この節では、すでに判明しているマニュアル、オンラインヘルプ、またはマニュアルページの誤りや記載漏れ、およびこれらの問題を修正するための手順を説明します。
Sun Cluster 3.1 8/05 マニュアルはすべて、「はじめに」にサポートとトレーニングに関する Web サイトを記載しています。この Web サイトは、次のように変更されました。
トレーニング: http://www.sun.com/training/
この節では、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』内の記述の誤りと漏れについて説明します。
『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「データサービスソフトウェアパッケージをインストールする (pkgadd)」には、Solaris 10 上で稼働するクラスタに Sun Java System データサービスをインストールする方法が説明されています。この手順では、pkgadd -G コマンドを使用し、これらのデータサービスを大域ゾーンにだけインストールします。-G オプションを指定すると、既存の非大域ゾーン、またはあとから作成される非大域ゾーンにパッケージに関連したファイルが作成されることがありません。
システムに非大域ゾーンが含まれる場合は、一部の Sun Java Enterprise System (Java ES) アプリケーションと Java ES コンポーネントがサポートされない可能性があります。この制限は、インストールの時点で非大域ゾーンが存在するか、あるいは非大域ゾーンがあとから構成される場合に適用されます。pkgadd -G コマンドを使用してこのようなアプリケーション用のデータサービスをインストールしても、この制限は無効になりません。Java ES アプリケーションが非大域ゾーンと共存できない場合は、非大域ゾーンが存在するクラスタ上でそのアプリケーションのデータサービスを使用することはできません。
Solaris ゾーンの Java ES サポートについては、『Sun Java Enterprise System 2005Q5 Installation Guide』の「Solaris 10 Zones」を参照してください。
『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「ノードの追加後に SCSI 予約を更新する」の手順を説明どおりに実行すると、ノードがパニック状態になる可能性があります。この手順を実行する際にノードパニックを防ぐには、定足数デバイスを削除したあと、新しい定足数デバイスを構成する前に、scgdevs コマンドを実行します。
『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の第 5 章「Sun Cluster ソフトウェアのアップグレード」で、アップグレードのガイドラインと手順の説明内に Solaris 10 OS の最初の更新リリースとして Solaris 10 10/05 と記載されています。このリリース日付は正しくありません。この文書の公開時点では、Solaris 10 OS の最初の更新バージョンがリリースされる日は不明です。また、この将来のリリースに対するアップグレードのサポートもまだ決定されていません。今後公開される Solaris 10 リリースへのアップグレードに対するサポートについては、ご購入先に問い合わせてください。
Java ES アプリケーションバイナリは、クラスタノードごとにインストールする代わりにクラスタファイルシステム上にインストールすることができます。Solaris 10 クラスタ構成では、pkgadd を使用してデータサービス (エージェント) をインストールする場合は、pkgadd によってアプリケーションに必要な Java ES 共有コンポーネントも手動でインストールする必要があります。
各 Java ES アプリケーションに必要な共有コンポーネントの一覧と、各共有コンポーネント製品のパッケージ一覧については、『Sun Java Enterprise System 2005Q5 Installation Guide』を参照してください。
『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「ローリング以外の アップグレードの前に依存ソフトウェアをアップグレードする」と『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「ローリングアップグレードの前に依存ソフトウェアをアップグレードする」に 2 つの共有コンポーネントについてバージョンレベルを確認する方法が説明されていますが、この説明に誤りがあります。
(誤)
# patchadd -p | grep 114016 |
(正)
# showrev -p | grep 114016 |
(誤)
# pkginfo -l SUNWexplo | grep SUNW_PRODVERS |
(正)
# pkginfo -l SUNWexplo | grep VERSION |
ローリングアップグレードは、今後の Sun Cluster ソフトウェアでサポートされなくなる可能性があります。その場合には、ソフトウェアのアップグレード中に Sun Cluster の停止を制限するほかの手順が用意される予定です。
この節では、SunPlex Manager オンラインヘルプの記述の誤りと記載漏れについて説明します。
オンラインヘルプの「Before Starting」の節の「Sun Cluster HA for Oracle」という項目の記述が正しくありません。
(誤)
/etc/system ファイルに変数 shmsys および semsys のエントリが存在しない場合、デフォルト値が自動的に挿入されます。その後、システムをリブートする必要があります。使用するデータベースにとってデフォルト値が正しいかどうかを、Oracle のインストールマニュアルで確認してください。
(正)
Oracle データサービスのインストール時、/etc/system ファイルに変数 shmsys および semsys のエントリが存在しない場合は、/etc/system を開き、これらの変数のデフォルト値を入力できます。その後システムをリブートする必要があります。入力する値がそのデータベースで正しい値かどうかを、Oracle のインストールマニュアルで確認してください。
「SPM のアイコンと表記規則」というタイトルのオンラインヘルプ内で、「その他のラベル」セクションに示された 2 つの説明に誤りがあります。
(誤)
表 8 その他のラベル
ラベル |
意味 |
---|---|
![]() |
フェイルオーバー型の一次リソースグループ |
![]() |
フェイルオーバー型の二次リソースグループ |
(正)
表 9 その他のラベル
ラベル |
意味 |
---|---|
![]() |
リソースの主ノード |
![]() |
リソースの二次ノード |
この節では、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』内の記述の誤りと漏れについて説明します。
第 3 章の「クラスタインターコネクトによるデータサービストラフィックの送受信」は、次のように修正する必要があります。
クラスタには、ノード間を結ぶ複数のネットワーク接続が必要です。クラスタインターコネクトは、これらの接続から構成されています。クラスタ化ソフトウェアは、可用性や性能を高めるために複数のインターコネクトを使用します。内部と外部の両方のトラフィックの場合 (たとえば、ファイルシステムのデータとスケーラブルサービスのデータ)、メッセージはすべての利用できるインターコネクト間で転送されます。
クラスタインターコネクトは、ノード間の通信の可用性を高めるためにアプリケーションから使用することもできます。たとえば、分散アプリケーションでは、個々のコンポーネントが異なるノードで動作することがあり、その場合には、ノード間の通信が必要になります。パブリック伝送の代わりにクラスタインターコネクトを使用することで、個別のリンクに障害が発生しても、接続を持続することができます。
ノード間の通信にクラスタインターコネクトを使用するには、クラスタのインストール時に設定したプライベートホスト名をアプリケーションで使用する必要があります。たとえば、ノード 1 のプライベートホスト名が clusternode1-priv の場合、その名前を使用してクラスタインターコネクト経由でノード 1 と通信します。この名前を使用して開いた TCP ソケットは、クラスタインターコネクトを介してルーティングされ、ネットワーク障害が発生した場合には透過的に再ルーティングされます。任意の 2 つのノード間のアプリケーション通信はすべてのインターコネクト経由で転送されます。ある特定の TCP 接続のトラフィックは、ある特定の時点では、1 つのインターコネクト上を流れます。異なる TCP 接続はすべてのインターコネクト間で転送されます。さらに、UDP トラフィックは常に、すべてのインターコネクト間で利用されます。
複数のプライベートホスト名がインストール時に設定されているため、クラスタインターコネクトでは、その時点で選択した任意の名前を使用できます。実際の名前は、scha_cluster_get(3HA) に scha_privatelink_hostname_node 引数を指定することによって取得できます。
この節では、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』内の記述の誤りと漏れについて説明します。
『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の「再起動パッチを適用する (ノード)」 に示されているパッチ (ノード) の再起動手順は、ノードごとの手順として逆操作を行うことができません。同様に、Sun Cluster リリースのローリングアップグレードはサポートされていません。Sun Cluster のパッチまたは更新リリースを削除するには、以前のパッチを適用し直すか、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の「再起動パッチを適用する (クラスタおよびファームウェア)」の説明に従ってリリースを更新する必要があります。
『Sun Cluster Data Service for Network File System (NFS) ガイド (Solaris OS 版)』には、NFS v3 で Sun Cluster HA for NFS を使用する場合に適用される制限の一部が記載されていません。
Sun Cluster HA for NFS を使用する場合は、クラスタノードを外部 NFS サーバーの NFS v3 クラスタとして使用することは避けてください。この制限は、外部 NFS サーバーが NAS (network-attached storage) デバイスである場合でも適用されます。クラスタノードをこのように構成すると、クラスタノードが外部 NFS サーバーにロックを設定してある場合、それらのロックが無効になります。
この制限は、NFS v4 クライアントには適用されません。NFS v4 を使用して外部 NFS サーバーをマウントできます。
この節では、『Sun Cluster Data Service for SAP Web Application Server ガイド (Solaris OS 版)』内の記述漏れについて説明します。
システムのホスト名の記述を変更する場合は、対応する SAP ノートを参照してください。SAP ノートには、ホスト名変更に関する最新情報が挙げられています。『Sun Cluster Data Service for SAP Web Application Server ガイド (Solaris OS 版)』では、これらの SAP ノートについての記述が漏れています。
次の節では、ホスト名を変更する方法について説明しています。
『Sun Cluster Data Service for SAP Web Application Server ガイド (Solaris OS 版)』の「SAP Web Application Server と SAP J2EE Engine をインストールして構成するには」では、SAP J2EE エンジンをスケーラブルリソースとして構成する予定がある場合にこのエンジンをどのようにインストールするかが説明されていません。この節に示されている作業の手順 2 と手順 7 は説明が不十分です。
手順 2 を次のように修正してください。
SAP J2EE エンジンを使用している場合は、SAP J2EE エンジンソフトウェアをインストールします。
SAP インストールマニュアルを参照してください。
SAP J2EE エンジンをフェイルオーバーリソースとして構成する予定がある場合は、手順 1 で SAP Web Application Server ソフトウェアをインストールしたノードに SAP J2EE エンジンソフトウェアをインストールします。
SAP J2EE エンジンをスケーラブルリソースとして構成する予定がある場合は、スケーラブルリソースを制御できる各ノードに SAP J2EE エンジンソフトウェアをインストールします。同一の SAP システム番号を使用して、各ノードに SAP J2EE ダイアログインスタンスをインストールします。この番号は、SAP プロファイル内の SAPSYSTEM の値です。
手順 7 を次のように修正してください。
SAP J2EE エンジンを使用している場合は、SAP J2EE エンジンのホスト名を返すように loghost スクリプトを変更します。
手順 6 で作成したスクリプト loghost を、SAP J2EE エンジンの各インスタンスの論理ホスト名または物理ホスト名を返すように変更します。
SAP J2EE エンジンをフェイルオーバーリソースとして構成する予定がある場合は、「論理ホスト名」を返すようにスクリプトを変更します。次に、このスクリプトを変更するコマンドの例を示します。
if [ "$1" = "JC00" ]; then echo loghost-4; fi if [ "$1" = "SCS02" ]; then echo loghost-5; fi if [ "$1" = "J02" ]; then echo loghost-6; fi |
SAP J2EE エンジンをスケーラブルリソースとして構成する予定がある場合は、「物理ホスト名」を返すようにスクリプトを変更します。次に、このスクリプトを変更するコマンドの例を示します。
if [ "$1" = "J03" ]; then echo `hostname`; fi |
この節では、『Sun Cluster Data Service for Solaris Containers ガイド』内の記述の誤りと漏れについて説明します。
『Sun Cluster Data Service for Solaris Containers ガイド』の「構成に関する制限事項」には、フェイルオーバーゾーンまたはマルチマスターゾーンの autoboot プロパティーに適用される制限が記載されていません。
フェイルオーバーゾーンまたはマルチマスターゾーンを作成する場合は、そのゾーンの autoboot プロパティーが false に設定されていることを確認してください。ゾーンの autoboot プロパティーを false に設定することで、大域ゾーンの起動時にそのゾーンが起動することが防止されます。Sun Cluster HA for Solaris Containers データサービスによってゾーンを管理できるのは、そのゾーンがこのデータサービスの制御下で起動される場合だけです。
『Sun Cluster Data Service for Solaris Containers ガイド』の「構成に関する要件」 には、ループバックファイルシステム (LOFS) に適用される要件が挙げられていません。
ループバックファイルシステム (LOFS) が有効になっているか確認してください。
Sun Cluster のインストールツールを使用すると、LOFS が無効になります。ゾーンの管理に Sun Cluster HA for Solaris Containers を使用している場合は、Sun Cluster フレームワークのインストールと構成が完了した時点で LOFS を有効にしてください。LOFS を有効にするには、/etc/system ファイルから次の行を削除します。
exclude: lofs
『Sun Cluster Data Service for Solaris Containers ガイド』の「ゾーンをインストールおよび構成する」の手順には、次の記述誤りがあります。
手順 6 では、それまでの手順でゾーンのインストールと構成が行われたノードを除くすべてのクラスタノードでこの手順を実行する必要があるという記載が漏れています。
手順 6d では、zone.xml ファイルの宛先ディレクトリとして不正なディレクトリが示されています。また、この手順のコマンドでは、zone.xml ファイルの名前にドットが抜けています。この手順とコマンドは、次のように修正する必要があります。
ノード上の /etc/zones ディレクトリに zone.xml ファイルをコピーします。
# rcp zone-install-node:/etc/zones/zone.xml .
次の節にあるコード例には記述誤りがあります。
『Sun Cluster Data Service for Solaris Containers ガイド』の「ゾーンスクリプトの記述」
『Sun Cluster Data Service for Solaris Containers ガイド』の「SMF サービスプローブの記述」
両方のセクションの正しいコードは次のとおりです。
# cat /var/tmp/probe-apache2 #!/usr/bin/ksh if echo "GET; exit" | mconnect -p 80 > /dev/null 2>&1 then exit 0 else exit 100 fi
この節では、『Sun Cluster 3.1 With Network-Attached Storage Devices Manual for Solaris OS』内の記述の誤りと漏れについて説明します。
NetApp NAS ユニットは、すべてのクラスタノードに直接接続しているネットワークに直結する必要があります。
NetApp NAS ファイラのセットアップを行う際には、『Sun Cluster 3.1 With Network-Attached Storage Devices Manual for Solaris OS』の「Installing a Network Appliance NAS Device in a Sun Cluster Environment」内の手順に加えて、次の手順も実行する必要があります。
/etc/inet/hosts に NetApp NAS ファイラ名を追加します。
すべてのクラスタノード上の /etc/inet/hosts ファイルに、ファイラのホスト名からアドレスへのマッピング情報を追加します。次に例を示します。
netapp-123 192.168.11.123 |
/etc/inet/netmasks にファイラ (NAS サブセット) ネットマスクを追加します。
ファイラが存在するサブネットのすべてのクラスタノードで、/etc/inet/netmasks ファイルにエントリを追加してください。次に例を示します。
192.168.11.0 255.255.255.0 |
すべてのクラスタノードの /etc/nsswitch.conf ファイル内の hosts エントリと netmasks エントリをチェックし、nis と dns よりも先に files が出現しているかを確認します。このような順になっていない場合は、/etc/nsswitch.conf 内の対応する行を編集し、nis と dns の前に files を移動してください。
この節では、Sun Cluster のマニュアルページの記述の誤りと記載漏れについて説明します。
Writer: Per Prasad, this procedure applies to U3.Sun Cluster 3.0 データサービスのマニュアルページを表示するには、Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェア上にインストールされている Sun Cluster 3.0 データサービスの最新のパッチをインストールしてください。詳細については「パッチと必須ファームウェアのレベル」を参照してください。
パッチを適用したあとで、マニュアルページのフルパスを引数として指定して man -M コマンドを実行し、Sun Cluster 3.0 データサービスマニュアルページにアクセスしてください。たとえば、次のように入力すると Apache のマニュアルページが開かれます。
% man -M /opt/SUNWscapc/man SUNW.apache |
フルパスを指定せずに Sun Cluster 3.0 データサービスのマニュアルページにアクセスできるようにするには、MANPATH を修正してください。次に、MANPATH に Apache マニュアルページのパスを追加して Apache マニュアルページを表示するコマンド例を示します。
% MANPATH=/opt/SUNWscapc/man:$MANPATH; export MANPATH % man SUNW.apache |