Sun Cluster Geographic Edition は、Sun Cluster ソフトウェアの上で拡張レイヤーとして機能するソフトウェアです。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、遠く離れた複数のクラスタを使用し、これらのクラスタ間でデータを複製する冗長インフラストラクチャーを使用することで、アプリケーションを不測の中断から保護します。Sun Cluster Geographic Edition クラスタ上で動作するアプリケーションは、データ複製ソフトウェアを使用して地理的に離れた二次クラスタにサービスを移行することで、災害耐性を持たせることができます。地震、火事、嵐などの災害が起きると、一次サイトのクラスタが使用できなくなることがあります。このような場合にも Sun Cluster Geographic Edition クラスタは、次のような冗長性レベルを使用することで、継続してサービスを提供できます。
二次クラスタ
二次クラスタ上でのアプリケーション構成の重複
二次クラスタ上でのデータの複製
この章では、Sun Cluster Geographic Edition 製品の概要を示します。
この章の内容は次のとおりです。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアには、サイト間でのサービスの移行を通して地理的に離れたクラスタの管理と構成を行うツール群が用意されています。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでは、エンタープライズシステム全体での災害に耐えられるよう、堅固なセキュリティー、アプリケーションサービスの移行、データ複製などを通し、複数の物理位置にわたって可用性を管理できます。
Sun Cluster Geographic Edition 製品では、パフォーマンス、コスト、およびデータ復旧ポイントの分離という 3 つの要素を、より適切に組み合わせることができます。この組み合わせは、遠隔地にある複数のノードを持つ単一クラスタで構成されるキャンパスクラスタリングやメトロクラスタリングとは大きく異なっています。Sun Cluster Geographic Edition 製品は、地理的に離れた複数のクラスタに利用できる管理ツールと構成ツールを提供します。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアが動作する構成には、地理的に分散した複数のクラスタが存在します。主クラスタはアプリケーションサービスを提供し、セット内の二次クラスタは災害発生時に主クラスタのサービスを引き受けることができる代替サイトの役割を果たします。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでは、2 つのクラスタ間での構成、データの複製、ハートビートの監視を管理し、データを複数の災害復旧サイトに分散できます。
災害耐性とは、主クラスタに障害が発生した場合に二次クラスタ上でアプリケーションを復元するシステムの能力です。災害耐性の基礎となるのは、データ複製とフェイルオーバーです。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、次の要素を冗長配備することで、災害耐性を実現しています。
地理的に離れた高可用性クラスタ
ホストレベルまたはストレージレベルでのデータ複製
バックアップ、復元、データの (遠隔地) 保管
データ複製とは、主クラスタから二次クラスタに継続的にデータをコピーするプロセスのことです。データ複製によって、二次クラスタには主クラスタの最新データのコピーが保存されます。二次クラスタは、主クラスタから地理的に離れた場所にも設置できます。
フェイルオーバーとは、主クラスタから二次クラスタへの、リソースグループまたはデバイスグループの自動再配置です。主クラスタに障害が発生した場合でも、アプリケーションとデータは二次クラスタで即座に使用できます。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは 2 種類のサービス移行、スイッチオーバーとテイクオーバーをサポートしています。スイッチオーバーは、主クラスタから二次クラスタへの、計画的なサービス移行です。スイッチオーバーの間、主クラスタは二次クラスタに接続され、サービス移行を二次クラスタと調整し、データ損失とデータ破損を最小限に抑えます。
テイクオーバーは、主クラスタから二次クラスタへの、緊急のサービス移行です。システム管理者は、災害から復旧する目的でにテイクオーバーを開始できます。スイッチオーバーとは異なり、テイクオーバーの間、主クラスタは二次クラスタに接続されません。そのため、主クラスタは二次クラスタと処理を調整してサービスを移行することはできません。このような調整が行われないため、テイクオーバーではスイッチオーバーよりもデータ損失とデータ破損のリスクが高くなります。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、テイクオーバー時に専用の復旧手順を使用して、データ損失とデータ破損を最小限に抑えます。
Sun Cluster Geographic Edition 製品には次のような特長があります。
地理的に離れている複数のクラスタの障害検出
クラスタ間でのハートビート監視 (構成可能)
別のクラスタへのアプリケーションリソースのスイッチオーバー
グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) とコマンド行インタフェース (CLI) を介した、パートナークラスタのリモート管理
地理的に離れたクラスタ間でのデータ複製
役割に基づくアクセス制御 (RBAC: Role-Based Access Control) によりセキュリティー保護された管理インタフェース
ノード間またはクラスタ間通信のための、SSL (Secure Sockets Layer) 認証と SSL 暗号化
クラスタ間でのデータ複製とハートビート通信のための IPsec セキュリティー (構成可能)
ハートビートロス通知が発行された時点でスクリプトを自動実行する機能
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアには、地理的に離れたクラスタ間でのデータ複製を管理するためのツールが用意されています。このソフトウェアは、次のデータ複製製品をサポートしています。
Sun StorEdgeTM Availability Suite 3.2.1 ソフトウェア
Hitachi TrueCopy
Sun Cluster Geographic Edition 製品は、Sun Cluster リソース管理機能を利用することにより、クラスタ内で高可用性サービスを提供します。
パートナーシップ、ハートビート、および保護グループの構成、制御、監視は、SunPlex Manager Geographic Edition GUI またはコマンド行インタフェース (CLI) を介して行えます。
Sun Cluster Geographic Edition CLI には、専用コマンドがいくつかあります。
SunPlexTM Manager Geographic Edition GUI は、Sun Cluster GUI を拡張したものです。GUI では、CLI を介して利用できる操作のほとんどが視覚的に表示されます。SunPlex Manager Geographic Edition GUI を使用すると、地理的に離れたクラスタの管理と監視が行えます。