Sun Cluster 3.1 データサービスのインストールと構成

リソースプロパティ

表 A–2 に、Sun Cluster によって定義されているリソースプロパティを示します。この説明は、データサービスの開発者を対象としたものです。特定のデータサービスの詳細は、そのデータサービスのマニュアルページを参照してください。リソースプロパティ値は、以下のように分類されます。

表 A–2 は、リソースプロパティの調整が可能であるか、および、いつ調整できるかも示しています。

None または False

更新不可 

True または Anytime

任意の時点  

At_creation

リソースをクラスタに追加するとき 

When_disabled

リソースを無効にするとき 

表 A–2 リソースプロパティ

プロパティ名 

説明 

Affinity_timeout

(整数) 

クライアントがスティッキースケーラブルサービスへのすべての接続を閉じた後、IP 親和性が持続する秒数を制御します。このタイムアウト期間が終了するまで、同じクライアントからの新しい接続要求は同じクラスタノードに転送されます。0 の値は、クライアントとスケーラブルサービス間に接続がある限り、親和性が持続することを意味します。 -1 の値は、クライアントがバインドされているクラスタノードが故障または再起動されるまで、親和性が持続することを意味します。-1 の値は、タイムアウト期間が適用されないことを示します。

 

このプロパティは、Load_balancing_policy=LB_STICKY または LB_STICKYWILD の値を持つリソースのみに適用されます。

カテゴリ:オプション

デフォルト:0

調整: 任意の時点

Cheap_probe_ interval (整数)

リソースの即時障害検証の呼び出しの間隔 (秒数)。このプロパティは、RGM のみが作成でき、RTR ファイル内で宣言されている場合は、管理者は利用できます。 

デフォルト値が RTR ファイル内で指定されている場合は、このプロパティは任意です。リソースタイプファイル内で Tunable 属性が指定されていない場合は、プロパティの Tunable 値は、When_disabled (無効化にするとき) になります。

Default 属性が RTR ファイルのプロパティ宣言に指定されていない場合は、このプロパティは必須です。

カテゴリ:条件付

デフォルト:上記を参照

調整:無効になっている時

拡張プロパティ 

開発者は、クラスタ管理者がデータサービスを Sun Cluster に登録するときに使用するデータサービスの初期構成内でリソースタイププロパティを宣言します。拡張プロパティに設定可能な各属性については、表 A–4 を参照してください。

カテゴリ:条件付

デフォルト:デフォルトは存在しない

調整:特定のプロパティに依存

Failover_mode (列挙)

None、Soft、および Hard に設定可能です。リソースでの START または STOP メソッドの呼び出しの失敗に対して、RGM がリソースグループを再配置するか、またはノードを異常終了させるかを制御します。None は、RGM が単にリソース状態をメソッド失敗に設定し、オペレータの介入を待つことを示します。Soft は、START メソッドが失敗したときに RGM がリソースのグループを別のノードに再配置するか、または、STOP メソッドが失敗したときに、RGM がリソース状態を設定してオペレータの介入を待つことを示します。Hard は、START メソッドが失敗したときに、グループの再配置を行い、STOP メソッドが失敗したときに、クラスタノードを異常終了させて、リソースの強制的な停止を行うことを示します。

カテゴリ:オプション

デフォルト:デフォルトは存在しない

調整: 任意の時点

Load_balancing_ policy (文字列)

使用する負荷均衡ポリシーを定義する文字列。このプロパティは、スケーラブルサービスに対してのみ使用します。Scalable プロパティが RTR ファイルで宣言されている場合、RGM は自動的にこのプロパティを作成します。

Load_balancing_policy は、次の値が設定可能です。

Lb_weighted (デフォルト) Load_balancing_weights プロパティで設定されているウエイトに従って、さまざまなノードに負荷が分散されます。

Lb_stickyスケーラブルサービスの指定のクライアント (クライアントの IP アドレスで識別される) は、常に同じクラスタノードに送信されます。

Lb_sticky_wild指定のクライアント (クライアントの IP アドレスで識別される) はワイルドカードスティッキサービスの IP アドレスに接続され、送信時に使用されるポート番号とは無関係に、常に同じクラスタノードに送信されます。

カテゴリ:条件付/オプション

デフォルト:Lb_weighted

調整:作成時

Load_balancing_ weights (文字列配列)

このプロパティは、スケーラブルサービスに対してのみ使用します。Scalable プロパティが RTR ファイルで宣言されている場合、RGM は自動的にこのプロパティを作成します。形式は、「weight@node,weight@node」になります。ここで、weight は、指定したノード (node) に対する負荷分散の相対的な割り当てを示す整数になります。ノードに分散される負荷の割合は、すべてのウエイトの合計でこのノードのウエイトを割った値になります。たとえば、1@1,3@2 は、ノード 1 に負荷の 1/4 が割り当てられ、ノード 2 に負荷の 3/4 が割り当てられることを意味します。デフォルトの空の文字列 ("") は、一定の分散を指定します。明示的にウエイトを割り当てられていないノードのウエイトは、デフォルトで 1 になります。

Tunable 属性がリソースタイプファイルに指定されていない場合は、プロパティの Tunable 値は Anytime (任意の時点) になります。このプロパティを変更すると、新しい接続時にのみ分散が変更されます。

カテゴリ:条件付/オプション

デフォルト:空の文字列

調整: 任意の時点

各コールバックメソッド用の method_timeout (整数)

RGM がメソッドの呼び出しに失敗したと判断するまでの時間 (秒)。 

カテゴリ:条件付/オプション

デフォルト:メソッド自体が RTR ファイルで宣言されている場合、3,600 (1 時間) です。

調整: 任意の時点

Monitored_ switch (列挙)

クラスタ管理者が管理ユーティリィティを使用してモニターを有効または無効にすると、RGM によって Enabled または Disabled に設定されます。Disabled に設定されると、再び有効に設定されるまで、モニターは START メソッドを呼び出しません。リソースが、モニターのコールバックメソッドを持っていない場合は、このプロパティは存在しません。

カテゴリ:照会のみ

デフォルト:有効

調整:不可能

Network_ resources_ used (文字列配列)

リソースが使用する論理ホスト名または共有アドレスネットワークリソースをコンマで区切ったリスト。スケーラブルサービスの場合、このプロパティは別のリソースグループに存在する共有アドレスリソースを参照する必要があります。フェイルオーバーサービスの場合、このプロパティは同じリソースグループに存在する論理ホスト名または共有アドレスを参照します。Scalable プロパティが RTR ファイルで宣言されている場合、RGM は自動的にこのプロパティを作成します。Scalable が RTR ファイルで宣言されていない場合、Network_resources_used は RTR ファイルで明示的に宣言されていない限り使用できません。

Tunable 属性が RTR ファイルに指定されていない場合は、プロパティの Tunable 値は、 At_creation (作成時) になります。

カテゴリ:条件付/必須

デフォルト:デフォルトは存在しない

調整:作成時

On_off_switch (列挙)

クラスタ管理者が管理ユーティリィティを使用してリソースを有効または無効にすると、RGM によって Enabled または Disabled に設定されます。無効に設定されると、再び有効に設定されるまで、リソースはコールバックを呼び出しません。

カテゴリ:照会のみ

デフォルト:無効

調整:不可能

Port_list (文字列配列)

サーバーが待機するポート番号をコンマで区切ったリスト。各ポート番号に、そのポートが使用しているプロトコルが追加されます (例:Port_list=80/tcp)。Scalable プロパティが RTR ファイルで宣言されている場合、RGM は自動的に Port_list を作成します。それ以外の場合、このプロパティは RTR ファイルで明示的に宣言されていない限り使用できません。

Apache 用にこのプロパティを設定する場合は、『Sun Cluster 3.1 データサービスのインストールと構成』の Apache に関する章を参照してください。

カテゴリ:条件付/必須

デフォルト:デフォルトは存在しない

調整:作成時

R_description (文字列)

リソースの簡単な説明。 

カテゴリ:オプション

デフォルト:空の文字列

調整: 任意の時点

Resource_ dependencies (文字列配列)

このリソースをオンラインにするために、順にオンラインにする必要のある同じグループ内のリソースをコンマで区切ったリスト。リスト内の任意のリソースの起動に失敗した場合、このリソースは起動されません。グループをオフラインにすると、このリソースを停止してから、リスト内のリソースが停止されます。このリソースが先に無効にならなければ、リスト内のリソースは無効にできません。 

カテゴリ:オプション

デフォルト:空のリスト

調整: 任意の時点

Resource_ dependencies_ weak (文字列配列)

グループ内のメソッド呼び出しの順序を決定する同じグループ内のリソースのリスト。RGM は、このリスト内のリソースの START メソッドを先に呼び出してから、このリソースの START メソッドを呼び出します。また、停止する場合は、このリソースの STOP メソッドを先に呼び出してから、リスト内のリソースの STOP メソッドを呼び出します。リスト内のリソースが開始に失敗した場合、または無効になっても、リソースはオンラインを維持できます。 

カテゴリ:オプション

デフォルト:空のリスト

調整: 任意の時点

Resource_name (文字列)

リソースインスタンスの名前。クラスタ構成内で一意にする必要があります。リソースが作成された後で変更はできません。 

カテゴリ:必須

デフォルト:デフォルトは存在しない

調整:不可能

Resource_project_name(文字列)

リソースと関連付けられる Solaris プロジェクト名。このプロパティを使用して、CPU の共有およびリソースプールなどの Solaris リソース管理機能をクラスタデータサービスに適用します。RGM はリソースをオンラインにすると、このプロジェクト名の下で関連プロセスを起動します。このプロパティが指定されない場合、プロジェクト名には、そのリソースが含まれるリソースグループの RG_project_name プロパティの値が使用されます。どちらのプロパティも指定されない場合、RGM はすでに定義されているプロジェクト名 default を使用します。指定したプロジェクト名は、プロジェクトデータベース内に存在している必要があり (適切な SRM のマニュアルページを参照)、さらにユーザー root が指定プロジェクトのメンバーとして構成されている必要があります。このプロパティは、Solaris 9 以降のリリースでサポートされます。Solaris のプロジェクト名の詳細については、『Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)』を参照してください。

 

カテゴリ:オプション

デフォルト:上記を参照

調整:任意の時点

各クラスタノードの Resource_state (列挙)

RGM が判断した各クラスタノード上のリソースの状態。可能な状態は次のとおりです。 ONLINEOFFLINESTOP_FAILEDSTART_FAILEDMONITOR_FAILEDONLINE_NOT_MONITORED

このプロパティは、ユーザーは構成できません。 

カテゴリ:照会のみ

デフォルト:デフォルトは存在しない

調整:不可能

Retry_count (整数)

リソースの起動に失敗した場合に、モニターが再起動を試みる試行回数。このプロパティは、RGM によってのみ作成され、RTR ファイル内で宣言されている場合は、管理者が利用できます。デフォルト値が RTR ファイルで指定されている場合は、このプロパティは任意です。 

リソースタイプファイル内で Tunable 属性が指定されていない場合は、プロパティの Tunable 値は、When_disabled (無効化されたとき) になります。

Default 属性が RTR ファイルのプロパティ宣言に指定されていない場合は、このプロパティは必須です。

カテゴリ:条件付

デフォルト:上記を参照

調整:無効になっている時

Retry_interval (整数)

失敗したリソースを再起動する回数をカウントする間隔 (秒)。リソースモニターは、Retry_count と共にこのプロパティを使用します。このプロパティは、RGM のみが作成でき、RTR ファイルで宣言されている場合は、管理者が利用できます。デフォルト値が RTR ファイルで指定されている場合は、このプロパティは任意です。

リソースタイプファイル内で Tunable 属性が指定されていない場合は、プロパティの Tunable 値は、When_disabled (無効化にするとき) になります。

Default 属性が RTR ファイルのプロパティ宣言に指定されていない場合は、このプロパティは必須です。

カテゴリ:条件付

デフォルト:上記を参照

調整:無効になっている時

Scalable (ブール値)

リソースがスケーラブルかどうかを示します。このプロパティが RTR ファイルで宣言されている場合は、そのタイプのリソースに対し、RGM は、Network_resources_used、Port_list、Load_balancing_policy、Load_balancing_ weights スケーラブルサービスプロパティを自動的に作成します。これらのプロパティは、RTR ファイルで明示的に宣言されない限り、デフォルト値を持ちます。RTR ファイルで宣言されている場合、Scalable のデフォルトは True です。

このプロパティが RTR ファイルで宣言されている場合、Tunable 属性は、At_creation (作成時) に設定する必要があります。設定しなければ、リソースの生成に失敗します。

このプロパティが RTR ファイルで宣言されていない場合、リソースはスケーラブルにはなりません。また、クラスタ管理者はこのプロパティを調整することができず、RGM はスケーラブルサービスプロパティを設定しません。ただし、必要に応じて、明示的に Network_resources_used および Port_list プロパティを RTR ファイルで宣言できます。これらのプロパティは、スケーラブルサービスだけでなく、非スケーラブルサービスでも有用です。

カテゴリ:オプション

デフォルト:上記を参照

調整:作成時

各クラスタノードの Status (列挙)

リソースモニターによって設定されます。指定可能な値は、 OKdegradedfaultedunknown、および offline です。RGM は、リソースがオンラインになると、値を unknown に設定し、オフラインになると offline に設定します。

カテゴリ:照会のみ

デフォルト:デフォルトは存在しない

調整:不可能

各クラスタノードの Status_msg (文字列)

リソースモニターによって、Status プロパティと同時に設定されます。このプロパティは、各ノードのリソースごとに調整できます。RGM は、リソースがオフラインになると、このプロパティに空の文字列を設定します。

カテゴリ:照会のみ

デフォルト:デフォルトは存在しない

調整:不可能

Thorough_probe_ interval (整数)

高オーバーヘッドのリソース障害検証の呼び出し間隔 (秒)。このプロパティは、RGM によって作成され、RTR ファイル内で宣言されている場合は、管理者が利用できます。デフォルト値が RTR ファイルで指定されている場合は、このプロパティは任意です。 

リソースタイプファイル内で Tunable 属性が指定されていない場合は、プロパティの Tunable 値は、When_disabled (無効化にするとき) になります。

Default 属性が RTR ファイルのプロパティ宣言に指定されていない場合は、このプロパティは必須です。

カテゴリ:条件付

デフォルト:デフォルトは存在しない

調整:無効になっている時

Type (文字列)

インスタンスのリソースタイプ。 

カテゴリ:必須

デフォルト:デフォルトは存在しない

調整:不可能

Type_version (文字列)

現在このリソースに関連付けられているリソースタイプのバージョンを指定します。RGM は自動的にこのプロパティを作成しますが、RTR ファイルで宣言できません。このプロパティの値は、そのリソースタイプの RT_version プロパティと等しくなります。リソースが作成されるとき、Type_version プロパティは明示的に指定されません。ただし、リソースタイプ名の接尾辞として現れる場合があります。リソースを編集するときに、Type_version を新しい値に変更できます。

RT_Version は、データサービスのあるバージョンから別のバージョンにアップグレードするために使用します。

調整については、以下から派生します。 

  • リソースタイプの現在のバージョン

    * RTR ファイルの #$upgrade_from 命令

Udp_affinity

(ブール値) 

TRUE の場合、指定のクライアントからの UDP パケットは、TCP 接続が転送されるのと同じ方法で、同じクラスタサーバーノードに転送されます。クライアントの TCP 接続がサーバーノードに貼り付けられている場合、同様に、そのクライアントの UDP パケットがそのノードに送信されます。FALSE の場合、このような動作は維持されず、指定のクライアントからの UDP パケットは、そのクライアントからの TCP 接続とは別のノード上に届きます。 

このプロパティは、Load_balancing_policy=LB_STICKY または LB_STICKYWILD の値を持つリソースのみに適用されます。

カテゴリ:オプション

デフォルト:False

調整: 無効になっている時

Weak_affinity

(ブール値) 

次のような場合で混乱の影響を受ける場合を除き、 スティッキースケーラブルサービスのための IP の親和性を提供します。 (1) 障害モニターの再起動、リソースのフェイルオーバーおよびスイッチオーバーによりサーバーリスナーが起動された場合、またはフェイルオーバー後にノードが再結合された場合。(2) 管理作業により、スケーラブルリソースの load_balancing_weights が変更された場合。メモリー消費およびプロセッササイクルについては、IP 親和性のデフォルト形式にオーバーヘッドの低い代替を提供します。affinity timeout 値は使用しません。上記のような混乱が生じない限りは、Weak_affinity が持続します。

このプロパティは、Load_balancing_policy=LB_STICKY または LB_STICKYWILD の値を持つリソースのみに適用されます。

 

カテゴリ:オプション

デフォルト:False

調整:無効になっている時