる前に容量不足の状態を検出できます。


      • Solstice DiskSuite トランスメタデバイス - マウントオプションとして global を使用します (logging マウントオプションは使用しません)。トランスメタデバイスの設定については、Solstice DiskSuite のマニュアルを参照してください。

      • VxFS ロギング - マウントオプションとしてgloballog を使用します。VxFS マウントオプションの詳細については、mount_vxfs(1M) のマニュアルページを参照してください。

    2. クラスタファイルシステムを自動的にマウントするには、「mount at boot」フィールドを「yes」に設定します。

    3. 各クラスタファイルシステムで、/etc/vfstab エントリの情報が各ノードで同じになるようにします。

    4. 各ノードの /etc/vfstab ファイルのエントリに、デバイスが同じ順序で表示されることを確認します。

    5. ファイルシステムの起動順序の依存関係を確認します。

      たとえば、phys-schost-1/global/oracle にディスクデバイス d0 をマウントして、phys-schost-2/global/oracle/logs にディスクデバイス d1 をマウントするとします。この構成では、phys-schost-1 が起動して /global/oracle をマウントした後にのみ、phys-schost-2 が起動して /global/oracle/logs をマウントできます。

    詳細については、vfstab(4) のマニュアルページを参照してください。

  5. クラスタ内の任意のノードで、マウントポイントが存在していること、およびクラスタ内のすべてのノードで /etc/vfstab ファイルのエントリが正しいことを確認します。


    # sccheck
    

    エラーがない場合は何も表示されません。

  6. クラスタ内の任意のノードから、クラスタファイルシステムをマウントします。


    # mount /global/device-group/mountpoint
    

  7. クラスタの各ノードで、クラスタファイルシステムがマウントされていることを確認します。

    df(1M) または mount(1M) のいずれかのコマンドを使用して、マウントされたファイルシステムの一覧を表示します。

    Sun Cluster 環境で VxFS クラスタファイルシステムを管理するには、管理コマンドは VxFS クラスタファイルシステムがマウントされている主ノードから実行する必要があります。

例 - クラスタファイルシステムの追加

次に、Solstice DiskSuite メタデバイス /dev/md/oracle/rdsk/d1 上に UFS クラスタファイルシステムを作成する例を示します。


# newfs /dev/md/oracle/rdsk/d1
...
 
[各ノード上で:]
# mkdir -p /global/oracle/d1
 
# vi /etc/vfstab
#device                device                 mount            FS  fsck  mount      mount
#to mount              to fsck                point           type pass  at boot    options
#                       
/dev/md/oracle/dsk/d1 /dev/md/oracle/rdsk/d1 /global/oracle/d1 ufs  2   yes   global,logging
[保存して終了する]
 
[1 つのノード上で:]
# sccheck
# mount /global/oracle/d1
# mount
...
/global/oracle/d1 on /dev/md/oracle/dsk/d1 read/write/setuid/global/logging/
largefiles on Sun Oct 3 08:56:16 2001

クラスタファイルシステムを削除する

クラスタファイルシステムは、単にマウント解除することによって削除します。データも削除する場合は、配下のディスクデバイス (またはメタデバイスかボリューム) をシステムから削除します。


注 -

クラスタファイスシステムは、scshutdown(1M) を実行してクラスタ全体を停止したときに、システム停止処理の一環として自動的にマウント解除されます。shutdown を実行して単独でノードを停止したときはマウント解除されません。なお、停止するノードが、ディスクに接続されている唯一のノードの場合は、そのディスク上のクラスタファイルシステムにアクセスしようとするとエラーが発生します。


クラスタファイルシステムをマウント解除するには以下が必要です。

  1. クラスタ内の任意のノード上でスーパーユーザーになります。

  2. マウントされているクラスタファイルシステムを確認します。


    # mount -v
    

  3. 各ノードで、クラスタファイルシステムを使用しているすべてのプロセスの一覧を表示して、停止するプロセスを判断します。


    # fuser -c [ -u ] mountpoint
    

    -c

    ファイルシステムのマウントポイントにあたるファイルと、マウントされているファイルシステム内にあるファイルを報告します。

    -u

    (任意) 各プロセス ID のユーザーログイン名を表示します。

    mountpoint

    プロセスを停止するクラスタファイルシステムの名前を指定します。

  4. 各ノードで、クラスタファイルシステムのプロセスをすべて停止します。

    プロセスは任意の方法で停止できます。必要であれば、次のコマンドを使用して、クラスタファイルシステムに関係するプロセスを強制終了します。


    # fuser -c -k mountpoint
    

    クラスファイルシステムを使用している各ノードに SIGKILL が送信されます。

  5. 各ノードで、ファイルシステムを使用しているプロセスがないことを確認します。


    # fuser -c mountpoint
    

  6. 1 つのノードからファイルシステムをマウント解除します。


    # umount mountpoint
    

    mountpoint

    マウント解除するクラスタファイルシステムの名前を指定します。クラスタファイルシステムがマウントされているディレクトリの名前や、ファイルシステムのデバイス名パスを指定できます。

  7. (任意) /etc/vfstab ファイルを編集して、削除するクラスタファイルシステムのエントリを削除します。

    この手順は、このクラスタファイルシステムのエントリがその /etc/vfstab ファイルにあるクラスタノードごとに実行します。

  8. (任意) ディスクデバイスグループ、メタデバイス、プレックスを削除します。

    詳細については、ボリューム管理ソフトウェアのマニュアルを参照してください。

例 - クラスタファイルシステムの削除

次に、Solstice DiskSuite メタデバイス /dev/md/oracle/rdsk/d1 にマウントされている UFS クラスタファイルシステムを削除する例を示します。


# mount -v
...
/global/oracle/d1 on /dev/md/oracle/dsk/d1 read/write/setuid/global/logging/largefiles on Sun Oct  3 08:56:16 1999
# fuser -c /global/oracle/d1
/global/oracle/d1: 4006c
# fuser -c -k /global/oracle/d1
/global/oracle/d1: 4006c
# fuser -c /global/oracle/d1
/global/oracle/d1:
# umount /global/oracle/d1
 
(各ノードで、強調表示されたエントリを削除する)
# vi /etc/vfstab
#device           device        mount   FS      fsck    mount   mount
#to mount         to fsck       point   type    pass    at boot options
#                       
/dev/md/oracle/dsk/d1 /dev/md/oracle/rdsk/d1 /global/oracle/d1 ufs 2 yes global,logging
[保存して終了する]

注 -

クラスタファイルシステム上のデータを削除するには、配下のデバイスを削除します。詳細については、ボリューム管理ソフトウェアのマニュアルを参照してください。


クラスタ内の広域マウントを確認する

sccheck(1M) ユーティリティーを使用して、/etc/vfstab ファイル内のクラスタファイルシステムのエントリの構文を確認します。エラーがない場合は何も表示されません。


注 -

sccheck は、デバイスやボリューム管理コンポーネントに影響を及ぼすような変更 (クラスタファイルシステムの削除など) をクラスタ構成に加えた後で実行します。


  1. クラスタ内の任意のノード上でスーパーユーザーになります。

  2. クラスタの広域マウントを確認します。


    # sccheck