ここで示す要件を参考にして、Apache Tomcat のインストールと構成の計画を行なってください。これらの要件が適用されるのは、Sun Cluster HA for Apache Tomcat だけです。Sun Cluster HA for Apache Tomcat のインストールと構成を進めるには、あらかじめ次の要件を満たす必要があります。
次の要件を満たさないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。
スケーラブル構成またはマルチマスター構成のために Tomcat Home ディレクトリをローカル記憶装置上に構成する –Apache Tomcat をスケーラブルリソースグループとしてインストールする場合は、Tomcat Home ディレクトリとその動的なデータをローカル記憶装置上に作成する必要があります。
この作業を行うのは、Apache Tomcat がディレクトリ構造を利用してその構成、ログ、配備されたアプリケーションなどを保存するためです。
ただし、ローカル記憶装置にゆとりがない場合は、共有記憶装置上の広域ファイルシステムを使用することもできます。
この場合、Tomcat アプリケーションの配備は Apache Tomcat をホスティングするノードごとに行う必要があります。
Sun Cluster HA for Apache Tomcat マルチマスター構成の配備 — Apache Tomcat をマルチマスター構成で配備する場合は、前述のロードバランサーが必要です。
フェイルオーバー構成のために共有記憶装置上に Apache Tomcat Home ディレクトリを構成する – Apache Tomcat をフェイルオーバーリソースグループとしてインストールする場合は、Tomcat Home ディレクトリを共有記憶装置上に作成する必要があります。Tomcat Home ディレクトリは、HAStoragePlus リソースと共に広域ファイルシステム (GFS) に置くことも、フェイルオーバーファイルシステム (FFS) に置くこともできます。望ましいのは FFS 上への配置です。
この作業を行うのは、Apache Tomcat がディレクトリ構造を利用してその構成、ログ、配備されたアプリケーションなどを保存するためです。バイナリをローカル記憶装置に保存して動的なデータ部分を共有記憶装置に保存することも可能ですが、このような方法はお勧めできません。
広域ファイルシステムをマウントする場合は /global という接頭辞を指定し、フェイルオーバーファイルシステムをマウントする場合は /local という接頭辞を指定するようにしてください。 必須ではありませんが、こうするのが最も良い方法とされています。
Apache Tomcat コンポーネントとその依存性 — Sun Cluster HA for Apache Tomcat データサービスは、1 つ以上の Apache Tomcat インスタンスを保護するように設定できます。各インスタンスは、1 つの Apache Tomcat リソースによって対応される必要があります。次に、Apache Tomcat リソースとほかの必須リソース間の依存関係の概要を示します。
表 1–4 フェイルオーバー構成用の Apache Tomcat コンポーネントとその依存関係 (-> は依存先を示す)
コンポーネント |
説明 |
---|---|
記憶装置リソース |
このリソースは、SUNW.HAStoragePlus または SUNW.HAStorage リソースタイプのどちらかです。 |
Apache Tomcat (必須) |
-> SUNW.HAStoragePlus / SUNW.HAStorage リソース 記憶装置リソースには、Apache Tomcat ファイルシステムのマウントポイントを管理し、マウントされるまで Apache Tomcat が起動しないようにする役割があります。 |
論理ホスト (必須) |
Apache Tomcat は一般的なデータサービスをベースとしているため、このコンポーネントはリソースグループの論理ホストに暗黙に依存します。したがって、論理ホストが存在する必要がありますが、明示的な依存は不要です。 |
各 Apache Tomcat とそのパラメタファイル pfile がルートファイルシステムに保存されているかぎり、スケーラブル構成の特殊な要件のために記憶装置またはアドレスに依存する必要はありません。この条件が満たされない場合は、次の表の内容に従ってください。
表 1–5 スケーラブル構成またはマルチマスター構成用の Apache Tomcat コンポーネントとその依存関係 (-> は依存先を示す)
コンポーネント |
説明 |
---|---|
記憶装置リソース |
このリソースは、SUNW.HAStorage または SUNW.HAStoragePlus リソースタイプのどちらかです。 |
Apache Tomcat (必須) |
-> 記憶装置リソース 記憶装置リソースには、Apache Tomcat ファイルシステムのマウントポイントを管理し、マウントされるまで Apache Tomcat が起動しないようにする役割があります。 |
共有アドレス (必須) |
共有アドレスリソースは、スケーラブルリソースグループが依存する個別のリソースグループ内に置かれます。 |
Apache Tomcat の詳細は、jakarta.apache.org Web ページを参照してください。
Apache Tomcat コンポーネントの構成 / 登録ファイルは、/opt/SUNWsctomcat/util に置かれています。これらのファイルによって、Sun Cluster に Apache Tomcat コンポーネントを登録できます。
これらのファイル内では、該当する依存関係がすでに適用されています。
# cd /opt/SUNWsctomcat # # ls -l util total 4 -rwx--x--- 1 root other 709 Apr 29 11:57 sctomcat_config -rwx--x--- 1 root other 561 Apr 29 11:58 sctomcat_register # more util/* :::::::::::::: util/sctomcat_config :::::::::::::: # # Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved. # Use is subject to license terms. # # This file will be sourced in by sctomcat_register and the parameters # listed below will be used. # # These parameters can be customized in (key=value) form # # RS - name of the resource for the application # RG - name of the resource group containing RS # PORT - name of the port number # LH - name of the LogicalHostname SC resource # SCALABLE - true or false for a scalable or failover resource # PFILE - absolute pathname to the parameter file for the Tomcat resource # HAS_RS - name of the HAStoragePlus SC resource # (it can be a , separated list for the dependencies) (日本語) # このファイルは、sctomcat_register によってソースに取り込まれます。 # パラメタは以下のものが使用されます。 # # これらのパラメタは、(key=value) フォームを使用してカスタマイズできます。 # # RS - アプリケーションのリソースの名前 # RG - RS を含むリソースグループの名前 # PORT - ポート番号の名前 # LH - LogicalHostname SC リソースの名前 # SCALABLE - スケーラブルリソースかフェイルオーバーリソースかを true または false で指定 # PFILE - Tomcat リソースのパラメタファイルの絶対パス名 # HAS_RS - HAStoragePlus SC リソースの名前 # (依存関係にもとづいて個別のリストにもできる) # RS= RG= PORT=8080 LH= SCALABLE=false PFILE= HAS_RS= :::::::::::::: util/sctomcat_register :::::::::::::: # # Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved. # Use is subject to license terms. # . `dirname $0`/sctomcat_config scrgadm -a -j $RS -g $RG -t SUNW.gds \ -x Start_command="/opt/SUNWsctomcat/bin/start_sctomcat \ -R $RS -G $RG -N $PFILE " \ -x Stop_command="/opt/SUNWsctomcat/bin/stop_sctomcat \ -R $RS -G $RG -N $PFILE " \ -x Probe_command="/opt/SUNWsctomcat/bin/probe_sctomcat \ -R $RS -G $RG -N $PFILE " \ -y Port_list=$PORT/tcp -y Network_resources_used=$LH \ -x Stop_signal=9 \ -y Scalable=$SCALABLE \ -y Resource_dependencies=$HAS_RS |