Sun Cluster 3.0 5/02 補足情報

ロックファイルの設定

この節の手順では、次の作業を行ないます。

ロックファイルは、あるノードで SAP インスタンスがすでに動作しているときに、他のノードで同じインスタンスを起動することを防止するためのものです。同じインスタンスを複数のノードで起動すると、それぞれのインスタンスがクラッシュします。クラッシュが起ると、SAP 停止スクリプトがインスタンスを正常に停止できないため、データに損傷が生じる可能性があります。

ロックファイルが設定されていると、SAP ソフトウェアは、SAP インスタンスの起動時に startup_lockfile ファイルをロックします。ユーザーが同じインスタンスを Sun Cluster 環境の外で起動してから Sun Cluster 環境のもとで SAP を起動すると、Sun Cluster HA for SAP データサービスは同じインスタンスを起動しようとします。しかし、ファイルロック機構が機能しているため、この試みは失敗します。 データサービスは、適切なエラーメッセージを /var/adm/messages に書き込みます。

セントラルインスタンスまたはフェイルオーバーアプリケーションサーバーのロックファイルとスケーラブルアプリケーションサーバーのロックファイルとの唯一の違いは、スケーラブルアプリケーションサーバーのロックファイルがローカルファイルシステムにあるのに対し、セントラルインスタンスまたはフェイルオーバーアプリケーションサーバーのロックファイルはクラスタファイルシステムにある点です。

セントラルインスタンスのロックファイルを設定する方法

セントラルインスタンスのロックファイルを設定する手順は次のとおりです。

  1. sapstart 実行ファイルの最新のパッチをインストールします。ロックファイルの設定には、このパッチが必要です。

  2. セントラルインスタンスのロックファイルを クラスタファイルシステムに作成します。

  3. プロファイル SC3_DVEBMGS00 を編集して、新しい SAP パラメータ sapstart/lockfile をこのアプリケーションサーバー用に追加します。


    sapstart/lockfile =/usr/sap/SC3/DVEBMGS00/work/startup_lockfile
    
    sapstart/lockfile

    新しいパラメータの名前

    /usr/sap/local/SC3/DVEBMGS00/work

    アプリケーションサーバーの作業ディレクトリ

    startup_lockfile

    Sun Cluster HA for SAP が使用するロックファイル名

    SAP がロックファイルを作成します。


    注 -

    ロックファイルのパスは、クラスタファイルシステムに配置する必要があります。ロックファイルのパスを各ノードにローカルで配置すると、複数のノードから同じインスタンスが起動されるのを防止できません。


スケーラブルアプリケーションサーバーのロックファイルを設定する方法

スケーラブルアプリケーションサーバーのロックファイルを設定する手順は次のとおりです。

  1. sapstart 実行ファイルの最新のパッチをインストールします。ロックファイルの設定には、このパッチが必要です。

  2. アプリケーションサーバーのロックファイルをローカルファイルシステムに設定します。

  3. プロファイル SC3_instance-id を編集して、新しい SAP パラメータ sapstart/lockfile をこのアプリケーションサーバー用に追加します。


    sapstart/lockfile =/usr/sap/local/SC3/Dinstance-id/work/startup_lockfile
    
    sapstart/lockfile

    新しいパラメータの名前

    /usr/sap/SC3/Dinstance-id/work

    セントラルインスタンスの作業ディレクトリ

    startup_lockfile

    Sun Cluster HA for SAP が使用するロックファイル名

    SAP がロックファイルを作成します。


    注 -

    このロックファイルはローカルファイルシステムに配置されます。したがって、他のノードからの複数の起動を防止することはできませんが、同じノードからの複数の起動は防止できます。