dbx コマンドによるデバッグ

メモリーリークの報告を理解する

リーク検査機能をオンにすると、プログラムの終了時に自動リークレポートが生成されます。プログラムが kill コマンドによって強制終了されていなければ、可能性のあるリークがすべて報告されます。デフォルトでは、dbxenv 変数 rtc_mel_at_exit で指定してある簡易リークレポートが生成されます。

レポートは、リークのサイズによってソートされます。実際のメモリーリークが最初に報告され、次に可能性のあるリークが報告されます。詳細レポートには、スタックトレース情報の詳細が示されます。行番号とソースファイルが使用可能であれば、これらも必ず含まれます。

次のメモリーリークエラー情報が、2 種類の報告のどちらにも含まれます。

リークしたブロックが割り当てられた場所 

リークしたブロックのアドレス 

リークしたブロックのサイズ 

割り当て時の呼び出しスタック。check -frames によって制約される

簡易レポートはエラー情報をテーブルに出しますが、詳細レポートでは、各エラーについて個別のエラーメッセージが示されます。どちらもソースコード内のエラーの位置にハイパーテキストでリンクされます。

次に、対応する簡易メモリーリークレポートを示します。


実際のリークの報告       (実際のリーク:        1  合計サイズ:       1 バイト)

合計     ブロック  リーク      割り当て呼出しスタック
サイズ   数        ブロック
                   アドレス
======   ========  =========   =====================================
    1        1     0x20f18     mel < leaks < main 

起こり得るリークの報告  (起こり得るリーク:      1  合計サイズ      4 バイト)

合計   ブロック リーク      割り当て呼出しスタック
サイズ  数    ブロック
          アドレス
======   ========  =========   =====================================
    4       1      0x20ef8     aib < leaks < main 

次に、典型的な詳細リークレポートを示します。


実際のリークの報告       (実際のリーク:        1  合計サイズ:       1 バイト)

メモリーリーク (mel):
大きさ 1 バイト のリークのあるブロックをアドレス 0x20f18 に発見
割り当て時のスタックの状態:
        [1] mel() 行番号 19 "leaks.c"
        [2] leaks() 行番号 6 "leaks.c"
        [3] main() 行番号 7 "main.c"


起こり得るリークの報告  (起こり得るリーク:      1  合計サイズ      4 バイト)

メモリーリークの可能性 -- ブロック中のアドレス (aib):
大きさ 4 バイト のリークのあるブロックをアドレス 0x20ef8 に発見
割り当て時のスタックの状態:
        [1] aib() 行番号 11 "leaks.c"
        [2] leaks() 行番号 5 "leaks.c"
        [3] main() 行番号 7 "main.c"

リークレポートの生成

showleaks コマンドを使用すると、いつでもリークレポートを要求することができます。このコマンドは、前回の showleaks コマンド以降の新しいメモリーリークを報告するものです。

リークレポート

リークレポートの数が多くなるのを避けるため、RTC は同じ場所で割り当てられたリークを自動的に 1 つにまとめて報告します。1 つにまとめるか、それぞれ各リークごとに報告するかは、一致フレーム数引数によって決まります。この引数は、check -leaks コマンドを実行する際は -match m オプション、showleaks コマンドを実行する際は -m オプションで指定します。呼び出しスタックが 2 つ以上のリークを割り当てる際に m 個のフレームと一致した場合は、リークは 1 つにまとめて報告されます。

以下の 3 つの呼び出しシーケンスを考えてみます。

ブロック 1 

ブロック 2 

ブロック 3 

[1] malloc

[1] malloc

[1] malloc

[2] d() at 0x20000

[2] d() at 0x20000

[2] d() at 0x20000

[3] c() at 0x30000

[3] c() at 0x30000

[3] c() at 0x31000

[4] b() at 0x40000

[4] b() at 0x41000

[4] b() at 0x40000

[5] a() at 0x50000

[5] a() at 0x50000

[5] a() at 0x50000

これらのブロックがすべてメモリーリークを起こす場合、m の値によって、これらのリークを別々に報告するか、1 つのリークが繰り返されたものとして報告するかが決まります。m が 2 のとき、ブロック 1 とブロック 2 のリークは 1 つのリークが繰り返されたものとして報告されます。これは、malloc() の上にある 2 つのフレームが共通しているためです。ブロック 3 のリークは、c() のトレースがほかのブロックと一致しないので別々に報告されます。m が 2 より大きい場合、RTC はすべてのリークを別々に報告します (malloc はリークレポートでは表示されません)。

一般に、m の値が小さければリークのレポートもまとめられ、m の値が大きければまとめられたリークレポートが減り、別々のリークレポートが生成されます。