Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)

Sun Cluster 3.1 9/04 ソフトウェアのローリング以外のアップグレードを実行する

この手順を実行して、クラスタの各ノードを Sun Cluster 3.1 9/04 ソフトウェアにアップグレードします。また、この手順を実行して、Solaris 8 から Solaris 9 ソフトウェアへのクラスタのアップグレードを完了します。


ヒント –

この手順は、複数のノードで同時に行えます。


  1. 「ローリング以外のアップグレード用にクラスタを準備する」のすべての手順を完了していることを確認します。

  2. Solaris 8 から Solaris 9 ソフトウェアにアップグレードした場合は、「Solaris OS のローリング以外のアップグレードを実行する」の手順をすべて完了していることを確認します。

  3. Solaris ソフトウェアのすべての必須パッチとハードウェア関連パッチがインストールされていることを確認します。

    Solstice DiskSuite ソフトウェア (Solaris 8) については、Solstice DiskSuite ソフトウェアの必須パッチもインストールされていることを確認します。

  4. 各クラスタのノードのスーパーユーザーになります。

  5. ノードの CD-ROM ドライブに Sun Java Enterprise System 1/05 2 of 2 CD-ROM を挿入します。

    ボリューム管理デーモンの vold(1M) が実行中で、CD-ROM デバイスを管理するように構成されている場合、デーモンによって自動的に CD-ROM が /cdrom/cdrom0/ ディレクトリにマウントされます。

  6. Sun Cluster 3.1 9/04 CD-ROM で、 Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools/ ディレクトリに変更します。ここでは archsparc または x86 で、ver8 (Solaris 8 の場合) または 9 (Solaris 9 の場合) となります。


    # cd /cdrom/cdrom0/Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools
    

  7. クラスタフレームワークソフトウェアをアップグレードします。


    注 –

    ノードにすでにインストールされている /usr/cluster/bin/scinstall コマンドは使用しないでください。Sun Cluster 3.1 9/04 CD-ROM に含まれる scinstall コマンドを使用してください。


    • Sun Cluster 3.0 ソフトウェアからアップグレードする場合は、次のコマンドを実行します。


      # ./scinstall -u update -S interact [-M patchdir=dirname]
      
      -S

      NAFO グループを IP ネットワークマルチパスグループに変換するときに使用するテスト IP アドレスを指定します。

      interact

      scinstall が、必要とされる各テスト IP アドレスをユーザーに求めることを指定します。

      -M patchdir=dirname[[,patchlistfile=filename]]

      scinstall コマンドで指定のパッチをインストールするために、パッチ情報へのパスを指定します。パッチリストファイルを指定しない場合、scinstall コマンドは、dirname ディレクトリ内の tar、jar、または zip 形式のパッチを含むすべてのパッチをインストールします。

      -M オプションは必須ではありません。パッチのインストールには任意の方法を使用できます。

    • Sun Cluster 3.1 ソフトウェアからアップグレードする場合は、次のコマンドを実行します。


      # ./scinstall -u update [-M patchdir=dirname]
      
      -M patchdir=dirname[[,patchlistfile=filename]]

      scinstall コマンドで指定のパッチをインストールするために、パッチ情報へのパスを指定します。パッチリストファイルを指定しない場合、scinstall コマンドは、dirname ディレクトリ内の tar、jar、または zip 形式のパッチを含むすべてのパッチをインストールします。

      -M オプションは必須ではありません。パッチのインストールには任意の方法を使用できます。

      パッチの入手先とインストール方法については、『Sun Cluster 3.1 ご使用にあたって 』の「パッチと必須ファームウェアのレベル」を参照してください。


    注 –

    Sun Cluster 3.1 9/04 ソフトウェアは、バージョン 3.5.1 以降の Sun Explorer ソフトウェアを必要とします。Sun Cluster ソフトウェアへのアップグレードでは、Sun Explorer データコレクタソフトウェアのインストールが含まれており、sccheck ユーティリティーが共に使用されます。Sun Cluster のアップグレードを行う前に、Sun Explorer ソフトウェアの別のバージョンがすでにインストールされている場合、Sun Cluster ソフトウェアで提供されるバージョンに置き換わります。ユーザー ID やデータ配布などのオプションは事前に提供されますが、crontab エントリを手動で再作成する必要があります。


    Sun Cluster のアップグレード中、scinstall によって以下のような構成の変更が生じることがあります。

    • NAFO グループは IP ネットワークマルチパスグループに変換されるが、元の NAFO グループ名が維持されます。

      詳細については、scinstall(1M) のマニュアルページを参照してください。IP ネットワークマルチパスのテストアドレスの詳細については、『IP ネットワークマルチパスの管理』 (Solaris 8) または『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』 (Solaris 9) を参照してください。

    • ノード上に ntp.conf.cluster が存在しない場合は、ntp.conf ファイルを ntp.conf.cluster に名前変更します。

    • local-mac-address? 変数が設定されていない場合は、true に設定します。

    アップグレード処理が完了すると、システムは「Sun Cluster フレームワークのアップグレードが完了しました」というメッセージとアップグレードログのパスを表示します。

  8. CD-ROM に含まれていないディレクトリに移動し、CD-ROM を取り出します。


    # eject cdrom
    

  9. (省略可能) Sun Cluster データサービスをアップグレードします。


    注 –

    Sun Cluster HA for Oracle 3.0 64–bit for Solaris 9 データサービスを使用している場合、Sun Cluster 3.1 9/04 バージョンにアップグレードする必要があります。

    Sun Cluster 3.1 9/04 にアップグレードした後も、引き続き Sun Cluster 3.0 データサービスを使用することになります。


    1. ノードの CD-ROM ドライブに Sun Cluster 3.1 9/04 Agents CD-ROM を挿入します。

    2. データサービスソフトウェアをアップグレードします。

      次のいずれかを実行します。

      • 1 つまたは複数のデータサービスを指定してアップグレードするには、次のコマンドを入力します。


        # scinstall -u update -s srvc[,srvc,…] -d /cdrom/cdrom0
        

        -u update

        クラスタノードを最新の Sun Cluster ソフトウェアリリースにアップグレードします。

        -s srvc

        指定したデータサービスをアップグレードします。

        -d

        CD-ROM イメージ用の代替えディレクトリを指定します。

      • ノード上にあるすべてのデータサービスをアップグレードするには、次のコマンドを入力します。


        # scinstall -u update -s all -d /cdrom/cdrom0
        

        -s all

        すべてのデータサービスをアップグレードします。

      scinstall コマンドは、インストールされているすべてのデータサービス用の更新内容が Update リリースに存在していると仮定しています。特定のデータサービス用の更新内容が Update リリースに存在しない場合は、そのデータサービスはアップグレードされません。

      アップグレード処理が完了すると、システムは「Sun Cluster データサービスエージェントのアップブレードが完了しました」というメッセージとアップグレードログのパスを表示します。

    3. CD-ROM に含まれていないディレクトリに移動し、CD-ROM を取り出します。


      # eject cdrom
      

  10. 必要に応じて、Sun Cluster 3.1 9/04 Agents CD-ROM で提供されないカスタムのデータサービスを手動でアップグレードします。

  11. データサービス用の更新がすべて正常にインストールされていることを確認します。

    アップグレード出力メッセージの最後に示されるアップグレードログを参照します。

  12. scinstall コマンドを使用してインストールしていない場合は、Sun Cluster 3.1 9/04 ソフトウェアパッチをインストールします。

  13. Sun Cluster 3.1 9/04 データサービスソフトウェアパッチをインストールします。

    パッチの入手先とインストール方法については、『Sun Cluster 3.1 ご使用にあたって 』の「パッチと必須ファームウェアのレベル」を参照してください。

  14. クラスタにインストールされているソフトウェアアプリケーションをアップグレードします。

    アプリケーションレベルが Sun Cluster および Solaris ソフトウェアの現在のバージョンと互換性があることを確認します。インストール方法については、各アプリケーションのマニュアルを参照してください。

  15. すべてのノードがアップグレードされた後、各ノードを再起動してクラスタにします。


    # reboot
    

  16. アップグレードしたソフトウェアのバージョンが、アップグレードしたすべてのノード上で同じであることを確認します。

    1. アップグレードした各ノードで、Sun Cluster ソフトウェアのインストールレベルを表示します。


      # scinstall -pv
      

      出力の最初の行は、どのバージョンの Sun Cluster ソフトウェアでノードが動作しているかを示します。このバージョンはアップグレードするバージョンと一致していなければなりません。

    2. 任意のノードから、アップグレードしたすべてのクラスタノードがクラスタモード (オンライン) で実行されていることを確認します。


      # scstat -n
      

      クラスタ状態の表示方法の詳細については、scstat(1M) のマニュアルページを参照してください。

  17. Solaris 8 から Solaris 9 ソフトウェアにアップグレードした場合は、ストレージ構成の整合性を確認してください。

    1. 各ノード上で、次のコマンドを実行して、ストレージ構成の整合性を確認します。


      # scdidadm -c
      
      -c

      整合性検査を実行します。


      注意 – 注意 –

      ストレージ構成がこの整合性検査を通るまで、手順 bに進まないでください。この検査を通らないと、デバイスの識別でエラーが生じ、データの破損を引き起こす可能性があります。


      次の表は、scdidadm -c コマンドからの出力と、その対処方法を示しています。

      メッセージの例 

      作業 

      device id for 'phys-schost-1:/dev/rdsk/c1t3d0' does not match physical device's id, device may have been replaced

      「アップグレード時のストレージ構成変更の回復」 に進み、適切な修復手順を実行します。

      device id for 'phys-schost-1:/dev/rdsk/c0t0d0' needs to be updated, run scdidadm –R to update

      必要ない手順 bで、このデバイス ID を更新します。

      出力メッセージなし 

      必要ない 

      詳細については、scdidadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

    2. 各ノードで、Sun Cluster ストレージデータベースを Solaris 9 デバイス ID に移行します。


      # scdidadm -R all
      
      -R

      修復手順を実行します。

      all

      すべてのデバイスを指定します。

    3. 各ノード上で、次のコマンドを実行して、ストレージデータベースの Solaris 9 への移行が成功したことを確認します。


      # scdidadm -c
      
      • scdidadm コマンドでメッセージが表示されたなら、手順 aに戻り、ストレージ構成またはストレージデータベースを修正します。

      • scdidadm コマンドでメッセージが表示されなければ、デバイス ID への移行に成功しています。すべてのノードで、デバイス ID への移行を確認できたら、手順 4に進みます。

  18. 「Sun Cluster 3.1 9/04 ソフトウェアへのローリング以外のアップグレードを終了する」に進みます。

例—Sun Cluster 3.0 から Sun Cluster 3.1 9/04 ソフトウェアへのローリング以外のアップグレード

次の例では、Solaris 8 OS において、2 ノードクラスタを Sun Cluster 3.0 から Sun Cluster 3.1 9/04 ソフトウェアにアップグレード (ローリング以外) する処理を示しています。この例には、Sun Web Console ソフトウェアのインストールとSun Cluster 3.1 9/04 Agents CD-ROM上に新バージョンがあるすべてのインストールされたデータベースのアップグレードが含まれます。クラスタノード名は、phys-schost-1phys-schost-2 です。


(最初のノードで  Sun Cluster 3.1 9/04 CD-ROM から Sun Web Console ソフトウェアをインストールします。)
phys-schost-1# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_sparc/Product/sun_cluster/ \
Solaris_8/Misc
phys-schost-1# ./setup

(最初のノードで、Sun Cluster 3.1 9/04 CD-ROM からフレームワークソフトウェアをアップグレードします。)
phys-schost-1# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_sparc/Product/sun_cluster/Solaris_8/Tools
phys-schost-1# ./scinstall -u update -S interact
 
(最初のノードで Sun Cluster 3.1 9/04 Agents CD-ROM からデータサービスをアップグレードします。)
phys-schost-1# scinstall -u update -s all -d /cdrom/cdrom0
 
(2 番目のノードで Sun Cluster 3.1 9/04 CD-ROM から Sun Web Console ソフトウェアをインストールします。)
phys-schost-2# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_sparc/Product/sun_cluster/ \
Solaris_8/Misc
phys-schost-2# ./setup

(2 番目のノードで Sun Cluster 3.1 9/04 CD-ROM からフレームワークソフトウェアをアップグレードします。)
phys-schost-2# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_sparc/Product/sun_cluster/Solaris_8/Tools
phys-schost-2# ./scinstall -u update -S interact
 
(2 番目のノードで Sun Cluster 3.1 9/04 Agents CD-ROM からデータサービスをアップグレードします。)
phys-schost-2# scinstall -u update -s all -d /cdrom/cdrom0
 
(各ノードをクラスタに再起動します。)
phys-schost-1# reboot
phys-schost-2# reboot

(すべてのノードでソフトウェアのバージョンが同じであることを確認します。)
# scinstall -pv 

(クラスタメンバーシップを確認します。)
# scstat -n
-- Cluster Nodes --
                   Node name      Status
                   ---------      ------
  Cluster node:    phys-schost-1  Online
  Cluster node:    phys-schost-2  Online