Sun Cluster Data Service for SAP DB ガイド (Solaris OS 版)

障害への対応の指定

SAP DB 障害モニターは、SAP DB で発生した次の障害に応答します。

さらに、SAP DB 障害モニターは、SAP xserver が使用可能でない場合にも反応します。 この障害監視は、SAP xserver 障害モニターによる障害監視を補足するものです。

SAP xserver 障害モニターは次の障害に応答します。

Sun Cluster HA for SAP DB 障害モニターでは、次の障害への対応を指定できます。 障害への対応を指定する際には、次の作業が必要です。

継続的な障害とみなす基準の定義

一時的な障害による中断を最小限に抑えるために、障害モニターは、このような障害が発生するとこのリソースを再起動します。 継続的な障害の場合は、リソースの再起動よりも複雑なアクションをとる必要があります。

障害モニターは、指定された再試行間隔の中で、リソースの再起動回数が、指定されたしきい値を超えると障害を継続的であるとみなします。 ユーザーは、継続的な障害とみなす基準を定義することによって、 可用性要件とクラスタの性能特性を満たすしきい値や再試行間隔を設定できます。

しきい値や再試行間隔と他のプロパティとの関係

障害のあるリソースが再起動するのに必要な最大時間は、次のプロパティの値を合計したものです。

再試行回数がしきい値に達しないうちに再試行間隔がきてしまうのを避けるためには、再試行間隔としきい値の値を次の式に従って計算します。

再試行間隔しきい値 × (thorough-probe-interval + probe-timeout)

しきい値と再試行間隔を設定するシステムプロパティ

しきい値や再試行間隔の設定には、それぞれ次のシステムプロパティを使用します。

調整したい Sun Cluster HA for SAP DB 障害モニターが含まれているリソースごとにこれらのプロパティを設定してください。 これらのリソースのリソース型については、表 1–3 を参照してください。

再試行間隔によるそのほかの影響

再試行間隔は、継続的な障害の基準を定義するほかに、次の障害に対する障害モニターの対応にも影響します。

SAP DB リソースのフェイルオーバーの無効化

デフォルトでは、SAP DB リソースのフェイルオーバーは有効になっています。 継続的な障害が発生すると、障害モニターは SAP DB リソースをフェイルオーバーします。 再起動の回数が、Retry_interval に指定された時間内に Retry_count の値を超えると、障害は継続的とみなされます。

継続的な障害の場合でも SAP DB リソースを再起動したい場合は、SAP DB リソースのフェイルオーバーを無効にします。 フェイルオーバーが無効になっていると、障害モニターは、リソースに障害があることをそのステータスに設定することによって、継続的な障害の発生を報告します。

SAP DB リソースのフェイルオーバーを無効にする場合は、SUNW.sapdb リソースの Failover_enabled 拡張プロパティに False を指定します。

親カーネルプロセスが異常終了した場合には SAP DB データベースインスタンスを強制的に再起動

デフォルトでは、親カーネルプロセスが異常終了しても、SAP DB 障害モニターは SAP DB データベースインスタンスを再起動しません。 SAP DB データベースインスタンスは、親カーネルプロセスなしでも動作を続けることができます。 この状況で SAP DB データベースインスタンスを再起動すると、SAP DB データベースインスタンスが使用不能になることがあります。 したがって、SAP DB データベースインスタンスを強制的に再起動するのは、親カーネルプロセスの機能が必要な場合だけに限るべきです。 ログ履歴の完全性を維持する機能はその例です。

親カーネルプロセスの異常終了時に SAP DB データベースインスタンスを強制的に再起動する場合は、SUNW.sapdb リソースの Restart_if_Parent_Terminated 拡張プロパティに SUNW.sapdb リソースを指定します。