HAStoragePlus リソースタイプを使用すると、ローカルファイルシステムを Sun Cluster 環境内で高可用性にすることができます。このためには、ローカルファイルシステムのパーティションが広域ディスクグループに存在し、アフィニティスイッチオーバーが有効であり、Sun Cluster 環境がフェイルオーバー用に構成されている必要があります。これによって、多重ホストディスクに直接接続された任意のホストから、多重ホストディスク上の任意のファイルシステムにアクセスできるようになります。(HAStoragePlus を使用して root ファイルシステムの高可用性を実現することはできません)。フェイルバックの設定は、リソースグループとデバイスグループで同一にする必要があります。
入出力の多いデータサービスの中には、HA ローカルファイルシステムの使用が強く望まれるものがあります。このため、このようなデータサービスの登録作業と構成作業には、HAStoragePlus リソースタイプを構成する方法が追加されています。これらのデータサービスの HAStoragePlus リソースタイプを設定する手順については、以下の節を参照してください。
『Sun Cluster 3.1 Data Service for Oracle ガイド』の「 Sun Cluster HA for Oracle の登録と構成」
『Sun Cluster 3.1 Data Service for Sybase ASE ガイド』の「Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成」
ほかのデータサービスの HAStoragePlus リソースタイプを設定する方法については、HAStoragePlus リソースタイプを設定するを参照してください。
HAStoragePlus リソースタイプは、Sun Cluster 3.0 5/02 で導入されました。この新しいリソースタイプには HAStorage と同じ機能があり、リソースグループとディスクデバイスグループとの間で起動の同期をとります。HAStoragePlus リソースタイプには、ローカルファイルシステムを高可用性にするための機能が追加されています。(ローカルファイルシステムを高可用性にするための説明については、高可用性ローカルファイルシステムの有効化を参照)。これらの機能を両方とも使用するには、HAStoragePlus リソースタイプを設定します。
HAStoragePlus を設定するには、ローカルファイルシステムのパーティションが広域ディスクグループに存在し、アフィニティスイッチオーバーが有効であり、かつ Sun Cluster 環境がフェイルオーバー用に構成されている必要があります。
次の例では、簡単な NFS サービスを使用して、ローカルにマウントされたディレクトリ /global/local-fs/nfs/export/ からホームディレクトリのデータを共有します。この例では、次の条件を前提にしています。
マウントポイント /global/local-fs/nfs は、UFS ローカルファイルシステムを Sun Cluster 広域デバイスのパーティションにマウントするために使用されます。
/global/local-fs/nfs ファイルシステムの /etc/vfstab エントリには、このファイルシステムがローカルファイルシステムで、マウントブートフラグが「no」であるよう指定されている必要があります。
PathPrefix ディレクトリ (HA-NFS が管理情報と状態情報を保守するために使用するディレクトリ) は、マウントするファイルシステムのルートディレクトリ (たとえば、/global/local-fs/nfs) 上に存在します。
クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。
リソースタイプが登録されているかどうかを調べます。
次のコマンドは、登録されているリソースタイプのリストを出力します。
# scrgadm -p | egrep Type |
必要であれば、リソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.nfs |
フェイルオーバーリソースグループ nfs-r を作成します。
# scrgadm -a -g nfs-rg -y PathPrefix=/global/local-fs/nfs |
タイプ SUNW.LogicalHostname の論理ホストリソースを作成します。
# scrgadm -a -j nfs-lh-rs -g nfs-rg -L -l log-nfs |
クラスタに HAStoragePlus リソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.HAStoragePlus |
タイプ HAStoragePlus のリソース nfs-hastp-rs を作成します。
# scrgadm -a -j nfs-hastp-rs -g nfs-rg -t SUNW.HAStoragePlus\ -x FilesystemMountPoints=/global/local-fs/nfs \ -x AffinityOn=TRUE |
FilesystemMountPoints 拡張プロパティは、1 つ以上のファイルシステムマウントポイントをリストの形式で指定するために使用できます。このリストには、ローカルファイルシステムマウントポイントと広域ファイルシステムマウントポイントの両方を含めることができます。ブートフラグでのマウントは、広域ファイルシステムの HAStoragePlus によって無視されます。
リソースグループ nfs-rg をクラスタノード上でオンラインにします。
このノードは、/global/local-fs/nfs ファイルシステムの実際の広域デバイスのパーティション用の主ノードになります。次に、ファイルシステム /global/local-fs/nfs は当該ノード上にローカルにマウントされます。
# scswitch -Z -g nfs-rg |
SUNW.nfs リソースタイプをクラスタに登録します。タイプ SUNW.nfs のリソース nfs-rs を作成して、リソース nfs-hastp-rs へのリソース依存関係を指定します。
dfstab.nfs-rs が /global/local-fs/nfs/SUNW.nfs に作成されます。
# scrgadm -a -t SUNW.nfs # scrgadm -a -g nfs-rg -j nfs-rs -t SUNW.nfs \ -y Resource_dependencies=nfs-hastp-rs |
nfs リソースに依存関係を設定するには、nfs-hastp-rs リソースがオンラインである必要があります。
リソース nfs-rs をオンラインにします。
# scswitch -Z -g nfs-rg |
切り替えは、必ずリソースグループレベルで行なってください。デバイスグループレベルで切り替えを行うと、リソースグループが混乱し、フェイルオーバーが発生します。
これで、サービスを新しいノードに移行するときには常に、/global/local-fs/nfs 用のプライマリ入出力パスはオンラインになり、NFS サーバーに配置されます。ファイルシステム /global/local-fs/nfs は NFS サーバーが起動する前にローカルにマウントされます。