この章では、Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue をインストールと構成手順について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
Web Start プログラムを使用して Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue パッケージをインストールする
Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue をフェイルオーバーデータサービスとして登録し、構成する
ここでは、Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue を利用して Sun ONE Message Queue の可用性を高める方法を理解するために役立つ情報を提供します。
Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue は、フェイルオーバーメッセージングサービスを構成するための拡張プロパティを備えたデータサービスです。
Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue をフェイルオーバーデータサービスとして構成することにより、Sun ONE Message Queue の可用性を高めることができます。データサービスの基本情報については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「Sun Cluster データサービスの計画」を参照してください。
Sun ONE Message Queue は、アプリケーションサーバーの統合部分です。Sun ONE Message Queue は、JMS クライアント用の堅牢な Java Messaging Service (JMS) です。Sun ONE Message Queue は、Sun ONE Application Serverとともにパッケージングされています。Sun ONE Message Queue については、Sun ONE Message Queue のマニュアルを参照してください。Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue は、アーキテクチャーが依存するプログラム (データベースプログラム、Web サーバープログラムなど) が同じクラスタ上になくても実装できます。ただし、これらのプログラムは、高可用性の構成にする必要があります。
インストール作業と構成作業を説明している節は次のとおりです。指定された順番どおりに、各作業を行ってください。
表 1–1 作業マップ : Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue のインストールと構成
作業 |
参照先 |
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Sun ONE Message Queue のインストールと構成の計画 | |
ネットワークリソースの構成と起動 | |
Sun ONE Message Queue のインストールと構成 | |
Sun ONE Message Queue のインストールの確認 | |
Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue のインストールと構成の計画 | |
Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue パッケージのインストール | |
Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue をフェイルオーバーデータサービスとして登録、構成 |
Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue をフェイルオーバーデータサービスとして登録し、構成する |
リソース拡張プロパティの構成 | |
Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue のインストールと構成の確認 | |
障害モニター情報の表示と理解 |
Sun Cluster 構成で複数のデータサービスを実行している場合は、任意の順序でデータサービスを設定できます。ただし、Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue が Sun Cluster HA for DNS に依存している場合は、DNS を先に設定する必要があります。詳細については、『Sun Cluster 3.1 Data Service for Domain Name Service (DNS) ガイド』を参照してください。DNS ソフトウェアは、Solaris オペレーティング環境に含まれています。クラスタが別のサーバーから DNS サービスを取得する場合は、最初に、クラスタが DNS クライアントになるように構成してください。
この節は、『Sun Cluster 3.1 ご使用にあたって』のワークシートと共に Sun ONE Message Queue をインストールし、構成する際のチェックリストとなります。
インストールを開始する前に、以下の点を検討します。静的ファイルとデータは、各クラスタノードのローカルファイルシステム上に格納します。動的データはクラスタファイルシステム上に配置する必要があります。この配置により、どのクラスタノードからでもデータを表示または更新できます。Sun ONE Message Queue バイナリファイルと構成ファイルは高可用性にする必要があります。また、全ノードで実行されているアプリケーションサーバーインスタンスにアクセスできるようにする必要があります。
Sun ONE Message Queue のインストールと構成を開始する前に、インストールと構成が完了した後でサービスが使用するネットワークリソースを設定します。ネットワークリソースを構成して起動するには、以下のコマンド行手続きを使用します。
この手順を実行するには、構成に関する次の情報が必要になります。
データサービスをマスターできるクラスタノードの名前。
クライアントが Sun ONE Message Queue にアクセスするために使用するネットワークリソース。通常、このホスト名はクラスタをインストールするときに設定します。ネットワークリソースの詳細については、『Sun Cluster 3.1 の概念』を参照してください。
クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。
使用しているすべてのネットワークアドレスがネームサービスデータベースに追加されていることを確認します。
Sun Cluster のインストール時に、この確認を行う必要があります。
ネームサービスの検索を成功させるには、すべてのクラスタノード上の /etc/inet/hosts ファイルに、すべての論理ホスト名を含める必要があります。サーバーの /etc/nsswitch.conf のネームサービスマッピングを、NIS、NIS+、DNS にアクセスする前にローカルファイルを検査するように構成してください。
ネットワークとアプリケーションのリソースを格納するためのフェイルオーバーリソースグループを作成します。
# scrgadm -a -g resource-group [-h nodelist] |
リソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できます。
潜在マスターを識別する Sun ONE Message Queue の物理ノード名をコンマで区切って指定します (省略可能)。フェイルオーバー時は、この順序で主ノードが決まります。
-h オプションは、ノードリストの順序を指定するときに使用します。クラスタのすべてのノードが潜在マスターの場合は、-h オプションを指定する必要はありません。
リソースグループへネットワークリソースを追加します。
次のコマンドを使用して、リソースグループに論理ホスト名を追加します。
# scrgadm -a -L -g resource-group -l hostname, …[-n netiflist] |
ネットワークリソースが追加されることを示します。
リソースグループの名前を指定します。
ネットワークリソースをコンマで区切って指定します。
各ノード上の IP ネットワークマルチパスグループをコンマで区切って指定します (省略可能)。netiflist の各要素は、 netif@node の形式で指定する必要があります。netif は、IP ネットワークマルチパスグループ名として指定できます (例: sc_ipmp0)。node は、ノード名またはノード ID で識別可能です (例: sc_ipmp0@1 または sc_ipmp@phys-schost-1)。
現在、Sun Cluster は、ネットアダプタ名 netif の使用をサポートしていません。
scswitchコマンドを実行してリソースグループを有効にし、オンラインにします。
# scswitch -Z -g resource-group |
リソースグループを管理状態 (MANAGED) にし、リソースグループをオンラインにします。
リソースグループの名前を指定します。
Sun ONE Message Queue は、Java 2 Enterprise Edition (J2EE™) 1.3 に準拠したメッセージングサービスです。このキューは、エンタープライズカスタマーのニーズに応えるよう設計されていて、Sun Cluster ソフトウェアの制御下も実行できます。この節では、Sun ONE Message Queue をインストールし、Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue として実行するための手順について説明します。
Sun ONE Message Queue と別のメッセージングサービスサーバーを実行しているときに、これらが同じネットワークリソースを使用している場合は、それぞれ異なるポートで待機するように構成してください。異なるポートで待機するように構成しないと、2 つのサービスの間でポートの衝突が発生します。
Sun ONE Message Queue は、次の手順に従ってインストールします。
次の手順に従って、Sun ONE Message Queue をインストールします。ここでは、Sun ONE Message Queue 固有の情報だけを提供します。詳細については、Sun ONE Message Queue のマニュアルを参照してください。
/etc/imq/imqbrokerd.conf ファイル内の AUTOSTART プロパティの値には YES を設定しないでください。AUTOSTART プロパティの値はデフォルトで NO に設定されています。したがって、データサービスの構成が完了するまで Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue がアプリケーションを起動または停止することはありません。
Sun ONE Message Queue パッケージをクラスタのすべてのノードにインストールします (インストールされていない場合)。
メッセージキューを格納するグローバルファイルシステムの場所を指定します (例: /global/s1mq)。
このファイルシステム用のディレクトリを作成できます。
任意のノードで IMQ_VARHOME を設定し、 imqbrokerd コマンドを実行して構成ディレクトリとファイルを生成します。
# IMQ_VARHOME=/global/s1mq # export IMQ_VARHOME # imqbrokerd -name hamq1 |
$IMQ_VARHOME/instances/hamq1/props/config.properties を編集して、imq.jms.tcp.hostname プロパティに論理ホスト名を設定します。
ここでは、Sun ONE Message Queue のインストールと構成を確認する手順について説明します。
次の手順で Sun ONE Message Queue のインストールと構成を確認します。この手順では、高可用性アプリケーションであるかどうかの確認は行えません。
論理ホスト名が設定されていることを確認します。
IMQ_VARHOME を設定し、メッセージブローカーを手作業で起動します。
# IMQ_VARHOME=/global/s1mq # export IMQ_VARHOME # imqbrokerd -name hamq1 |
# /usr/bin/imqcmd shutdown bkr -b hostname:port |
Sun ONE Message Queue リソースグループのすべての潜在的主ノード上で手順 2 を繰り返します。
ここでは、Sun ONE Message Queue のインストールと構成の計画に必要な情報を提供します。
ここで説明している標準構成を使用して、Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue のインストールと構成について計画します。Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue は、追加構成をサポートできますが、Enterprise Services の担当者に追加構成に関する情報を問い合わせる必要があります。
次の図に、Sun ONE Message Queue の標準フェイルオーバー構成を示します。
メッセージサービスとその他の高可用性アプリケーションを共に使用する場合、リソース間の依存性が発生する可能性があります。Resource_dependencies プロパティの詳細については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と構成』の「標準プロパティ」を参照してください。
この節の質問事項に基づいて Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue のインストールと構成について計画します。これらの質問の関連情報については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「考慮すべき事項」を参照してください。
ネットワークアドレスとアプリケーションリソースにどのリソースグループを使用しますか、またそれらの間にはどのような依存関係がありますか。
データサービスへのアクセスにクライアントが使用する論理ホスト名 (フェイルオーバーサービス用) を指定してください。
システム構成ファイルはどこに置きますか。
Sun Cluster の初回のインストール時に Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue パッケージをインストールしなかった場合は、以下の説明に従ってパッケージをインストールします。この手順は、Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue パッケージをインストールするすべてのノードで実行してください。 この手順を実行するには、Sun Cluster Agents CD-ROM が必要です。
同時に複数のデータサービスをインストールする方法については、『Sun Cluster 3.1 10/03 ソフトウェアのインストール』の「ソフトウェアのインストール」の章を参照してください。
Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue パッケージのインストールでは、次のいずれかのインストールツールを使用します。
Web Start プログラム
scinstall ユーティリティー
Web Start プログラムは、Sun Cluster 3.1 Data Services 10/03 より前のリリースでは使用できません。
Web Start プログラムの実行には、コマンド行インタフェース (CLI) またはグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) を使用します。 CLI と GUI での作業の内容と手順はほぼ同じです。Web Start プログラムの詳細については、installer(1M) のマニュアルページを参照してください。
Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue パッケージをインストールするノードに移動し、スーパーユーザー (root) になります。
(省略可能) GUI を使用して Web Start プログラムを実行する場合は、DISPLAY
環境変数を設定する必要があります。
CD-ROM ドライブに Sun Cluster Agents CD-ROM を挿入します。
ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行され、このデーモンで CD-ROM デバイスを管理するように構成している場合、CD-ROM は /cdrom/scdataservices_3_1_vb ディレクトリに自動的にマウントされます。
CD-ROM の Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue コンポーネントが格納されているディレクトリに移動します。
Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue データサービス用の Web Start プログラムは、次のディレクトリに格納されています。
# cd /cdrom/scdataservices_3_1_vb/\ components/SunCluster_HA_SunONE_Message_Queue_3.1 |
Web Start プログラムを起動します。
# ./installer |
画面の指示に従って、ノードに Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue パッケージをインストールします。
インストールが完了すると、インストールの概要情報が表示されます。この情報を利用して、インストール時に Web Start プログラムによって生成されたログを確認できます。これらのログは、/var/sadm/install/logs ディレクトリに格納されています。
Web Start プログラムを終了します。
CD-ROM ドライブから Sun Cluster Agents CD-ROM を取り出します。
CD-ROM ドライブに Sun Cluster 3.1 Agents CD-ROM を挿入します。
オプションは指定せずに、scinstall ユーティリティーを実行します。
scinstall ユーティリティーが対話型モードで起動します。
インストールするデータサービスを指定します。S1MQ を選択します。S1MQ は、非サポート対象データサービスのリスト (サポート対象データサービスのリストの下) にあります。
scinstall ユーティリティーにより、ほかの情報を入力するためのプロンプトが表示されます。
Sun Cluster 3.1 Agents CD-ROM のパスを指定します。
ユーティリティーはこの CD をデータサービス CD-ROM として示します。
インストールするデータサービスを指定します。
選択したデータサービスが scinstall ユーティリティーによって示され、この選択内容の確認が求められます。
scinstall ユーティリティーを終了します。
ドライブから CD を取り出します。
scrgadm コマンドを使用した Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue の登録と構成方法について説明します。
データサービスの登録と構成を有効にする追加オプションの詳細については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「データサービスリソース管理のツール」を参照してください。
この手順を実行するには、構成に関する次の情報が必要になります。
Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue のリソースタイプ名。SUNW.s1mq
データサービスをマスターできるクラスタノードの名前。
クライアントが Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue にアクセスするために使用するネットワークリソース。
Sun ONE Message Queue の待機ポート。
次の手順に従って構成を行います。
クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。
Sun ONE Message Queue のリソースグループを追加します (ネットワークリソースの構成と起動 で追加していない場合)。
# scrgadm -a -g resource group [-h nodelist] |
リソースグループに論理ホスト名リソースを追加します (ネットワークリソースの構成と起動 で追加していない場合)。
# scrgadm -a -L -g resource group -l logical hostname |
データサービスのリソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.s1mq |
データサービスのリソースタイプを追加します。
事前に定義したリソースタイプ名を指定します。
Smooth_Shutdown 拡張プロパティの値が TRUE に設定されている場合は、$IMQ_VARHOME/instances/broker / ディレクトリに scs1mqconfig という名前のファイルを作成します。次の行を作成したファイルに追加します。
Password password |
Smooth_Shutdown 拡張プロパティについては、Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue 障害モニターの概要を参照してください。
フェイルオーバーリソースグループに Sun ONE Message Queue リソースインスタンスを追加します。
[Smooth_Shutdown の値に FALSE (デフォルト) を設定した場合:] # scrgadm -a -j resource -g resource-group -t SUNW.s1mq \ -x Confdir_list=$IMQ_VARHOME/instances/broker \ -x Broker_Name=broker \ -y Network_Resources_Used=logical hostname \ -y Port_list=port/tcp[,port/tcp] |
[Smooth_Shutdown の値に TRUE を設定した場合:] # scrgadm -a -j resource -g resource-group -t SUNW.s1mq \ -x Confdir_list=$IMQ_VARHOME/instances/broker \ -x Broker_Name=broker \ -x Broker_User=user \ -y Network_resources_used=logical hostname \ -y Port_list=port/tcp[,port/tcp] \ -x Smooth_Shutdown=TRUE |
アプリケーションリソースを含むリソースグループは、ネットワークリソースを構成して起動するでネットワークリソース用に作成したリソースグループと同じになります。
Sun ONE Message Queue アプリケーションリソース名を指定します。
追加するリソースの種類を指定します。
Sun ONE Message Queue 構成ディレクトリのパスを指定します。 Confdir_list 拡張プロパティが必要です。Confdir_list のエントリは、1 つだけです。
監視するブローカの名前を指定します。
管理ブローカのユーザー名を指定します。
resource-group には、ネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) をコンマで区切って指定します。このリストは、Sun ONE Message Queue アプリケーションリソースが必ず使用します。
使用するポート番号とプロトコルを指定します (例: 80/tcp)。Port_list プロパティには 1 つまたは 2 つのエントリが必要です。
ブローカをシャットダウンします。impcmd コマンドを使用すると、imqcmd コマンド文字列内にブローカのパスワードが表示されます。
# scswitch -Z -g resource-group |
リソースとそのモニターを有効にします。
有効になっているアプリケーションリソースグループの名前を指定します。
リソースグループとアプリケーションサーバーリソースがオンラインになっていることを確認します。
# scstat -g # ps -ef |
次の例は、Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue の登録方法を示しています。
クラスタ情報 ノード名: phys-schost-1、phys-schost-2 論理ホスト名: schost-1 リソースグループ: resource-group-1 (全リソース用) リソース: schost-1 (論理ホスト名)、 SUNW.s1mq (Sun ONE Message Queue アプリケーションリソース) (フェイルオーバーリソースグループを作成します。) # scrgadm -a -g resource-group-1 -h phys-schost-1,phys-schost-2 (リソースグループに論理ホスト名リソースを追加します。) # scrgadm -a -L -g resource-group-1 -l schost-1 (SUNW.s1mq リソースタイプを登録します。) # scrgadm -a -t SUNW.s1mq (Sun ONE Message Queue リソースを作成し、 リソースグループに追加します。) # scrgadm -a -j s1mq-rs -g s1mq-rg \ -t SUNW.s1mq \ -x Confdir_list=$IMQ_VARHOME/instances/hamq1 \ -x Broker_Name=hamq1 \ -y Network_resources_used=schost-1 \ -y Port_list=7676/tcp (アプリケーションリソースグループを有効にします。) # scswitch -Z -g s1mq-rg |
次の例は、Smooth_Shutdown が有効な場合の Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue の登録方法を示します。
クラスタ情報 ノード名: phys-schost-1, phys-schost-2 論理ホスト名: schost-1 リソースグループ: resource-group-1 (全リソース用) リソース: schost-1 (論理ホスト名)、 s1mq-1 (Sun ONE Message Queue アプリケーションリソース) (フェイルオーバーリソースグループを作成します。) # scrgadm -a -g resource-group-1 -h phys-schost-1,phys-schost-2 (リソースグループに論理ホスト名リソースを追加します。) # scrgadm -a -L -g resource-group-1 -l schost-1 (SUNW.s1mq リソースタイプを登録します。) # scrgadm -a -t SUNW.s1mq (Sun ONE Message Queue リソースを作成し、 リソースグループに追加します。) # scrgadm -a -j s1mq-rs -g s1mq-rg \ -t SUNW.s1mq \ -x Confdir_list=$IMQ_VARHOME/instances/hamq1 \ -x Broker_Name=hamq1 \ -x Broker_User=admin \ -y Network_resources_used=schost-1 \ -y Port_list=7676/tcp \ -x Smooth_Shutdown=TRUE (アプリケーションリソースグループを有効にします。) # scswitch -Z -g s1mq-rg |
ここでは、Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue の拡張プロパティの構成方法について説明します。通常、拡張プロパティは、Sun ONE Message Queue リソースを作成するときに、コマンド行から scrgadm -x parameter=value を実行して構成します。Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue の拡張プロパティのその他の構成方法については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「データサービスリソースの管理」を参照してください。
Sun Cluster のすべてのプロパティの詳細については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「標準プロパティ」を参照してください。
表 1–2 に、構成可能な Sun ONE Message Queue 拡張プロパティについて説明します。Sun ONE Message Queue リソースを作成するために必要な拡張プロパティは Confdir_list プロパティだけです。Confdir_list プロパティには、Sun ONE Message Queue 構成ファイルの格納先ディレクトリを指定します。拡張プロパティによっては、動的に更新できるものもあります。その他の拡張プロパティは、リソースの作成時にしか更新できません。「調整」の欄は、各プロパティをいつ更新できるかを示しています。
表 1–2 Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue 拡張プロパティ
名前/データタイプ |
説明 |
---|---|
Confdir_ list (文字配列) |
ブローカの構成ディレクトリを示すパス名。Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue にはこの拡張プロパティが必要であり、エントリを 1 つだけ指定します。
デフォルトNone 範囲: なし 調整: 作成時 (At_ creation) |
Broker_Name (文字列) |
監視するブローカの名前。
調整: 作成時 (At_ creation) |
Broker_User (文字列) |
管理ブローカのユーザー名。Smooth_Shutdown=TRUE の場合にのみ必須です。
調整: 作成時 (At_ creation) |
Smooth_Shutdown (ブール) |
ブローカが imqcmd によってシャットダウンされるかどうかを決定します。 Smooth_Shutdown=TRUE の場合、コマンド行で設定したブローカのパスワードが出力されます。Smooth_Shutdown=FALSE の場合、ブローカは SIGTERM によってシャットダウンされます。
初期値: False 調整: 任意の時点 (Anytime) |
SUNW.HAStoragePlus リソースタイプは、Sun Cluster 3.0 5/02 で導入されました。この新しいリソースタイプは、 SUNW.HAStorage と同様の機能を持っており、HA 記憶装置とデータサービス間のアクションを同期化します。
SUNW.HAStoragePlus にも、ローカルファイルシステムを高可用性システムにする追加機能があります。Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue は、ディスクに負荷をかけず、スケーラブルでもないので、SUNW.HAStoragePlus リソースタイプの設定は任意です。
背景情報については、SUNW.HAStoragePlus(5) のマニュアルページと『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「リソースグループとディスク装置グループの関係」を参照してください。手順については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「リソースグループとディスク装置グループとの間で起動を同期させる」を参照してください。Sun Cluster 3.0 5/02 より前のバージョンを使用している場合は、SUNW.HAStoragePlus ではなく、SUNW.HAStorage を設定する必要があります。
ここでは、データサービスが正しくインストールされて構成されているかどうかを確認する手順について説明します。
次の手順に従って、Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue が正しくインストールされ、構成されているかどうかを確認します。
Message Queue が Sun Cluster ソフトウェアの制御下で起動されていることを確認します。
# scswitch -Z -g resource group |
Web ブラウザから Sun ONE Message Queue に接続し、Sun ONE Message Queue ソフトウェアが正常に機能していることを確認します。
scswitch コマンドを実行して、リソースグループをほかのクラスタノード (node2 など) に切り替えます。
# scswitch -z -g resource-group -h node2 |
リソースグループとメッセージキューリソースがオンラインになっていることを確認します。
# scstat -g # ps -ef |
Sun ONE Message Queue リソースグループの潜在的な主ノードの全ての上で、手順 2 から 手順 4 を繰り返します。
ここで説明する情報は、Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue 障害モニターを理解する上で役立ちます。
Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue 障害モニターでは、次の拡張プロパティを使用します。場合によっては、これらすべての拡張プロパティを有効にする必要があります。
表 1–3 Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue 拡張プロパティ
Sun Cluster HA for Sun ONE Message Queue の検証機能は、Sun ONE Message Queue サーバーに要求を送ることにより、その状態を照会します。検証機能は、次のことを行います。
Sun ONE Message Queue インスタンスが、Probe_timeout リソースプロパティで設定されたタイムアウト値に従っていることを検証します。
ネットワークリソース構成とリソースグループの Port_list 設定によって定義された IP アドレスとポートの組み合わせに接続します。正常に接続できた場合、検証はポートマッパー情報を読み取ります。最後に、検証の接続が切断されます。接続に失敗した部分があると、障害が記録されます。
ネットワークトラフィックが多い場合、システムの負荷が高い場合、または構成ミスがあった場合は、照会に失敗することがあります。Sun ONE Message Queue サーバーが検証対象のすべての IP アドレスとポートの組み合わせで待機するように構成されていないと、構成ミスになります。Sun ONE Message Queue サーバーは、このリソースに指定したすべての IP アドレスのすべてのポートに対応するように構成します。
検証が完全に失敗した場合は次のようになります。
サーバーへの接続時に障害が発生すると、次のエラーメッセージが表示されます。%s はホスト名、%d はポート番号を表します。
Failed to connect to the host <%s> and port <%d>.
リソースプロパティ期間 Retry_interval 内に発生した部分的な障害は対策が必要な障害になるまで蓄積されます。
次に示すのは、検証の部分的な障害です。
リソース %s のポート %d との接続を切断できない。
Failed to disconnect from port %d of resource %s.
Probe_timeout の時間内にすべての検証手順を完了できない。
その他の原因でサーバーからデータを読み取れなかった場合は、次のエラーメッセージが表示されます。最初の %s はホスト名、%d はポート番号を表します。2 番目の %s はエラーの詳細です。
Failed to communicate with server %s port %d: %s
異常履歴に基づいて、データサービスのローカルでの再起動、またはデータサービスのフェイルオーバーのいずれかが実行されます。