Sun Cluster HA for Sybase ASE をフェイルオーバーデータサービスとして登録して構成します。
この節では、リソースを登録して構成するための手順について説明します。これらの説明は、設定が必要な Sun Cluster HA for Sybase ASE の拡張プロパティーに限られています。すべての Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティーについては、付録 A 「Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティー」を参照してください。拡張プロパティーの中には動的に変更できるものがあります。ただし、それ以外の拡張プロパティーは、リソースを作成するか無効にするときにしか更新できません。「調整可能」の欄には、そのプロパティーをいつ変更できるかが示されています。
リソースの拡張プロパティーを設定する際には、リソースを作成または変更する scrgadm(1M) コマンドに次のオプションを指定する必要があります。
-x property=value |
設定する拡張プロパティーを指定します。
設定する拡張プロパティーの値を指定します。
これらのリソースを作成したあとにリソースを構成する場合は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の第 2 章「データサービスリソースの管理」で説明する手順も使用できます。
この節では、scrgadm(1M) コマンドを使用して、Sun Cluster HA for Sybase ASE を登録して構成する手順について説明します。
この手順には、SUNW.HAStoragePlus リソースタイプを作成する方法も含まれます。このリソースタイプは、HAStorage と Sun Cluster HA for Sybase ASE 間でアクションの同期をとって、高可用性ローカルファイルシステムを使用できるようにします。Sun Cluster HA for Sybase ASE ではディスクに負荷がかかるため、SUNW.HAStoragePlus リソースタイプを構成する必要があります。
SUNW.HAStoragePlus リソースタイプについての詳細は、次のマニュアルを参照してください。
SUNW.HAStoragePlus(5) のマニュアルページ
『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「リソースグループとディスクデバイスグループの関係」
データサービスはここで説明するオプション以外のオプションを使用して登録と構成を行えます。これらのオプションについての詳細は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「データサービスリソースを管理するためのツール」を参照してください。
この手順を実行するには、次の情報を確認しておく必要があります。
データサービスをマスターするクラスタノードの名前。
クライアントがデータサービスにアクセスするために使用するネットワークリソース。通常は、IP アドレスは、クラスタをインストールするときに構成します。Sun Cluster 環境の計画と Solaris ソフトウェアのインストールについては、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の第 1 章「Sun Cluster 構成の計画」を参照してください。
Sybase ASE アプリケーションインストールへのパス。
次の手順は、クラスタの 1 つのメンバーだけで行ってください。
クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。
scrgadm コマンドを実行し、Sun Cluster HA for Sybase ASE のリソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.sybase |
データサービスのリソースタイプを追加します。
当該データサービス用にあらかじめ定義されているリソースタイプ名を指定します。
SUNW.HAStoragePlus リソースタイプをクラスタに登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.HAStoragePlus |
タイプ SUNW.HAStoragePlus のリソース sybase-hastp-rs を作成します。
# scrgadm -a -j sybase-hastp-rs -g sybase-rg -t SUNW.HAStoragePlus \ -x GlobalDevicePaths=sybase-device-group1,/dev/global/dsk/dl \ -x FilesystemMountPoints=/global/sybase-inst \ -x AffinityOn=TRUE |
フェイルオーバーを行うためには、AffinityOn が TRUE
に設定され、ローカルファイルシステムが広域ディスクグループ上に存在する必要があります。
scrgadm コマンドを実行して、次の作業を完了し、リソースグループ sybase-rg をクラスタノード上でオンラインにします。
リソースグループを管理状態にします。
リソースグループをオンラインにします。
このノードは、デバイスグループ sybase-set1 および raw デバイス /dev/global/dsk/d1 の主ノードになります。このノードでは、/global/sybase-inst のようなファイルシステムに関連するデバイスグループも主デバイスグループになります。
# scrgadm -Z -g sybase-rg |
Sybase ASE アプリケーションリソースをフェイルオーバーリソースグループに作成します。
# scrgadm -a -j resource -g resource-group \ -t SUNW.sybase \ -x Environment_File=environment-file-path \ -x Adaptive_Server_Name=adaptive-server-name \ -x Backup_Server_Name=backup-server-name \ -x Text_Server_Name=text-server-name \ -x Monitor_Server_Name=monitor-server-name \ -x Adaptive_Server_Log_File=log-file-path \ -x Stop_File=stop-file-path \ -x Connect_string=user/passwd \ -y resource_dependencies=storageplus-resource |
追加するリソース名を指定します。
リソースグループ名を指定します。RGM はここにリソースを入れます。
追加するリソースタイプを指定します。
環境ファイルの名前を設定します。
適応サーバーの名前を設定します。
バックアップサーバーの名前を設定します。
テキストサーバーの名前を設定します。
監視サーバーの名前を設定します。
アダプティブサーバーのログファイルへのパスを設定します。
停止ファイルへのパスを設定します。
障害モニターがデータベースに接続するときに使用するユーザー名とパスワードを指定します。
デフォルト値を持つ拡張プロパティーを指定する必要はありません。詳細は、「Sun Cluster HA for Sybase ASE 拡張プロパティーの設定」を参照してください。
リソースと障害の監視を有効にします。
Sybase 起動ログは、いつ Sybase サーバーが起動したかをコンソールに出力します。これらのメッセージをコンソールに出力しない場合は、 RUN ファイルを編集して、これらのメッセージをほかのファイルにリダイレクトします。
# scswitch -Z -g resource-group |
Sun Cluster HA for Sybase ASE を登録して構成したあとは、「Sun Cluster HA for Sybase ASE のインストールと構成の確認」に進みます。