Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)

ディスクパス監視の管理

ディスクパス監視 (DPM) の管理コマンドを使用すれば、二次ディスクパス障害の通知を受け取ることができます。 この節では、ディスクパスの監視に必要な管理作業を行うための手順を説明します。 ディスクパス監視デーモンの概念については、『 Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』の「重要な概念 - 管理とアプリケーション開発」を参照してください。 scdpm コマンドのオプションと関連するコマンドについては、scdpm(1M) のマニュアルページを参照してください。 ログに記録されたエラーについては、syslogd(1M) のマニュアルページを参照してください。


注 –

scgdevs または scdidadm コマンドを使ってノードに入出力デバイスを追加すると、監視を行なっていた監視リストにディスクパスが自動的に追加されます。 Sun Cluster コマンドを使ってノードからデバイスを削除すると、 ディスクパスは自動的に監視から除外されます。


表 4–5 Task Map: ディスクパス監視の管理

目次  

参照箇所  

scdpm コマンドを使ってディスクパスを監視する

ディスクパスを監視する

scdpm コマンドを使ってディスクパスの監視を解除する

ディスクパスの監視を解除する

scdpm コマンドを使って、障害のあるディスクパスのステータスを出力する

障害のあるディスクパスを表示する

scdpm -f コマンドを使って、ファイルからディスクパスを監視または監視解除する

ファイルからディスクパスを監視する

以下のセクションの各手順では、scdpm コマンドとディスクパス引数を使用します。 ディスクパス引数はノード名とディスク名からなります。 ただし、ノード名は必須ではありません。指定しないと、all が使用されます。 次の表に、ディスクパスの命名規約を示します。


注 –

広域ディスクパス名はクラスタ全体で一貫性があるため、ディスクパス名には広域名を使用することを強くお勧めします。 UNIX ディスクパス名には、クラスタ全体での一貫性がありません。 つまり、あるディスクの UNIX ディスクパスは、クラスタノードによって異なる可能性があります。 たとえば、 あるディスクパス名があるノードでは c1t0d0 、別のノードでは c2t0d0 となっている場合があります。 UNIX ディスクパス名を使用する場合は、scdidadm -L コマンドを使って UNIX ディスクパス名と広域ディスクパス名を対応付けてから DPM コマンドを実行してください。 詳細については、scdidadm(1M) のマニュアルページを参照してください。


表 4–6 ディスクパス名の例

名前型  

ディスクパス名の例 

説明 

広域ディスクパス  

phys-schost-1:/dev/did/dsk/d1

phys-schost-1 ノードでのディスクパス d1

all:d1

クラスタのすべてのノードでのディスクパス d1

UNIX ディスクパス  

phys-schost-1:/dev/rdsk/c0t0d0s0

phys-schost-1 ノードでのディスクパス c0t0d0s0

phys-schost-1:all

phys-schost-1 ノードでのすべてのディスクパス

すべてのディスクパス 

all:all

クラスタのすべてのノードでのすべてのディスクパス 

ディスクパスを監視する

この作業は、クラスタのディスクパスを監視するときに行います。


注意 – 注意 –

DPM は、Sun Cluster 3.1 5/03 ソフトウェア より前にリリースされたバージョンが動作するノードではサポートされません。 ローリングアップグレードが行われているときには DPM コマンドを使用しないでください。 すべてのノードをアップグレードしたら、DPM コマンドを使用する前にこれらのノードをオンラインにする必要があります。


  1. クラスタ内にある任意のノード上でスーパーユーザーになります。

  2. scdpm コマンドを使ってディスクパスを監視します。


    # scdpm -m node:disk path
    

    node:disk path 引数の命名規則については、表 4–6 を参照してください。

  3. ディスクパスが監視されているか確認します。


    # scdpm -p node:all	     
    

例—単一ノードからディスクパスを監視する

次の例では、単一ノードから schost-1:/dev/did/rdsk/d1 ディスクパスを監視します。 ディスク /dev/did/dsk/d1 へのパスを監視するのは、ノード schost-1 上の DPM デーモンだけです。


# scdpm -m schost-1:d1
# scdpm -p schost-1:d1
	     schost-1:/dev/did/dsk/d1   Ok

例—すべてのノードからディスクパスを監視する

次の例では、すべてのノードから schost-1:/dev/did/dsk/d1 ディスクパスを監視します。 DPM は、/dev/did/dsk/d1 が有効なパスであるすべてのノードで起動されます。


# scdpm -m all:/dev/did/dsk/d1
# scdpm -p schost-1:d1
	     schost-1:/dev/did/dsk/d1   Ok	    

例—CCR からディスク構成を読み直す

次の例では、デーモンが CCR からディスク構成を読み直し、監視されているディスクパスをそのステータスとともに出力します。


# scdpm -m all:all 
# scdpm -p all:all
		 schost-1:/dev/did/dsk/d4   Ok
	     schost-1:/dev/did/dsk/d3   Ok
	     schost-2:/dev/did/dsk/d4   Fail
	     schost-2:/dev/did/dsk/d3   Ok
	     schost-2:/dev/did/dsk/d5   Unmonitored
	     schost-2:/dev/did/dsk/d6   Ok

ディスクパスの監視を解除する

ディスクパスの監視を解除する場合は、この手順を使用します。


注意 – 注意 –

DPM は、Sun Cluster 3.1 5/03 ソフトウェア より前にリリースされたバージョンが動作するノードではサポートされません。 ローリングアップグレードが行われているときには DPM コマンドを使用しないでください。 すべてのノードをアップグレードしたら、DPM コマンドを使用する前にこれらのノードをオンラインにする必要があります。


  1. クラスタ内にある任意のノード上でスーパーユーザーになります。

  2. 監視を解除するディスクパスの状態を調べます。


    # scdpm -p [all:] disk path
    
    -p

    指定したディスクパスの現在のステータスを示す詳細なリストを出力します。

    [:all]

    監視されているすべてのディスクパスと監視されていないすべてのディスクパスを表示します。

  3. 各ノードで、適切なディスクパスの監視を解除します。


    # scdpm -u  node:disk path
    

    node:disk path 引数の命名規則については、表 4–6 を参照してください。

例—ディスクパスの監視を解除する

次の例では、schost-2:/dev/did/rdsk/d1 ディスクパスの監視を解除し、クラスタ全体のディスクパスの一覧とそのステータスを出力します。


# scdpm -u schost-2:/dev/did/rdsk/d1
# scdpm -p all:all 
	     schost-1:/dev/did/dsk/d4   Ok
	     schost-1:/dev/did/dsk/d3   Ok
	     schost-2:/dev/did/dsk/d4   Fail
	     schost-2:/dev/did/dsk/d3   Ok
	     schost-2:/dev/did/dsk/d1   Unmonitored
	     schost-2:/dev/did/dsk/d6   Ok

障害のあるディスクパスを表示する

クラスタに障害のあるディスクパスを表示する場合は、次の手順を使用します。


注意 – 注意 –

DPM は、Sun Cluster 3.1 5/03 ソフトウェア より前にリリースされたバージョンが動作するノードではサポートされません。 ローリングアップグレードが行われているときには DPM コマンドを使用しないでください。 すべてのノードをアップグレードしたら、DPM コマンドを使用する前にこれらのノードをオンラインにする必要があります。


  1. クラスタ内にある任意のノード上でスーパーユーザーになります。

  2. 全クラスタ内の障害のあるディスクパスを表示します。


    # scdpm -p -F node:disk path
    

    node:disk path 引数の命名規則については、表 4–6 を参照してください。

例—障害のあるディスクパスを表示する

次の例では、全クラスタ内の障害のあるディスクパスを表示します。


# scdpm -p -F [all:]all
		 schost-1:/dev/did/dsk/d4   Fail
	     schost-1:/dev/did/dsk/d3   Fail
	     schost-2:/dev/did/dsk/d4   Fail
	     schost-2:/dev/did/dsk/d3   Fail
	     schost-2:/dev/did/dsk/d5   Fail
	     schost-2:/dev/did/dsk/d6   Fail

ファイルからディスクパスを監視する

ファイルを使ってディスクパスを監視したり、その監視を解除する場合は、次の手順を使用します。 ファイルには、監視または監視解除するコマンドと、ノード名、ディスクパス名を指定します。 ファイルの各フィールドは、カラムで区切る必要があります。 形式は次の通りです。


syntax in command file:
[u,m] [node|all]:<[/dev/did/rdsk/]d- | [/dev/rdsk/]c-t-d- | all>

command file entry
u schost-1:/dev/did/rdsk/d5
m schost-2:all


注意 – 注意 –

DPM は、Sun Cluster 3.1 5/03 ソフトウェア より前にリリースされたバージョンが動作するノードではサポートされません。 ローリングアップグレードが行われているときには DPM コマンドを使用しないでください。 すべてのノードをアップグレードしたら、DPM コマンドを使用する前にこれらのノードをオンラインにする必要があります。


  1. クラスタ内にある任意のノード上でスーパーユーザーになります。

  2. ファイルを使ってディスクパスを監視します。


    # scdpm -f filename
    

  3. クラスタのディスクパスとそのステータスを確認します。


    # scdpm -p all:all
    	    
    

例—ファイルからディスクパスを監視または監視解除する

次の例では、ファイルを使ってディスクパスを監視または監視解除します。


# scdpm -f schost_config
# scdpm -p all:all 
	     schost-1:/dev/did/dsk/d4   Ok
	     schost-1:/dev/did/dsk/d3   Ok
	     schost-2:/dev/did/dsk/d4   Fail
	     schost-2:/dev/did/dsk/d3   Ok
	     schost-2:/dev/did/dsk/d5   Unmonitored
	     schost-2:/dev/did/dsk/d6   Ok