Sun Management Center 3.6 ユーザーガイド

第 17 章 Web コンソールによるデータプロパティ属性の管理

この章の内容は、次のとおりです。

モジュールのデータプロパティの概要

モジュールのデータプロパティは、モジュールの追加情報を提供します。第 10 章「データプロパティ属性の監視」で説明している Java コンソールの属性エディタと同じ機能を備えた Web コンソールの属性エディタを使用して、モジュールのデータプロパティの監視条件をカスタマイズすることができます。属性エディタでは、次のタスクを実行できます。

Web コンソールの「属性エディタ」ページの最上部にある 1 つまたは複数のタブで、パネルを切り替えることができます。これらのタブは、指定したオブジェクトによって異なります。表示される可能性のあるタブについては、次の項目で説明します。


注 –

各属性エディタ は、インスタンスを適用するオブジェクトによって、1 つまたは複数のタブを表示します。


Web コンソールの属性エディタの「情報」タブ

属性エディタの「情報」ページは、選択したオブジェクトの追加情報を提供します。

Web コンソールの属性エディタの「アラーム」タブ

「アラーム」タブでは、関連する単純アラームを持つデータプロパティにのみアラームしきい値を設定することができます。これらの単純アラームは、 rCompare 規則を使用します (付録 D 「Sun Management Center ソフトウェアの規則」を参照)。属性エディタの「アラーム」ページは、単純アラームのアラームしきい値のみ設定可能です。


注 –

アラームしきい値を設定するためには、適切なセキュリティ (アクセス権) が必要です。詳細は、第 18 章「Sun Management Center のセキュリティ」を参照してください。


アラーム管理ソフトウェアでは、次のような柔軟なアラーム設定が可能です。

単純アラームは、監視データプロパティがしきい値より大きいか小さいか、あるいはしきい値と一致するかしないかが基準となります。一方、複合アラームは一連の条件が真になると発生します。アラーム規則の詳細は、付録 D 「Sun Management Center ソフトウェアの規則」を参照してください。

次の表は、監視プロパティの一般的な単純アラーム制限を示したものです。アラーム制限は、「パラメータの説明」フィールドに表示されます。ユーザは、選択したデータプロパティに対して、これらのアラーム制限のうち 1 つまたは複数のしきい値を設定することができます。

表 17–1 Sun Management Center ソフトウェアの一般的な単純アラーム制限

アラーム制限 

説明 

重大しきい値 (>) 

値がこのフィールドに入力された制限を超えると、重大 (赤色) アラームが発生する。 

警告しきい値 (>) 

値がこのフィールドに入力された制限を越えると、警告 (黄色) アラームが発生する。 

注意しきい値 (>) 

値がこのフィールドに入力された制限を越えると、注意 (青色) アラームが発生する。 

重大しきい値 (<) 

値がこのフィールドに入力された制限を下回ると、重大 (赤色) アラームが発生する。 

警告しきい値 (<) 

値がこのフィールドに入力された制限を下回ると、警告 (黄色) アラームが発生する。 

注意しきい値 (<) 

値がこのフィールドに入力された制限を下回ると、注意 (青色) アラームが発生する。 

「アラーム」ウィンドウ

指定された時間帯でアラームが発生する。たとえば day_of_week=fri の値を指定すると、アラームは金曜日にアラーム条件が存在する場合にのみ発生し、火曜日にアラーム条件が存在しても発生しない。

Web コンソールの属性エディタの「処理」タブ

属性エディタの「処理」ページでは、アラーム発生に対応した定義済みの処理を設定することができます。


注 –

標準的な処理として、/var/opt/SUNWsymon/bin ディレクトリにスクリプトが格納されています。これらのスクリプトは、root アクセス権で実行します。


たとえば重大処理のフィールドにスクリプト名を入力すると、このスクリプトは、「直前 5 分間の負荷平均」のデータプロパティに対して重大アラームが生成されるたびに、システム管理者に電子メールを送信します。

処理は、アラーム条件ごとに個別に設定することができます。また、いずれかのアラーム条件に何らかの変化が生じた場合の対処法として、単一の処理を定義することも可能です。処理を定義する場合は、「処理」ページの「処理」ボタンを使用します。


注 –

「処理」ボタンの右側のチェックボックスで、特定のアラーム処理を自動実行するか手動実行するかを指定できます。デフォルトでは、すべての処理が手動実行に設定されます。手動処理は変更可能です。


登録済みのアラーム処理を変更する場合は、「アラーム処理変更」ダイアログボックスを使用します。ダイアログボックスの 2 つのボタン (「電子メール」、「汎用」) のいずれか一方を、アラーム処理として選択します。

電子メール

電子メールとして送信するアドレス、題名、メッセージを指定します。

汎用

管理ノード上にインストールされた汎用シェルスクリプトを選択します。

Web コンソールの属性エディタの「再表示」タブ

属性エディタの「再表示」ページを使用して、オブジェクトの再表示間隔を設定します。再表示間隔は、Sun Management Center エージェントが監視プロパティを抽出する間隔です。詳細は、「データ表示の更新頻度を指定する」を参照してください。

Web コンソールの属性エディタの「履歴」タブ

属性エディタ の「履歴」ページを使用して、監視プロパティの過去のデータを保存します。たとえば、履歴データポイントを 120 秒ごとに記録するよう抽出間隔を指定します。さらに、この情報の保管場所をディスクファイルまたはメモリキャッシュで指定します。

ディスクファイルには 2 種類 (循環、テキスト) あります。循環ファイルの最大ライン長は 1000 行です。これらのファイルは、「テキストファイル名」フィールドで指定されたファイルの /var/opt/SUNWsymon/log ディレクトリにあります。

循環ディスクファイルは、history.log の名前で自動保存されます。テキストファイルのファイル名を指定しないと、データは agent_default.history の名前で自動保存されます。

メモリキャッシュを選択する場合は、「最大サイズ (サンプル)」フィールドに保存するデータポイント数を指定する必要があります。たとえば、このフィールドに 1000 を設定すると、最新の 1000 個のデータポイントがメモリキャッシュに格納され、これ以上古いデータポイントは破棄されます。これらのデータポイントはグラフ化できます。詳細は、第 9 章「データプロパティのグラフ表示」を参照してください。


注 –

履歴データをグラフで表示する場合は、特定の監視プロパティのグラフを開きます。メモリキャッシュを選択していると、これまでのデータがグラフに表示されます。


Web コンソールの属性エディタの使用

この節では、Web コンソールの属性エディタで特定の属性を表示、再表示間隔を変更、履歴情報を変更する手順について説明します。

Procedure特定のデータプロパティの属性にアクセスする

手順
  1. 階層からデータプロパティテーブルにナビゲートします。

    たとえば、次の手順に従ってホストのメモリ情報を表示します。

    1. メインコンソールページの管理オブジェクトを選択します。

    2. 「詳細へ」リンクをクリックします。

      「ホスト詳細」ページが表示されます。

    3. 「ホスト詳細」ページで、「オペレーティングシステム」の左にある開くアイコンをクリックします。

    4. 「カーネルリーダ (簡易)」の左にある開くアイコンをクリックします。

    5. 「メモリ使用統計情報」をクリックします。

      「メモリ使用統計情報」のデータプロパティテーブルが表示されます。

  2. 表示または変更する属性のデータプロパティテーブルで値を選択します。

    別のウィンドウに属性エディタが表示されます。

Procedureデータ表示の更新頻度を指定する

次の例は、システム負荷統計情報モジュールの再表示間隔の設定方法を示したものです。

手順
  1. 「ホスト詳細: ブラウザ」ページのデータプロパティ (例: システム負荷統計情報) を選択します。

  2. 「直前 5 分間の負荷平均」の「値」列を選択します。

    属性エディタの「情報」ページが表示されます。

  3. 「再表示」タブをクリックします。

    「再表示」ページが表示されます。

  4. 「再表示間隔」フィールドに値を秒で入力します。

    たとえば 300 を入力すると、ページは 5 分ごとに更新します。

  5. 再表示間隔を変更して属性エディタを終了するには、「了解」ボタンをクリックします。

    「システム負荷統計情報」のプロパティテーブルが表示されている場合、テーブルの値は 5 分ごとに更新されます。


    ヒント –

    再表示間隔により大きな値を設定すると、エージェントの消費する CPU サイクルが減少します。


Procedure履歴データの収集頻度を変更する

「履歴のサンプリング間隔」ページは、履歴データの収集頻度を制御します。

手順
  1. 「ホスト詳細: ブラウザ」ページのデータプロパティ (例: システム負荷統計情報) を選択します。

  2. 特定のプロパティ (例: 直前 5 分間の負荷平均) の「値」列を選択します。

    属性エディタの「情報」ページが表示されます。

  3. 「履歴」タブをクリックします。

    「履歴」ページが表示されます。

  4. 「サンプリング間隔」フィールドに値を秒で入力します。

    たとえば、履歴データポイントを 2 分ごとに収集する場合は、「サンプリング間隔」フィールドに 120 を入力します。

  5. 「了解」ボタンをクリックして履歴間隔を設定し、「履歴」ページを終了します。

Web コンソールの属性エディタによるアラームの操作

この節では、Web コンソールの属性エディタを使用したアラームの作成手順と応答手順について説明します。

Procedureアラーム条件を定義する

単純アラームを作成する場合の手順例を次に示します。この例では、カーネルリーダモジュールのアラームしきい値を作成します。

手順
  1. 「ホスト詳細: ブラウザ」ページからデータプロパティ (例: システム負荷統計情報) を選択します。

  2. 「アラーム」タブをクリックします。

    「アラーム」ページが表示されます。

  3. 「重大しきい値 (>)」フィールドに、現在値より小さい値を入力します。

    この値に基づいて重大アラームが作成されます。

  4. 「了解」をクリックして変更に同意し、「アラーム」ページを閉じます。

    しばらくすると、「システム負荷統計情報」のデータプロパティテーブルの「直前 1 分間の負荷平均」データフィールドが赤に変わります。さらに、次のフォルダとアイコンに赤色アイコンが表示されます。ただし、システムに最高重大度の未確認の開始状態のアラーム (黒色) が存在する場合は除きます。

    • オペレーティングシステム

    • カーネルリーダ

    • システム負荷統計情報

  5. 「ホスト詳細: アラーム」タブをクリックします。

    アラームテーブルが再表示され、作成したアラームが反映されます。この詳細は、第 16 章「Web コンソールによるアラームの管理」を参照してください。

  6. チェックマークの形をした「アラームの確認」ボタンをクリックして、このアラームに肯定応答します。

  7. 新たなアラームしきい値を作成して、その操作に慣れます。

    アラームを作成したあとは、他の Sun Management Center ユーザがアラームしきい値を変更できないように、セキュリティ (アクセス権) を設定することができます。セキュリティの詳細は、第 18 章「Sun Management Center のセキュリティ」を参照してください。


    注 –

    アラーム情報にすべてのアラームしきい値を含める必要はありません。たとえば、重大アラームのしきい値だけを作成するという設定が可能です。


Procedureアラームの対処法を定義する

次の手順では、アラームの発生に対応した処理の定義方法について説明します。

手順
  1. 「ホスト詳細: ブラウザ」ページからデータプロパティ (例: システム負荷統計情報) を選択します。

  2. 「値」列で該当する項目 (例:「直前 5 分間の負荷平均」に関連する値) を選択します。

    属性エディタ の「情報」ページが表示されます。

  3. 「処理」タブをクリックします。

    「処理」ページが表示されます。

  4. 処理を定義するアラームレベルの「処理」ボタンをクリックします。

    表示されたウィンドウで、処理のタイプを指定して、該当する情報を入力します。

    • 電子メールでユーザに通知する場合は、「電子メール」ラジオボタンをクリックします。電子メールの複数アドレスをカンマ区切りで指定して、メッセージを入力します。

    • スクリプトを実行するために、「その他」ラジオボタンをクリックします。使用可能なスクリプトのリストからスクリプトを指定し、必要に応じて適切な引数を入力します。「アラーム処理のスクリプトを定義して使用する」を参照してください。

    • アラームを消去するには、「クリア」ラジオボタンをクリックします。

  5. 「了解」をクリックして変更に同意し、このページを閉じます。

    電子メールの送信を選択すると、特定のアラームが発生するたびに指定したユーザの元へメッセージが送信されます。メッセージは次のように表示されます。


    Date: Wed, 30 Jun 1999 15:25:39 -0800
    From: root@MachineB (0000-Admin(0000))
    Subject: Sun Management Center - Alert Alarm Action
    Mime-Version: 1.0
    
    Sun Management Center alarm action notification ... 
    {Alert: machineB Kernel Reader Load Average Over The Last 5 Minutes > 0.01Jobs}

Procedureアラーム処理のスクリプトを定義して使用する

次の手順では、アラーム処理をカスタマイズして、アラーム条件の発生時にユーザへ自動通知する方法について説明します。

手順
  1. 次の引数を使用して、スクリプトを作成します。

    %statusfmt

    アラーム重大度 (警告、重大など)

    %statusstringfmt

    アラームの全文字列 (重大度を含む)。(例: Critical: Machine A Kernel Reader Number of User Sessions > 10)

  2. コマンド行レベルで、スーパーユーザになります。


    # su -
    
  3. ホーム Sun Management Center ディレクトリのスクリプトをインストールします。

    デフォルトは、/var/opt/SUNWsymon/bin/ ディレクトリです。例:


    # cp custom-alarm-script /var/opt/SUNWsymon/bin/
    
  4. 「ホスト詳細: ブラウザ」タブをクリックします。

  5. アラームしきい値を設定します。

    詳細は、「アラーム条件を定義する」を参照してください。

  6. 「システム負荷統計情報」アイコンをクリックします。

    「ホスト詳細: ブラウザ」ページのコンテンツ表示に、「システム負荷統計情報」のプロパティテーブルが表示されます。

  7. 「直前 5 分間の負荷平均」の「値」列を選択します。

    属性エディタの「情報」ページが表示されます。

  8. 属性エディタの「処理」タブをクリックします。

    「処理」ページが表示されます。

  9. 「重大時処理」フィールドの「処理」ボタンをクリックします。

    「アラーム処理の変更」ダイアログボックスが表示されます。

  10. 「その他」ボタンをクリックします。

  11. 「使用可能なスクリプト」メニューから、custom-alarm-script を選択します。

  12. 「引数」フィールドに次の文字列を入力します。

    %statusstringfmt

  13. 「了解」をクリックして変更に同意し、このページを閉じます。

    「処理」ページの「重大時処理」フィールドに、スクリプトファイル名が表示されます。

Procedureアラーム処理を変更する

手順
  1. 変更するアラーム処理の「処理」ボタンをクリックします。

    「アラーム処理の変更」ダイアログボックスが表示されます。

  2. 変更する処理タイプ (「電子メール」、「その他」) を選択します。

  3. 選択した処理のフィールドで変更を行います。

  4. 「了解」をクリックして変更に同意し、このページを閉じます。

    「処理」ページの該当する「処理」フィールドに、変更が表示されます。