Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)

データ複製の概要

この節では耐障害性について紹介し、Sun StorEdge Availability Suite ソフトウェアが使用するデータ複製方式について説明します。

耐障害性とは

耐障害性は、主クラスタで障害が発生した場合に代わりのクラスタ上でアプリケーションを復元するシステムの機能です。耐障害性のベースは、データ複製フェイルオーバーです。

データ複製とは、主クラスタからバックアップクラスタまたは二次クラスタにデータをコピーすることです。データ複製によって、二次クラスタには主クラスタの最新データのコピーが保存されます。二次クラスタは、主クラスタから離れた場所にも設置できます。

フェイルオーバーは、自動で主クラスタから二次クラスタへリソースグループまたはデバイスグループを再配置することです。主クラスタに障害が発生した場合でも、アプリケーションとデータは二次クラスタで即座に使用できます。

Sun StorEdge Availability Suite ソフトウェアが使用するデータ複製方式

この節では、Sun StorEdge Availability Suite が使用するリモートミラー複製方式とポイントインタイムスナップショット方式について説明します。このソフトウェアは、 sndradm(1RPC)iiadm(1II) コマンドを使用してデータを複製します。これらのコマンドについては、『Sun Cluster 3.0 and Sun StorEdge Software Integration Guide』を参照してください。

リモートミラー複製

リモートミラー複製を図 6–1 に示します。主ディスクのマスターボリュームのデータは、TCP/IP 接続を経由して二次ディスクのマスターボリュームに複製されます。リモートミラービットマップは、主ディスクのマスターボリュームと二次ディスクのマスターボリューム間の違いを追跡調査します。

図 6–1 リモートミラー複製

主ディスクのマスターボリュームから二次ディスクのマスターボリュームへのリモートミラー複製を示す図

リモートミラー複製は、リアルタイムで同期して実行することも、非同期で実行することもできます。各クラスタの各ボリュームセットはそれぞれ、同期複製または非同期複製に構成できます。

同期データ複製では、リモートボリュームが更新されるまで書き込み操作の完了が確認されません。

非同期データ複製では、リモートボリュームが更新される前に書き込み操作の完了が確認されます。非同期データ複製は、長い距離や低い帯域幅で大きな柔軟性を発揮します。

ポイントインタイムスナップショット

ポイントインタイムスナップショットを図 6–2 に示します。各ディスクのマスターボリュームのデータは、同じディスクのシャドウボリュームにコピーされます。ポイントインタイムピットマップは、マスターボリュームとシャドウボリューム間の違いを追跡調査します。データがシャドウボリュームにコピーされると、ポイントインタイムビットマップはリセットされます。

図 6–2 ポイントインタイムスナップショット

ポイントインタイムスナップショットを示す図

構成例での複製

次の図は、「構成例」でリモートミラー複製とポイントインタイムスナップショットがどのように使用されているかを示したものです。

図 6–3 構成例での複製

リモートミラー複製とポイントインタイムスナップショットが構成例でどのように使用されているかを示す図