Sun Cluster Data Service for Sybase ASE ガイド (Solaris OS 版)

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成

この章では、Sun Cluster ノードで Sun Cluster HA for Sybase ASE を構成して管理する方法について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

Sun Cluster HA for Sybase ASE の概要

Sun Cluster HA for Sybase ASE は、Sybase ASE アプリケーションに障害監視機能と自動フェイルオーバー機能を提供します。

Sun Cluster HA for Sybase ASE は、フェイルオーバーデータサービスとして構成する必要があります。

データサービス、リソースグループ、リソースなどに関する一般的な情報については、次のマニュアルを参照してください。

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成の概要

次の表は、Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールや構成に関する作業の要約と、それらの作業の実施に必要な詳しい説明がどこにあるかを示しています。これらの作業は、表に示す順序で行う必要があります。

表 1 Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成の作業

タスク 

参照先 

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストール準備 

「Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストール準備」

Sybase ASE ソフトウェアのインストール 

「Sybase ASE ソフトウェアのインストール」

Sybase ASE データベースアクセスの構成と Sybase ASE データベース環境の作成 

「Sybase ASE データベースアクセスの構成と Sybase ASE データベース環境の作成」

Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストール 

「Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストール」

Sun Cluster HA for Sybase ASE リソースタイプの登録とリソースグループおよびリソースの構成 

「Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成」

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールの確認 

「Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成の確認」

Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターの調整 

「Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターの調整」

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストール準備

Sun Cluster HA for Sybase ASE インストール用にノードを準備するために、次のファイルのインストール場所を選択します。

Sybase ASE ソフトウェアのインストール

この節で説明する手順を使用して、以下の操作を行います。


注 –

Sun Cluster HA for Sybase ASE を構成する前に、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の解説に従い、Sun Cluster ソフトウェアを各ノードにインストールします。


ProcedureSybase ASE ソフトウェアのインストール用にノードを準備する


注意 – 注意 –

この作業のすべての手順をすべてのノードで実行してください。すべてのノードですべての手順を実行しないと、Sybase ASE のインストールが不完全になり、Sun Cluster HA for Sybase ASE は起動に失敗します。



注 –

この手順を実行する前に、Sybase ASE のマニュアルを参照してください。


手順
  1. すべてのノードでスーパーユーザーになります。

  2. /etc/nsswitch.conf ファイルを次のように構成します。これによって、スイッチオーバーやフェイルオーバーが起こったときに、Sun Cluster HA for Sybase ASE の起動と停止が正しく行われます。

    Sun Cluster HA for Sybase ASE が動作する論理ホストをマスターできる各ノードで、/etc/nsswitch.conf ファイルに次のエントリを指定します。

    passwd:    files nis [TRYAGAIN=0]
    publickey: files nis [TRYAGAIN=0]
    project:   files nis [TRYAGAIN=0]
    group:     files

    Sun Cluster HA for Sybase ASE は、su user コマンドを使用してデータベースの起動と停止を行います。

    クラスタノードのパブリックネットワークに障害が発生すると、ネットワーク情報ネームサービスが使用不能になることがあります。上記エントリを追加しておくことによって、ネットワーク情報ネームサービスが使用不能の場合に、su(1M) コマンドが NIS/NIS+ ネームサービスを参照しなくなります。

  3. Sun Cluster HA for Sybase ASE のクラスタファイルシステムを構成します。

    データベースを raw デバイスに格納する場合は、広域デバイスを raw デバイスアクセス用に構成します。広域デバイスを構成する方法については、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』を参照してください。

    Solstice DiskSuiteTM/Solaris Volume Manager ソフトウェアを使用する場合は、ミラー化メタデバイスまたは raw ミラー化メタデバイス上で UNIX ファイルシステム (UFS) ロギングを使用するように、Sybase ASE ソフトウェアを構成します。raw ミラー化メタデバイスを構成する方法については、Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager のマニュアルを参照してください。

  4. ローカルディスクか多重ホストディスクに SYBASE_HOME ディレクトリを作成します。


    注 –

    Sybase ASE バイナリをローカルディスクにインストールする場合は、できるだけ別のディスクを使用してください。Sybase ASE バイナリを別のディスクにインストールすると、オペレーティングシステムの再インストール時にバイナリが上書きされるのを防止できます。


  5. 各ノードの /etc/group ファイルにデータベース管理者 (DBA) グループのエントリを作成し、予定するユーザーをこのグループに追加します。

    rootsybase ユーザーが dba グループのメンバーになっているか確認し、必要に応じてほかの DBA ユーザーのエントリを追加します。このグループ ID は、Sun Cluster HA for Sybase ASE が動作するすべてのノードで一致させる必要があります。次にその例を示します。


    dba:*:520:root,sybase
    

    グループエントリをネットワークネームサービスに作成することができます。このようにエントリを作成した場合、そのエントリをローカルの /etc/group ファイルに追加して、ネットワーク名サービスへの依存関係をなくします。

  6. 各ノード上で、Sybase システム管理者用のエントリを作成します。

    次のコマンドでは、/etc/passwd/etc/shadow ファイルを Sybase システム管理者用のエントリで更新します。


    # useradd -u 120 -g dba -d /Sybase-home sybase
    

    sybase ユーザーエントリは、Sun Cluster HA for Sybase ASE を実行するすべてのノードで一致させる必要があります。

ProcedureSybase ASE ソフトウェアをインストールする

手順
  1. クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。

  2. Sybase ASE ソフトウェアをクラスタファイルシステムにインストールする計画がある場合は、Sun Cluster ソフトウェアを起動して、ディスクデバイスグループの所有者になります。

    Sybase ASE ソフトウェアを別の場所にインストールする計画がある場合は、この手順を省略します。

    インストール場所についての詳細は、「Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストール準備」を参照してください。

  3. ネットワークとアプリケーションのリソースを格納するためのフェイルオーバーリソースグループを作成します。


    # scrgadm -a -g resource-group [-h nodelist]
    -g resource-group

    リソースグループの名前を指定します。どのような名前でもかまいませんが、クラスタ内のリソースグループごとに一意である必要があります。

    -h nodelist

    潜在マスターを識別する物理ノード名または ID をコンマで区切ったリストで指定します (省略可能)。この順序で、リソースグループマネージャー (RGM) は、フェイルオーバー時の主ノードを決定します。


    注 –

    ノードリストの順番を指定するには、-h オプションを使用します。クラスタのすべてのノードがマスターになり得るのであれば、-h オプションを指定する必要はありません。


  4. Sun Cluster HA for Sybase ASE で使用するすべてのネットワークリソースが /etc/inet/hosts ファイルまたはネームサービス (NIS、NIS+) データベースに追加されていることを確認します。

  5. ネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) をフェイルオーバーリソースグループに追加します。


    # scrgadm -a -L -g resource-group -l logical-hostname [-n netiflist] 
    -l logical-hostname

    ネットワークリソースを指定します。ネットワークリソースは、クライアントが Sun Cluster HA for Sybase ASE にアクセスするときに使用する論理ホスト名または共有アドレス (IP アドレス) です。

    -n netiflist

    各ノード上の IP ネットワークマルチパス グループをコンマで区切って指定します (省略可能)。netiflist の各要素は、netif@node の形式にする必要があります。netif は IP ネットワークマルチパス グループ名 (sc_ipmp0 など) として指定できます。ノードは、ノード名またはノード ID (sc_ipmp0@1sc_ipmp@phys-schost-1 など) で識別できます。


    注 –

    Sun Cluster では、netif にアダプタ名は使用できません。


  6. scswitch(1M) コマンドを実行して、次の作業を完成させます。

    • リソースと障害監視を有効にします。

    • リソースグループを管理状態にします。

    • リソースグループをオンラインにします。


    # scswitch -Z -g resource-group
    
  7. 作成したばかりのリソースグループをマスターするノード上で、sybase としてログインします。

    Sybase バイナリのインストールは、対応する論理ホストが動作しているノード上で実行する必要があります。

  8. Sybase ASE ソフトウェアをインストールします。

    Sybase ASE ソフトウェアをインストールする場所にかかわらず、各ノードの /etc/system ファイルは、Sybase ASE の標準的なインストール手順の場合と同様に変更する必要があります。Sybase ASE ソフトウェアをインストールする手順については、Sybase のインストールと構成のマニュアルを参照してください。

  9. Sybase ASE サーバーごとに、ネットワークリソースに関連するホスト名を指定します。

    ネットワークリソースに関連するホスト名を指定しない場合、Sybase ASE は、Sybase ASE ソフトウェアがインストールされているノード上だけで起動します。

    あるバージョンの Sybase ASE (12.5 など) では、ホスト名を入力するためのプロンプトが表示されます。別のバージョンの Sybase ASE (12.5.1 など) は、物理ホスト名を使用します。物理ホスト名を使用するバージョンの Sybase ASE を使用している場合は、ネットワークリソースを指すように物理ホスト名を変更する必要があります。

    • Sybase ASE インストールプログラムによりホスト名を入力するためのプロンプトが表示された場合は、そのプロンプトに応じてホスト名を入力します。

    • それ以外の場合は、interfaces ファイルを編集して、ネットワークリソースに関連するホスト名を指すように物理ホスト名を変更します。

次の手順

Sybase ASE ソフトウェアをインストールしたあとは、「Sybase ASE インストールを確認する」に進みます。

ProcedureSybase ASE インストールを確認する

手順
  1. sybase ユーザーと dba グループが $SYBASE_HOME ディレクトリと $SYBASE_HOME の子ディレクトリを所有していることを確認します。

  2. scstat(1M) コマンドを実行して、Sun Cluster ソフトウェアが正しく機能することを確認します。

次の手順

Sybase ASE インストールを確認したあとは、「Sybase ASE データベースアクセスの構成と Sybase ASE データベース環境の作成」に進みます。

Sybase ASE データベースアクセスの構成と Sybase ASE データベース環境の作成

Sybase ASE データベースアクセスの構成と Sybase ASE データベース環境の作成には、次の作業が含まれます。

  1. 使用するボリュームマネージャーで Sybase ASE データベースアクセスを構成します。

  2. Sybase ASE データベース環境の作成

ProcedureSolstice DiskSuite/Solaris Volume Manager で Sybase ASE データベースアクセスを構成する

手順
  1. Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager ソフトウェアが使用するディスクデバイスを構成します。

    Solstice DiskSuite/Solaris Volume Manager を構成する方法については、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』を参照してください。

  2. データベースを raw デバイスに格納する場合は、次のコマンドを実行して各 raw ミラー化メタデバイスの所有者、グループ、モードを変更します。

    raw デバイスを使用しない場合は、次の各手順を実行しないでください。

    1. raw デバイスを作成する場合は、Sybase ASE リソースグループをマスターできる各ノードのデバイスごとに、次のコマンドを実行します。


      # chown sybase /dev/md/metaset/rdsk/dn
      # chgrp dba /dev/md/metaset/rdsk/dn
      # chmod 600 /dev/md/metaset/rdsk/dn
      
      metaset

      ディスクセットの名前を指定します。

      /rdsk/dn

      metaset ディスクセット内の raw ディスクデバイスの名前を指定します。

    2. 変更が有効になっているか確認します。


      # ls -lL /dev/md/metaset/rdsk/dn
      
次の手順

「Sybase ASE データベース環境を作成する」に進みます。

ProcedureVERITAS Volume Manager で Sybase ASE データベースアクセスを構成する

手順
  1. VxVM ソフトウェアが使用するディスクデバイスを構成します。

    VERITAS Volume Manager を構成する方法については、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』を参照してください。

  2. データベースを raw デバイスに格納する場合は、現在のディスク-グループ主ノードで次のコマンドを実行して各デバイスの所有者、グループ、モードを変更します。

    raw デバイスを使用しない場合は、次の各手順を実行しないでください。

    1. raw デバイスを作成する場合は、raw デバイスごとに次のコマンドを実行します。


      # vxedit -g diskgroup set user=sybase group=dba mode=0600 volume
      
      -g resource-group

      リソースグループの名前を指定します。どのような名前でもかまいませんが、クラスタ内のリソースグループごとに一意である必要があります。

      -h nodelist

      潜在マスターを識別するための物理ノード名または ID をコンマで区切って指定します (省略可能)。フェイルオーバー時、ノードはこのリスト内の順番に従ってプライマリとして判別されます。

    2. 変更が有効になっているか確認します。


      # ls -lL /dev/vx/rdsk/diskgroup/volume
      
    3. ディスクデバイスグループをクラスタに再登録して、クラスタ内での VxVM 名前空間の整合性を確保します。


      # scconf -c -D name=diskgroup
      
次の手順

「Sybase ASE データベース環境を作成する」に進みます。

ProcedureSybase ASE データベース環境を作成する

Sybase ASE データベース環境は、次のサーバーから構成されます。

Sybase ASE データベース環境の作成には、次の作業が含まれます。

始める前に

次の作業を完成していることを確認してください。

手順
  1. GUI ベースのユーティリティー srvbuild を実行して、Sybase ASE データベースを作成します。

    このユーティリティーは、$SYBASE/ASE_major-version /bin ディレクトリにあります。major-version は、使用している Sybase ASE のメジャーバージョンです。たとえば、Sybase ASE バージョン 12.5.1 を使用している場合、major-version12-5 です。

    srvbuild ユーティリティーについては、Sybase ASE のマニュアル『Installing Sybase Adaptive Server Enterprise on Sun Solaris 2.x (SPARC)』を参照してください。

  2. データベースが正しくインストールされていることを確認するために、すべてのサーバーが正しく起動するか確認します。

    ps(1) コマンドを実行して、すべてのサーバーの動作を確認します。Sybase ASE サーバーログは、発生したすべてのエラーを記録します。

  3. Sybase ASE システム管理者アカウント用のパスワードを設定します。

    sa ログインパスワードを変更する方法についての詳細は、『Sybase Adaptive Server Enterprise System Administration Guide』を参照してください。

  4. 障害監視用の新しい Sybase ASE アカウントを作成します。

    障害モニターは、このアカウントを使って次の作業を行うことができます。

    • システムテーブルの照会をサポートします。

    • ユーザーテーブルを作成または更新します。


    注 –

    この目的で sa アカウントを使用することは避けてください。


    次の例に、障害監視用の新しい Sybase ASE アカウントを作成する方法を示します。


    # isql -Usa -Psybase -Sasedb
    1> use master
    2> go
    1> create database sc3xdb
    2>go
    1> sp_addlogin dbmon, dbmonp, sc3xdb
    2> go
    1> use sc3xdb
    2> go
    1> sp_changedbowner dbmon
    2> go
    1> sp_modifylogin dbmon, defdb, sc3xdb
    2> go
    1> exit
    

    詳細は、『「Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターの調整」』を参照してください。

  5. 停止ファイルで sa パスワードを変更します。

    停止ファイルには sa パスワードが入っているため、このファイルは適切なアクセス権で保護し、システム管理者が選択したディレクトリに格納してください。停止ファイルを読み取り、書き込み、および実行できるのは、sybase ユーザーだけにします。

    停止ファイルについての詳細は、「Sun Cluster HA for Sybase ASE のセキュリティーの問題」を参照してください。

次の手順

Sybase ASE データベース環境を作成したあとは、「Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストール」に進みます。

Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージのインストール

Sun Cluster の初回のインストール時に Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをインストールしなかった場合は、この手順でパッケージをインストールしてください。この手順は、Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをインストールする各クラスタノード上で個別に実行します。この手順の実行には、Sun Cluster Agents CD-ROM が必要です。

複数のデータサービスを同時にインストールする場合は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』「ソフトウェアのインストール」に記載されている手順を実行してください。

次のインストールツールのどちらかを使用して、Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをインストールします。


注 –

Solaris 10 を使用する場合は、これらのパッケージを大域ゾーンだけにインストールしてください。パッケージをインストールしたあとで作成されたローカルゾーンにそれらのパッケージが転送されないようにするには、scinstall ユーティリティーを使用してパッケージをインストールしてください。Web Start プログラムは使用しないでください。


ProcedureWeb Start プログラムを使って Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをインストールするには

Web Start プログラムは、コマンド行インタフェース (CLI) またはグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) を使用して実行できます。CLI と GUI での作業の内容と手順はほとんど同じです。Web Start プログラムの詳細は、installer(1M) のマニュアルページを参照してください。

手順
  1. Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをインストールするクラスタノード上で、スーパーユーザーになります。

  2. (省略可能) GUI で Web Start プログラムを実行する場合は、DISPLAY 環境変数が設定されていることを確認してください。

  3. CD-ROM ドライブに Sun Cluster Agents CD-ROM を挿入します。

    ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行されており、CD-ROM デバイスを管理するように構成されている場合は、デーモンによって CD-ROM が自動的に /cdrom/cdrom0 ディレクトリにマウントされます。

  4. CD-ROM の Sun Cluster HA for Sybase ASE コンポーネントディレクトリに切り替えます。

    Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスの Web Start プログラムは、このディレクトリに入っています。


    # cd /cdrom/cdrom0/components/SunCluster_HA_Sybase_3.1
    
  5. Web Start プログラムを起動します。


    # ./installer
    
  6. プロンプトが表示されたら、インストールの種類を選択します。

    • C ロケールのみをインストールする場合は、「一般」を選択します。

    • ほかのロケールをインストールする場合は、「カスタム」を選択します。

  7. 表示される手順に従って、ノードに Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをインストールします。

    インストールが終了すると、Web Start プログラムのインストールサマリーが出力されます。この出力を使用して、インストール時に Web Start によって作成されたログを確認できます。これらのログは、/var/sadm/install/logs ディレクトリにあります。

  8. Web Start プログラムを終了します。

  9. Sun Cluster Agents CD-ROM を CD-ROM ドライブから取り出します。

    1. CD-ROM が使用されないように、CD-ROM 上のディレクトリ以外に移動します。

    2. CD-ROM を取り出します。


      # eject cdrom
      
次の手順

「Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成」に進みます。

Procedurescinstall ユーティリティーを使用して Sun Cluster HA for Sybase ASE パッケージをインストールする

手順
  1. CD-ROM ドライブに Sun Cluster Agents CD-ROM を挿入します。

  2. オプションは指定せずに、scinstall ユーティリティーを実行します。

    scinstall ユーティリティーが対話型モードで起動します。


    注 –

    scinstall-s オプションを使用して、すべてのデータサービスの非対話型インストールを指定しないでください。


  3. メニューオプション「新しいデータサービスのサポートをこのクラスタノードに追加」を選択します。

    scinstall ユーティリティーにより、ほかの情報を入力するためのプロンプトが表示されます。

  4. Sun Cluster Agents CD-ROM のパスを指定します。

    ユーティリティーはこの CD をデータサービス CD-ROM として示します。

  5. インストールするデータサービスを指定します。

    選択したデータサービスが scinstall ユーティリティーによって示され、この選択内容の確認が求められます。

  6. scinstall ユーティリティーを終了します。

  7. CD-ROM を CD-ROM ドライブから取り出します。

次の手順

「Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成」に進みます。

Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成

Sun Cluster HA for Sybase ASE をフェイルオーバーデータサービスとして登録して構成します。

Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティーの設定

この節では、リソースを登録して構成するための手順について説明します。これらの説明は、設定が必要な Sun Cluster HA for Sybase ASE の拡張プロパティーに限られています。すべての Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティーについては、付録 A 「Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティー」を参照してください。拡張プロパティーの中には動的に変更できるものがあります。ただし、それ以外の拡張プロパティーは、リソースを作成するか無効にするときにしか更新できません。「調整可能」の欄には、そのプロパティーをいつ変更できるかが示されています。

リソースの拡張プロパティーを設定する際には、リソースを作成または変更する scrgadm(1M) コマンドに次のオプションを指定する必要があります。


-x property=value 
-x property

設定する拡張プロパティーを指定します。

value

設定する拡張プロパティーの値を指定します。

これらのリソースを作成したあとにリソースを構成する場合は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の第 2 章「データサービスリソースの管理」で説明する手順も使用できます。

ProcedureSun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成の方法

この節では、scrgadm(1M) コマンドを使用して、Sun Cluster HA for Sybase ASE を登録して構成する手順について説明します。

この手順には、SUNW.HAStoragePlus リソースタイプを作成する方法も含まれます。このリソースタイプは、HAStorage と Sun Cluster HA for Sybase ASE 間でアクションの同期をとって、高可用性ローカルファイルシステムを使用できるようにします。Sun Cluster HA for Sybase ASE ではディスクに負荷がかかるため、SUNW.HAStoragePlus リソースタイプを構成する必要があります。

SUNW.HAStoragePlus リソースタイプについての詳細は、次のマニュアルを参照してください。


注 –

データサービスはここで説明するオプション以外のオプションを使用して登録と構成を行えます。これらのオプションについての詳細は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』「データサービスリソースを管理するためのツール」を参照してください。


この手順を実行するには、次の情報を確認しておく必要があります。


注 –

次の手順は、クラスタの 1 つのメンバーだけで行ってください。


手順
  1. クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。

  2. scrgadm コマンドを実行し、Sun Cluster HA for Sybase ASE のリソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.sybase
    
    -a

    データサービスのリソースタイプを追加します。

    -t SUNW.sybase

    当該データサービス用にあらかじめ定義されているリソースタイプ名を指定します。

  3. SUNW.HAStoragePlus リソースタイプをクラスタに登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.HAStoragePlus
    
  4. タイプ SUNW.HAStoragePlus のリソース sybase-hastp-rs を作成します。


    # scrgadm -a -j sybase-hastp-rs -g sybase-rg -t SUNW.HAStoragePlus \
    -x GlobalDevicePaths=sybase-device-group1,/dev/global/dsk/dl \
    -x FilesystemMountPoints=/global/sybase-inst \
    -x AffinityOn=TRUE
    

    注 –

    フェイルオーバーを行うためには、AffinityOnTRUE に設定され、ローカルファイルシステムが広域ディスクグループ上に存在する必要があります。


  5. scrgadm コマンドを実行して、次の作業を完了し、リソースグループ sybase-rg をクラスタノード上でオンラインにします。

    • リソースグループを管理状態にします。

    • リソースグループをオンラインにします。

    このノードは、デバイスグループ sybase-set1 および raw デバイス /dev/global/dsk/d1 の主ノードになります。このノードでは、/global/sybase-inst のようなファイルシステムに関連するデバイスグループも主デバイスグループになります。


    # scrgadm -Z -g sybase-rg
    
  6. Sybase ASE アプリケーションリソースをフェイルオーバーリソースグループに作成します。


    # scrgadm -a -j resource -g resource-group \
    -t SUNW.sybase \
    -x Environment_File=environment-file-path \
    -x Adaptive_Server_Name=adaptive-server-name \
    -x Backup_Server_Name=backup-server-name \
    -x Text_Server_Name=text-server-name \
    -x Monitor_Server_Name=monitor-server-name \
    -x Adaptive_Server_Log_File=log-file-path \
    -x Stop_File=stop-file-path \
    -x Connect_string=user/passwd \
    -y resource_dependencies=storageplus-resource
    
    -j resource

    追加するリソース名を指定します。

    -g resource-group

    リソースグループ名を指定します。RGM はここにリソースを入れます。

    -t SUNW.sybase

    追加するリソースタイプを指定します。

    -x Environment_File=environment-file

    環境ファイルの名前を設定します。

    -x Adaptive_Server_Name=adaptive-server-name

    適応サーバーの名前を設定します。

    -x Backup_Server_Name=backup-server-name

    バックアップサーバーの名前を設定します。

    -x Text_Server_Name=text-server-name

    テキストサーバーの名前を設定します。

    -x Monitor_Server_Name=monitor-server-name

    監視サーバーの名前を設定します。

    -x Adaptive_Server_Log_File=log-file-path

    アダプティブサーバーのログファイルへのパスを設定します。

    -x Stop_File=stop-file-path

    停止ファイルへのパスを設定します。

    -x Connect_string=user/passwd

    障害モニターがデータベースに接続するときに使用するユーザー名とパスワードを指定します。

    デフォルト値を持つ拡張プロパティーを指定する必要はありません。詳細は、「Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティーの設定」を参照してください。

  7. リソースと障害の監視を有効にします。


    注 –

    Sybase 起動ログは、いつ Sybase サーバーが起動したかをコンソールに出力します。これらのメッセージをコンソールに出力しない場合は、 RUN ファイルを編集して、これらのメッセージをほかのファイルにリダイレクトします。



    # scswitch -Z -g resource-group
    
次の手順

Sun Cluster HA for Sybase ASE を登録して構成したあとは、「Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成の確認」に進みます。

Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成の確認

この節で説明するチェックは、Sun Cluster HA for Sybase ASE を実行するすべてのノードが Sybase ASE データサーバーを起動できることを確認します。また、構成内のほかのノードが Sybase ASE データサーバーにアクセスできることも確認します。これらのチェックを実行して、Sun Cluster HA for Sybase ASE から Sybase ASE を起動するときの問題を特定してください。

ProcedureSun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成を確認する

手順
  1. Sybase ASE リソースグループをマスターするノードにログインします。

  2. Sybase ASE 環境変数を設定します。

    この環境変数は、Environment_file 拡張プロパティーで指定する変数のことです。このような環境変数を設定する方法については、付録 A 「Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティー」を参照してください。

  3. Sun Cluster HA for Sybase ASE リソースがオンラインであることを確認します。


    # scstat -g
    
  4. Sybase ASE のログを調べて、発生したエラーの原因を判断します。

  5. データサーバーに接続できることを確認してから、次のテストコマンドを実行します。


    # isql -S adaptive-server -U sa -P password
    
    isql> sp_help
    isql> go
    isql> quit
    
  6. Sybase ASE データサーバーのプロセスを終了させます。

    Sun Cluster ソフトウェアがこのプロセスを再起動します。

  7. Sybase ASE リソースが含まれているリソースグループを、そのクラスタ内の別のクラスタメンバーに切り替えます。


    # scswitch -z -g resource-group -h node
    
  8. この時点でそのリソースグループを持つノードにログインします。

  9. 手順 3 から手順 5 までを繰り返します。


    注 –

    Sybase ASE のクライアントの接続は、Sun Cluster HA for Sybase ASE のスイッチオーバーが起こると無効になります。スイッチオーバーが起こると、Sybase ASE への既存のクライアント接続は停止され、クライアントは接続を再確立する必要があります。スイッチオーバー後の Sun Cluster HA for Sybase ASE の回復時間は、Sybase ASE トランザクションログの再生にどのくらいの時間が必要かによって異なります。


Sun Cluster HA for Sybase ASE ログファイルの保管場所

Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスの各インスタンスは、/opt/SUNWscsyb/log ディレクトリにログファイルを維持します。

これらのファイルには、Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスが実行するアクションについての情報が保存されます。構成のトラブルシューティングを行うために診断情報が必要な場合、または Sun Cluster HA for Sybase ASE データサービスの動作をモニターする場合には、これらのファイルを参照してください。

「Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギングでの問題」も参照してください。

Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギングとセキュリティーの問題

この節では、Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギングとセキュリティーの問題について説明します。

Sun Cluster HA for Sybase ASE のロギングでの問題

Sun Cluster HA for Sybase ASE は、メッセージを /opt/SUNWscsyb/log ディレクトリの message_log ファイルに記録します。このファイルの最大サイズは 512K バイトですが、Sun Cluster HA for Sybase ASE は、古いログファイルを削除しません。したがって、ログオンファイルの数が多数になることがあります。

Sun Cluster HA for Sybase ASE は、 すべてのエラーメッセージを syslog ファイルに書き込みます。さらに、この Sun Cluster HA for Sybase ASE は、障害モニターの履歴を log ディレクトリの restart_history ファイルに書き込みます。これらのファイルの数もまた多数に上ることがあります。

定期的なファイル整理の一貫として次のログファイルを検査し、必要がなければ削除してください。

Sun Cluster HA for Sybase ASE のセキュリティーの問題

Sun Cluster HA for Sybase ASE では、システム管理者のパスワードが停止ファイルに組み込まれていなければなりません。/opt/SUNWscsyb/bin ディレクトリには、停止ファイルのテンプレート sybase_stop_servers が含まれています。Sun Cluster HA for Sybase ASE はこのファイルを使用して、Sybase ASE 環境にログインしたり、Sybase ASE サーバーを停止したりします。したがって、停止ファイルを実行できるように sybase ユーザーを設定してください。ただし、一般ユーザーからのこのファイルへのアクセスは防止する必要があります。読み取り、書き込み、実行の特権を次のユーザーだけに与えます。

Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターの調整

Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターは Sybase ASE サーバーに照会して、サーバーの健全性を判断します。


注 –

Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターは Adaptive サーバーだけを監視します。この障害モニターは、補助サーバーは監視しません。


Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターは、Sybase ASE を表すリソースに含まれます。Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録および構成時に、このリソースを作成できます。詳細は、「Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成」を参照してください。

障害モニターの動作は、このリソースのシステムプロパティーと拡張プロパティーによって制御されます。事前に設定された障害モニターの動作は、これらのプロパティーのデフォルト値に基づいています。現在の動作は、ほとんどの Sun Cluster システムに適しているはずです。したがって、Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターを調整する必要があるのは、この事前設定されている動作を変更する必要がある場合だけです。

Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターの調整では、次の作業を行います。

これらの作業は、Sun Cluster HA for Sybase ASE の登録と構成の際に行います。詳細は、次の項目を参照してください。

Sun Cluster HA for Sybase ASE 障害モニターは、次のプロセスで構成されます。

主障害モニタープロセス

障害モニタープロセスでは、エラーを診断し、統計情報を検査します。障害モニターは、次の条件が満たされたときに、操作が正常であったとみなします。

操作が失敗に終わると、主プロセスは、アクションテーブルを検査してとるべきアクションを特定し、あらかじめ決められたアクションをとります。操作が失敗した場合、主プロセスは、次のアクションをとることができます。

  1. 現在のノードでリソースを再起動します。

  2. 現在のノードでリソースグループを再起動します。

  3. リソースグループのノードリストに存在する次のノードにリソースグループをフェイルオーバーします。

これらのアクションは、外部プログラムを別のプロセスとしてバックグラウンドで実行します。

さらに、サーバーの障害モニターは、 Adaptive_Server_Log ファイルをスキャンし、エラーが見つかれば、それを訂正します。

データベース-クライアント障害検証

データベース-クライアント障害検証では、活動検査とテストトランザクションを実行します。拡張プロパティー Connect_string では、すべてのデータベース操作を行うアカウントを指定します。拡張プロパティー Probe_timeout では、タイムアウト値を設定します。障害機構は、この値を使って、正常なデータベース検証の間に経過した時間を計算します。