Sun Cluster Data Service for Domain Name Service (DNS) ガイド (Solaris OS 版)

Sun Cluster HA for Domain Name Service (DNS) のインストールと構成

この章では、Sun Cluster HA for Domain Name Service (DNS) データサービスを Sun Cluster サーバーにインストールし、構成する手順について説明します。

この章では、次の手順について説明します。

Sun Cluster HA for DNS は、フェイルオーバーデータサービスとして構成する必要があります。 データサービス、リソースグループ、リソースなどの関連トピックについては、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「Sun Cluster データサービスの計画」と『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。


注 –

このデータサービスのインストールと構成には、SunPlex Manager を使用できます。 詳細は SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。


Sun Cluster HA for NFS のインストールと構成

インストールと構成作業を説明した節を次の表に示します。

表 1–1 作業マップ: Sun Cluster HA for NFS のインストールと構成

作業 

参照箇所  

DNS のインストール  

DNS のインストール

Sun Cluster HA for DNS パッケージのインストール  

Sun Cluster HA for DNS パッケージのインストール

Sun Cluster HA for DNS の構成と起動  

Sun Cluster HA for DNS の登録と構成

リソース拡張プロパティの構成  

Sun Cluster HA for DNS 拡張プロパティ

障害モニターの情報の表示  

Sun Cluster HA for DNS 障害モニターの動作

DNS のインストール

この節では、DNS のインストール手順と、DNS を Sun Cluster HA for DNS として実行する方法について説明します。

Sun Cluster HA for DNS は、Solaris 8 と Solaris 9 オペレーティング環境にバンドルされているインターネットドメインネームサーバーソフトウェア (in.named) を使用します。 DNS の設定については、in.named(1M) のマニュアルページを参照してください。 Sun Cluster 構成での違いは、次のとおりです。

DNS をインストールする

この節では、DNS のインストール方法について説明します。

  1. クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。

  2. DNS サービスを提供するネットワークリソースを決定します。

    この名前は、Sun Cluster ソフトウェアのインストール時に設定した IP アドレス (論理ホスト名または共有アドレス) でなければなりません。 ネットワークリソースの詳細は、『Sun Cluster 3.1 の概念』を参照してください。

  3. DNS 実行可能ファイル (in.named ) が /usr/sbin ディレクトリにあることを確認します。

    DNS 実行可能ファイルは、Solaris 8 および Solaris 9 オペレーティング環境にバンドルされています。 インストールを始める前に、この実行ファイルが /usr/sbin ディレクトリにあることを確認します。

  4. クラスタファイルシステムに、DNS 構成ファイル (/global/dns のレベル) とデータベースファイル (/global/dns/named のレベル) を格納するディレクトリ構造 /global/dns/named を作成します。

    クラスタファイルシステムの設定については、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』を参照してください。


    # mkdir -p /global/dns/named
    
  5. DNS 用の構成ファイルである named.conf または named.boot を、/global/dns/named ディレクトリに置きます。

    DNS をすでにインストール済みの場合は、既存の named.conf または named.boot ファイルを /global/dns ディレクトリにコピーできます。 インストールされていない場合は、このディレクトリに named.conf ファイルを作成してください。 named.conf または named.boot に登録できるエントリの種類については、in.named(1M) のマニュアルページを参照してください。 named.conf ファイルまたは named.boot ファイルのどちらかは必要です。 両方のファイルがあっても構いません。

  6. すべてのDNS データベースファイル (named.conf ファイルに指定されています) を /global/dns/named ディレクトリ下に配置します。

  7. Sun Cluster HA for DNS のすべてのクライアント上で、/etc/resolv.conf ファイルに DNS サービスのネットワークリソースについてのエントリを作成します。

    すべてのノードで、/etc/resolv.conf を編集してネットワークリソースを登録します。 次の例は、schost-1.eng.sun.com という論理ホスト名の 4 ノード構成 (phys-schost-1phys-schost-2phys-schost-3phys-schost-4 ) のエントリを示しています。


    domain eng.sun.com 
    
    ; schost-1.eng.sun.com 
    
    (ファイルがすでに存在する場合はこのエントリのみ追加する) 
      
    nameserver 192.29.72.90 
      
    ; phys-schost-2.eng 
    nameserver 129.146.1.151 
      
    ; phys-schost-3.eng 
    nameserver 129.146.1.152 
      
    ; phys-schost-4.eng 
    nameserver 129.144.134.19 
      
    ; phys-schost-1.eng 
    nameserver 129.144.1.57

    ドメイン名の直後にネットワークリソースのエントリを作成します。 DNS は、resolv.conf ファイルにリストされている順番にアドレスを使用してサーバーへのアクセスを試みます。


    注 –

    /etc/resolv.conf がすでにノード上に存在する場合は、前の例で示したように、論理ホスト名を示す最初のエントリだけを追加してください。 DNS がサーバーにアクセスする順番は、このエントリの順になります。


  8. すべてのクラスタノードで、/etc/inet/hosts ファイルを編集し、DNS サービスのネットワークリソースのためのエントリを作成します。

    次のように、手順を実行してください。

    • IPaddress には、 129.146.87.53 のように実際に使用する IP アドレスを指定します。

    • logical-hostname 変数を実際のネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) に置き換えます。


    127.0.0.1						localhost
    IPaddress						logical-hostname
    
  9. すべてのクラスタノードで、/etc/nsswitch.conf ファイルを編集し、hosts エントリの clusterfiles のあとに文字列 dns を追加します。

    例:


    hosts:		 	cluster files dns
  10. すべてのクラスタノードで DNS をテストします。

    次に DNS をテストする例を示します。


    # /usr/sbin/in.named -c /global/dns/named.conf
    # nslookup phys-schost-1
    
  11. すべてのクラスタノードで DNS を停止します。

    検証を行う前に、in.named を必ず停止してください。


    # pkill -x in.named
    

次に進む手順

Sun Cluster のインストール時に Sun Cluster HA for DNS パッケージをインストールした場合は、Sun Cluster HA for DNS の登録と構成に進みます。 インストールされていない場合は、Sun Cluster HA for DNS パッケージのインストールへ進みます。

Sun Cluster HA for DNS パッケージのインストール

Sun Cluster の初期インストール時に、Sun Cluster HA for Domain Name Service (DNS) パッケージをインストールしなかった場合は、この手順を実行してパッケージをインストールしてください。 次の手順は Sun Cluster HA for Domain Name Service (DNS) パッケージをインストールする各クラスタノードで実行します。 この手順の実行には、Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 が必要です。

複数のデータサービスを同時にインストールする場合は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「ソフトウェアのインストール」に記載されている手順を実行してください。

次のいずれかのインストールツールを使用して、Sun Cluster HA for Domain Name Service (DNS) パッケージをインストールします。


注 –

Web Start プログラムは、Sun Cluster 3.1 データサービス 10/03 以前のリリースでは利用 できません


Web Start プログラムを使用して Sun Cluster HA for DNS パッケージをインストールする

Web Start プログラムは、コマンド行インタフェース (CLI) またはグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) のどちらでも実行できます。 作業の内容と順序は、CLI でも GUI でも同様です。 Web Start プログラムの詳細は、installer(1M) のマニュアルページを参照してください。

  1. Sun Cluster HA for Domain Name Service (DNS) パッケージをインストールするクラスタノードで、スーパーユーザーになります。

  2. (省略可能) GUI を使用して Web Start プログラムを実行する場合は、DISPLAY 環境変数を設定しておく必要があります。

  3. CD-ROM ドライブに Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 を読み込みます。

    ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行されていて、CD-ROM デバイスを管理するように構成されている場合、CD-ROM は /cdrom/cdrom0 ディレクトリに自動的にマウントされます。

  4. CD-ROM の Sun Cluster HA for Domain Name Service (DNS) コンポーネントディレクトリに切り替えます。

    Sun Cluster HA for Domain Name Service (DNS) データサービス用の Web Start プログラムはこのディレクトリにあります。


    # cd /cdrom/cdrom0/\
    components/SunCluster_HA_DNS_3.1
    
  5. Web Start プログラムを起動します。


    # ./installer
    
  6. プロンプトに対して、インストールのタイプを選択します。

    • C ロケールだけをインストールする場合は、Typical を選択します。

    • その他のロケールをインストールする場合は、Custom を選択します。

  7. 表示される手順に従って、ノードに Sun Cluster HA for Domain Name Service (DNS) パッケージをインストールします。

    インストールが完了すると、Web Start プログラムがインストールサマリを提供します。 このサマリによって、インストール中に Web Start プログラムが作成したログを表示できます。 これらのログは、/var/sadm/install/logs ディレクトリにあります。

  8. Web Start プログラムを終了します。

  9. CD-ROM ドライブから Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 を読み取り解除します。

    1. CD-ROM が使用されないように、CD-ROM 上には存在しないディレクトリに切り替えます。

    2. CD-ROM を取り出します。


      # eject cdrom
      

次に進む手順

Sun Cluster HA for DNS の登録と構成を参照して、Sun Cluster HA for DNS を登録し、このデータサービス用にクラスタを構成します。

scinstall ユーティリティを使用して Sun Cluster HA for DNS パッケージをインストールする

この節では、scinstall ユーティリティーを使用して Sun Cluster HA for DNS パッケージをインストールする方法について説明します。

  1. Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 を CD-ROM ドライブに挿入します。

  2. オプションは指定せずに、scinstall ユーティリティーを実行します。

    scinstall ユーティリティーが対話型モードで起動します。

  3. メニューオプション「新しいデータサービスのサポートをこのクラスタノードに追加」を選択します。

    scinstall ユーティリティーにより、ほかの情報を入力するためのプロンプトが表示されます。

  4. Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 のパスを指定します。

    ユーティリティーは、データサービス CD を参照します。

  5. インストールするデータサービスを指定します。

    選択したデータサービスが scinstall ユーティリティーによって示され、この選択内容の確認が求められます。

  6. scinstall ユーティリティーを終了します。

  7. ドライブから CD を取り出します。

次に進む手順

Sun Cluster HA for DNS の登録と構成を参照して、Sun Cluster HA for DNS を登録し、このデータサービス用にクラスタを構成します。

Sun Cluster HA for DNS の登録と構成

この手順では、scrgadm(1M) コマンドを使って Sun Cluster HA for DNS の登録と構成を行う方法を説明します。


注 –

その他のオプションでもデータサービスは登録および構成できます。 これらのオプションの詳細は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「データサービスリソースを管理するためのツール」を参照してください。


Sun Cluster HA for DNS を登録して構成する

この節では、Sun Cluster HA for DNS の登録と構成方法について説明します。

この手順を実行するには、構成に関する次の情報が必要になります。


注 –

この手順は、すべてのクラスタメンバー上で実行します。


  1. クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。

  2. データサービスのリソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.dns
    
    -a

    データサービスのリソースタイプを追加します。

    -t SUNW.dns

    当該データサービス用にあらかじめ定義されているリソースタイプを指定します。

  3. 使用するネットワークリソースと DNS リソースのリソースグループを作成します。

    必要に応じて、h オプションを指定してデータサービスを実行できる一群のノードを選択することもできます。


    # scrgadm -a -g resource-group [-h nodelist]
    -g resource-group

    リソースグループの名前を指定します。 任意の名前を指定できますが、クラスタ内で一意のリソースグループ名にする必要があります。

    [-h nodelist]

    潜在マスターを識別する物理ノード名または ID をコンマで区切ったリストで指定します (省略可能)。 フェイルオーバー時、ノードはこのリスト内の順番に従ってプライマリとして判別されます。


    注 –

    ノードリストの順番を指定するには、-h オプションを使用します。 すべてのクラスタノードが潜在的マスターの場合、-h オプションを使用する必要はありません。


  4. 使用するすべてのネットワークリソースがネームサービスデータベースに登録されていることを確認します。

    Sun Cluster のインストール時に、この確認を行なっておく必要があります。 詳細については、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の計画に関する章を参照してください。


    注 –

    ネームサービスの検索が原因で障害が発生するのを防ぐために、サーバーおよびクライアントの /etc/inet/hosts ファイルに、すべてのネットワークリソースが登録されていることを確認してください。 サーバーの /etc/nsswitch.conf ファイルのネームサービスマッピングは、NIS または NIS+ にアクセスする前に最初にローカルファイルを検査するように構成してください。


  5. リソースグループへネットワークリソースを追加します。

    たとえば、リソースグループに論理ホスト名を追加するには次のコマンドを実行します。


    # scrgadm -a -L -g resource-group -l logical-hostname [logical-hostname] \
    [-n netiflist]
    -l logical-hostname

    ネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) をコンマで区切ったリストで指定します。

    -n netiflist

    各ノード上の IP ネットワークマルチパス グループをコンマで区切って指定します (省略可能)。 netiflist の各要素は、netif@node の形式で指定する必要があります。 netif は IP ネットワークマルチパス グループ名 (sc_ipmp0 など) として指定できます。 ノードは、sc_ipmp0@1 または sc_ipmp@phys-schost-1 のような、ノード名またはノード ID で識別できます。


    注 –

    現バージョンの Sun Cluster では、netif にアダプタ名を使用できません。


  6. DNS アプリケーションリソースをリソースグループに追加します。


    # scrgadm -a -j [resource] -g resource-group \
    -t SUNW.dns -y Network_resources_used=network-resource, …\
    -y Port_list=port-number/protocol -x DNS_mode=config-file \ 
    -x Confdir_list=config-directory
    
    -j resource

    DNS アプリケーションリソース名を指定します。

    -t SUNW.dns

    このリソースが属するリソースタイプの名前を指定します。 このエントリは必須です。

    -y Network_resources_used =network-resource, …

    DNS が使用するネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) をコンマで区切ったリストを指定します。 このプロパティを指定しない場合は、デフォルトで、リソースグループに含まれるすべてのネットワークリソースになります。

    -y Port_list =port-number/protocol

    使用するポート番号とプロトコルを指定します。 このプロパティを指定しない場合は、デフォルトで 53/udp が使用されます。

    -x DNS_mode =config-file

    使用する構成ファイルとして conf (named.conf ファイルを指定) または boot (named.boot ファイルを指定) を指定します。 このプロパティを指定しない場合は、デフォルトで conf が使用されます。

    -x Confdir_list =config-directory

    DNS 構成ディレクトリを指定します。必ず、クラスタファイルシステム上の場所である必要があります。 Sun Cluster HA for DNS にはこの拡張プロパティが必要です。

  7. scswitch(1M) コマンドを実行して次の作業を行います。

    • リソースと障害の監視を有効にします。

    • リソースグループを管理状態にします。

    • リソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z -g resource-group
    
    -Z

    リソースとモニターを有効に設定し、リソースグループを管理状態にし、オンラインにします。

    -g resource-group

    リソースグループの名前を指定します。

例 – フェイルオーバー Sun Cluster HA for DNS の登録

次の例では、Sun Cluster HA for DNS を 2 ノードクラスタに登録する方法を示します。 この例の最後で scswitch コマンドが Sun Cluster HA for DNS を起動していることに注意してください。


クラスタ情報
ノード名: phys-schost-1, phys-schost-2
論理ホスト名: schost-1
リソースグループ: resource-group-1 (すべてのリソース用), 
リソース: schost-1 (論理ホスト名), dns-1 (DNS アプリケーション
    リソース)

(DNS リソースタイプを登録する) 
# scrgadm -a -t SUNW.dns 
  
(すべてのリソースを含めるためのリソースグループを追加する) 
# scrgadm -a -g resource-group-1 
  
(論理ホスト名リソースをリソースグループに追加する) 
# scrgadm -a -L -g resource-group-1 -l schost-1 
  
(DNS アプリケーションリソースをリソースグループに追加する) 
# scrgadm -a -j dns-1 -g resource-group-1 -t SUNW.dns \ 
-y Network_resources_used=schost-1 -y Port_list=53/udp \
-x DNS_mode=conf -x Confdir_list=/global/dns 
  
(フェイルオーバーリソースグループをオンラインにする) 
# scswitch -Z -g resource-group-1

SUNW.HAStoragePlus リソースタイプを構成する

SUNW.HAStoragePlus リソースタイプは、Sun Cluster 3.0 5/02 で導入されました。新しいリソースタイプは、SUNW.HAStorage と同じ動作を実行し、HA ストレージと Sun Cluster HA for NFS 間のアクションを同期します。 SUNW.HAStoragePlus には、ローカルファイルシステムを高可用性にする追加機能があります。 Sun Cluster HA for DNS はディスク集約型ではなく、スケーラブルでもありません。したがって、SUNW.HAStoragePlus リソースタイプの設定は任意です。

背景情報については、SUNW.HAStoragePlus(5) のマニュアルページ、および『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「リソースグループとディスク装置グループとの関係」を参照してください。 手順については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「リソースグループとディスクデバイスグループ間での起動の同期」を参照してください。 5/02 以前の Sun Cluster 3.0 バージョンを使用している場合は、SUNW.HAStoragePlus ではなく SUNW.HAStorage を設定する必要があります。 手順については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「リソースグループとディスクデバイスグループ間での起動の同期」を参照してください。

データサービスのインストールと構成の確認

Sun Cluster HA for DNS を正しくインストールし、構成したことを確認するためには、Sun Cluster HA for DNS を登録して構成するの手順を終了したあとで、次のコマンドを実行します。


# nslookup logical-hostname logical-hostname

この例では、logical-hostname は、DNS 要求をサービスするために構成したネットワークリソースの名前です。前述の登録の例では、schost-1 がこれに該当します。 出力では、指定したネットワークリソースによって照会が処理されたことが示されます。

Sun Cluster HA for DNS 拡張プロパティ

DNS リソースの作成に必須の拡張プロパティは Confdir_list プロパティだけです。 通常、拡張プロパティは、DNS リソースを作成するときにコマンド行から scrgadm -x parameter = value を実行して構成します。 『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「データサービスリソースの管理」で説明されている手順を使用して、これらをあとで構成することもできます。

すべての Sun Cluster プロパティの詳細については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「標準プロパティ」を参照してください。

表 1–2は、Sun Cluster HA for DNS 拡張プロパティを説明しています。 拡張プロパティの中には動的に変更できるものがあります。 それ以外の拡張プロパティは、リソースを作成するときにしか更新できません。 「調整可能」エントリは、いつプロパティを更新できるかを示します。

表 1–2 Sun Cluster HA for DNS 拡張プロパティ

名前/データタイプ 

説明 

Confdir_ list (文字配列)

DNS インスタンスの構成ファイルを含む DNS 構成ディレクトリ 

初期値: なし

範囲: なし

調整: 作成時

DNS_mode

使用する DNS 構成ファイル。conf (named.conf) または boot (named.boot) を指定します。

初期値: conf

範囲: なし

調整:作成時

Monitor_retry_count (整数)

Monitor_retry_ interval プロパティで指定された時間の範囲内に、プロセスモニター機能 (PMF) が障害モニターを再起動する回数。 このプロパティは、障害モニターの再起動について制御するのであって、リソースの再起動を制御するわけではありません。 リソースの再起動は、システム定義プロパティの Retry_interval および Retry_count によって制御されます。

初期値: 4

範囲: 02,147,483,641

–1 は、再試行の数が無限であることを示します。 

調整: 任意の時点

Monitor_retry_interval (整数)

障害モニターの失敗回数をカウントする期間 (分)。 この期間内に、障害モニターの失敗の数が、拡張プロパティ Monitor_retry_ count で指定した値を超えた場合、PMF は障害モニターを再起動しません。

初期値t: 2

範囲: 02,147,483,641

–1 は、再試行の間隔が無限であることを示します。 

調整: 任意の時点

Probe_ timeout (整数)

DNS インスタンスの検証に障害モニターが使用するタイムアウト値 (秒)。 

初期値: 120

範囲: 02,147,483,641

調整: 任意の時点

Sun Cluster HA for DNS 障害モニターの動作

検証機能は、nslookup コマンドを使用して、DNS の健全性を照会します。 検証機能が実際に DNS サーバーを照会する前に、ネットワークリソースが DNS データサービスと同じリソースグループ内で構成されていることの確認が行われます。 ネットワークリソースが構成されていない場合は、エラーメッセージが記録され、検証はエラーとなって終了します。

検証機能は、次のことを行います。

  1. Probe_timeout リソースプロパティで指定されたタイムアウト値を使用し、nslookup コマンドを実行します。

    この nslookup コマンドの実行結果は、異常か正常のどちらかになります。 nslookup の照会に対して DNS が正常に応答した場合は、検証機能は無限ループに戻り、次の検証時間まで待機します。

    nslookup コマンドが正常に終了しなかった場合、検証機能は DNS データサービスで異常が発生したと判断し、履歴に異常を記録します。 DNS 検証機能は、すべての異常を致命的な異常とみなします。

  2. 正常/異常履歴に基づいて、ローカルでの再起動、またはデータサービスのフェイルオーバーを実行します。 このアクションの詳細については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「Sun Cluster データサービスの障害モニター」を参照してください。