ここでは、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server のインストールと構成の計画について説明します。
これらの制限事項を守らないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。
この節では、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server に適用される、ソフトウェア構成とハードウェア構成の制限事項を示します。 この節に示している制限事項を参考にして、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server のインストールと構成の計画を行なってください。
すべてのデータサービスに適用される制限事項については、『Sun Cluster 3.1 4/04 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』を参照してください。
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server は、スタンドアロンの BEA WebLogic Server インスタンス (BEA WebLogic Server クラスタリングを使用していないインスタンス) の高可用性を実現します。
フェイルオーバーファイルシステムの場合、そのファイルシステムを使用している BEA WebLogic Server インスタンスはすべて、単一のリソースグループで構成する必要があります。
インスタンスごとに別々のリソースグループで構成したい場合は、BEA WebLogic Server インストールが広域ファイルシステム上に存在しなければなりません。
次の要件を満たさないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。
ここで示す要件を参考にして、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server のインストールと構成の計画を行なってください。 これらの要件は、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server にのみ適用されます。 Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server のインストールと構成を始める前に、次の要件を満たしておく必要があります。
すべてのデータサービスに適用される要件については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS版)』の「Sun Cluster データサービス構成のガイドライン」を参照してください。
BEA WebLogic Server ホームディレクトリとその他の構成ファイルが HAStoragePlus を使用したフェイルオーバーファイルシステム上にインストールされている場合は、そのファイルシステムを使用している BEA WebLogic Server リソースはすべて同じリソースグループ内に構成する必要があります。
BEA WebLogic Server がデータベース (Oracle や Sybase など) に依存している場合は、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server の下で BEA WebLogic Server の構成と起動を行う前にそのデータベースが HA 対応であるかを確認する必要があります。
BEA WebLogic Server では、Managed Server は Managed Server Independence mode で独立して起動するよう構成できます。 Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server では、管理者はすべての Managed Server が独立して起動するよう構成する必要があります。
Managed Server を独立モードで構成する方法については、使用するバージョンの BEA WebLogic Server マニュアルを参照してください。 たとえば、BEA WebLogic Server 7.0 の場合は、マニュアルは以下の場所にあります。
http://e–docs.bea.com/wls/docs70/admin_domain/failures.html#1104833 |
BEA WebLogic Managed Server の起動スクリプトは個別に設定できます。 スクリプトを個別に設定する場合は、Admin Server の URL と Managed Server の名前を START スクリプト内に設定する必要があります。 このスクリプトは、引数なしで各 BEA WebLogic Server インスタンスを起動できるものでなければなりません。
単一の START スクリプトを使用して複数の Managed Server を起動する場合は、Admin Server の URL をその START スクリプト内に指定し、スクリプトの引数として Managed Server 名だけを受け付けるようにする必要があります。 次に、Managed Server の起動に使用されるスクリプトが startMangedWeblogic.sh の場合に Managed Server petstore_server を起動するコマンド例を示します。
node1>cd /global/beahome/weblogic700/domain/petstore node1>./startManagedWeblogic.sh petstore_server |
BEA WebLogic Server の START スクリプトは、username と password を必要とします。 username と password は、ファイル boot.properties (BEA WebLogic Server の最初の起動後暗号化される) に格納するように設定できます。 boot.properties ファイルが使用される場合には、username と password を利用できないため Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server は BEA WebLogic Server をスムーズにシャットダウンできません。 Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server がシャットダウンしている間、STOP メソッドは sigkill を使用して BEA WebLogic Server プロセスを終了します。 (java weblogic.Admin を使用した) スムーズなシャットダウンを望む場合は、START スクリプト内で BEA WebLogic Server 変数 WLS_USER と WLS_PW を使用して username と password を構成し、リソースの作成時に拡張プロパティ Smooth_shutdown を TRUE に設定する必要があります。
リソースの作成または更新によって smooth_shutdown を有効にするには、username と password を適宜使用して BEA WebLogic Server 変数の WLS_USER と WLS_PW を設定する必要があります。 この設定を行わないと、関連付けられているサーバーは Sun Cluster の制御下で起動しません。
このエージェントはサーバーの START スクリプトをルートとして実行するため、必要となるすべての環境変数を START スクリプト内に設定するか、あるいは個別のファイルに設定し、サーバーの起動前に START スクリプトが参照できるようにする必要があります。 詳細については、使用するバージョンの BEA WebLogic Server マニュアルを参照してください。 たとえば、BEA WebLogic Server 7.0 の場合は、マニュアルは以下の場所にあります。
http://e-docs.bea.com/wls/docs70/adminguide/startstop.html#1086359 |
フェイルオーバーのあとで稼動中の Managed Server を検出し、Administration Server を再起動するためには、Administration Server の START スクリプトに -Dweblogic.management.discover+=false という指定が含まれないようにしてください。 この指定を行うと、Administration Server は稼動中の Managed Server を検出できなくなります。 詳細は、使用するバージョンの BEA WebLogic Server マニュアルを参照してください。 たとえば、BEA WebLogic Server 7.0 の場合は、マニュアルは以下の場所にあります。
http://e-docs.bea.com/wls/docs70/admin_domain/failures.html#1104811 |
server_url と monitor_uri_list には、必ず解釈可能なホスト名を使用してください。 Fully Qualified Domain Names (FQDNs) を使用する場合、DNS を使用するホスト名を解釈処理するためには、 DNS が使用可能で、さらに /etc/nsswitch.conf のエントリが正しくなければなりません。
この節に示している標準の構成を参考にして、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server のインストールと構成の計画を行なってください。 Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server は、この節に示している標準の構成をサポートします。
これらの標準構成のほかに、以下の BEA WebLogic Server 構成も利用できます。
BEA WebLogic Server (Administration Server と Managed Server) ごとに START スクリプトを作成する
すべての Managed Server に使用できる単一の START スクリプトを作成する (この場合、Managed Server 名を入力値として受け付ける)
boot.properties に username と password を設定する
この構成では、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server による強制的なシャットダウンしか行えません。
START スクリプトに username と password を設定する
この構成では、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server によってスムーズにシャットダウンできます。
BEA WebLogic Server は、現在、フェイルオーバーデータサービスとしてサポートされています。
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server では、上記以外の構成もサポートできる場合があります。 ただし、Sun サービスプロバイダに連絡し、他の構成に関する情報を得る必要があります。
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server 用のこのシンプルな構成では、次のように構成された 2 つのリソースグループを使用します。
RG1: logical-host-1 と WLS-Admin-Server-resource を含む
RG2: logical-host-2 と WLS-Managed-Server-resource を含む
RG1 と RG2 はフェイルオーバーリソースグループです。
この構成を利用できるのは、BEA WebLogic Server が広域ファイルシステムにインストールされている場合だけです。 図 1–1 に、この構成の概略を示します。
この構成では、フェイルオーバーリソースグループ RG1、RG2、RG3、および RG4 が次のように構成されています。
RG1: logical-host-1 と WLS-Admin-resource を含む
RG2: logical-host-2 と WLS-Managed Server-resource2 を含む
RG3: logical-host-3 と WLS-Managed Server-resource3 を含む
RG4: logical-host-4 と WLS-Managed Server-resource4 を含む
この構成を利用できるのは、BEA WebLogic Server が広域ファイルシステムにインストールされている場合だけです。
この構成では、RG1、RG2、および RG3 は次のように構成されたフェイルオーバーリソースグループです。
RG1: logical-host-1、WLS-Admin-resource、および WLS-Managed Server-resource1 を含む
RG2: logical-host-2、WLS Managed-Server-resource2、WLS-Managed-Server-resource3、および WLS-Managed-Server-resource4 を含む
RG3: logical-host-3、WLS-Managed-Server-resource5、WLS-Managed-Server-resource6、および WLS-Managed-Server-resource7 を含む
この構成を利用できるのは、BEA WebLogic Server が広域ファイルシステムにインストールされている場合だけです。
BEA WebLogic Server が HAStoragePlus を使用したフェイルオーバーファイルシステムにインストールされている場合、このフェイルオーバーファイルシステムに依存している同一のフェイルオーバーリソースグループ内に BEA WebLogic Server のすべてのインスタンスを構成する必要があります。
RG1 には、論理ホストリソース、すべての Administration Server リソース、およびすべての Managed Server リソースが含まれます。
HAStoragePlus リソースに依存したリソースを登録する方法については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「高可用性ローカルファイルシステムの有効化」を参照してください。
図 1–2 に、この構成の概略を示します。