Sun Cluster Data Service for DHCP ガイド (Solaris OS 版)

Sun Cluster HA for DHCP のインストールと構成

この章では、Sun Cluster HA for DHCP のインストールと構成の方法について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

Sun Cluster HA for DHCP のインストールと構成

表 1 に、 Sun Cluster HA for DHCP のインストールと構成に必要な作業を示します。指定された順番どおりに、各作業を行なってください。

表 1 作業マップ : Sun Cluster HA for DHCP のインストールと構成

作業 

参照先 

1. インストールの計画。 

「Sun Cluster HA for DHCP のインストールと構成の計画」

2. DHCP のインストールと構成。 

「DHCP をインストールおよび構成するには」

3. インストールと構成の確認。 

「DHCP のインストールと構成を確認するには」

4. Sun Cluster HA for DHCP Package のインストール。 

scinstall ユーティリティーを使用して Sun Cluster HA for DHCP パッケージをインストールする」

5. Sun Cluster HA for DHCP を登録して構成。 

「Sun Cluster HA for DHCP の登録および構成方法」

6. Sun Cluster HA for DHCP のインストールと構成を確認。 

「Sun Cluster HA for DHCP のインストールと構成の確認方法」

6. Sun Cluster HA for DHCP のアップグレード。 

「Sun Cluster HA for DHCP のアップグレード」

7. Sun Cluster HA for DHCP の障害モニターを理解。 

「Sun Cluster HA for DHCP 障害モニターの概要」

8. Sun Cluster HA for DHCP をデバッグ。 

「Sun Cluster HA for DHCP のデバッグを有効にする」

Sun Cluster HA for DHCP の概要

Solaris DHCP は、DHCP クライアントに動的 TCP/IP 構成を提供します。Sun Cluster HA for DHCP データサービスは Solaris 8/9 にバンドルされている DHCP ソフトウェアを使用します。DHCP の詳細は、dhcp(4) のマニュアルページを参照してください。

Sun Cluster HA for DHCP データサービスのメカニズムによって、DHCP サービスの順序正しい起動、停止、障害モニター、自動フェイルオーバーを実行できます。


注 –

このバージョンを使用して SC.3.1クラスタ上で DHCP エージェントをアップグレードする場合、エージェントの変更により、DHCP リソースを再構成する必要があります。


表 2 コンポーネントの保護

構成要素 

コンポーネントを保護するデータサービス 

DHCP サーバー 

Sun Cluster HA for DHCP 

Sun Cluster HA for DHCP のインストールと構成の計画

ここでは、Sun Cluster HA for DHCP のインストールと構成の計画について説明します。

構成に関する制限事項

ここで示す制限事項を考慮して、Sun Cluster HA for DHCP のインストールと構成の計画を行なってください。ここでは、Sun Cluster HA for DHCP にのみ適用されるソフトウェアとハードウェア構成の制限事項を示します。


注意 – 注意 –

これらの制限事項を守らないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。


すべてのデータサービスに適用される制限事項については、『Sun Cluster Release Notes』を参照してください。

構成に関する要件

これらの要件は、Sun Cluster HA for DHCP にのみ適用されます。Sun Cluster HA for DHCP のインストールと構成を始める前に、次の要件を満たしておく必要があります。


注意 – 注意 –

次の要件を満たさないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。


DHCP のコンポーネントと依存関係 — Sun Cluster HA for DHCP データサービスは、DHCP コンポーネントを保護するように構成できます。このコンポーネントと依存関係について、次に説明します。

表 3 DHCP と依存関係 (-> 記号で示す)

コンポーネント 

説明 

DHCP サーバー(Mandatory)

-> SUNW.HAStoragePlus リソース

SUNW.HAStoragePlus リソースは、DHCP のファイルシステムのマウントポイントを管理し、ファイルシステムがマウントされるまでは DHCP が起動しないようにします。 

DHCP コンポーネントは、 /opt/SUNWscdhc/util に構成/登録ファイルがあります。これらのファイルによって、Sun Cluster に DHCP コンポーネントを登録できます。


例 1 Sun Cluster 用の DHCP 構成/登録ファイル


# cd /opt/SUNWscdhc
# 
# ls -l util/*
total 6
-rwxr-xr-x   1 root     sys         1094 Dec 20 14:44 dhcp_config
-rwxr-xr-x   1 root     sys          514 Dec 20 14:44 dhcp_register
#
# more util/*
::::::::::::::
util/dhcp_config
::::::::::::::
#
# Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc.  All rights reserved.
# Use is subject to license terms.
#
# This file will be sourced in by dhcp_register and the parameters
# listed below will be used.
#
# These parameters can be customized in (key=value) form
#
#        RS - name of the resource for the application
#        RG - name of the resource group containing RS
#      PORT - name of any port number, as it's ignored
#        LH - name of the LogicalHostname SC resource
#   NETWORK - name of the DHCP Network, separated with a /
#               where each network is made up of the following
#               <network>@<nafo or ipmp>@node number
#
# Additional parameters to Sun Cluster Carrier-Grade Edition
#  USE_CGTP - ff CGTP is being used (TRUE/FALSE)
#  USE_STATIC_DHCP - ff static DHCP tables should be used (TRUE/FALSE)
#  TEST_CLIENTID - the mac-address of the test-client
#  TFTPTESTFILE - path to Tftp testfile
#
#       The following two examples illustrate sample parameters
#       for DHCP on a 2 node cluster (tequila/sunrise)
#
#       Sun Cluster 3.0 using nafo
#
#       NETWORK=192.168.100.0@nafo0@1/192.168.100.0@nafo0@2
#
#       Sun Cluster 3.1 using ipmp
#
#       NETWORK=192.168.100.0@ipmp0@1/192.168.100.0@ipmp0@2
#
RS=
RG=
PORT=
LH=
NETWORK=
HAS_RS=

# Options to Sun Cluster Carrier-Grade Edition

USE_CGTP=FALSE
USE_STATIC_DHCP=FALSE
TEST_CLIENTID=
TFTPTESTFILE=
::::::::::::::

Sun Cluster HA for DHCP データサービス – パッチ 109077-12 (またはそれ以降) と 111302-02 (またはそれ以降) を適用した Solaris 8 7/01 (またはそれ以降) または Solaris 9 が必要です。


注 –

/etc/inet/dhcpsvc.conf が DHCP サービスのホストとなる Sun Cluster 内の全ノードで整合性が保たれているか、または /etc/inet/dhcpsvc.conf がクラスタファイルシステム上のディレクトリ上にリンクされるようにしてください。


/etc/inet/dhcpsvc.conf パラメータ – /etc/inet/dhcpsvc.conf の次のパラメータを設定する必要があります。


注 –

DHCP 要求への応答に関しては、DHCP ネットワークテーブル用に SUNWbinfiles を使用して、DHCP が最高のパフォーマンスを発揮するようにしてください。


Sun Cluster Carrier-Grade 配備用の構成要件

これらの要件は、Sun Cluster HA for DHCP にのみ適用されます。Sun Cluster HA for DHCP のインストールと構成を始める前に、次の要件を満たしておく必要があります。


注意 – 注意 –

次の要件を満たさないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。


DHCP のコンポーネントと依存関係 — Sun Cluster HA for DHCP データサービスは、DHCP コンポーネントを保護するように構成できます。

DHCP コンポーネントは、 /opt/SUNWscdhc/util に構成/登録ファイルがあります。これらのファイルによって、Sun Cluster に DHCP コンポーネントを登録できます。


例 2 Sun Cluster 用の DHCP 構成/登録ファイル


# cd /opt/SUNWscdhc
# 
# ls -l util/*
total 6
-rwxr-xr-x   1 root     sys         1094 Dec 20 14:44 dhcp_config
-rwxr-xr-x   1 root     sys          514 Dec 20 14:44 dhcp_register
#
# more util/*
::::::::::::::
util/dhcp_config
::::::::::::::
#
# Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc.  All rights reserved.
# Use is subject to license terms.
#
# This file will be sourced in by dhcp_register and the parameters
# listed below will be used.
#
# These parameters can be customized in (key=value) form
#
#        RS - name of the resource for the application
#        RG - name of the resource group containing RS
#      PORT - name of any port number, as it's ignored
#        LH - name of the LogicalHostname SC resource
#   NETWORK - name of the DHCP Network, separated with a /
#               where each network is made up of the following
#              <network>@<nafo or ipmp>@node number
#
# Additional parameters to Sun Cluster Carrier-Grade Edition
#  USE_CGTP - ff CGTP is being used (TRUE/FALSE)
#  USE_STATIC_DHCP - ff static DHCP tables should be used (TRUE/FALSE)
#  TEST_CLIENTID - the mac-address of the test-client
#  TFTPTESTFILE - path to Tftp testfile
#
#       The following two examples illustrate sample parameters
#       for DHCP on a 2 node cluster (tequila/sunrise)
#
#       Sun Cluster 3.0 using nafo
#
#       NETWORK=192.168.100.0@nafo0@1/192.168.100.0@nafo0@2
#
#       Sun Cluster 3.1 using ipmp
#
#       NETWORK=192.168.100.0@ipmp0@1/192.168.100.0@ipmp0@2
#
RS=
RG=
PORT=
LH=
NETWORK=
HAS_RS=

# Options to Sun Cluster Carrier-Grade Edition

USE_CGTP=FALSE
USE_STATIC_DHCP=FALSE
TEST_CLIENTID=
TFTPTESTFILE=
::::::::::::::

Sun Cluster HA for DHCP データサービス – パッチ 109077-12 (またはそれ以降) と 111302-02 (またはそれ以降) を適用した Solaris 8 7/01 (またはそれ以降) または Solaris 9 が必要です。


注 –

/etc/inet/dhcpsvc.conf が DHCP サービスのホストとなる Sun Cluster 内の全ノードで整合性が保たれているか、または /etc/inet/dhcpsvc.conf がクラスタファイルシステム上のディレクトリ上にリンクされるようにしてください。


Tftp デーモンチェックが使用されている場合、DHCP を使用するクラスタ内の全ノード上で、定義済みの tftpdirectory にゼロではない testfile を作成する必要があります。

/etc/inet/dhcpsvc.conf パラメータ – /etc/inet/dhcpsvc.conf の次のパラメータを設定する必要があります。

DHCP のインストールと構成

この節では、DHCP のインストールと構成に必要な手順について説明します。

DHCP をインストールおよび構成するには

DHCP のインストールと構成は、次の手順で行なってください。

  1. Solaris CD から次のパッケージをインストールします。

    • SUNWdhcsu

    • SUNWdhcsb

    • SUNWdhcm

  2. DHCP クラスタファイルシステムをマウントします。必ず、DHCP ネットワークテーブルに対応するクラスタファイルシステムをマウントしてください。


    注 –

    DHCP ネットワークテーブルでフェイルオーバーファイルシステムを使用する場合は、手動でこのファイルシステムをマウントする必要があります。


  3. 必要な DHCP パッチをインストールします。

    インストールしなければならないパッチのリストについては、「構成に関する要件」を参照してください。

  4. 次のコマンドを実行して DHCP を構成します。 –


    # /usr/sadm/admin/bin/dhcpmgr
    
    • DHCP サーバとして構成」を選択します。

    • テキストファイル」または「バイナリファイル」を選択します。

    • DHCP ネットワークテーブルのパスを入力します。

    • ホストレコードの保管に使用するネームサービスを選択します。

    • リース期間」とクライアントがリースを更新できるかどうかを選択します。

    • 使用する場合は、このサーバーの DHCP クライアント用 DNS 構成を指定します。

    • IP アドレスを提供すべきネットワークとネットワークマスクを追加します。

    • ネットワークタイプ」として「ローカルエリア (LAN)」を選択します。

    • 使用する場合は、このサーバーの DHCP クライアント用 NIS 構成を指定します。

    • 使用する場合は、このサーバーの DHCP クライアント用 NIS+ 構成を指定します。

    • アドレスとマクロを作成します。

  5. /etc/inet/dhcpsvc.conf に次のパラメータが定義されているかどうかを確認します。

    • DAEMON_ENABLED はつねに True に設定します。

    • PATH はクラスタファイルシステムを示します。

    • RUN_MODE はつねに SERVER に設定します。

    • RESOURCESUNWbinfiles または SUNWfiles のどちらかに設定します。

  6. /etc/inet/dhcpsvc.conf が DHCP サービスのホストとなる Sun Cluster 内の全ノードにわたって整合性が保たれているかを確認します。

    2 とおりの実現方法があります。

    • /etc/inet/dhcpsvc.conf を Sun Cluster 内の全ノードにコピーします。

    • 編集済みの dhcpsvc.conf をクラスタファイルシステムに移動し、クラスタファイルシステム内の dhcpsvc.conf に対して /etc/inet/dhcpsvc.conf からシンボリックリンクを作成します。

  7. 全ノードで DHCP が停止していることを確認します。


    # /etc/rc2.d/K21dhcp stop
    
  8. 全ノードでブート時の DHCP の起動を無効にします。


    # rm /etc/rc3.d/S34dhcp
    

DHCP のインストールと構成の確認

この節では、インストールと構成の確認に必要な手順を説明します。

ProcedureDHCP のインストールと構成を確認するには

データサービスをまだインストールしていないため、この手順ではアプリケーションの可用性が高いかどうかを確認することはできません。

手順
  1. /etc/inet/dhcpsvc.conf を確認します。

    要件に基づいて各パラメータが設定されているかどうかを確認します。

    • SERVER_MODE

    • PATH

    • DAEMON_ENABLED

  2. Sun Cluster 内の全ノードにわたって /etc/inet/dhcpsvc.conf が矛盾していないかどうかを確認します。

  3. ブート時の DHCP の起動が無効になっていることを確認します。

Sun Cluster HA for DHCP パッケージのインストール

Sun Cluster の初回のインストールで Sun Cluster HA for DHCP パッケージをインストールしなかった場合は、ここで説明する作業を行います。この手順は、Sun Cluster HA for DHCP パッケージをインストールする各クラスタノード上で個別に実行します。この手順を実行するには、Sun Cluster Agents CD-ROM が必要です。

複数のデータサービスを同時にインストールする場合は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』「ソフトウェアのインストール」に記載されている手順を実行してください。

次のインストールツールのどちらかを使用して、Sun Cluster HA for DHCP パッケージをインストールします。


注 –

Solaris 10 を使用している場合、大域ゾーンでのみこれらのパッケージをインストールします。パッケージをインストールしたあとで作成されるローカルゾーンに、これらのパッケージが転送されないようにするには、scinstall ユーティリティーを使用してこれらのパッケージをインストールします。Web Start プログラムは使用しないでください。


ProcedureWeb Start プログラムを使用した Sun Cluster HA for DHCP パッケージのインストール方法

Web Start プログラムは、コマンド行インタフェース (CLI) またはグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) を使用して実行できます。CLI と GUI での作業の内容と手順はほとんど同じです。Web Start プログラムの詳細は、installer(1M) のマニュアルページを参照してください。

手順
  1. Sun Cluster HA for DHCP パッケージをインストールするクラスタノード上で、スーパーユーザーになります。

  2. (省略可能) GUI で Web Start プログラムを実行する場合は、DISPLAY 環境変数が設定されていることを確認してください。

  3. CD-ROM ドライブに Sun Cluster Agents CD-ROM を挿入します。

    ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行されており、CD-ROM デバイスを管理するように構成されている場合は、デーモンによって CD-ROM が自動的に /cdrom/scdataservices_3_1_vc ディレクトリにマウントされます。

  4. CD-ROM の Sun Cluster HA for DHCP コンポーネントディレクトリに移動します。

    Sun Cluster HA for DHCP データサービスの Web Start プログラムは、このディレクトリに入っています。


    # cd /cdrom/scdataservices_3_1_vc/components/SunCluster_HA_DHCP_3.1
    
  5. Web Start プログラムを起動します。


    # ./installer
    
  6. プロンプトが表示されたら、インストールの種類を選択します。

    • C ロケールのみをインストールする場合は、Typical を選択します。

    • ほかのロケールをインストールする場合は、Custom を選択します。

  7. 表示される手順に従って、ノードに Sun Cluster HA for DHCP パッケージをインストールします。

    インストールが終了すると、Web Start プログラムのインストールサマリーが出力されます。このサマリーを使用して、インストール時に Web Start によって作成されたログを確認できます。これらのログは、/var/sadm/install/logs ディレクトリにあります。

  8. Web Start プログラムを終了します。

  9. Sun Cluster Agents CD-ROM を CD-ROM ドライブから取り出します。

    1. CD-ROM が使用されないように、CD-ROM 上のディレクトリ以外に移動します。

    2. CD-ROM を取り出します。


      # eject cdrom
      

Procedurescinstall ユーティリティーを使用して Sun Cluster HA for DHCP パッケージをインストールする

この作業には、Sun Cluster Agents CD-ROM が必要です。この手順では、Sun Cluster の初期インストール時にデータサービス パッケージをインストールしていない場合を想定しています。

Sun Cluster の初回インストールの一部として Sun Cluster HA for DHCP パッケージをインストールした場合は、「Sun Cluster HA for DHCP の登録と構成」へ進んでください。

それ以外の場合は、次の手順で、Sun Cluster HA for DHCP パッケージをインストールします。Sun Cluster HA for DHCP を実行できるすべてのノードで、この作業が必要です。

手順
  1. CD-ROM ドライブに Sun Cluster Agents CD-ROM を挿入します。

  2. オプションは指定せずに、scinstall ユーティリティーを実行します。

    scinstall ユーティリティーが対話型モードで起動します。

  3. メニューオプション「新しいデータサービスのサポートをこのクラスタノードに追加」を選択します。

    scinstall ユーティリティーにより、ほかの情報を入力するためのプロンプトが表示されます。

  4. Sun Cluster Agents CD-ROM のパスを指定します。

    ユーティリティーはこの CD をデータサービス CD-ROM として示します。

  5. インストールするデータサービスを指定します。

    選択したデータサービスが scinstall ユーティリティーによって示され、この選択内容の確認が求められます。

  6. scinstall ユーティリティーを終了します。

  7. ドライブから CD を取り出します。

Sun Cluster HA for DHCP の登録と構成

ここでは Sun Cluster HA for DHCP の構成手順について説明します。

ProcedureSun Cluster HA for DHCP の登録および構成方法

この手順は、Sun Cluster の初回のインストール時にこのデータサービスパッケージをインストールしている場合を想定しています。

Sun Cluster の初回インストールの一部として Sun Cluster HA for DHCP パッケージをインストールしていない場合は、scinstall ユーティリティーを使用して Sun Cluster HA for DHCP パッケージをインストールする」へ進みます。

手順
  1. DHCP のホストとなるクラスタノードの 1 つで、スーパーユーザーになります。

  2. SUNW.gds リソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.gds
    
  3. SUNW.HAStoragePlus リソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.HAStoragePlus
    
  4. フェイルオーバーリソースグループを作成します。


    # scrgadm -a -g DHCP-failover-resource-group
    
  5. DHCP ディスク記憶装置に対応するリソースを作成します。


    # scrgadm -a -j DHCP-has-resource  \
     -g DHCP-failover-resource-group   \
     -t SUNW.HAStoragePlus  \
     -x FilesystemMountPoints=DHCP- instance-mount-points
    
  6. DHCP 論理ホスト名に対応するリソースを作成します。


    # scrgadm -a -L -j DHCP-lh-resource  \
     -g DHCP-failover-resource-group  \
     -l DHCP-logical-hostname
    
  7. DHCP ディスク記憶装置と論理ホスト名のリソースが組み込まれたフェイルオーバーリソースグループを有効にします。


    # scswitch -Z -g DHCP-failover-resource-group
    
  8. a) DHCP コンポーネントを作成して登録します。


    # cd /opt/SUNWscdhc/util
    

    dhcp_config ファイルを編集し、ファイルの中のコメントの記述に従います。


    # These parameters can be customized in (key=value) form
    #        RS - name of the resource for the application
    #        RG - name of the resource group containing RS
    #      PORT - name of any port number, as it's ignored
    #        LH - name of the LogicalHostname SC resource
    #   NETWORK - name of the DHCP Network, however comprised of following
    #               <network>@<nafo or ipmp>@<node number>
    #    HAS_RS - name of the DHCP HAStoragePlus SC resource

    次に、IPMP が組み込まれた 2 ノードの Sun Cluster 3.1 に対応する DHCP の例を示します。


    RS=dhcp-res
    RG=dhcp-rg
    PORT=23
    LH=dhcp-lh-res
    NETWORK=192.168.100.0@ipmp0@1/192.168.100.0@ipmp1@2
    HAS_RS=dhcp-has-res
    

    dhcp_config の編集後、リソースを登録する必要があります。


    # ./dhcp_register
    
  9. b) Sun Cluster Carrier-Grade 配備用の DHCP コンポーネントを作成し、登録します。


    # cd /opt/SUNWscdhc/util
    

    dhcp_config ファイルを編集し、ファイルの中のコメントの記述に従います。


    # These parameters can be customized in (key=value) form
    #        RS - name of the resource for the application
    #        RG - name of the resource group containing RS
    #      PORT - name of any port number, as it's ignored
    #        LH - name of the LogicalHostname SC resource
    #   NETWORK - name of the DHCP Network, however comprised of following
    #               <network>@<nafo or ipmp>@<node number>
    #    HAS_RS - name of the DHCP HAStoragePlus SC resource
    # Additional parameters to Sun Cluster Carrier-Grade Edition
    #  USE_CGTP - ff CGTP is being used (TRUE/FALSE)
    #  USE_STATIC_DHCP - ff static DHCP tables should be used (TRUE/FALSE)
    #  TEST_CLIENTID - the mac-address of the test-client
    #  TFTPTESTFILE - path to Tftp testfile

    次に、CGTP、静的 DHCP、アクティブクライアントおよび tftp 監視が組み込まれた 2 ノードの Sun Cluster 3.1 の DHCP の例を示します。


    RS=dhcp-res
    RG=dhcp-rg
    PORT=23
    LH=dhcp-lh-res
    NETWORK=
    HAS_RS=dhcp-has-res
    USE_CGTP=TRUE
    USE_STATIC_DHCP=TRUE
    TEST_CLIENTID=8:0:20:a7:95:f9
    TFTPTESTFILE=/tftpboot/SCTESTFILE

    dhcp_config の編集後、リソースを登録する必要があります。


    # ./dhcp_register
    
  10. 各 DHCP リソースを有効にします。

    前の手順と同様、DHCP コンポーネントごとにこの手順を繰り返します。


    # scstat 
    

    # scswitch -e -j DHCP-resource
    

Sun Cluster HA for DHCP のインストールと構成の確認

ここでは、データサービスが正しくインストールされ構成されているかどうかを確認する手順について説明します。

ProcedureSun Cluster HA for DHCP のインストールと構成の確認方法

手順
  1. DHCP のホストとなるクラスタノードの 1 つで、スーパーユーザーになります。

  2. すべての DHCP リソースがオンラインになっていることを scstat で確認します。


    # scstat 
    

    オンラインになっていない DHCP リソースごとに、次のように scswitch コマンドを使用します。


    # scswitch -e -j DHCP- resouce
    
  3. scswitch コマンドを実行し、DHCP リソースグループをほかのクラスタノード (node2 など) に切り替えます。


    # scswitch -z -g DHCP-failover-resource-group -h node2
    

Sun Cluster HA for DHCP のアップグレード

バグ修正の結果、IPMP ベースのクラスタの構成が変更されています。IPMP ベースのクラスタで Sun Cluster HA for DHCP を動作させている場合、DHCP リソースを無効にし、削除してから再登録する必要があります。

ProcedureSun Cluster HA for DHCP のアップグレード方法

手順
  1. Sun Cluster DHCP のリソース定義を保存します。


    # scrgadm -pvv -j resource > file1
    
  2. Sun Cluster DHCP リソースを無効にします。


    # scswitch -n -j resource
    
  3. Sun Cluster DHCP リソースを削除します。


    # scrgadm -r -j resource
    
  4. Sun Cluster DHCP リソースを構成し、登録します。

    1. dhcp_config ファイルと dhcp_register ファイルが含まれるディレクトリに移動します。


      # cd /opt/SUNWscdhc/util
      
    2. dhcp_config ファイルを編集します。


      # vi dhcp_config
      
    3. dhcp_register ファイルを実行します。


      # ./dhcp_register
      
  5. Sun Cluster DHCP のリソース定義を保存します。


    # scrgadm -pvv -j resource > file2
    
  6. 更新した定義を、リソースを更新する前に保存した定義と比較します。

    これらの定義を比較することで、タイムアウトの値など、既存の拡張プロパティーが変更されたかどうかを判別することができます。


    # diff file1 file2
    
  7. リセットされたリソースのプロパティーを修正します。


    # scrgadm -c -j resource -x|y resource
    
  8. Sun Cluster DHCP リソースをオンラインにします。


    # scswitch -e -j resource
    

Sun Cluster HA for DHCP 障害モニターの概要

ここでは、Sun Cluster HA for DHCP 障害モニターのプローブアルゴリズムまたは機能について説明し、プローブの失敗に関連する条件、メッセージ、回復処理を示します。

障害モニターの概念については、『Sun Cluster 3.1 の概念』を参照してください。

リソースプロパティー

Sun Cluster HA for DHCP 障害モニターでは、リソースタイプ SUNW.gds と同じリソースプロパティーを使用します。使用するリソースプロパティーの全リストについては、SUNW.gds(5) のマニュアルページを参照してください。

検証アルゴリズムと機能

Sun Cluster HA for DHCP をデバッグする

ここでは、Sun Cluster HA for DHCP のデバッグを有効にする方法について説明します。

DHCP コンポーネントの DEBUG ファイルは、/opt/SUNWscdhc/etc にあります。

このファイルを使用すると、Sun Cluster 内の特定ノード上にある DHCP リソースに対して、デバッグを有効にできます。Sun Cluster 全体にわたって、DHCP リソースのデバッグを有効にするには、Sun Cluster 内のすべてのノードでこの手順を繰り返す必要があります。

ProcedureSun Cluster HA for DHCP のデバッグを有効にする

手順
  1. /etc/syslog.conf を編集し、daemon.noticedaemon.debug に変更します。


    # grep daemon /etc/syslog.conf
    *.err;kern.debug;daemon.notice;mail.crit        /var/adm/messages
    *.alert;kern.err;daemon.err                     operator
    #

    daemon.noticedaemon.debug に変更し、syslogd を再起動します。次に示す grep daemon /etc/syslog.conf コマンドの出力例では、daemon.debug が設定されています。


    # grep daemon /etc/syslog.conf
    *.err;kern.debug;daemon.debug;mail.crit        /var/adm/messages
    *.alert;kern.err;daemon.err                    operator
    #
    # pkill -1 syslogd
    #
  2. /opt/SUNWscdhc/etc/config を編集し、DEBUG=DEBUG=ALL または DEBUG= resource に変更します。


    # cat /opt/SUNWscdhc/etc/config
    #
    # Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc.  All rights reserved.
    # Use is subject to license terms.
    #
    # Usage:
    #       DEBUG=<RESOURCE_NAME> or ALL
    #
    DEBUG=ALL
    #

    注 –

    デバッグを無効にするには、この手順を逆に実行してください。