Sun Management Center 3.6.1 インストールと構成ガイド

サーバーレイヤーのリソース

サーバー層は、Sun Management Center ソフトウェアの中核です。サーバー層のホストに適切なハードウェアを指定することは、Sun Management Center において応答性に優れた確実な処理を実現する上で重要な意味を持ちます。Sun Management Center サーバーレイヤーのハードウェア要件は、エージェントの要件よりも大幅に厳しいものです。Sun Management Center 3.6.1 サーバーレイヤーのシステム要件は、Sun Management Center 3.0 サーバーレイヤーのハードウェア要件よりも厳しいものです。バージョン 3.0 サーバーホストは、必ずしも Sun Management Center 3.6.1 のシステム要件を満たしていません。

Sun Management Center サーバーレイヤーは、Solaris のバージョン 8 か 9、または 10 を実行している SPARC プラットフォームデスクトップとサーバーのうち、この節で説明している最小のハードウェア要件を満たすマシンでサポートされます。


注 –

最大限の性能を得るためには、サーバーレイヤーアプリケーションだけを実行する専用マシンに Sun Management Center 3.6.1 サーバーレイヤーをインストールしてください。


サーバーとして推奨されるハードウェアプラットフォーム

次の表に、Sun Management Center サーバーのプラットフォームとして使用できる 4 つの大まかなマシンクラスを示します。各ケースとも、代替マシン構成で同等の性能を提供できます。

表 C–4 Sun Management Center サーバーとして推奨されるハードウェアプラットフォーム

アーキテクチャー 

マシンの種類 

CPU タイプ 

RAM 

スワップ領域 

小型サーバー 

Sun Blade 100 (または同等のマシン) 

502 MHz UltraSPARC IIe CPU x 1以上 

1G バイト 

最小 512M バイト、1G バイトを推奨 

中型サーバー 

Sun Fire 280R 

750 MHz UltraSPARC II CPU x 2 以上 

1G バイト 

最小 512M バイト、1G バイトを推奨 

大型サーバー 

Sun Blade 2000 

1015 Mhz UltraSPARC III CPU x 2 以上 

1G バイト 

最小 512M バイト、1G バイトを推奨 

超大型サーバー 

Sun Fire 880 

900 Mhz UltraSPARC III CPU x 4 以上 

2G バイト 

1G バイト 

サイジング要件

Sun Management Server のホストサイジング要件は、サーバーレイヤーで管理されるエージェントの数とそれらのエージェント上の管理作業に大いに左右されます。管理作業には、システムによって生成される作業 (イベント生成と処理など) とユーザーによって開始される作業 (データのブラウジング、ネットワーク検出、グループ処理、システム監視および診断など) があります。

管理作業の影響のため、サイジング要件は、サーバーにインストールされている Sun Management Center アドオンパッケージの数、種類、および構成、そして管理ノード の数によって変わります。一般には、使用中のアドオンの数が多いほど管理作業の量が多く、サーバーのハードウェア要件も厳しくなります。

次の図に、Sun Management Center サーバーとして推奨されるマシンのクラスを、管理対象のエージェント数とおおよその管理作業の関数として示します。 この図では、サーバー上で Sun Management Center コンソールが動作していないことを前提にしています。また、小型サーバーの場合は 5 個の遠隔コンソールセッション、中型サーバーの場合は 10 個の遠隔コンソールセッション、また大型サーバーと超大型サーバーの場合は 15 個の遠隔コンソールセッションが存在するものと仮定します。

図 C–1 イベントごとに示した Sun Management Center サーバーの 1 日当たりの負荷と管理対象オブジェクトの数

イベントごとに示したSun Management Center サーバーの1 日当たりの負荷と管理対象オブジェクトの数

上図に示したマシンのクラスは、同様な性能を持つホストの代表的なクラスを示します。


注意 – 注意 –

Sun Management Center コンソールアプリケーションをサーバーレイヤーホスト上で実行すると、サーバーの性能が低下します。この影響はアクティブなコンソールセッションの数によっても変わります。サーバーホストがサーバーレイヤーコンポーネントをサポートできる余裕がない場合は、Sun Management Center コンソールをサーバーマシンで実行しないでください。


Sun Management Center サーバーとPerformance Reporting Manager アドオン

Sun Management Center の Performance Reporting Manager (PRM) アドオンを使用すると、Sun Management Center エージェントが監視している任意のデータプロパティーに関して、その履歴的な傾向を追跡したり、レポートを生成したりできます。PRM アドオンは大量のデータを収集および処理できるので、Sun Management Center サーバーのサイジング要件に大きな影響を与える可能性があります。

PRM アドオンの影響は、図 C–1 の PRM 部分に示されています。一般に、管理作業と PRM が追跡するデータープロパティーの総数が増えるほど、Sun Management Center サーバーが管理できるエージェント数は減ります。

PRM アドオンを持つ Sun Management Center サーバーの要件を判断するには、2 つのステップが必要です。

  1. 図 C–1 を参照しながら、PRM アドオンがインストールされている Sun Management Center サーバーが管理するエージェントの総数にもとづいて、必要なマシンのクラスを判断します。

  2. 収集するPRM データプロパティーのおおよその数にもとづいて、適切な PRM 構成を判断します(次項を参照)。

PRM 構成の種類

Sun Management Center の設定では、次の表に示す PRM 構成の種類のから 1 つを選択することができます。「アーキテクチャー」列は、表 C–4 に示したマシンのアーキテクチャーを指します。

表 C–5 PRM 構成の種類の要件

PRM 構成の種類 

ディスク容量 

PRM プロパティーの総数 

エージェント数の例 

エージェント当たりのプロパティー数の例 

アーキテクチャー 

小規模 PRM 

5G バイト 

50,000 

100 

300 

小 

 

 

 

400 

100 

中 

中規模 PRM 

12G バイト 

150,000 

300 

300 

中 

 

 

 

500 

300 

大 

 

 

 

750 

200 

超大 

大規模 PRM 

24G バイト 

240,000 

600 

300 

大 

 

 

 

750 

300 

超大 

通常、小型の Sun Management Center サーバーは小規模 PRM 構成に使用されます。中型サーバーは中規模 PRM 構成に使用されます。そして、大型サーバーと超大型サーバーは大規模 PRM 構成に使用されます。超大型の Sun Management Center サーバーは小規模および中規模 PRM にも使用できますが、利用できるディスク容量や予想される PRM データ収集要件によって条件は変わります。

PRM サーバーの構成例

次の表に、アーキテクチャーの種類ごとに管理できるエージェント数の例を示します。この例では、各エージェントが PRM ごとに平均 300 個のデータプロパティーを収集するとを仮定しています。「1 時間当たりデータ収集」列は、1 時間当たりにデータの収集に要する概算時間を示しています。「夜間処理」列は、収集したデータを処理するのに必要な概算時間を示しています。データを収集および処理するのに必要な時間は、サーバーのハードウェア、サーバーの活動、およびデータベース内の PRM データ数によって変わります。

表 C–6 サーバーの例: 管理対象のエージェント数

アーキテクチャー 

エージェント数 

PRM プロパティーの総数 

PRM 構成の種類 

1 時間当たりデータ収集 

夜間処理 

小 

100 

30,000 

小 

2 分 

1 〜 2 時間 

中 

300 

90,000 

中 

7 分 

3 〜 4 時間 

大 

600 

180,000 

大 

7 分 

3 〜 6 時間 

超大 

750 

225,000 

大 

6 分 

3 〜 6 時間 

Performance Reporting Manager レポートの生成

さまざまなエージェント数、データプロパティー数、およびレポート期間 (4 時間から1 か月など) を指定することによって、さまざまなレポートを生成できます。

通常のレポートの生成に要する時間は、数秒から数分です。実際にかかる時間は、次の要因によって変わります。

たとえば、Performance Reporting Manager アドオンが構成されている中型の Sun Management Center サーバーで、比較的簡単なレポート、たとえば 1 つのエージェントの 5 つのデータプロパティーを 24 時間調べたレポートを生成するには、約 20 秒かかります。より複雑なレポート、たとえば、5 つのエージェントの 5 つのデータプロパティーを 7 日間調べたレポートになると、生成するのに約 10 分かかります。


注 –

ここで、Performance Reporting Manager アドオンがインストールされている中型の Sun Management Center サーバーとは、450 MHz の UltraSPARC II CPU 2 基と 1G バイトの RAM、および 1G バイトのスワップ領域を持つ SunFire-280R を想定しています。また、この SunFire-280R は Performance Reporting Manager のために 300 個のエージェントを監視しており、エージェントごとに 300 個のデータプロパティーを収集するものと仮定します。


Performance Reporting Manager レポートのスケジューリング

レポートを生成するのに 30 分以上もかかる場合、午前 4:00 から午前 8:00 までの間にレポートを実行するようにスケジュールする方が賢明です。大きなレポートの生成を午前 4:00 以降に実行するようにスケジュールすることによって、通常の営業時間における Sun Management Center サーバーの負荷を下げることができます。また、そうすることによって、通常、午前 12:00 から午前 4:00 までの間にスケジュールされる Sun Management Center の夜間作業と Performance Reporting Manager の作業が競合する可能性を少なくすることもできます。

性能に関する考慮事項

サーバーレイヤーの性能に影響を与える主な要因には、以下があります。

Sun Management Center コンポーネントの同時起動

サーバーレイヤーと多数のエージェントの「同時起動」は、サーバーレイヤーの性能 に悪影響を与える可能性があります。また、何百ものエージェントを管理するサーバーレイヤーを初期化すると、コンソールの応答速度が低下したり、一時的に一部のエージェントにアクセスできなくなったりする可能性があります。

トポロジグループの構成

Sun Management Center サーバーコンテキスト内のトポロジグループの個数が、次の値を超えてはいけません。

管理作業

Sun Management Center サーバーの活動は、次の要因によって変わります。

最後の 2 つの要因は、管理対象ノードがイベント処理の形で管理アクティビティを生成する傾向を大いに促します。

結果として、アラームしきい値を適切に構成していない場合、アドオンが存在しなくても、かなりの管理作業が発生する可能性があります。逆にいえば、管理対象システムが安定したものでアラームしきい値も適切であれば、多数のアドオンが存在しても管理作業はわずかしか発生しない場合があります。

コンソールユーザー数

Sun Management Center の同時コンソールユーザーセッションが増えると、サーバーレイヤーの負荷がわずかに高まります。ここで、アクティブなユーザー数は、小規模構成の場合は 5 人、中規模構成の場合は 10 人、大規模および超大規模構成の場合は 15 人であると仮定します。また、ユーザーが実行している活動は、管理されたプロパティーデータおよびイベントのブラウズや、データプロパティーの属性の編集などであると仮定します。

ユーザーによって開始される作業の中には、処理が実行される間サーバーレイヤーの性能に一時的に影響を与えるものがあります。

ユーザーによって開始されるこれらのアクションの影響は、同時実行を避ける、大規模のオペレーションを細分化する、可能であれば ピーク時以外に作業を行う (あるいはスケジューリングする) などの方法で最小限に抑えることができます。