Sun Cluster Data Service for SAP DB ガイド (Solaris OS 版)

SAP DB のインストールと構成

Sun Cluster HA for SAP DB を使って SAP DB を高可用性にするためには、追加のインストール操作と構成操作を行う必要があります。 これらの操作は、SAP DB の標準的なインストールと標準的な構成を補足するものです。

標準的なインストールでは、SAP DB が物理ホスト名でインストールされます。 SAP DB をクラスタで実行するためには、SAP DB を、論理ホスト名を使用するように変更する必要があります。

SAP DB の標準的なインストールと標準的な構成については、次のマニュアルを参照してください。

SAP DB をインストールおよび構成するには

  1. クラスタの 1 つのノードに SAP DB ソフトウェアをインストールします。

    SAP DB は、独自の広域デバイスグループにインストールする必要があります。

  2. SAP DB の標準的な構成を行います。

  3. .XUSER.62 ファイルを、SAP DB インスタンスを管理するオペレーティングシステム (OS) ユーザーのホームディレクトリに作成します。

    1. SAP DB データベースインスタンスを管理するデータベースユーザーの情報が含まれていテキストファイルを作成します。

      このファイルの内容については、SAP DB のマニュアルを参照してください。 データベースが動作するサーバーの名前として、構成計画のための質問 で指定した SAP DB リソースの論理ホスト名を指定します。

      このファイルの内容の例を例 1–4 に示します。

    2. 手順 a で作成したテキストファイルから .XUSER.62 ファイルを生成します。

      これを実行するには SAP DB の xuser コマンドを使用します。


      # xuser -b user-info-file
      
      -b user-info-file

      .XUSER.62 ファイルの生成に使用するテキストファイルを指定します。

  4. /usr/spool/sql ディレクトリとその内容を、SAP DB がインストールされているノードから、SAP DB と SAP xserver のリソースを実行するすべてのノードにコピーします。

    すべてのノードのディレクトリとその内容を同じオーナーが所有するようにするために、tar(1) コマンドと rsh(1) コマンドを使用します。


    # tar cfB - /usr/spool/sql | rsh destination tar xfB -
    
    destination

    /usr/spool/sql ディレクトリとその内容をコピーする先のノードを指定します。

次の図は、SAP DB インスタンスを管理するデータベースユーザーの情報が含まれているテキストファイルの例です。


例 1–4 SAP DB インスタンスを管理するデータベースユーザーの情報

DEFAULT
dbm
dbm
TST
srvr-1
空白
空白
-1
-1
blank line		

この例は、SAP DB インスタンスを管理するデータベースユーザーに関して次の情報を指定しています。

詳細は、SAP DB のマニュアルを参照してください。


SAP DB をクラスタで実行するには

  1. SAP DB アプリケーションリソースと SAP DB リソースの論理ホスト名を含むフェイルオーバーリソースグループを作成します。

    リソースグループには、構成計画のための質問 の質問で回答したリソースグループを使用します。


    # scrgadm -a -g sapdb-rg[ -h nodelist]
    -a

    新しい構成を追加します。

    -g sapdb-rg

    作成するリソースグループの名前は sapdb-rg です。

    -h nodelist

    このリソースグループをオンラインにできるノードをコマンドで区切って指定します。 このようなノードリストの指定は任意です。 ノードリストを省略すると、リソースグループはどのクラスタノードでもオンライン化可能です。

  2. 使用するすべてのネットワークリソースが、使用するネームサービスデータベースに追加されているか確認します。

  3. 論理ホスト名リソースを、手順 1 で作成したフェイルオーバーリソースグループに追加します。


    # scrgadm -a -L -g sapdb-rg -l  sapdb-logical-hostname[ -n netiflist]
    -a

    新しい構成を追加します。

    -L

    論理ホスト名リソースを追加します。

    -g sapdb-rg

    論理ホスト名リソースを、手順 1 で作成したフェイルオーバーリソースグループに追加します。

    -l sapdb-logical-hostname

    データベースを実行するサーバーの論理ホスト名を指定します。 このホスト名は、構成計画のための質問 で指定した SAP DB リソースの論理ホスト名でなければなりません。

    -n netiflist

    ネットワークインタフェースをコンマで区切って指定します。 このネットワークインタフェースのリストには、ノードリストで指定した (このリソースグループの) すべてのノードが含まれていなければなりません。 このようなネットワークインタフェースリストの指定は任意です。 このリストを省略すると、各ノードは、ホスト名リストで特定されるサブネット上のネットワークインタフェースを発見しようとします。

  4. 手順 1で作成したリソースグループを有効にします。


    # scswitch -Z -g sapdb-rg
    
    -Z

    リソースグループを MANAGED 状態に移行してからオンラインにします。

    -g sapdb-rg

    手順 1で作成したリソースグループを MANAGED 状態に移行してからオンラインにします。


例 1–5 SAP DB をクラスタで実行できるようにする

この例では、SAP DB をクラスタで実行できるようにするためのコマンドを示します。 これらのコマンドは 1 つのクラスタノードでのみ実行されます。

  1. 次のコマンドでは、SAP DB アプリケーションリソースと SAP DB リソースの論理ホスト名を含むフェイルオーバーリソースグループを作成します。 リソースグループの名前は sapdbrg です。 sapdbrg リソースグループは、すべてのクラスタノードでオンラインにすることができます。


    # scrgadm -a -g sapdbrg
    
  2. 次のコマンドでは、論理ホスト名リソースを sapdbrg リソースグループに追加します。 データベースを実行するサーバーの論理ホスト名は srvr-1 です。 sapdbrg リソースグループがオンラインになると、各ノードは、ホスト名リストで特定されるサブネット上のネットワークインタフェースを発見しようとします。


    # scrgadm -a -L -g sapdbrg -l srvr-1 
    
  3. 次のコマンドでは、sapdbrg リソースグループを MANAGED 状態にしてからオンラインにします。


    # scswitch -Z -g sapdbrg