以下に、Sun Cluster ソフトウェアにより定義されるリソースタイププロパティーを示します。プロパティー値は以下のように分類されます。
必須。プロパティーはリソースタイプ登録 (RTR) ファイルに明示的な値を必要とします。そうでない場合、プロパティーが属するオブジェクトは作成できません。空白文字または空の文字列を値として指定することはできません。
条件付。RTR ファイル内に宣言を必要とするプロパティーです。宣言がない場合、RGM はこのプロパティーを作成しません。したがって、このプロパティーを管理ユーティリティーから利用することはできません。空白文字または空の文字列を値として指定できます。プロパティーが RTR ファイル内で宣言されており、値が指定されていない場合には、RGM はデフォルト値を使用します。
条件付/明示。RTR ファイル内に宣言と明示的な値を必要とするプロパティーです。宣言がない場合、RGM はこのプロパティーを作成しません。したがって、このプロパティーを管理ユーティリティーから利用することはできません。空白文字または空の文字列を値として指定することはできません。
任意。RTR ファイル内に宣言できるプロパティーです。プロパティーが RTR ファイル内で宣言されていない場合は、RGM がこれを作成し、デフォルト値を与えます。プロパティーが RTR ファイル内で宣言されており、値が指定されていない場合は、RGM は、プロパティーが RTR ファイル内で宣言されないときのデフォルト値と同じ値を使用します。
照会のみ– 管理ツールから直接設定できません。
RTR ファイルでは宣言できないため、クラスタ管理者により設定される必要がある Installed_nodes と RT_system を除き、リソースタイププロパティーは管理ユーティリティーでは更新できません。
以下にプロパティー名とその説明を示します。
API_version や Boot などのリソースタイププロパティー名では、大文字と小文字が区別されません。プロパティー名を指定する際には、大文字と小文字を任意に組み合わせることができます。
このリソースタイプの実装のサポートに必要なリソース管理 API の最小バージョン。
次に、Sun Cluster の各リリースがサポートする API_version の最大値を要約します。
2
3
4
5
6
RTR ファイルにおいて API_version に 2 より大きな値を宣言した場合、そのリソースタイプは、宣言した値より小さな最大バージョンしかサポートしないバージョンの Sun Cluster にはインストールされません。たとえば、あるリソースタイプに API_version=5 を宣言すると、このリソースタイプは、3.1 9/04 より前にリリースされた Sun Cluster のバージョンにはインストールされません。
このプロパティーを宣言しないか、このプロパティーをデフォルト値 (2) に設定すると、データサービスは Sun Cluster 3.0 以降の Sun Cluster の任意のバージョンにインストールできます。
任意
2
NONE
任意のコールバックメソッド。RGM がノード上で実行するプログラムのパスを指定します。このプログラムは、このリソースタイプが管理対象になっているとき、クラスタの結合または再結合を行います。このメソッドは、Init メソッドと同様に、このタイプのリソースを初期化します。
条件付/明示
デフォルトなし
NONE
TRUE の場合、複数のノード上で同時にオンラインにできるグループ内にこの型のリソースを構成することはできません。
次の表に、このリソースタイププロパティーと Scalable リソースプロパティーを組み合わせて使用する方法を示します。
Failover リソースタイプの値 |
Scalable リソースの値 |
説明 |
---|---|---|
TRUE |
TRUE |
この非論理的な組み合わせは指定しないでください。 |
TRUE |
FALSE |
この組み合わせは、フェイルオーバーサービスに対して指定します。 |
FALSE |
TRUE |
この組み合わせは、ネットワーク負荷分散に SharedAddress リソースを使用するスケーラブルサービスに指定します。 SharedAddress の詳細については、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。 |
FALSE |
FALSE |
この組み合わせは一般的ではありませんが、ネットワーク負荷均衡を使用しないマルチマスターサービスを選択するときに使用できます。 |
Scalable の詳細については、r_properties(5) のマニュアルページと、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』の第 3 章「重要な概念 - システム管理者とアプリケーション開発者」を参照してください。
任意
FALSE
NONE
任意のコールバックメソッド。この型のリソースを RGM 管理の対象外にするときに、RGM によって実行されるプログラムのパスです。
条件付/明示
デフォルトなし
NONE
任意のコールバックメソッド。この型のリソースを RGM 管理対象にするときに、RGM によって実行されるプログラムのパスです。
条件付/明示
デフォルトなし
NONE
RGM が Init、Fini、 Boot、Validate メソッドをコールするノードを示します。指定できる値は、RG_PRIMARIES (リソースをマスターできるノードのみ) または RT_INSTALLED_NODES (このリソースタイプがインストールされる全てのノード) のいずれかです。
任意
RG_PRIMARIES
NONE
リソースタイプを実行できるクラスタノードの名前のリスト。このプロパティーは RGM によって自動的に作成されます。クラスタ管理者は値を設定できます。RTR ファイル内には宣言できません。
クラスタ管理者による構成が可能です。
すべてのクラスタノード
ANYTIME
TRUEは、このリソースタイプが、フェイルオーバーインターネットプロトコル (IP) アドレスを管理するLogicalHostname リソースタイプのいずれかのバージョンであることを示します。
照会のみ
デフォルトなし
NONE
TRUE は、このリソースタイプが、 フェイルオーバーインターネットプロトコル (IP) アドレスを管理する共有アドレスリソースタイプのいずれかのバージョンであることを示します。
照会のみ
デフォルトなし
NONE
任意のコールバックメソッド。障害モニターの要求によってこのリソースタイプのフェイルオーバーを実行する前に、RGM によって実行されるプログラムのパスです。
条件付/明示
デフォルトなし
NONE
任意のコールバックメソッド。この型のリソースの障害モニターを起動するために RGM によって実行されるプログラムのパスです。
条件付/明示
デフォルトなし
NONE
Monitor_start が設定されている場合、必須のコールバックメソッドになります。この型のリソースの障害モニターを停止するために RGM によって実行されるプログラムのパスです。
条件付/明示
デフォルトなし
NONE
リソースタイプのインストールに含まれている任意のパッケージリストです。
条件付/明示
デフォルトなし
NONE
任意のコールバックメソッド。この型のリソースがネットワークアドレスリソースに依存している場合、このネットワークアドレスリソースのStopメソッドの呼び出し後に RGM によって実行されるプログラムのパスです。ネットワークインタフェースが停止するように構成されたあと、このメソッドは Stop アクションを実行する必要があります。
条件付/明示
デフォルトなし
NONE
任意のコールバックメソッド。この型のリソースがネットワークアドレスリソースに依存している場合、このネットワークアドレスリソースの Start メソッドの呼び出し前に RGM によって実行されるプログラムのパスです。このメソッドは、ネットワークインタフェースが構成される前に必要な Start アクションを行います。
条件付/明示
デフォルトなし
NONE
リソースタイプの全リソースのリストです。クラスタ管理者はこのプロパティーを直接設定しません。ただし、クラスタ管理者がこの型のリソースをリソースグループに追加したり、リソースグループから削除した場合、RGM はこのプロパティーを更新します。
照会のみ
空のリスト
NONE
リソースタイプの名前です。現在登録されているリソースタイプ名を表示するには、次のコマンドを使用します。
scrgadm -p
Sun Cluster 3.1 以降のリリースでは、リソースタイプ名にバージョンが含まれます (必須)。
vendor-id.resource-type: rt-version
リソースタイプ名は RTR ファイル内に指定された 3 つのプロパティー vendor-id、resource-type 、rt-version で構成されます。scrgadm コマンドは、ピリオド (.コロン (:) の区切り文字を挿入します。リソースタイプの名前の最後の部分、rt-version には、RT_version プロパティーと同じ値が入ります。vendor-id が一意であることを保証するためには、リソースタイプを作成した会社の株式の略号を使用します。Sun Cluster 3.1 以前に登録されたリソースタイプ名では、引き続き次の構文を使用します。
vendor-id.resource-type
必須
空の文字列
NONE
コールバックメソッドの相対パスを補完するディレクトリパスです。このパスは、リソースタイプパッケージのインストールディレクトリに設定する必要があります。このパスには、スラッシュ (/) で開始する完全なパスを指定する必要があります。
必須 (絶対パスでないメソッドパスがある場合)
デフォルトなし
NONE
リソースタイプの簡単な説明です。
条件付き
空の文字列
NONE
リソースタイプの RT_system プロパティーが TRUE の場合、そのリソースタイプは削除できません (scrgadm -r -t resource-type-name)。このプロパティーは、LogicalHostname など、クラスタのインフラをサポートするリソースタイプを間違って削除してしまうことを防ぎます。しかし、RT_system プロパティーはどのリソースタイプにも適用できます。
RT_system プロパティーが TRUE に設定されたリソースタイプを削除するには、まず、このプロパティーを FALSE に設定する必要があります。クラスタサービスをサポートするリソースを持つリソースタイプを削除するときには注意してください。
任意
FALSE
ANYTIME
Sun Cluster 3.1 以降では、このリソースタイプの実装の必須バージョン文字列。RT_version は、完全なリソースタイプ名の末尾の部分です。RT_version プロパティーは Sun Cluster 3.0 では任意でしたが、Sun Cluster 3.1 以降のリリースでは必須です。
条件付き/明示または必須
デフォルトなし
NONE
TRUE は、この型のリソースがクラスタ内に 1 つだけ存在できることを示します。この型のリソースが実行されるのは、クラスタ全体で 1 箇所だけです。
任意
FALSE
NONE
コールバックメソッド。この型のリソースを起動するために RGM によって実行されるプログラムのパスです。
RTR ファイルで Prenet_start メソッドが宣言されていないかぎり必須
デフォルトなし
NONE
コールバックメソッド。この型のリソースを停止するために RGM によって実行されるプログラムのパスです。
RTR ファイルで Postnet_stop メソッドが宣言されていないかぎり必須
デフォルトなし
NONE
任意のコールバックメソッド。この型の実行中のリソースのプロパティーが変更されたときに、RGM によって実行されるプログラムのパスです。
条件付/明示
デフォルトなし
NONE
任意のコールバックメソッド。この型のリソースのプロパティー値を検査するために RGM により実行されるプログラムのパスです。
条件付/明示
デフォルトなし
NONE
Resource_type を参照してください。
条件付き
デフォルトなし
NONE