次の手順で、スケーラブルアプリケーションサーバーインスタンスをインストールします。 この手順を実行する前に、セントラルインスタンスとデータベースをインストールしておく必要があります。 ここでは、Sun Cluster HA for SAP で SAP 6.10 と SAP 6.20 のサービスを管理し、オンラインにできるようにするために、SAP 6.10 と SAP 6.20 のユーザーが実行しなければならない手順も紹介します。 SAP 6.10 と SAP 6.20 は、startsap スクリプトと stopsap スクリプトを 1 つずつ作成します。 他の SAP バージョンの場合は、作成された各サービスに対して、これらのスクリプトのうちの 1 つを作成します。 この相違により、SAP 6.10 と SAP 6.20 のユーザーの実行する手順が多くなります。
Sun Cluster HA for SAP で J2EE エンジンクラスタを構成する場合は、この手順を完了したあとで、アプリケーションサーバーを指定してSun Cluster HA for SAP で SAP J2EE エンジンクラスタを構成する の手順を実行します。
Sun Cluster HA for SAP エージェントで SAP Web ディスパッチャを構成する場合は、この手順を完了したあとで、Sun Cluster HA for SAP で SAP Web ディスパッチャを構成する の手順を実行します。
ファイルシステムの配置を次のようにすると、使い易さが増し、データの上書きを防止できます。
クラスタファイルシステム
/sapmnt/SID
/usr/sap/SID -> all subdirectories except the app-instance subdirectory
/usr/sap/SID/home -> the SAPSIDadm home directory
/usr/sap/trans
ローカルファイルシステム
/usr/sap/local/SID/app-instance
すべての SAP ディレクトリをクラスタファイルシステムに作成します。
セントラルインスタンスとデータベースがフェイルオーバー可能であることを確認します。
セントラルインスタンスのクラスタファイルシステムにロックファイルを設定して、複数のノードから起動が行なわれるのを防止します。
セントラルインスタンスにロックファイルを設定する手順については、セントラルインスタンスまたはフェイルオーバーアプリケーションサーバー用のロックファイルを設定する を参照してください。
すべてのアプリケーションサーバーがクラスタファイルシステムの SAP バイナリを使用できることを確認します。
セントラルインスタンスとデータベースをクラスタファイルシステムにインストールします。
セントラルインスタンスとデータベースのインストール手順については、SAP のマニュアル『Installation of the SAP R/3 on UNIX』を参照してください。
スケーラブルアプリケーションサーバーが動作する可能性があるすべてのノードで、アプリケーションサーバーの起動や停止に必要な data/log/sec/work ディレクトリとログファイルのローカルディレクトリを作成します。
新しい各アプリケーションサーバーのローカルディレクトリを作成します。
例:
# mkdir -p /usr/sap/local/SID/D03 |
この手順は必須です。 この手順を行わないと、クラスタファイルシステムに異なるアプリケーションサーバーインスタンスを誤ってインストールし、それによって 2 つのアプリケーションサーバーが互いを上書きするおそれがあります。
リンクを設定して、クラスタファイルシステムからこのローカルアプリケーションサーバーディレクトリを指定します。これによって、アプリケーションサーバー、startup および stop ログファイルがローカルファイルシステムにインストールされます。
例:
# ln -s /usr/sap/local/SID/D03 /usr/sap/SID/D03 |
アプリケーションサーバーをインストールします。
SAP 6.10 または SAP 6.20 のユーザーですか。
ユーザー sapsidadm になります。
startsap スクリプトと stopsap スクリプトのコピーを作成し、これらのファイルを SAPSIDadm のホームディレクトリに保管します。 選択したファイル名でこのインスタンスを指定します。
# cp /usr/sap/SID/SYS/exe/run/startsap \ $SAPSID_HOME/startsap_instance-number # cp /usr/sap/SID/SYS/exe/run/stopsap \ $SAPSID_HOME/stopsap_instance-number |
次のファイルのバックアップを作成します。これらのファイルを変更するからです。 SAP プロファイルディレクトリで、このインスタンスのファイル名をすべて変更します。 インスタンス固有のファイル名を選択する必要があります。また、手順 8で選択した命名規則に従う必要があります。
# mv SAPSID_Service-StringSystem-Number_physical-hostname \ SAPSID_Service-StringSystem_instance-number # mv START_Service-StringSystem-Number_physical-hostname \ START_Service-StringSystem_instance-number |
手順 9で作成したファイルの内容を変更し、物理ホストの参照をインスタンス番号に置き換えます。
このスケーラブルアプリケーションサーバーを実行するすべてのノードから、このアプリケーションサーバーインスタンスを起動したり停止したりできるように、一貫性のある更新を実行することが重要です。 たとえば、SAP インスタンス番号 02 を変更する場合は、このインスタンス番号を指定するところで、02 を使用します。 使用する命名規則に一貫性がないと、このスケーラブルアプリケーションサーバーを実行するすべてのノードから、このアプリケーションサーバーインスタンスを起動したり停止したりすることができなくなります。
start スクリプトと stop スクリプトを編集し、 startup ログファイルと stop ログファイルがユーザー sapsidadm と orasapsid のホームディレクトリの下で、ノード固有になるようにします。
例:
# vi startsap_D03 |
変更前:
LOGFILE=$R3S_LOGDIR/`basename $0.log` |
変更後:
LOGFILE=$R3S_LOGDIR/`basename $0`_`uname -n`.log |
スケーラブルアプリケーションサーバーを実行するすべてのノードにアプリケーションサーバーを SAPSID と同じインスタンス番号でコピーします。
スケーラブルアプリケーションサーバーを実行するノードは、スケーラブルアプリケーションサーバーリソースグループ nodelist にあります。
各ノードからアプリケーションサーバーの起動や停止ができることを確認します。ログファイルが正しい場所にあることを確認します。
ログオングループを使用する場合は、SAP ログオングループを作成します。
Sun Cluster HA for SAP で J2EE エンジンクラスタを構成する場合は、アプリケーションサーバーを指定してSun Cluster HA for SAP で SAP J2EE エンジンクラスタを構成するに進みます。
Sun Cluster HA for SAP エージェントで SAP Web ディスパッチャを構成する場合は、 Sun Cluster HA for SAP で SAP Web ディスパッチャを構成する に進みます。
Sun Cluster HA for SAP で J2EE エンジンクラスタまたは SAP Web ディスパッチャを使用しない場合は、可用性の高いデータベースの構成 に進みます。