Sun Cluster 3.1 Data Service for SAP liveCache ガイド

Sun Cluster HA for SAP liveCache の登録と構成

ここでは Sun Cluster HA for SAP liveCache の構成手順について説明します。

Sun Cluster HA for SAP liveCache の拡張プロパティ

表 1–3表 1–4 の拡張プロパティを使用して、リソースを作成します。次のコマンド行を使用して、リソースを作成するときに拡張プロパティを構成します。


scrgadm -x parameter=value 
リソースが作成済みの場合は、『Sun Cluster 3.1 Data Service for SAP ガイド』に記載されている手順に従って、拡張プロパティを構成します。拡張プロパティによっては、動的に更新できるものもあります。ただし、それ以外の拡張プロパティは、リソースを作成するか無効にするときにしか更新できません。各プロパティをいつ更新できるかについては、表 1–3表 1–4 の説明欄の項目「調整」を参照してください。付録 A に、すべての Sun Cluster プロパティが記載されています。

表 1–3 Sun Cluster HA for SAP liveCache (SUNW.sap_xserver) の拡張プロパティ

名前/データタイプ 

説明 

Confdir_List (任意) 文字列

liveCache ソフトウェアのディレクトリとインスタンスのディレクトリ 

初期値: /sapdb

範囲: なし

調整: 作成時 (At_ creation)

Monitor_retry_count

障害モニターに許されている PMF 再起動の回数 

 

初期値: 4

調整: 任意の時点 (Anytime)

Monitor_retry_ interval

障害モニターを再起動する間隔 (分単位) 

 

初期値: 2

調整: 任意の時点 (Anytime)

Probe_timeout

プローブのタイムアウト値 (秒単位) 

 

初期値:120

調整:任意の時点 (Anytime)

Soft_Stop_Pct (任意) 整数

SIGKILL を使用してすべての SAP xserver プロセスを停止する前に、SAP ユーティリティー x_server stop を使用することによって SAP xserver を停止するための停止タイムアウトの割合。

初期値:50

範囲 : 1 から 100

調整: 無効時 (When_ disabled)

Xserver_User (任意) 文字列

SAP xserver システム管理者のユーザー名 

初期値: root

範囲: なし

調整:作成時 (At_ creation)

表 1–4 Sun Cluster HA for SAP liveCache (SUNW.sap_livecache) の拡張プロパティ

名前/データタイプ 

説明 

Confdir_list (任意) 文字列

liveCache ソフトウェアのディレクトリとインスタンスのディレクトリ 

初期値: /sapdb

範囲: なし

調整: 作成時 (At_ creation)

Livecache_name (必須) 文字列

liveCache データベースインスタンスの名前 

初期値: なし

範囲: なし

調整:作成時 (At_ creation)

Monitor_retry_count

障害モニターに許されている PMF 再起動の回数 

 

初期値: 4

調整: 任意の時点 (Anytime)

Monitor_retry_interval

障害モニターを再起動する間隔 (分単位) 

 

初期値: 2

調整: 任意の時点 (Anytime)

Probe_timeout

プローブのタイムアウト値 (秒単位) 

 

初期値:90

調整:任意の時点 (Anytime)

Sun Cluster HA for SAP liveCache を登録して構成する

次の手順で、liveCache データベースに対応するフェイルオーバーデータサービスとして Sun Cluster HA for SAP liveCache を、スケーラブルデータサービスとして SAP xserver を構成します。この手順を実行する前に、データサービスパッケージをインストールしておく必要があります。Sun Cluster を初めてインストールするときに、Sun Cluster HA for SAP liveCache パッケージをインストールしなかった場合は、Sun Cluster HA for SAP liveCache パッケージのインストール を参照して、データサービスパッケージをインストールしてください。それ以外の場合は、ここで説明する手順に従って、Sun Cluster HA for SAP liveCache を構成します。


注意 – 注意 –

同一クラスタに複数の SAP xserver リソースを構成しないでください。SAP xserver は 1 つでクラスタ内の複数の liveCache インスタンスに対応するからです。同一クラスタ上で複数の SAP xserver リソースを動作させると、SAP xserver リソース間で競合が発生します。競合が発生すると、すべての SAP xserver リソースが利用できなくなります。SAP xserver を 2 回起動しようとすると、「 Address already in use」というメッセージが表示されます。


  1. liveCache リソースを収容するクラスタノードのどれかで、スーパーユーザーになります。

  2. lccluster ファイルを lcinit ファイルと同じ場所にコピーします。


    # cp /opt/SUNWsclc/livecache/bin/lccluster \
    /sapdb/LC-NAME/db/sap
    
    LC-NAME

    liveCache データベースインスタンスの名前 (大文字)

  3. lccluster ファイルを編集し、 put-LC_NAME-hereput-Confdir_list-here の値を指定します。


    注 –

    put-Confidir_list-here の値を指定できるのは、Sun Cluster のバージョン 3.1 だけです。


    1. lccluster ファイルを開きます。


      # vi /sapdb/LC-NAME/db/sap/lccluster \LC_NAME="put-LC_NAME-here" \
      CONFDIR_LIST="put-Confdir_list-here"

      注 –

      CONFDIR_LIST=”put-Confdir_list-here エントリを使用できるのは、Sun Cluster のバージョン 3.1 だけです。


    2. put-LC_NAME-here に liveCache のインスタンス名を指定します。liveCache のインスタンス名は、Livecache_Name 拡張プロパティで定義した値です。

      具体例は、手順 c を参照してください。


      LC_NAME="liveCache-instance-name"
      
    3. put-Confdir_list-hereConfidir_list 拡張プロパティの値を指定します。


      注 –

      この手順が必要なのは、Sun Cluster バージョン 3.1 の場合だけです。それより前の Sun Cluster を実行している場合は、この手順を省いてください。



      CONFDIR_LIST="liveCache-software-directory"
      

    例:

    liveCache のインスタンス名が LC1、 liveCache ソフトウェアディレクトリが /sapdb の場合は、次のように lccluster スクリプトを編集します。


    LC_NAME="LC1"
    CONFDIR_LIST="/sapdb" [Sun Cluster 3.1 version only]
    
  4. liveCache リソースグループに HAStoragePlus リソースを追加します。


    # scrgadm -a -t SUNW.HAStoragePlus
    # scrgadm -a -j livecache-storage-resource -g livecache-resource-group \
    -t SUNW.HAStoragePlus -x filesystemmountpoints=mountpoint,... \
    -x globaldevicepaths=livecache-device-group  -x affinityon=TRUE
    

    注 –

    フェイルオーバーを行うには、AffinityOne に TRUE が設定され、ローカルファイルシステムが広域ディスクグループ上に存在する必要があります。


    HAStoragePlus リソースの設定手順については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』を参照してください。

  5. liveCache ストレージリソースを有効にします。


    # scswitch -e -j livecache-storage-resource
    
  6. liveCache データベースのリソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.sap_livecache
    
  7. SAP xserver のリソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.sap_xserver
    
  8. SAP xserver のスケーラブルリソースタイプを作成します。liveCache が動作する可能性のあるすべてのノードで実行されるように SAP xserver を構成します。


    注 –

    SAP xserver は、liveCache リソースのフェイルオーバー先になるすべてのノードで起動するように構成します。この構成を実行するには、SAP xserver リソースグループの nodelist パラメータに、liveCache リソースグループの nodelist で指定されたすべてのノードが含まれている必要があります。さらに、SAP xserver リソースグループの desired_primariesmaximum_primaries の値を一致させる必要があります。



    # scrgadm -a -g xserver-resource-group \
    -y Maximum_primaries=value \
    -y Desired_primaries=value \
    -h nodelist
    
  9. このスケーラブルリソースグループの中に SAP xserver リソースを作成します。


    # scrgadm -a -j xserver-resource\
     -g xserver-resource-group -t SUNW.sap_xserver 
    

    どのような拡張プロパティがあるかについては、Sun Cluster HA for SAP liveCache の拡張プロパティを参照してください。

  10. SAP xserver リソースが含まれているスケーラブルリソースグループを有効にします。


    # scswitch -Z -g xserver-resource-group
  11. SAP xserver と liveCache との間にリソースグループの依存関係を設定します。


    # scrgadm -c -g livecache-resource-group \
    -y rg_dependencies=xserver-resource-group
    
  12. liveCache フェイルオーバーリソースグループを有効にします。


    # scswitch -Z -g livecache-resource-group
    
  13. liveCache のフェイルオーバー先になるノード上で APO アプリケーションサーバーを実行しているかどうかを確認します。

    • 実行していない場合は、これで完了です。

    • 実行している場合は、手順 14 に進んでください。

  14. RGOffload リソースの rg_to_offload リストに、スケーラブル APO アプリケーションサーバーリソースグループがすでに含まれているかどうかを確認します。


    # scrgadm -pvv | grep -i rg_to_offload | grep value:
    
    • 含まれている場合は、これで完了です。

    • 含まれていない場合は、liveCache リソースグループに RGOffload リソースを追加することを検討してください。

      このように構成すると、APO アプリケーションサーバーを実行中のノードに liveCache リソースがフェイルオーバーされた場合、APO アプリケーションサーバーを自動的に停止できます。

      RGOffload リソースの設定手順については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』を参照してください。