ild は特定の条件下で、ld の代わりのコンパイルシステムによって自動的に起動されます。ユーザーがコンパイルシステムを起動すると、続いてコンパイラドライバが起動します。そのドライバに特定のオプションを渡すことによって、ドライバは ild を使用することになります。コンパイラドライバはコマンド行からオプションを読み取り、正しい順序でさまざまなプログラムを実行し、渡された引数のリストからファイルを追加します。
例をあげて説明すると、まず、コンパイラドライバの cc が acomp (コンパイラのフロントエンド) を起動します。すると、acomp は最適化コードジェネレータを起動します。その後、cc は、コマンド行にリストされているほかのソースファイルにも同じことを実行します。ドライバは次に、オプションに応じて ild か ld のどちらかを呼び出し、それをコンパイルされたばかりのすべてのファイルだけでなく、プログラムを終了させるのに必要なほかのファイルやライブラリに渡します。
図 B-1 に、インクリメンタルリンクの例を示します。

リンク手順を ild または ld のどちらで実行するかは、次のコンパイルシステムのオプションで制御します。
-xildon − 常に ild を使用する
-xildoff − 常に ld を使用する
-xildon と -xildoff の両方が指定された場合は、-xildoff が優先されます。
-g − -xildoff も -G も指定されていなければ、ild を使用してリンクだけを起動する (コマンド行にソースファイルが指定されていない場合)
-G − -g オプションによるリンカー選択効力を無効にする
-g と -G オプションには別の意味も含まれます。コンパイルシステムについての記述を参照してください。
-g オプションを使用してデバッグ機能を起動したときに、デフォルトのメークファイル構成が設定されている (リンクコマンド行に、-g などのコンパイル時間に関するオプションが含まれている) 場合は、開発時に自動的に ild を使用することになります。