Sun Cluster Data Service for SAP Web Application Server ガイド (Solaris OS 版)

SAP Web Application Server をクラスタで実行するには

次のリソースグループは、この手順で作成されます。

クラスタで SAP J2EE engine を実行させる手順は、別の節に記載されています。「クラスタで SAP J2EE Engine を実行できるようにするには」を参照してください。

  1. クラスタノード上にインストールするクラスタノード上でスーパーユーザーになります。

  2. SAP central services のリソースグループを作成します。

    SAP central services リソースグループは、SAP enqueue server リソース、SAP message server リソースとこれらのリソースの論理ホスト名を含むフェイルオーバーグループです。


    # scrgadm -a  -g central-rg
    
    -a

    追加する新しいリソースグループを指定します。

    -g central-rg

    追加するリソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できますが、クラスタ内で一意のリソースグループ名にする必要があります。

  3. 手順 2 で作成したリソースグループに logical-host-name リソースを追加します。


    # scrgadm -a -L -g central-rg  -l central-logical-hostname [ -n netiflist]
    -a

    新しい構成を追加します。

    -L

    追加する logical-host-name リソースを指定します。

    -g central-rg

    手順 2 で作成したリソースグループに追加する logical-host-name リソースを指定します。

    -l central-logical-hostname

    SAP central services リソースの logical-host-name を指定します。

    -n netiflist

    ネットワークインタフェースをコンマで区切って指定します。このネットワークインタフェースのリストには、ノードリストで指定した (このリソースグループの) すべてのノードが含まれていなければなりません。このようなネットワークインタフェースリストの指定は任意です。このリストを省略すると、各ノードで、ホスト名リストによって識別されるサブネットのネットワークインタフェースの検出が行われます。

  4. SAP central services リソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z  -g central-rg
    
    -Z

    オンラインにするリソースグループを指定します。

    -g central-rg

    オンラインにするリソースグループの名前を指定します。この名前は、手順 2 で作成したリソースグループの名前です。

  5. SAP replica server のリソースグループを作成します。

    SAP replica server リソースグループは、SAP replica server リソースとこのリソースの論理ホスト名を含むフェイルオーバーリソースグループです。


    # scrgadm -a  -g repl-rg
    
    -a

    追加する新しいリソースグループを指定します。

    -g repl-rg

    追加するリソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できますが、クラスタ内で一意のリソースグループ名にする必要があります。

  6. 手順 5 で作成したリソースグループに logical-host-name リソースを追加します。


    # scrgadm -a -L -g repl-rg  -l saprepl-logical-hostname [ -n netiflist]
    -a

    新しい構成を追加します。

    -L

    追加する logical-host-name リソースを指定します。

    -g repl-rg

    手順 5 で作成したリソースグループに追加する logical-host-name リソースを指定します。

    -l saprepl-logical-hostname

    SAP replica server リソースの論理ホスト名を指定します。

    -n netiflist

    ネットワークインタフェースをコンマで区切って指定します。このネットワークインタフェースのリストには、ノードリストで指定した (このリソースグループの) すべてのノードが含まれていなければなりません。このようなネットワークインタフェースリストの指定は任意です。このリストを省略すると、各ノードで、ホスト名リストによって識別されるサブネットのネットワークインタフェースの検出が行われます。

  7. SAP replica server リソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z  -g repl-rg
    
    -Z

    オンラインにするリソースグループを指定します。

    -g repl-rg

    オンラインにするリソースグループの名前を指定します。この名前は、手順 5 で作成したリソースグループの名前です。

  8. SAP central services リソースグループと SAP replica server リソースグループ間に弱い肯定的なアフィニティを設定します。

    この弱い肯定的なアフィニティ設定により、フェイルオーバー時、SAP central services リソースグループは、SAP replica server リソースグループが実行されていたノードにフェイルオーバーします。


    # scrgadm -c  -g central-rg  -y RG_affinities=+repl-rg
    
    -c

    変更するリソースグループを指定します。

    -g central-rg

    変更するリソースグループの名前を指定します。

    -y RG_affinities=+repl-rg

    central-rg リソースグループが repl-rg リソースグループに対して弱い肯定的なアフィニティを持つことを指定します。

  9. SAP central services リソースグループと SAP replica server リソースグループが同じノードでオンラインの場合は、どちらかを別のノードに切り替えます。

    このリソースグループ間に強い肯定的なアフィニティを設定する前に、2 つのリソースグループが別々のノード上で制御されるようにしてください。


    # scswitch -z  -g rg  -h node
    
    -z

    別のノードに切り替えるリソースグループを指定します。

    -g rg

    切り替えるリソースグループの名前を指定します。このリソースグループは、SAP central services リソースグループの場合と SAP replica server リソースグループの場合があります。

    -h node

    リソースグループを切り替える先のノードを指定します。

  10. SAP central services リソースグループと SAP replica server リソースグループ間に強い肯定的なアフィニティを設定します。

    この肯定的なアフィニティ設定によって、ノードのフェイルオーバーが適切に行われます。SAP central services リソースグループは、SAP replica server リソースグループが実行されていたノードにフェイルオーバーされます。次に、SAP replica server リソースグループは、別の使用可能なノードにフェイルオーバーされます。

    SAP replica server リソースグループが、SAP central services リソースグループがオンラインのノードでオンラインになったり、オンライン状態を持続したりすることはできません。


    # scrgadm -c  -g repl-rg  -y RG_affinities=--central-rg
    
    -c

    変更するリソースグループを指定します。

    -g repl-rg

    変更するリソースグループの名前を指定します。

    -y RG_affinities=--central-rg

    central-rg リソースグループが repl-rg リソースグループに対して強い肯定的なアフィニティを持つことを指定します。

  11. SAP web application server コンポーネントのリソースグループを作成します。

    SAP web application server リソースグループは、SAP web application server コンポーネントのリソースを含むフェイルオーバーまたはスケーラブルリソースグループとして構成できます。SAP web application server をフェイルオーバーリソースとして構成した場合、このリソースの論理ホスト名は、SAP web application server リソースグループにも含まれます。

    • フェイルオーバーリソースグループを作成するには、次のコマンドを使用します。


      # scrgadm -a  -g webas-rg
      
    • スケーラブルリソースグループを作成するには、次のコマンドを使用します。


      # scrgadm -a  -g scalwebas-rg \
      -y Maximum_primaries=value  -y Desired_primaries=value
      
    -a

    追加する新しいリソースグループを指定します。

    -g webas-rg

    追加するフェイルオーバーリソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できますが、クラスタ内で一意のリソースグループ名にする必要があります。

    -g scalwebas-rg

    追加するスケーラブルリソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できますが、クラスタ内で一意のリソースグループ名にする必要があります。

    -y Maximum_primaries= value

    このスケーラブルリソースグループの主ノードの最大数を指定します。

    -y Desired_primaries= value

    このスケーラブルリソースグループの主ノードの必要な数を指定します。

  12. 手順 11 で作成したリソースグループをフェイルオーバーリソースグループとして構成する場合は、logical-host-name リソースをリソースグループに追加します。

    手順 11 で作成したリソースグループをスケーラブルリソースグループとして構成する場合は、この手順より先に進んでください。


    # scrgadm -a -L -g webas-rg  -l webas-logical-hostname [ -n netiflist]
    -a

    新しい構成を追加します。

    -L

    追加する logical-host-name リソースを指定します。

    -g webas-rg

    手順 11 で作成したリソースグループに追加する logical-host-name リソースを指定します。

    -l webas-logical-hostname

    SAP web application server コンポーネントリソースの logical-host-name を指定します。

    -n netiflist

    ネットワークインタフェースをコンマで区切って指定します。このネットワークインタフェースのリストには、ノードリストで指定した (このリソースグループの) すべてのノードが含まれていなければなりません。このようなネットワークインタフェースリストの指定は任意です。このリストを省略すると、各ノードで、ホスト名リストによって識別されるサブネットのネットワークインタフェースの検出が行われます。

  13. SAP web application server リソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z  -g webas-rg
    
    -Z

    オンラインにするリソースグループを指定します。

    -g webas-rg

    オンラインにするリソースグループの名前を指定します。この名前は、手順 11 で作成したリソースグループの名前です。

  14. (省略可能) 重要ではないリソースグループを負荷解除するようにクラスタを構成することを検討します。

    重要で優先度の高い SAP central services リソースがフェイルオーバーできるノードで、重要ではなく優先度が低い SAP web application server コンポーネントリソースを実行するように計画する場合があります。この場合は、リソースグループ間に強い否定的なアフィニティを設定することを検討してください。この設定により、優先度の高い SAP central services リソースが、優先度の低い SAP web application server コンポーネントリソースが実行されているノードにフェイルオーバーする場合、優先度の低いリソースは負荷解除され、重要な SAP central services リソースのために使用できるようそのノードのリソースは自動的に解放されます。


    # scrgadm -c  -g webas-rg  -y RG_affinities=--central-rg
    
    -c

    変更するリソースグループを指定します。

    -g webas-rg

    変更するリソースグループの名前を指定します。

    -y RG_affinities=--central-rg

    webas-rg リソースグループが repl-rg リソースグループに対して強い否定的なアフィニティを持つことを指定します。central-rg リソースグループが webas-rg リソースグループが実行されているノードにフェイルオーバーすると、webas-rg リソースグループは負荷解除されます。

  15. SAP Web Application Server インストールおよび構成プロセスで変更されたすべてのシステムファイルを SAP Web Application Server リソースを実行するすべてのノードにコピーします。これらのファイルには、次のファイルが含まれます。

    • /etc/passwd

    • /etc/group

    • /etc/system

    • /etc/services