Sun Cluster Data Service for Sybase ASE ガイド (Solaris OS 版)

Sybase ASE 12.0 ソフトウェアのインストール

この節で説明する手順を使用して、以下の操作を行います。


注 –

Sun Cluster HA for Sybase ASE を構成する前に、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の解説に従い、Sun Cluster ソフトウェアを各ノードにインストールします。


ノードを準備する

この手順では、Sybase ASE ソフトウェアのインストールに先立ってノードをどのように準備する必要があるかを説明します。


注意 – 注意 –

この作業のすべての手順をすべてのノードで実行してください。すべてのノードでこれらの手順が実行されないと、Sybase ASE インストールが完全に行われず、Sun Cluster HA for Sybase ASE は起動に失敗します。



注 –

この手順を始める前に、Sybase ASE のマニュアルを参照してください。


  1. すべてのノードでスーパーユーザーになります。

  2. /etc/nsswitch.conf ファイルを次のように構成します。これによって、スイッチオーバーやフェイルオーバーが起こったときに Sun Cluster HA for Sybase ASE の起動と停止が正しく行われます。

    Sun Cluster HA for Sybase ASE が動作する論理ホストをマスターできる各ノードで、次の group エントリのどれかを /etc/nsswitch.conf ファイルに指定します。


    group:
    group: files [NOTFOUND=return] nis
    group: file [NOTFOUND=return] nisplus

    Sun Cluster HA for Sybase ASE は、su user コマンドを使用してデータベースの起動と停止を行います。

    クラスタノードのパブリックネットワークに障害が発生すると、ネットワーク情報ネームサービスが使用不能になることがあります。group に上のどれかのエントリが追加されていると、su(1M) コマンドは、NIS/NIS+ ネームサービスが使用不能であれば、そのネットワーク情報ネームサービスを参照しません。

  3. Sun Cluster HA for Sybase ASE のクラスタファイルシステムを構成します。

    データベースを raw デバイスに格納する場合は、広域デバイスを raw デバイスアクセス用に構成します。広域デバイスの構成方法については、『 Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』を参照してください。

    Solstice DiskSuiteTM/Solaris Volume Manager ソフトウェアを使用する場合は、ミラー化メタデバイスまたは raw ミラー化メタデバイス上で UNIX ファイルシステム (UFS) ロギングを使用するように、Sybase ASE ソフトウェアを構成します。raw ミラー化メタデバイスの構成方法については、Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager のマニュアルを参照してください。

  4. ローカルディスクか多重ホストディスクに SYBASE_HOME ディレクトリを作成します。


    注 –

    Sybase ASE バイナリをローカルディスクにインストールする場合は、できるだけ別のディスクを使用してください。Sybase ASE バイナリを別のディスクにインストールすると、オペレーティング環境の再インストール時にバイナリが上書きされるのを防止できます。


  5. 各ノードの /etc/group ファイルにデータベース管理者 (DBA) グループのエントリを作成し、予定するユーザーをこのグループに追加します。

    rootsybase ユーザーが dba グループのメンバーになっているか確認し、必要に応じてほかの DBA ユーザーのエントリを追加します。このグループ ID は、Sun Cluster HA for Sybase ASE が動作するすべてのノードで一致させる必要があります。次にその例を示します。


    dba:*:520:root,sybase
    

    グループエントリをネットワークネームサービスに作成することができます。その場合には、ネットワークネームサービスに依存するのを避けるために、これらのエントリをローカルの /etc/group ファイルにも追加します。

  6. 各ノードで、Sybase システム管理者のエントリを作成します。

    次のコマンドでは、/etc/passwd/etc/shadow ファイルを Sybase システム管理者のエントリで更新します。


    # useradd -u 120 -g dba -d /Sybase-home sybase
    

    sybase ユーザーエントリは、Sun Cluster HA for Sybase ASE を実行するすべてのノードで一致させる必要があります。

Sybase ASE ソフトウェアをインストールする

Sybase ASE ソフトウェアをインストールする手順は次のとおりです。

  1. クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。

  2. Sybase ASE インストールの要件に注意します。

    Sybase ASE バイナリは、次のどちらにインストールすることもできます。

    • クラスタノードのローカルディスク

    • 高可用性のローカルファイルシステム

    • クラスタファイルシステム


      注 –

      Sybase ASE ソフトウェアをクラスタファイルシステムにインストールする場合には、まず、Sun Cluster ソフトウェアを起動し、ディスクデバイスグループの所有者になる必要があります。


    どこにインストールするかについては、「Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストール準備」を参照してください。

  3. ネットワークとアプリケーションのリソースを格納するためのフェイルオーバーリソースグループを作成します。


    # scrgadm -a -g resource-group [-h nodelist]
    -g resource-group

    リソースグループの名前を指定します。どのような名前でもかまいませんが、クラスタ内のリソースグループごとに一意である必要があります。

    -h nodelist

    潜在マスターを識別する物理ノード名または ID をコンマで区切ったリストで指定します (省略可能)。この順序で、Resource Group Manager (RGM) は、フェイルオーバー時の主ノードを決定します。


    注 –

    ノードリストの順番を指定するには、-h オプションを使用します。クラスタのすべてのノードがマスターになり得るのであれば、-h オプションを指定する必要はありません。


  4. Sun Cluster HA for Sybase ASE で使用するすべてのネットワークリソースが /etc/inet/hosts ファイルまたはネームサービス (NIS、NIS+) データベースに追加されていることを確認します。

  5. ネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) をフェイルオーバーリソースグループに追加します。


    # scrgadm -a -L -g resource-group -l logical-hostname [-n netiflist] 
    -l logical-hostname

    ネットワークリソースを指定します。ネットワークリソースは、クライアントが Sun Cluster HA for Sybase ASE にアクセスするときに使用する論理ホスト名または共有アドレス (IP アドレス) です。

    -n netiflist

    各ノード上の IP ネットワークマルチパス グループをコンマで区切って指定します (省略可能)。 netiflist の各要素は、netif@node の形式で指定する必要があります。netif は IP ネットワークマルチパス グループ名 (sc_ipmp0 など) として指定できます。ノードは、sc_ipmp0@1sc_ipmp@phys-schost-1 などのノード名またはノード IDで特定できます。


    注 –

    現バージョンの Sun Cluster では、netif にアダプタ名を使用できません。


  6. scswitch(1M) コマンドを実行し、以下の作業を完了します。

    • リソースと障害の監視を有効にします。

    • リソースグループを管理状態にします。

    • リソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z -g resource-group
    
  7. 作成したばかりのリソースグループをマスターするノード上で、sybase としてログインします。

    Sybase バイナリのインストールは、対応する論理ホストが動作しているノードで実行する必要があります。

  8. Sybase ASE ソフトウェアをインストールします。

    Sybase ASE ソフトウェアをどこにインストールする場合でも、Sybase ASE の標準的なインストール手順を使用する場合と同じように、各ノードの /etc/system ファイルを変更する必要があります。Sybase ASE ソフトウェアのインストール手順については、Sybase のインストールと構成のマニュアルを参照してください。


    注 –

    どの Sybase サーバーでも、ホスト名の指定を求められた時にはネットワークリソースに関連付けられたホスト名を入力してください。


次に進む手順

Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager を使用する場合は、Sybase ASE ソフトウェアをインストールした後に 「Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager による Sybase ASE データベースアクセスの構成」 に進みます。Go to 「VERITAS Volume Manager による Sybase ASE データベースアクセスの構成」 if you use the VERITAS Volume Manager (VxVM).

Sybase ASE のインストールを確認する

Sybase ASE ソフトウェアのインストールを確認する手順は次のとおりです。

  1. sybase ユーザーと dba グループが $SYBASE_HOME ディレクトリと $SYBASE_HOME の子ディレクトリを所有していることを確認します。

  2. scstat(1M) コマンドを実行し、Sun Cluster ソフトウェアが正しく機能していることを確認します。