Sun Enterprise 10000 SSP 3.5 ユーザーマニュアル

データ同期の管理

データ同期プロセスでは、メイン SSP 上に保存されている SSP 構成ファイルまたは指定されたユーザーファイルに対して行われた変更がすべてスペア SSP へコピーされます。また、このプロセスではコピーするファイルをデータ同期キューにリストしますので、メイン SSP からスペア SSP へコピーされるファイルをユーザーが調べることができます。キューに入っているファイルを調べるには showdatasync(1M) コマンドを使用します。

フェイルオーバーのためにスペア SSP 上で管理する必要があるユーザー作成ファイル (SSP ディレクトリに含まれていない非 SSP ファイル) がある場合は、データ伝播リスト (/var/opt/SUNWssp/.ssp_private/user_file_list) でこれらのファイルを特定する必要があります。datasyncd デーモンは、このリストを使用して、メイン SSP からスペア SSP にコピーするファイルを判定します。

デフォルトの設定では、データ同期プロセスは、メイン SSP 上に保存されているユーザー作成ファイルが変更されているかどうかを 60 分ごとにチェックすることになっています。setdatasync コマンドを実行すれば、データ伝播リストへの変更をチェックする時間間隔を設定することができます (「ファイルをデータ伝播リストに追加する」を参照してください)。この時間間隔は、ファイルをデータ伝播リストに追加した時刻からカウントされます。このリストで指定されたファイルは、前回のチェック時間以降にファイルが変更された場合にスペア SSP へ伝播されます。


注 -

データ同期デーモンは、/tmp ディレクトリの使用可能なディスク領域を使用してメイン SSP からスペア SSP にファイルをコピーします。コピーするファイルが /tmp ディレクトリの容量を超える場合は、これらのファイルを伝播することはできません。たとえば、データ同期バックアップファイル (ds_backup.cpio)/tmp ディレクトリの使用可能容量を超える場合は、データの伝播を行う前にこのファイルのサイズを小さくする必要があります。データ同期バックアップファイルのサイズを小さくする方法の詳細については、「データ同期バックアップファイルのサイズを小さくする」を参照してください。


setdatasync(1M) コマンドを使用して、以下の処理を行います。


注 -

スペア SSP 上のファイルは、datasyncd デーモンによって監視されません。つまり、スペア SSP 上のユーザー作成ファイルを削除した場合に、そのファイルはメイン SSP からスペア SSP に自動的に復元 (コピー) されるわけではありません。また、SSP 構成ファイルはスペア SSP から削除しないでください。


詳細は、setdatasync(1M) マニュアルページを参照してください。

ファイルをデータ伝播リストに追加する
  1. ユーザー名 ssp でメイン SSP にログインし、以下のように入力します。


    ssp% setdatasync -i interval schedule filename 
    

    ここで、interval は、filename で指定したファイルがデータ同期プロセスの一部としてチェックされる頻度 (分) です。ファイル名は、絶対パスで指定する必要があります。データ伝播リストのファイルがスペア SSP にコピーされるのは、これらのファイルがメイン SSP 上で変更された場合だけです。ファイルがチェックされるたびにコピーされるわけではありません。

ファイルをデータ伝播リストから削除する
  1. ユーザー名 ssp でメイン SSP にログインし、以下のように入力します。


    ssp% setdatasync cancel filename 
    

    ここで、filename はデータ伝播リストから削除するファイルです。ファイル名は、絶対パスで指定する必要があります。

データ伝播リストを削除する

setdatasync clean コマンドは、シングル SSP 構成でディスク容量を制御するのに有用です。この構成では、データ伝播リストが非常に大きくなり、不要なディスク容量が消費されます。/tmp ディレクトリの容量をすべて使い切ってしまう可能性があり、システムがハングアップする原因となります。setdatasync clean コマンドを毎日、あるいは 1 週間ごとに必要に応じて実行すると、/tmp ディレクトリが大きくなり過ぎないように抑えることができます。また、setdatasync clean コマンドを実行する crontab(1M) エントリを作成して cron(1M) コマンド使用すると、ディレクトリのクリーンアップ (整理) 操作を自動化することができます。


注 -

デュアル構成では、メイン SSP とスペア SSP の間でデータが非同期になることがあるため、このオプションは使用しないでください。


  1. ユーザー名 ssp でメイン SSP にログインし、以下のように入力します。


    ssp% setdatasync clean  
    

ファイルをスペア SSP にプッシュする
  1. ユーザー名 ssp でメイン SSP にログインし、以下のように入力します。


    ssp% setdatasync push filename 
    

    ここで、filename は、データ伝播リストに追加しないでスペア SSP に移動するファイルです。ファイル名は、絶対パスで指定する必要があります。

メイン SSP とスペア SSP の間で SSP 構成ファイルの同期をとる

たとえば、SSP フェイルオーバーを使用不可にして、再度、使用可能にしたときなど、この手順に従って、メイン SSP とスペア SSP 間のデータの同期を維持します。なお、SSP 構成ファイルをアーカイブする場合は、ssp_backup(1M) コマンドを使用してください。

  1. ユーザー名 ssp でメイン SSP にログインし、以下のように入力します。


    ssp% setdatasync backup  
    

    メイン SSP 上のすべての SSP 構成データのデータ同期バックアップファイル (/tmp/ds_backup.cpio) が作成され、スペア SSP 上に復元されます。ただし、データ同期バックアップは、ssp_backup(1M) コマンドが作成するバックアップと異なる点があります。

    • データ同期バックアップは、ssp_backup コマンドが作成するバックアップと同様に、/tftpboot ディレクトリはバックアップしません。

    • データ同期バックアップは、以下のファイルを復元しません。

      • /var/opt/SUNWssp/.ssp_private/machine_server_fifo

      • /var/opt/SUNWssp/adm/messages

        このファイルは、スペア SSP 上の /var/opt/SUNWssp/adm/messages.dsbk ファイルへ伝播されます。

      • /var/opt/SUNWssp/adm/messages.dsbk

      • /var/opt/SUNWssp/.ssp_private/user_file_list

      • /var/opt/SUNWssp/.ssp_private/.ds_queue

    バックアップファイルが /tmp ディレクトリの使用可能ディスク容量を超えた場合は、データ同期バックアップが失敗します。データ同期バックアップファイルのサイズを小さくする方法の詳細は、以下の手順を参照してください。

データ同期バックアップファイルのサイズを小さくする
  1. スーパーユーザーでメイン SSP にログインし、ssp_backup(1M) コマンドを実行して SSP 環境のアーカイブを作成します。

  2. setdatasync backup を実行する前に以下のファイル削除し、作成されるデータ同期バックアップファイルのサイズを小さくします。

    • $SSPLOGGER/messages.x

    • $SSPLOGGER/domain/Edd-recovery_files

    • $SSPLOGGER/domain/messages.x

    • $SSPLOGGER/domain/netcon.x

    • $SSPLOGGER/domain/post/files

    ここで、x はファイルのアーカイブ番号です。これらのファイルはフェイルオーバーの後に新しいメイン SSP からスペア SSP に伝播されるため、メイン SSP とスペア SSP の両方でこれらのファイルを削除して、ファイルが再び作成されないようにする必要があります。

データ同期情報の取得

メイン SSP 上で showdatasync(1M) コマンドを使用して、データ同期に関する情報を取得します。この節の例では、showdatasync コマンドで表示されるさまざまな情報を示しています。詳細は、showdatasync(1M) マニュアルページを参照してください。

次の例は、データ同期プロセスのファイル伝播の状態、現在伝播されているファイル (なし)、データ伝播のためにキューにリストされたファイル数 (なし) を示しています。この例に表示されている「ACTIVE ARCHIVE」という状態は、データ同期のバックアップが進行中であることを示しています。


ssp% showdatasync 
File Propagation Status:  ACTIVE ARCHIVE
Active File:              -
Queued files:             0

次の例は、データ同期プロセスのファイル伝播の状態、現在伝播されているファイル、データ伝播のためにキューにリストされたファイル数 (なし) を示しています。この例に表示されている「ACTIVE」という状態は、データ同期プロセスが有効となっていて、正常に機能していることを示しています。また、現在伝播しているアクティブファイルがデータ同期バックアップファイルであることがわかります。


ssp% showdatasync 
File Propagation Status:  ACTIVE
Active File:              /tmp/ds_backup.cpio
Queued files:             0

次の例は、データ伝播リストを示しています。表示されている「INTERVAL」の数値は、ファイルに変更が加えられていないかどうかをデータ同期プロセスがチェックする頻度を分単位で示しています。


ssp% showdatasync -l  
TIME PROPAGATED         INTERVAL     FILE
Mar 23 16:00:00         60           /tmp/t1
Mar 23 17:00:00         120          /tmp/t2

次の例は、データ同期のために待ち行列に入れられたファイルを示しています。


ssp% showdatasync -Q  
FILE
/tmp/t1
/tmp/t2