ここでは、Sun Cluster HA for SAP のインストールと構成の計画について説明します。
次の制限事項を守らないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。
Sun Cluster HA for SAP のインストールと構成の計画を行うときは、ここに記載されている制限事項を守ってください。ここでは、Sun Cluster HA for SAP に適用されるソフトウェアとハードウェア構成の制限事項を示します。
すべてのデータサービスに適用される制限事項については、『Sun Cluster 3.1 Data Services 10/03 Release Notes 』を参照してください。
ノード名は SAP インストールガイドの指定に従っている必要があります。これは SAP ソフトウェアの制約です。
次の要件を満たさないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。
Sun Cluster HA for SAP のインストールと構成の計画を行うときは、ここに記載されている要件を満たしてください。これらの要件が適用されるのは、Sun Cluster HA for SAP だけです。 Sun Cluster HA for SAP のインストールと構成を始める前に、次の要件を満たしておく必要があります。
すべてのデータサービスに適用される要件については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「Sun Cluster データサービスの構成と管理」を参照してください。
データベース用のファイルシステムと SAP ソフトウェア用のファイルシステムをすべて作成してからマウントポイントを作成し、これをすべてのクラスタノードの /etc/vfstab ファイルに指定します。データベースと SAP のファイルシステムの設定手順については、SAP のインストールマニュアル『Installation of the SAP R/3 on UNIX』と『R/3 Installation on UNIX-OS Dependencies』を参照してください。
すべてのクラスタノードに、必要なグループとユーザーを作成します。SAP グループやユーザーの作成方法については、SAP のインストールガイド『Installation of the SAP R/3 on UNIX』と『R/3 Installation on UNIX-OS Dependencies』を参照してください。
外部 SAP アプリケーションサーバーのインストールを予定している場合は、セントラルインスタンスのホストとなるクラスタ上で Sun Cluster HA for NFS を構成します。 Sun Cluster HA for SAP の構成方法については、『Sun Cluster 3.1 Data Service for Network File System (NFS) ガイド』の「Sun Cluster HA for NFS のインストールと構成」を参照してください。
セントラルインスタンスが動作するクラスタまたは別のクラスタにアプリケーションサーバーをインストールします。アプリケーションサーバーをクラスタ環境の外部にインストールして構成すると、Sun Cluster HA for SAP による障害監視は行なわれせん。したがって、これらのアプリケーションサーバーの再起動やフェイルオーバーは自動的には行なわれません。ユーザーは、このようなアプリケーションサーバーの起動や停止を手動で行なう必要があります。
自動待ち行列化再接続機構の機能をもつ SAP ソフトウェアバージョンを使用します。Sun Cluster HA for SAP にはこの機能が必要です。パッチ情報付きの SAP 4.0 以降のソフトウェアには、自動待ち行列化再接続機構の機能が装備されています。
ここで説明する標準構成を使用して、Sun Cluster HA for SAP のインストールと構成の計画を行ってください。Sun Cluster HA for SAP は、ここで紹介する標準構成をサポートします。Sun Cluster HA for SAP は、他の構成もサポートする場合があります。ただし、Enterprise Services の担当者に連絡し、他の構成に関する情報を得る必要があります。
図 1–2 の構成は、これまでの Sun Cluster リリースでよく見られる構成です。Sun Cluster ソフトウェアを最大限に活用するには、図 1–1 または 図 1–3 のように SAP を構成する必要があります。
ここで説明する考慮事項を検討して、Sun Cluster HA for SAP のインストールと構成の計画を行なってください。Sun Cluster HA for SAP のインストールと構成によって、どのような影響が出るかを考慮する必要があります。
sapstart 実行可能ファイルの最新パッチを取得してください。Sun Cluster HA for SAP のユーザーがロックファイルを構成するには、このパッチが必要です。使用するクラスタ環境でのこのパッチのメリットについては、ロックファイルの設定を参照してください。
Sun Cluster 構成にインストールする SAP ソフトウェアリリースやデータベースに関連する SAP のすべてのオンラインサービスシステムノートに目を通してください。インストールに関連する既知の問題や修正を確認してください。
推奨するメモリやスワップの容量については、SAP ソフトウェアのマニュアルを参照してください。SAP ソフトウェアには、大量のメモリとスワップが必要です。
セントラルインスタンス、データベースインスタンス、およびアプリケーションサーバー (内部アプリケーションサーバーがある場合) が動作する可能性がある各ノードでは負荷合計を多めに見積もってください。フェイルオーバーが起きたときに、セントラルインスタンス、データベースインスタンス、およびアプリケーションサーバーが 1 つのノードで動作するようにクラスタを構成する場合には、これを考慮することが特に重要です。
SAPSIDadm ホームディレクトリをクラスタファイルシステムに配置します。これによって、すべてのノードで動作するすべてのアプリケーションサーバーインスタンスに対して 1 つのスクリプト群を保守するだけですむようになります。ただし、一部のアプリケーションサーバーだけを異なる方法で構成する必要がある (たとえば、アプリケーションサーバーごとにプロファイルが異なる) 場合は、これらのアプリケーションサーバーを異なるインスタンス番号でインストールし、別個のリソースグループとして構成します。
アプリケーションサーバーのディレクトリを (クラスタファイルシステムではなく) 各ノードにローカルでインストールします。これは、他のアプリケーションサーバーがこのアプリケーションサーバーの log/data/work/sec ディレクトリを上書きするのを防止するためです。
複数のノードにすべてのアプリケーションサーバーインスタンスを作成する場合は、同じインスタンス番号を使用してください。これにより、1 組のコマンドを使って複数のノードにあるすべてのアプリケーションサーバーを操作できるので、保守や管理が容易になります。
優先順位の高いリソースのフェイルオーバー時に、RGOffload リソースタイプを使用して 1 つ以上のアプリケーションサーバーを停止する場合は、アプリケーションサーバーを複数のリソースグループに組み込んでください。 こうすると、RGOffload リソースタイプを使用して 1 つ以上のデータベース用のアプリケーションサーバーをオフロードする場合に、柔軟性と可用性が得られます。その結果得られるメリットは、各アプリケーションサーバーを 1 つの大きなグループに配置することによって得られる使い易さを上回ります。RGOffload リソースタイプの使い方については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「重要ではないリソースグループをオフロードすることによるノードリソースの解放」を参照してください。
SAP ログオングループごとに、別個のスケーラブルアプリケーションサーバーインスタンスを作成します。
ローカルインスタンスディレクトリに SAP ロックファイルを作成します。これにより、すでに実行中のアプリケーションインスタンスをシステム管理者が手動で起動する事態を防止できます。
ここに記載された質問に基づいて、Sun Cluster HA for SAP のインストールと構成の計画を行なってください。『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「構成ワークシート」にあるデータサービスワークシートに、質問に対する答えを記入してください。各質問の関連情報については、構成上の考慮事項を参照してください。
ネットワークアドレスとアプリケーションリソースにどのリソースグループを使用しますか、またそれらの間にはどのような依存関係がありますか。
データサービスへのアクセスにクライアントが使用する論理ホスト名 (フェイルオーバーサービス用) を指定してください。
システム構成ファイルはどこに置きますか。
クラスタファイルシステムではなく、ローカルファイルシステム上に SAP バイナリプログラムを配置することの長所と短所については、『 Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「Sun Cluster データサービスの構成のガイドライン」を参照してください。
表 1–3 と表 1–4 に、Sun Cluster HA for SAP がサポートするパッケージを示します。
表 1–3 Sun Cluster 3.0 7/01 以降の Sun Cluster HA for SAP パッケージ
リソースタイプ |
説明 |
---|---|
SUNW.sap_ci |
フェイルオーバーセントラルインスタンスのサポートを追加 |
SUNW.sap_as |
フェイルオーバーアプリケーションサーバーのサポートを追加 |
Sun Cluster HA for SAP 対応リソースタイプ (RT) の最新バージョンは *_v2 です。*_v2 リソースタイプはオリジナルの RT のスーパーセットです。できるだけ、提供されている最新の RT を使用してください。
表 1–4 Sun Cluster 3.0 12/01 以降の Sun Cluster HA for SAP パッケージ
リソースタイプ |
説明 |
---|---|
SUNW.sap_ci |
Sun Cluster 3.0 7/01 と同じ。表 1–3を参照 |
SUNW.sap_as |
Sun Cluster 3.0 7/01 と同じ表 1–3を参照 |
SUNW.sap_ci_v2 |
Network_resources_used リソースプロパティを Resource Type Registration (RTR) ファイルに追加 |
|
フェイルオーバーセントラルインスタンスのサポートは維持されます。 |
SUNW.sap_as_v2 |
Network_resources_used リソースプロパティを RTR ファイルに追加 スケーラブルアプリケーションサーバーのサポートを追加 |
|
フェイルオーバーアプリケーションサーバーのサポートは維持されます。 |