Sun Cluster 3.1 8/05 ご使用にあたって (Solaris OS 版)

既知の問題点とバグ

次に示す既知の問題とバグは、Sun Cluster 3.1 8/05 リリースの処理に影響を与えます。

起動デバイスがマルチパス状態である場合、scvxinstall により不正な vfstab エントリが作成される (4639243)

問題の概要: 起動デバイスがマルチパス状態である場合、scvxinstall により不正な /etc/vfstab エントリが作成されます。

対処方法: scvxinstall を実行し、カプセル化を選択します。次のメッセージが表示されたら Ctrl + C キーを押して再起動を中止します。


This node will be re-booted in 20 seconds. Type Ctrl-C to abort.

/global/.devices が、/dev/did/{r}dsk 名ではなく /dev/{r}dsk/cXtXdX 名を使用するように、vfstab エントリを編集します。この変更されたエントリにより、VxVM はそのエントリをルートディスクとして認識できます。scvxinstall を再実行してカプセル化を選択します。vfstab ファイルには必要な更新が含まれています。再起動できるようにします。カプセル化は通常通り行われます。

Procedureマルチパス状態の起動デバイスで表示される /etc/vfstab エラーを修正する

手順
  1. scvxinstall を実行し、カプセル化を選択します。

    次のメッセージが表示されます。


    This node will be re-booted in 20 seconds.  Type Ctrl-C to abort.
  2. 再起動を中止します。


    Ctrl-C
  3. /global/.devices/dev/did/{r}dsk 名ではなく /dev/{r}dsk/cXtXdX 名を使用するように /etc/vfstab エントリを編集します。

    この変更されたエントリにより、VxVM はそのエントリをルートディスクとして認識できます。

  4. scvxinstall を再実行してカプセル化を選択します。

    /etc/vfstab ファイルには必要な更新が含まれています。再起動できるようにします。カプセル化は通常通り行われます。

SAP liveCache の停止メソッドがタイムアウトする (4836272)

問題の概要: Sun Cluster HA for SAP liveCache データサービスは、liveCache の起動と終了に dbmcli コマンドを使用します。Solaris 9 を使用している場合、クラスタノードのパブリックネットワークに障害が発生すると、ネットワークサービスが利用できなくなる可能性があります。

対処方法: liveCache リソースの主ノードになることのできる各ノード上で、/etc/nsswitch.conf ファイル内の publickey データベースに次のエントリのうち 1 つを追加します。

publickey: 
publickey:  files
publickey:  files [NOTFOUND=return] nis 
publickey:  files [NOTFOUND=return] nisplus

Sun Cluster Data Service for SAP liveCache ガイド (Solaris 版)』 に説明されている更新に加えて、上記エントリのうちの 1 つを追加することにより、su コマンドと dbmcli コマンドは NIS/NIS+ ネームサービスを参照しなくなります。NIS/NIS+ ネームサービスを参照しなくなることにより、ネットワークに障害が発生していても、データサービスは正しく起動および停止します。

nsswitch.conf 条件を passwd データベースに適用してはならない (4904975)

問題の概要: 『Sun Cluster Data Service for SAP liveCache ガイド (Solaris OS 版)』「ノードとディスクの準備」で説明されている、nsswitch.conf ファイルに関する条件は、passwd データベースのエントリには適用されません。このような条件に適合する場合、パブリックネットワークが停止しているときに su コマンドを実行すると、liveCache リソースをマスターできるノードがすべてハングする可能性があります。

対処方法: liveCache リソースをマスターできるすべてのノード上で、/etc/nsswitch.conf ファイル内の passwd データベース用のエントリが次のようになっていることを確認します。

passwd: files nis [TRYAGAIN=0]

sccheck がハングする (4944192)

問題の概要: 複数のノードから同時に sccheck を起動すると、このプログラムはハングする可能性があります。

対処方法: 複数のノードにコマンドを渡すマルチコンソールからは sccheck を起動しないでください。sccheck は重なってもかまいませんが、同時に起動してはなりません。

Java バイナリを正しくない Java バージョンにリンクすると、HADB エージェントが適切に動作しない (4968899)

問題の概要: 現時点では、HADB データサービスは JAVA_HOME 環境変数を使用しません。このため、HADB データサービスから HADB を起動すると、HADB は /usr/bin/ から Java バイナリを取得します。HADB データサービスを適切に稼働させるためには、/usr/bin/ 内の Java バイナリを V1.4 以降の適切なバージョンの Java にリンクさせる必要があります。

対処方法: 使用可能なデフォルトバージョンを変更しても構わない場合は、次の手順を実行します。例として、この対処方法では /usr/j2se ディレクトリに最新バージョンの Java (1.4 以降など) があるとします。

  1. /usr/ ディレクトリ内に java/ というディレクトリが存在する場合は、このディレクトリを一時的な場所に移します。

  2. /usr/ ディレクトリから、/usr/bin/java およびその他すべての Java 関連のバイナリを、適切なバージョンの Java にリンクします。


    # ln -s j2se java
    

使用可能なデフォルトのバージョンを変更したくない場合は、/opt/SUNWappserver7/SUNWhadb/4/bin/hadbm スクリプトで、適切なバージョンの Java (J2SE 1.4 以降) を使用して、JAVA_HOME 環境変数を割り当てます。

クラスタノードを新たに追加する場合、クラスタを再起動する必要がある (4971299)

問題の概要: Sun Cluster Support for Oracle Real Application Clusters を実行し、かつ VxVM クラスタ機能を使用するというノードをクラスタに追加する場合、この新しいノードはほかのノードで稼働しているクラスタ機能に認識されません。

対処方法: この問題については、VERITAS から VxVM 3.5 MP4 および VxVM 4.0 MP2 の修正パッチが提供される予定です。現時点では、VxVM 4.1 の修正パッチが出ています。

コード修正パッチがまだ入手できない状況でこの問題を解決する場合は、Oracle データベースを再起動し、各クラスタノードを再起動してください。これにより、Oracle UDLM の同期がとられると同時に VxVM クラスタ機能が更新され、追加されたノードが認識されるようになります。


注 –

この手順が完了するまで、新しいノードに対する Sun Cluster Support for Oracle Real Application Clusters のインストールと構成は行わないでください。


  1. 追加したばかりのノード以外のクラスタノードで、Oracle Real Application Clusters データベースを停止します。

  2. Oracle データベースを停止したノードを再起動します。


    # scswitch -S -h thisnode
    # shutdown -g0 -y -i6
    

    次の手順に進む前に、ノードが完全に再起動してクラスタ内に復帰するまで待機します。

  3. Oracle データベースを再起動します。

  4. Sun Cluster Support for Oracle Real Application Clusters を実行するほかの各ノードで、手順 1 〜 3 を繰り返します。

    • Oracle データベースワークロードの処理を単一のノードで行うことができる場合は、これらの手順を複数のノードで同時に実行できます。

    • Oracle データベースワークロードをサポートするのに複数のノードが必要な場合は、一度に 1 つのノードでこれらの手順を実行してください。

スペアのない HA-DB が再度初期化される (4973982)

問題の概要: バグ 4974875 により、HA-DB の自動回復が行われるたびに、このデータベースはスペアを残すことなく初期化されます。このバグは HA-DB リリース 4.3 で修正され、このリリースに組み込まれています。HA-DB 4.2 およびそれ以前のリリースについては、次のいずれかの手順に従って HA-DB ノードの役割を変更します。

対処方法: 次のいずれかの手順に従って、HA-DB ノードの役割を変更します。

  1. 自動回復が成功した後に役割が変更された HA-DB ノードを特定します。

  2. 手順 1 で特定したすべてのノード、そして一度に 1 つのノードで、問題の HA-DB リソースの障害モニターを無効にします。


    # cladm noderole -db dbname -node nodeno -setrole role-before-auto_recovery
    
  3. 問題の HA-DB リソースの障害モニターを有効にします。

    または

  1. 自動回復が成功した後に役割が変更された HA-DB ノードを特定します。

  2. データベースをホストするすべてのノードで、問題の HA-DB リソースの障害モニターを無効にします。

  3. ノードのいずれかで、役割を変更する必要がある各 HA-DB ノードに対して次のコマンドを実行します。


    # cladm noderole -db dbname -node nodeno -setrole role-before-auto_recovery
    

ローリングアップグレード時に pnmd がほかのノードからアクセスできない (4997693)

問題の概要: ローリングアップグレードがまだ完了していないノードが存在する場合、それらのノードはアップグレードが完了しているノード上の IPMP グループを認識できません。

対処方法: クラスタ上のすべてのノードでアップグレードを完了します。

「Advanced Filter」パネルの「Date」フィールドが書式 mm/dd/yyyy しか受け付けない (5075018)

問題の概要: SunPlex Manager の「Advanced Filter」パネルにある「Date」フィールドが受け付けるのは、mm/dd/yyyy という書式だけです。しかし、英語以外のロケール環境では、日付の書式は mm/dd/yyyy 以外であり、「Calendar」パネルが返す日付書式も mm/dd/yyyy 以外です。

対処方法: 「Advanced Filer」パネルに日付範囲を mm/dd/yyyy という書式で入力します。カレンダの表示と日付の選択に、「Set...」ボタンは使用しないでください。

日本語ロケールでは scrgadm のエラーメッセージにジャンクキャラクタが含まれる (5083147)

問題の概要: 日本語ロケールでは、scrgadm が生成するエラーメッセージは正しく表示されません。エラーメッセージにジャンクキャラクタ (ごみ文字) が含まれます。

対処方法: システムロケールを英語で実行し、エラーメッセージを英語で表示します。

/usr/cluster/lib/cmass/ipmpgroupmanager.sh スクリプトが IPv6 インタフェースを unplumb する (6174170)

問題の概要: SunPlex Manager は、/usr/cluster/lib/cmass/ipmpgroupmanager.sh を使用して IPMP グループから IPMP グループ名と IPMP アダプタを削除します。このスクリプトはグループ名の削除だけを目的に /etc/hostname6.adaptername ファイルを正しく更新しますが、次の ifconfig コマンドを実行して IPv6 インタフェースを unplumb します。


ifconfig adaptername inet6 unplumb

対処方法: ノードを再起動し、インタフェースを plumb up します。あるいは、ノード上で次の ifconfig コマンドを実行することもできます。この場合、ノードを再起動する必要はありません。


ifconfig adaptername inet6 plumb up

IPMP グループページはユーザーが選択した IP バージョンに基づいてアダプタリストを生成すべきである (6174805)

問題の概要: IPMP グループページに表示されるアダプタリストが、ユーザーが選択した IP バージョンに基づいたものではありません。このページには、グループが構成されていないすべてのアダプタが表示されます。このリストは、「IP Version」ラジオボタンが選択される際に次のように更新する必要があります。

対処方法: IP バージョンを選択したあと、その IP バージョンで有効になるアダプタだけをリストから選択するようにします。

アダプタを IPv4-and-IPv6 から IPv4-only に移行する場合、IPv4 バージョンが削除されない (6179721)

問題の概要: IPMP グループページに表示されるアダプタリストは、ユーザーが選択する IP バージョンに基づいています。現在の SunPlex Manager には、IP バージョンにかかわらず常にアダプタの全一覧を表示するというバグがあります。本来、IPv4 と IPv6 の両方に有効になっているアダプタを IPv4-only (IPv4 のみに有効) に移行することをユーザーに許可するべきではありません。

対処方法: ユーザーは、IPv4 と IPv6 の両方に対応するように構成されたアダプタを IPv4-only に移行するべきではありません。

SUNWasvr パッケージがインストールされていないと Sun Java System Administration Server の構成が失敗する (6196005)

問題の概要: Sun Java System Administration Server がインストールされていない状態で Sun Java System Administration Server 用にデータサービスを構成しようとすると、失敗します。この試みが失敗するのは、SUNW.mps リソースタイプが /etc/mps/admin/v5.2/cluster/SUNW.mps ディレクトリの存在を要求するためです。このディレクトリが存在するのは、SUNWasvr パッケージがインストールされている場合だけです。

対処方法: この問題を解決するには、次の手順を実行します。

ProcedureSUNWasvr パッケージをインストールする

手順
  1. クラスタノードの 1 つでルートユーザーとしてログインするか、あるいはルートユーザーと同等の役割を取得します。

  2. SUNWasvr パッケージがインストールされているかどうかを確認します。


    # pkginfo SUNWasvr
    
  3. SUNWasvr パッケージがインストールされていない場合は、次の手順を実行して Sun Cluster CD-ROM からパッケージをインストールします。

    1. 適切なドライブに Sun Cluster 2 of 2 CD-ROM を挿入します。

    2. SUNWasvr パッケージが入っているディレクトリに移動します。


      # cd /cdrom/cdrom0/Solaris_sparc/Product/administration_svr/Packages
      
    3. 次のコマンドを入力してパッケージをインストールします。


      # pkgadd -d . SUNWasvr
      
    4. ドライブから CD-ROM を取り出します。

startd/duration に加えた変更がただちに有効にならない (6196325)

問題の概要: Solaris 10 においては、Sun Cluster HA for NFS データサービスは Service Management Facility (SMF) サービスである /network/nfs/server/network/nfs/status、および /network/nfs/nlockmgrに関してプロパティー /startd/durationtransient に設定します。プロパティーをこのように設定するのは、障害発生時に SMF がこれらのサービスを再起動しないようにするためです。このプロパティー設定にもかかわらず、SMF 内のあるバグのために SMF は最初の障害のあと /network/nfs/status/network/nfs/nlockmgr を再起動してしまいます。

対処方法: Sun Cluster HA for NFS を正しく稼働させるためには、最初の Sun Cluster HA for NFS リソースを作成したあと、その Sun Cluster HA for NFS リソースをオンラインにする前に、次のコマンドをすべてのノードで実行します。


# pkill -9 -x 'startd|lockd'

Sun Cluster を初めて起動した場合は、最初の Sun Cluster HA for NFS リソースを作成したあと、Sun Cluster HA for NFS リソースをオンラインにする前に、上記のコマンドを主ノードになることができるすべてのノードで実行してください。

scinstall によってコピーされない共通エージェントコンテナセキュリティーファイルがある (6203133)

問題の概要: クラスタにノードが追加される際、scinstall ユーティリティーは追加されるノードに NSS (Network Security Services) ファイルが存在するかどうかをチェックします。これらのファイルとセキュリティー鍵は、共通エージェントコンテナ に必要なものです。NSS ファイルが存在すると、このユーティリティーは追加されるノードにスポンサノードから 共通エージェントコンテナ セキュリティーファイルをコピーします。スポンサノードに NSS セキュリティー鍵がインストールされていないと、コピーは失敗し、scinstall 処理は中断します。

対処方法: 次の手順を実行して NSS ソフトウェアをインストールし、セキュリティー鍵を作成し直したあと、既存のクラスタノードで 共通エージェントコンテナ を再起動します。

Procedureクラスタにノードを追加する際に NSS ソフトウェアをインストールする

既存のすべてのクラスタノードで、スーパーユーザーになるか、あるいは適切なアクセス権を許可する役割を取得して、次の手順を実行します。

始める前に

Java ES 1 of 2 CD-ROM を用意します。NSS パッケージは /cdrom/cdrom0/Solaris_arch/Product/shared_components/Packages/ に入っています (archsparc または x86ver は Solaris 8 の場合 8、Solaris 9 の場合 9、Solaris 10 の場合 10)。

手順
  1. 各ノードで、Sun Web Console エージェントを停止します。


    # /usr/sbin/smcwebserver stop
    
  2. 各ノードで、セキュリティーファイルエージェントを停止します。


    # /opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm stop
    
  3. 各ノードで、NSS パッケージがインストールされているかを確認し、インストールされている場合はそのバージョンも確認します。


    # cat /var/sadm/pkg/SUNWtls/pkginfo | grep SUNW_PRODVERS
    SUNW_PRODVERS=3.9.4
  4. 3.9.4 よりも前のバージョンの NSS パッケージがインストールされている場合は、その既存 NSS パッケージを削除します。


    # pkgrm packages
    

    次の表は、各ハードウェアプラットフォームにインストールできるパッケージを示しています。

    ハードウェアプラットフォーム 

    NSS パッケージ名 

    SPARC 

    SUNWtls SUNWtlsu SUNWtlsx

    x86 

    SUNWtls SUNWtlsu

  5. NSS パッケージを削除した各ノードと、NSS パッケージがインストールされていなかった各ノードで、Java ES 1 of 2 CD-ROM から最新の NSS パッケージをインストールします。

    • Solaris 8 または Solaris 9 OS の場合は、次のコマンドを実行します。


      # pkgadd -d . packages
      
    • Solaris 10 OS の場合は、次のコマンドを実行します。


      # pkgadd -G -d . packages
      
  6. CD-ROM に含まれていないディレクトリに移動し、CD-ROM を取り出します。


    # eject cdrom
    
  7. 各ノードで、NSS セキュリティー鍵を作成します。


    # /opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm create-keys
    
  8. 各ノードで、セキュリティーファイルエージェントを起動します。


    # /opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm start
    
  9. 各ノードで、Sun Web Console エージェントを起動します。


    # /usr/sbin/smcwebserver start
    
  10. クラスタに追加するノードで、scinstall ユーティリティーを再起動し、新しいノードをインストールする手順を実行します。

IPv4 と IPv6 が有効になったアダプタが含まれるパブリックインタフェースグループを SunPlex Manager から削除しようとすると失敗することがある (6209229)

問題の概要: IPv4 と IPv6 の両方が有効になったアダプタが含まれるパブリックインタフェースグループを削除しようとすると、グループから IPv6 アダプタが削除される時点で失敗することがあります。次のエラーメッセージが表示されます。


ifparse: Operation netmask not supported for inet6
/sbin/ifparse
/usr/cluster/lib/cmass/ipmpgroupmanager.sh[8]:
/etc/hostname.adaptname.tmpnumber: cannot open

対処方法: /etc/hostname6.adaptername ファイルを編集し、次の行を含めます。


plumb
up
-standby

クラスタノード上で次のコマンドを実行します。


ifconfig adaptername inet6 plumb up -standby

再起動パッチ (ノード) 手順の実行中にメモリーリークが発生する (バグ 6210440)

問題の概要: Sun Cluster 3.1 9/04 ソフトウェアから Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアにローリングアップグレードを実行しようとすると、最初にアップグレードされたノードがクラスタモードで再起動される際に引き起こされるメモリー問題が原因となり、Sun Cluster ソフトウェアがハングします。

対処方法: Sun Cluster 3.1 9/04 ソフトウェアまたは同等のパッチ (リビジョン 09 以降) を実行している場合で、再起動パッチ手順を実行して Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアまたは同等のパッチ (リビジョン 12) にアップグレードするときは、クラスタのアップグレードまたはこのコアパッチの適用を行う前に次の手順を行う必要があります。

ProcedureSun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアにアップグレードするための準備作業を行う

手順
  1. 使用環境の可用性要件に適したパッチインストール手順の種類を選択します。

    • 再起動パッチ (ノード)

    • 再起動パッチ (クラスタとファームウェア)

    これらのパッチインストール手順は、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の第 8 章「Sun Cluster ソフトウェアとファームウェアのパッチ」に示されています。

  2. 使用しているオペレーティングシステムに応じ、次に示すパッチの 1 つを適用します。

    • 117909-11 Sun Cluster 3.1 Core Patch for SunOS 5.9 X86

    • 117950-11 Sun Cluster 3.1 Core Patch for Solaris 8

    • 117949-11 Sun Cluster 3.1 Core Patch for Solaris 9

    パッチインストール手順は、Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアまたは同等のパッチ (リビジョン 12) にアップグレードする前にすべて完了する必要があります。

Sun Cluster インストールのあとゾーンインストールとゾーン起動を行うことができない (6211453)

問題の概要: Sun Cluster ソフトウェアのインストールでは/etc/systemexclude: lofs が追加されます。lofs はゾーンの機能にとって重要なものであるため、zone installzone boot の両方が失敗します。

対処方法: ゾーンを作成する前に次の手順を実行します。

ProcedureSun Cluster インストールのあとゾーンインストールとゾーン起動を行う

手順
  1. Sun Cluster HA for NFS を使用している場合は、NFS サーバーによってエクスポートされる高可用ローカルファイルシステムの一部であるファイルをすべて自動マウンタマップから除外します。

  2. 各クラスタノードで、/etc/system ファイルを編集し、exclude: lofs 行をすべて削除します。

  3. クラスタを再起動します。

ブート時にクラスタファイルシステムがマウントに失敗した場合、その復旧に Solaris 10 は付加的な作業を必要とする (6211485)

問題の概要: ブート時にクラスタファイルシステムがマウントに失敗した場合、Solaris 10 OS は以前のバージョンの Solaris OS とは異なる復旧手順を必要とします。mountgfsys サービスは、ログインプロンプトを提示することなく 失敗してノードを保守状態にする可能性があります。この場合、次のようなメッセージが表示されます。


WARNING - Unable to globally mount all filesystems.
Check logs for error messages and correct the problems.
 
May 18 14:06:58 pkaffa1 svc.startd[8]: system/cluster/mountgfsys:default misconfigured
 
May 18 14:06:59 pkaffa1 Cluster.CCR: /usr/cluster/bin/scgdevs: 
Filesystem /global/.devices/node@1 is not available in /etc/mnttab.

対処方法: クラスタファイルシステムのマウントの問題を解決したあと、mountgfsys サービスを手動でオンラインに戻す必要があります。次のコマンドを実行して mountgfsys サービスをオンラインに戻し、広域デバイス名前空間の同期をとります。


# svcadm clear svc:/system/cluster/mountgfsys:default
# svcadm clear svc:/system/cluster/gdevsync:default

これで起動処理が持続するようになります。

サポートされていない Solaris 10 OS へのアップグレードを行うと /etc/path_to_inst ファイルが壊れる (6216447)

問題の概要: Sun Cluster 3.1 8/05 ソフトウェアは、Solaris 10 OS の 2005 年 3 月リリースへのアップグレードをサポートしません。このリリースへのアップグレードを試みると、/etc/path_to_inst ファイルが壊れる可能性があります。このファイル破壊が起きると、一般にノードは正常に起動されません。壊れたファイルには、同じデバイス名 (物理デバイス名に接頭辞 /node@nodeid が含まれる点を除く) の一部が繰り返し現れます。次に例を示します。


…
"/node@nodeid/physical_device_name" instance_number "driver_binding_name"
…
"/physical_device_name" instance_number "driver_binding_name"

さらに、主要な Solaris サービスの一部 (ネットワーキングやファイルシステム監視など) が開始に失敗したり、サービスの構成が不正であると伝えるメッセージがコンソールに出力されたりする可能性があります。

対処方法: 次の手順を使用します。

Procedure壊れた/etc/path_to_inst ファイルを回復させる

次に、Solaris 10 ソフトウェアへのアップグレードで /etc/path_to_inst ファイルの破壊が起きた場合の回復手順を示します。


注 –

この手順では、Sun Cluster 構成から Solaris 10 OS の 2005 年 3 月リリースへのアップグレードに関連したほかの問題の解決は行われません。


この手順は、Solaris 10 OS の 2005 年 3 月リリースへアップグレードされているノードごとに行なってください。

始める前に

ノードの起動を行うことができない場合、ネットワークまたは CD-ROM からノードを起動してください。ノードが立ち上がったところで、fsck コマンドを実行し、パーティションの 1 つ (/a など) にローカルファイルシステムをマウントしてください。手順 2 では、/etc ディレクトリのパスにローカルファイルシステムマウントの名前を指定してください。

手順
  1. ノード上で、スーパーユーザーになるか、あるいは同等の役割を取得します。

  2. /etc ディレクトリに移動します。


    # cd /etc
    
  3. path_to_inst ファイルが壊れているかどうかを確認します。

    path_to_inst ファイルが壊れている場合には、次の文字が存在します。

    • 物理デバイス名の先頭に /node@nodeid が示されたエントリブロックが含まれる。

    • 同じエントリの一部が、接頭辞 /node@nodeid を除いた状態で再度出現する。

    ファイルがこのような構成になっていない場合には、問題がほかに存在します。この手順を継続しないでください。サポートが必要な場合は、製品の購入先に問い合わせてください。

  4. path_to_inst ファイルが手順 3 で説明されているように壊れている場合は、次のコマンドを実行します。


    # cp path_to_inst path_to_inst.bak
    # sed -n -e "/^#/p" -e "s,node@./,,p" path_to_inst.bak > path_to_inst
    
  5. path_to_inst ファイルを調べ、ファイルが修復されたかを確認します。

    修復されたファイルは、次のように変更されています。

    • すべての物理デバイス名から接頭辞 /node@nodeid が削除されている。

    • どの物理デバイス名もエントリが重複していない。

  6. path_to_inst ファイルのアクセス権が読み取り専用であることを確認します。


    # ls -l /etc/path_to_inst
    -r--r--r--   1 root     root        2946 Aug  8  2005 path_to_inst
  7. 非クラスタモードで再構成リブートを行います。


    # reboot -- -rx
    
  8. 影響を受けたクラスタノードをすべて修復したあと、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』「ローリング以外の アップグレードの前に依存ソフトウェアをアップグレードする」に移動し、アップグレード処理を継続します。

CMM 再構成コールバックがタイムアウトし、ノードの強制終了が発生する (6217017)

問題の概要: ce トランスポートを使用した x86 クラスタでは、スプリットブレイン (split-brain) の結果、高負荷状態のノードが CMM によって停止されることがあります。

対処方法: プライベートネットワークで PCI Gigaswift Ethernet カードを使用している x86 クラスタでは、/etc/system に次の行を追加します。


set ce:ce_tx_ring_size=8192

3 つ以上のノードから構成され、Solaris 10 と日立製ストレージを使用しているクラスタに別のノードが追加されるか、あるいはこのようなクラスタからノードが削除される場合、クラスタを構成しているノードがパニック状態になることがある (6227074)

問題の概要: 3 つ以上のノードから構成され、Solaris 10 と日立製ストレージを使用しているクラスタでは、そのクラスタに別のノードが追加されるか、そのクラスタからノードが削除される場合、すべてのクラスタノードがパニック状態になる可能性があります。

対処方法: 現時点では対処方法はありません。この問題が発生した場合は、製品の購入先に連絡し、パッチを入手してください。

Java ES 2005Q4 installer で Application Server 8.1 EE が完全にインストールされない (6229510)

問題の概要: Java ES 2005Q4 installerConfigure Later オプションを選択して Application Server Enterprise Edition 8.1 をインストールすることはできません。Configure Later オプションを選択した場合、Platform Edition はインストールされますが、Enterprise Edition はインストールされません。

対処方法: Java ES installer を使用して Application Server Enterprise Edition 8.1 をインストールする際には、Configure Now オプションを使用してください。Configure Later オプションを選択した場合、インストールされるのは Platform Edition だけです。

scvxinstall を実行すると rpcbind が再開する (6237044)

問題の概要: SMF バインドサービスを再開すると、Solaris Volume Manager の処理に影響を与える可能性があります。Veritas 4.1 VxVM パッケージをインストールすると、SMF バインドサービスが再開します。

対処方法: バインド SMF サービスを再開した場合、または S10 ホストに VxVM 4.1 をインストールした場合は、その直後に Solaris Volume Manager を再起動します。


svcadm restart svc:/network/rpc/scadmd:default

Solaris 10 を使用しているシステムでは、Java ES installer を使用して Sun Cluster をインストールしたあと Sun Cluster データサービスをインストールすることができない (6237159)

問題の概要: この問題が発生するのは、Solaris 10 を使用しているシステム上だけです。Sun Cluster コアがインストールされたあとで Sun Cluster Agents CD-ROM 上の Java ES installer を使用して Sun Cluster データサービスをインストールしようとすると、installer は次のメッセージを表示して停止します。


The installer has determined that you must manually remove incompatible versions 
of the following components before proceeding: 

[Sun Cluster 3.1 8/05, Sun Cluster 3.1 8/05, Sun Cluster 3.1 8/05]

After you remove these components, go back. 
Component                       Required By ...

1. Sun Cluster 3.1 8/05     HA Sun Java System Message Queue : HA Sun Java 
                            System Message Queue 
2. Sun Cluster 3.1 8/05     HA Sun Java System Application Server : HA Sun Java 
									System Application Server 
3. Sun Cluster 3.1 8/05     HA/Scalable Sun Java System Web Server : HA/Scalable 
									Sun Java System Web Server 
4. Select this option to go back to the component list. This process might take
									a few moments while the installer rechecks your
									system for installed components.

Select a component to see the details. Press 4 to go back the product list
[4] {"<" goes back, "!" exits}

対処方法: Solaris 10 を使用しているシステムでは、pkgadd または scinstall を使用して Sun Cluster データサービスを手動でインストールします。Sun Cluster データサービスが共有コンポーネントに依存している場合は、pkgadd を使用してそれらの共有コンポーネントを手動でインストールします。次のサイトには、各製品の共有コンポーネントが示されています。

http://docs.sun.com/source/819-0062/preparing.html#wp28178

エラーメッセージ /usr/sbin/smcwebserver: ... j2se/opt/javahelp/lib: does not exist (6238302)

問題の概要: Sun Web Console の起動時に、次のメッセージが表示されることがあります。


/usr/sbin/smcwebserver:../../../../j2se/opt/javahelp/lib: does not exist

対処方法: このメッセージは無視してかまいません。次のコマンドを入力し、正しい Java Help 2.0 を指すように /usr/j2se/opt に手動でリンクを追加することができます。


# ln -s /usr/jdk/packages/javax.help-2.0 /usr/j2se/opt/javahelp

Solaris 9 で Sun Cluster 3.1 4/04 を使用している状況で Solaris 10 にアップグレードするとノードがパニック状態になる (6245238)

問題の概要: バージョン 3.1 4/04 以前の Sun Cluster ソフトウェアを使用しているクラスタで Solaris 9 OS から Solaris 10 OS にアップグレードしたあとで非クラスタモードでノードを起動すると、ノードがパニック状態になります。

対処方法: Solaris 9 から Solaris 10 ソフトウェアにアップグレードする場合は、アップグレード作業の前に次に示すパッチの一方をインストールします。

SunPlex Installer がリソースグループ内にリソースを作成しない (6250327)

問題の概要: SunPlex Installer を使用して Sun Cluster インストールの一部としてデータサービス Sun Cluster HA for Apache と Sun Cluster HA for NFS を構成する場合、必要なデバイスグループとリソースがリソースグループ内に作成されません。

対処方法: データサービスのインストールと構成には SunPlex Installer を使用しないでください。代わりに、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』『Sun Cluster Data Service for Apache ガイド (Solaris OS 版)』または『Sun Cluster Data Service for Network File System (NFS) ガイド (Solaris OS 版)』に示されている手順に従い、これらのデータサービスのインストールと構成を行なってください。

6244819 の NFSv4 修正をサポートするように HA-NFS が変わる (6251676)

問題の概要: Sun Cluster 3.1 8/05 では NFSv4 はサポートされていません。

対処方法: Solaris 10 では、新バージョンの NFS プロトコル NFSv4 が導入されました。これは、Solaris 10 クライアントと Solaris 10 サーバーのデフォルトプロトコルです。Sun Cluster 3.1 8/05 リリースは Solaris 10 をサポートしますが、NFS サーバーの高可用性を達成する目的でクラスタ上で Sun Cluster HA for NFS サービスを稼働させて NFSv4 プロトコルを使用することはサポートしません。Sun Cluster ソフトウェアで NFS サーバーとの対話に NFS クライアントが NFSv4 プロトコルを使用しないようにするには、/etc/default/nfs ファイルを編集して NFS_SERVER_VERSMAX=4 と記述された行を NFS_SERVER_VERSMAX=3 に変更します。この変更で、クラスタ上の Sun Cluster HA for NFS サービスのクライアントは NFSv3 プロトコルだけを使用するようになります。

注: この制限および上記の対処は、Solaris 10 クラスタノードを NFSv4 クライアントとして使用することには影響を与えません。クラスタノードは、NFSv4 クライアントとして稼働できます。

rpcbind サービスを再開したあとで metaset コマンドが失敗する (6252216)

問題の概要: rpcbind サービスが再開されたあとに metaset コマンドを実行すると、このコマンドは失敗します。

対処方法: Sun Cluster システム上で構成処理が進行していないことを確認した上で、次のコマンドを使用して rpc.metad プロセスを停止します。


# pkill -9 rpc.metad

metaclust のリターンステップエラー「RPC: Program not Registered」が原因でノードがパニックになる (6256220)

問題の概要: クラスタの停止時に、ノード上におけるサービスの停止順が原因となってノードの一部がパニック状態となることがあります。RAC フレームワークが停止される前に RPC サービスが停止されると、SVM リソースが再構成を試みる際にエラーが発生する可能性があります。この結果、RAC フレームワークにエラーが報告され、ノードパニックを引き起こします。この問題は、これまでのところ SVM ストレージオプションを使用して RAC フレームワークを稼働させている Sun Cluster で見つかっています。Sun Cluster の機能性には影響がないはずです。

対処方法: このパニックは意図的なものであり、無視しても問題ありません。しかし、ファイルシステム領域を解放するために、保存されたコアファイルのクリーンアップを行う必要があります。

NIS アドレス解決がハングし、その結果フェイルオーバーが失敗する (6257112)

問題の概要: Solaris 10 OS では、/etc/nsswitch.conf ファイルは ipnodes エントリに NIS を含むように変更されました。


ipnodes:    files nis [NOTFOUND=return]

この変更により、NIS 問題またはすべてのパブリックネットワークアダプタに障害が起きたことが原因で NIS がアクセス不能になった場合には、アドレス解決がハングします。この問題は、最終的にフェイルオーバーリソースまたは共有アドレスリソースのフェイルオーバーの失敗を引き起こします。

対処方法: 論理ホストリソースまたは共有アドレスリソースを作成する前に、次の処理を実行します。

  1. /etc/nsswitch.conf ファイル内の ipnodes エントリを [NOTFOUND=return] から [TRYAGAIN=0] に変更します。


    ipnodes:    files nis [TRYAGAIN=0]
  2. /etc/inet/hosts ファイルだけでなく /etc/inet/ipnodes ファイルにも論理ホストのすべての IP アドレスと共有アドレスが追加されたかを確認します。

scinstall で Sun Cluster Data Service for SAP J2EE engine のアップグレードが行えない (6263451)

問題の概要: Sun Cluster Data Service for Sun Java System Application Server EE を 3.1 9/04 から 3.1 8/05 に更新しようとすると、scinstallj2ee 用のパッケージを削除せず、次のメッセージを表示します。


Skipping "SUNWscswa" - already installed

Sun Cluster Data Service for Sun Java System Application Server EE はアップグレードされません。

対処方法: 次のコマンドを使用し、sap_j2ee パッケージの削除と追加を手動で行います。


# pkgadd [-d device] SUNWscswa

scnas: 起動時に NAS ファイルシステムのマウントが行われない (6268260)

問題の概要: フェイルオーバーまたは scswitch を使用してデータサービスをノードに配置する前に NFS ファイルシステムが存在しているかどうかを確認することはできません。ノードに NFS ファイルシステムが存在しない場合、そのノードに対してスイッチオーバーまたはフェイルオーバーを行うと、データサービスが失敗して、手動での介入が必要になります。そのノードに対してフェイルオーバーまたはスイッチオーバーを行う前にファイルシステムの実行可能性をチェックする手段として HAStoragePlus などのメカニズムが必要です。

対処方法: NAS ファイラを使用するファイルシステム (/etc/vfstab にエントリとして指定される) は、Sun Cluster ソフトウェアの制御外でマウントされます。つまり、Sun Cluster ソフトウェアはどのような問題も認識することがありません。万一ファイルシステムが使用不能になった場合、STARTSTOP などのデータサービスメソッドの実行時に一部のデータサービス (Sun Cluster HA for Oracle など) は停止します。

これらのメソッドの停止が原因で起きる可能性がある状況はいくつかあります。

これらの問題を避けるには、次のいずれかの手順を実行します。

HADB 障害モニターが ma プロセスを再起動しない (6269813)

問題の概要: Sun Cluster データサービスが強制停止されるか、突然終了したような場合、このデータサービスは ma プロセスを再起動しません。

対処方法: これは予期された動作であり、このデータサービスが影響を受けることはありません。

ローリングアップグレードの際に rgmd がコアをダンプする (6271037)

問題の概要: ローリングアップグレード中にすべてのノードが新しいソフトウェアを実行する前にリソースを削除しようとすると、ノードの 1 つがパニック状態になる可能性があります。すべてのノードに新しいソフトウェアがインストールされるまで、リソースを削除しないでください。

対処方法: ローリングアップグレードの際には、すべてのノードに新しいソフトウェアがインストールされるまで RGM リソースを削除しないでください。

クラスタを停止して起動したあとでは HADB データベースが再起動に失敗する (6276868)

問題の概要: クラスタノードの再起動後は、HADB データベースは再起動に失敗します。ユーザーは、データベースにアクセスできません。

対処方法: 次の手順を実行し、管理データサービスの 1 つを再起動します。次の手順で問題が解決されない場合は、データベースを削除して作り直します。

Procedure管理データサービスの再起動

手順
  1. 停止するノードで次のようにコマンドを入力します。-h オプションには、管理エージェントを停止するノードの名前を含めてはなりません。


    scswitch -z -g hadb resource grp -h node1, node2...
    
  2. リソースグループを本来のノードに切り替えます。


    scswitch —Z —g hadb resource grp
    
  3. データベースの状態を確認します。データベースが「stopped (停止)」状態になるまで待ちます。


    hadbm status -n database
    
  4. データベースを起動します。


    hadbm start database
    

SUNWiimsc パッケージの追加後 SUNW.iim のサイズが 0 になる (6277593)

問題の概要: sun_cluster_agents 内の SUNWiimsc パッケージは無効です。このパッケージを追加したあと、/opt/SUNWiim/cluster 内の SUNW.iim のサイズは 0 になります。

対処方法: 次の手順を行うことによって、SUNW.iim パッケージを交換し、登録し直します。

Procedure正しい SUNW.iim パッケージをインストールする

手順
  1. CD-ROM から正しい SUNW.iim をコピーします。


    # cp 2of2_CD/Solaris_arch/Product/sun_cluster_agents/Solaris_os
    /Packages/SUNWiimsc/reloc/SUNWiim/cluster/SUNW.iim /opt/SUNWiim/Cluster/SUNW.iim
    
  2. 既存の SUNW.iim 登録をすべて削除します。


    # rm /usr/cluster/lib/rgm/rtreg/SUNW.iim
    
  3. Sun Cluster にデータサービスを登録します。


    sh 2of2_CD/Solaris_arch/Product/sun_cluster_agents/
    Solaris_os/Packages/SUNWiimsc/install/postinstall

SunPlex Manager を使用して新しい IPMP グループを追加する処理が時々失敗する (6278059)

問題の概要: SunPlex Manger を使用して新しい IPMP グループを追加しようとすると、次のメッセージを生成して失敗することがあります。


An error was encountered by the system. If you were performing an action 
when this occurred, review the current system state prior to proceeding.

対処方法: 実行している IP のバージョンに合わせて、次のいずれかの手順を実行します。

ProcedureSunPlex Manager による新しい IPMP グループの追加 (IPv4 を使用している場合)

手順
  1. 次のコマンドを入力します。


    ifconfig interface inet plumb group groupname [addif address deprecated] 
    netmask + broadcast + up -failover
    
  2. テストアドレスが提供されている場合は、/etc/hostname .interface ファイルを更新して次の行を追加します。


    group groupname addif address netmask + broadcast + deprecated -failover up
  3. テストアドレスが提供されていない場合は、/etc/hostname.interface ファイルを更新して次の行を追加します。


    group.groupname netmask + broadcast -failover up

ProcedureSunPlex Manager による新しい IPMP グループの追加 (IPv6 を使用している場合)

手順
  1. 次のコマンドを入力します。


    ifconfig interface inet6 plumb up group groupname
    
  2. /etc/hostname6.interface ファイルを更新して次のエントリを追加します。


    group groupname plumb up
  3. /etc/hostname6.interface ファイルがまだ存在しない場合は、このファイルを作成し、上記のエントリを追加します。

クラスタノードの 1 つをパニック状態にすると HADB リソースが再起動を続ける (6278435)

問題の概要: リソースをオンラインにし、shutdownuadmin などを実行してクラスタ内でノードの 1 つをパニック状態にすると、そのリソースはほかのノードで再起動を続けます。ユーザーはどの管理コマンドも発行できない状態となります。

対処方法: この問題を防止するには、ルートユーザーまたは同等のアクセス権を持つ役割でノードの 1 つにログインし、次のコマンドを使用してリソースの probe_timeout の値を 600 秒に増やします。


scrgadm -c -j hadb resource -x Probe_timeout=600

加えた変更を検証するには、クラスタノードの 1 つを停止し、そのリソースが縮退 (degraded) 状態にならないことを確認します。

Solaris 10 では、パブリックネットワークと Sun Cluster トランスポートの両方が bge(7D) 方式のアダプタを使用していると、スケーラブルサービスが稼働しない (6278520)

問題の概要: Solaris 10 システムでは、パブリックネットワークと Sun Cluster トランスポートの両方が bge 方式のアダプタを使用していると、Sun Cluster スケーラブルサービスの負荷分散機能が使用できなくなります。bge を使用する内蔵 NIC が搭載されたプラットフォームには、Sun Fire V210、V240、V250 などがあります。

このバグは、フェイルオーバーデータサービスには影響を与えません。

対処方法: パブリックネットワークとクラスタトランスポートの両方が bge 方式のアダプタを使用することがないように構成します。

デフォルトロケールをマルチバイトロケールに設定すると SunPlex Manager からシステムログを表示できなくなる (6281445)

問題の概要: SunPlex Manager デフォルトロケールをマルチバイトロケールに設定すると、システムログを表示できなくなります。

対処方法: デフォルトロケールを C に設定するか、あるいはコマンド行シェルを使用して syslog (/var/adm/messages) を手動で表示します。

Node1 で scswitch を使用してノードエージェントをオンラインにすることができない (6283646)

問題の概要: インスタンスとノードエージェントは、フェイルオーバー IP アドレス / ホスト名で待機するように構成する必要があります。ノードエージェントと Sun Java System Application Server インスタンスが作成される場合、デフォルトで物理ノードホスト名が設定されます。HTTP IP アドレスとクライアントホスト名は、domain.xml 内で変更されます。しかし Domain Admin Server は再起動されないため、それらの変更は反映されません。したがって、ノードエージェントはそれらが構成された物理ノードでは現れますが、ほかのノードでは現れません。

対処方法: domain.xml の Node Agent セクションにある client-hostname プロパティーを変更してフェイルオーバー IP で待機するようにし、Domain Admin Server を再起動してこの変更を反映させます。

SunPlex Manager と Cacao 1.1 が JDK 1.5.0_03 しかサポートしない (6288183)

問題の概要: Sun Cluster 3.1 8/05 内の SunPlex Manager を Cacao 1.1 と併用する場合、サポートされるのは JDK 1.5.0_03 だけです。

対処方法: 次の手順を実行して、JDK 1.5 を手動でインストールします。

ProcedureJDK 1.5 を手動でインストールする

手順
  1. JES 4 共有コンポーネントディレクトリから JDK 1.5 を追加します (操作説明は JES 4 RN を参照)。

  2. cacao を停止します。


    # /opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm stop
    
  3. cacao を起動します。


    # /opt/SUNWcacao/bin/cacaoadm start
    

Solaris 9 または Solaris 8 で SC3.1 (8/05) パッチ (Solaris 9 用は 117949–14、Solaris 8 用は117950–14) をインストールしたあと、起動時に Java VM エラーが発生する (6291206)

問題の概要: このバグは、3.1 (9/04) 以降のパッチが使用されている Sun Cluster システムをパッチ 117949-14 (Solaris 9 用) またはパッチ 117950-14 (Solaris 8 用) を適用して Sun Cluster (8/05) にアップグレードした場合に発生します。マシンの起動直後に、次のエラーメッセージが表示されます。


# An unexpected error has been detected by HotSpot Virtual Machine:
#
#  SIGSEGV (0xb) at pc=0xfaa90a88, pid=3102, tid=1
#
# Java VM: Java HotSpot(TM) Client VM (1.5.0_01-b07 mixed mode, sharing)
# Problematic frame:
# C  [libcmas_common.so+0xa88]  newStringArray+0x70
#
# An error report file with more information is saved as /tmp/hs_err_pid3102.log
#
# If you would like to submit a bug report, please visit:
#   http://java.sun.com/webapps/bugreport/crash.jsp
#

対処方法: Sun Cluster 3.1 (9/04) を Sun Cluster 3.1 (8/05) にアップグレードする場合は、次のコマンドを入力することにより、コアパッチに加えて SPM パッチをインストールします。

Solaris 8 を使用しているシステムでは、コアパッチ 117950-14 を適用したあとで次のコマンドを実行します。


 patchadd patchdir/118626-04

Solaris 9 を使用しているシステムでは、パッチ 117949-14 を適用したあとで次のコマンドを実行します。


patchadd patchdir/118627-04 

ディレクトリサーバーと管理サーバーのリソース登録が時々失敗する (6298187)

問題の概要: ディレクトリサーバーと管理サーバーのリソース登録が失敗することがあります。その際に、次のメッセージが表示されます。


Registration file not found for "SUNW.mps" in /usr/cluster/lib/rgm/rtreg

対処方法: 次のいずれかのコマンドを入力し、足りないファイルを pkg の場所から直接登録します。

Solaris 10 クラスタノードは IPv4 アドレスマッピングと IPv6 アドレスマッピングの両方を持つマシンとの通信に失敗することがある (6306113)

問題の概要: Solaris 10 を使用している Sun Cluster ノードでパブリックネットワーキングに対応するように IPv6 インタフェースが構成されていない場合 (クラスタインターコネクト対応でない場合など)、このノードは NIS などのようにネームサービスに IPv4 アドレスマッピングと IPv6 アドレスマッピングの両方を使用するマシンにアクセスできません。IPv4 よりも IPv6 を優先的に選択する telnet や traceroot のようなアプリケーションでは、パケットはクラスタトランスポートアダプタに送信されたあとでドロップされます。

対処方法: 構成またはクラスタに基づいて、次のいずれかの対処方法を選択します。